かけうどん小
 香川上陸1号店。ここはさぬきうどん初心者の我々には、難易度が高過ぎた。まずはそのロケーション。何の目印も無く、「半住宅街半田んぼ」の中にあるこの店にたどり着くまでに、普通の人は2、30分迷うと言われている。なんといっても目印が「佐々木さん宅」なのだ。我々は『全店制覇攻略本』と睨めっこしながら県道から細い道へ入っていった。しかしどれが「佐々木さん宅」なのかさっぱりわからない。野生の感を頼りに「佐々木さん宅」らしき家の角を曲がり、しばらくすると目印の神社が現れた。神社の手前を左折すれば穴吹だ。しかしそのうどん屋へ続く道が恐ろしく狭い。さすがのSクラスのデミオでさえいっぱいいっぱいだった。おまけに側溝には蓋が無い。落ちたら終わりだ。慎重に車を進ませ、ようやく我々は記念すべき1件めのうどん屋にたどりつくことができた。今考えて見れば、道を間違えずにたどり着けたことは奇跡だと思う。

 着いたはいいが、どこが入り口なのかわからない。店の周りをうろうろしていると、どこからともなく老人が現れて店の中に入っていった。我々も慌てて老人の後を追って中に入る。店の中は6畳あまり。奥にカウンターがあり、真ん中にテ
ーブルが1つ、周りに丸椅子がいくつか置いてある。『攻略本』に席数10席と書いてあったのは、きっとこの丸椅子の数のことなのだろう。テーブルの上にはだしの入った大きな鍋、天ぷら類の入った容器、コロッケ、いなりなどが置いてあった。薬味のネギとしょうが(もちろん自分ですりおろす)も置いてあった。店に入ったはいいが、どうしていいか分からずにオロオロしていると、店の主人がどれくらい食べるのか聞いてきた。とりあえず小(100円)を注文する。手渡された丼の中にはうどんが1玉ぼてっと入っているだけ。私は粗相の無いように、見よう見まねで、ネギをのせ、生姜をのせ、だしをかけた。だしの入った鍋のふたを開けて驚いたことに、だしの色が、関東風のしょうゆ色をしていた。

 朝からおにぎり1つしか食べていなかった私は、期待に胃袋を膨らませながら、うどんにがっついた。うどんを引っ張り上げ口に運ぶと、ムニューとした不思議な食感。太くてやわらかくてブニブニしている。コシというものがまったく無い。おまけにいりこの香りのきついだしは、関東人の私には合わなかった。この日まで「カトキチの冷凍さぬきうどん」で予習し、「さぬきうどん」というものにある種の幻想を抱いてきた私たちには、あまりにも衝撃的な事実だった。これ
が私がもとめていたうどんの正体だったのか。このようなうどんを我々はこれから先19杯も食べていけるのだろうか。急に不安が湧き上がってきた。しかしそんな不安も次の店ですっかり吹き飛んでしまうのである。

次のお店に進む→

TOPページに戻る
Y氏のコメント

 外観からはとてもうどん屋に見えないこの店。我々のうどんの旅の第一歩を飾るにはいろいろな意味で衝撃が大きかった。店の中に入ると外観と同様にボロく、とても飲食店には見えない。こんな状況でうどんが出てくるのかと思うと、次々に地元の人がうどんを食べに入ってくるではないか。この時点で「本当にうどん屋なんだ。」と安心した。讃岐うどんは「こし」があると聞いていたので、出てきた麺が少しやわらかめでびっくり。これがさぬきうどんが。。。。。と先制パンチを喰らう。地元の人々が手づかみで天ぷらを取っていく姿にはびっくり。先が思いやられるスタートである。
住所 高松市上林町752
営業時間 9:00〜15:00頃
(麺終了次第)
定休日 不定休(私用の場合休業)
(1/1〜3は休業)
形態 製麺所

穴吹製麺所