主翼編
主翼に関して、私はまだまだ勉強中の身でありますので、
現時点で私が思うところ....と言う事でご了承下さい。

主翼のデザインのポイントをきむらクラフト主力機である
Virgilシリーズを例に取って説明していきたいと思います。

翼型
まずは翼型ですが、飛行のスタイルによって選択する
翼型が変わって来ると思います。
高速系と低速系で翼型はずいぶん形が違ってきます。

ですが、ここは無難にS4083と言うハンドランチグライダー
に良く使われる翼型を選択してみてはいかがでしょう。
色々な方が使っていて実績がある上に、解析も進んでいて
HP等に掲載されていたりします。
 
翼厚
翼型が決定したらその翼厚を決めないと行けません。
S4083はオリジナルでは8.3%の翼厚がありますが、
この翼厚はハンドランチグライダーとしてかなり高い翼面荷重で
使わないと抵抗の方が勝ってしまい、機速が下がって納得の行く
滑空をしてくれなくなります。

ですので、製作する機体の完成予想重量を踏まえて厚みを
減らしてあげる必要があります。
この当たりの数字は、経験と勘に頼るしか無いようですが、
諸先輩方の機体データなどを参考に決めて見て下さい。

ちなみに、ムサシノのスカイウォークは8.3%の翼厚があり、
この機体は翼面荷重が10g/dm2以上無いと抵抗に負けて
機速が下がってしまいます。

Virgilの例を取ると、完成予想重量が190グラムでしたので、
今まで飛ばした機体や他の方の機体データなどを参考に7%としました。

(ここからは応用です)
この機体のお題の一つに「風にも強い」と言うのがありましたので、
もう少し薄くしたいと考えていました。 ですが、強度の面を考えると
翼厚は厚いほど曲面のRが大きくなるために丈夫で、この恩恵を
捨てるのも勿体ない話です。 
ですので一番力の掛かる中央部は7%のままで、翼端に行くほど
薄くなる形状を採用したのです。
平面形
一般的なラダーハンドランチグライダーは2段の上反角を持ち
短形もしくは緩いテーパーを持った中央翼と少しきつめのテーパーを
持った翼端部分から成っています。 この形は面積を確保しつつ
ランチ時などの高速時の抵抗を減らす狙いのある形です。

テーパーは強いほど高速時の抵抗が減りますが、と同時に
低速時に「翼端失速」という翼端部の空気の流れが乱れて
急激に揚力が減る大変に困った現象が発生しやすくなります。

ですから、高速時の抵抗を減らそうと翼端のテーパーを
極端にきつくするのはハンドランチグライダーでは考え物なのです。
このテーパーは翼端部パネルの広い所と狭いところが70%前後が
よく使われているようです。

この高速時の抵抗を減らす工夫として、外国製の機体では主翼全体を
細くする「ハイアスペクト翼」という手法がよく使われていますし、
クラフトるうむの機体などに見られる「ショートスパン」などがあります。

Virgilの主翼は比較的強いテーパーと細い翼端を持っています。
数字にして50パーセントです。 これは前に述べた高速時の抵抗を
減らすのが大きな目的ですが、これも前に述べた通りに翼端失速に
陥りやすいというおまけも付いてきてしまいます。

これを許容レベルに押さえる手段として3段上反角を採用しています。
この主翼の最翼端部分は、水平面からかなりの角度を持っ立ち上がって
空気の流れを整えてくれる働きを持っています。
加えて2段目の角度を減らす事が出来るので見た目の面積を増やす事が
出来ています。
上反角
この角度はラダーハンドランチグライダーの命と言っても良い物が
あります。 自立安定性と旋回時の傾きを作る大切な物です。
私の感覚...で申し訳ないのですが、2段上反角機では
中央部が自立安定、翼端が旋回時の傾きに大きな影響を
与えているように感じます。

ですので、安定性第一なら中央部分、旋回性第一なら翼端
部分の角度を大きくして上げれば良いと考えます。
翼端部の方は、単に角度だけではなくて中央からの距離も
関係してきます。

旋回性を上げようと過度に角度を付けるとダッジロール
の様に直進性の無い飛びになってしまいます。

片側を着けた状態で中央部4〜8度、翼端部17〜22度
程度が多く用いられているようです。

Virgilの場合は3段ですので、2段目の角度が少なくて
済んでいます。 中央は5度、2段目は14度、最翼端は
20度を与えています。


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