アラム・イリイチ・ハチャトゥリアン
Aram Il'ich Khachaturian
1903-1978

 グルジアのトビリシに生まれた、アルメニア人のソビエト連邦の作曲家。
 製本工の息子として、カフカス地方で民族音楽に親しみながら、普通に暮らしていた。
 18歳のとき、大学入学のためモスクワに向かう途上に演奏会に出たのがきっかけで、
 音楽の才能を認められ、音楽の勉強を正式に始める。
 19歳のとき、グネシン音楽専門学校のチェロ科、作曲科に入学と、音楽家としてはかなり遅咲きだったのが、
 彼にオリジナリティを与えたのかもしれない。
 1929年〜1934年の間、モスクワ音楽院でミャスコフスキー、ワシレンコなどにじっくりと音楽を学ぶ。
 1936年に「ピアノ協奏曲 変ニ長調」で名声を博し、その後有名な「剣の舞」が含まれるバレエ曲「ガイーヌ」、
 「スパルタクス」などを発表、レーニン賞を受賞し、映画音楽を担当してチェコスロバキア国際映画祭個人賞も受賞。
 交響曲やヴァイオリン協奏曲などをはじめ、次々と名作を生み出し、大胆かつ強烈な作風を印象づけ、
 プロコフィエフ、ショスタコーヴィチと並んで「ソヴィエト三大作曲家」と呼ばれる。
 その一方、決して必要以上に政府に媚を売らず、黙々と自らが信じる民族的音楽を作り続けた。
 (事実、1948年に、多くの作曲家と共に「ジダーノフ批判」に晒されており、
  「形式主義的退廃音楽家」とされた。後の1959年に名誉回復)
 音楽学校や音楽院で教授をしたり、社会主義リアリズムに基づく音楽理論の発展に関する論文などによって、
 評論家たちと論戦する一方、自作の指揮者としても有能な働きぶりをみせ、
 いくつもの自作自演の名盤が残っている。1978年没。
 最近、余りにもわかりやすく親しみやすい作風ゆえか、彼の音楽が過小評価されている感が否めない。
 もっと彼の音楽を聴こう。そして楽しもう。


 ハチャトゥリアン「ガイーヌ」全曲 2CD
 指揮:ロリス・チェクナヴォリアン 演奏:ナショナル・フィルハーモニック管弦楽団 RCA 1976

 ★★★★★
 数少ない全曲版。指揮するチェクナヴォリアンは、ハチャトゥリアンと同じアルメニア出身。
 自然と演奏にも熱が入る。演奏に関しては文句なし。全曲版はやはり面白い。
 やっぱり全曲版だよね。

 ハチャトゥリアン バレエ音楽<<スパルタクス>>より&バレエ組曲<<ガイーヌ>>より
 指揮:ユーリ・テミルカーノフ 演奏:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 EMI 1985

 ★★★★
 「スパルタクス」より4曲、「ガイーヌ」より9曲を抜粋。
 激しさを内に秘めた、美しく暖かみのある演奏。
 冒険は少ないが、安定感があり、安心して聴ける。

 剣の舞〜ハチャトゥリアン:管弦楽作品集
 指揮:アレクサンドル・ラザレフ 演奏:ボリショイ交響楽団 ERATO 1993

 ★★★★
 収録曲・「ガイーヌ」「スパルタクス」「仮面舞踏会」全て抜粋。
 まずデジタル録音なので当たり前だが、音が良い。演奏はオーソドックスで良い。
 落ち着いた感じがする。残念ながら全曲ではないが、
 各曲のエッセンシャルをまとめた初心者向けなアルバムだ。入門用にどうぞ。
 ああ、真央たんがくるくる回っているのが目に浮かぶ……。



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