お茶の効能
お茶には思いの他いろいろな効能があります。特に最近では、 抗癌作用や老化防止作用が注目されています。 むろん、お茶は薬ではありませんから、即効性や目を見張る効果は 期待できません。 しかし、健康維持は日々の積み重ねからです。身近にある健康食品を もっと見直してみましょう。

(更新:99.5.4)


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抗癌作用

最近の研究で、茶の渋みであるタンニン類(カテキン類)に 抗癌作用があることが明らかになってきています。

1983年に、国立遺伝学研究所の故・賀田恒夫(かただつねお)教授が 「緑茶のタンニンが発癌の原因になる細胞の突然変異を抑制する」という 発表を行い、注目を集めました。今後臨床実験による解明が期待されて います。

一方、元静岡島田保健所平出所長や静岡県立大学短大部の小国伊太郎教授の 調査によれば、共に、お茶の生産地でお茶を良く飲む地域の癌死亡率は 全国平均の5分の1以下だと言われています。

このような調査結果から、単純にお茶との因果関係を考えることは できませんが、先の実験結果などと考えあわせると、お茶の抗癌作用 には期待できそうです。

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緑茶が癌予防薬を後押し

平成十年九月三十日付けの朝日新聞によると、緑茶の渋み成分が癌予防薬の効き目を強めるとの報告があったようです。埼玉県立がんセンター研究所の菅沼雅美研究員らが発見し、同月三十日から始まる日本癌学会で発表されたとのことです。

この成分は、緑茶の渋みの元になるエピガロカテキンガレート(EGCG)で、すでに臓器の発癌を抑える効果は国内外で報告されており、米国では薬としての臨床試験が始まっているそうです。

今回の報告はEGCGが癌予防薬に与える影響を調べたもので、試験管内で人の癌細胞を対象としています。乳癌の再発防止に用いるタモキシフェンの場合で単独使用と比べ、約二倍の乳癌細胞を殺したということです。

「緑茶は健康食品として向くだけでなく、一度がんの手術を受けた患者のように再発の危険が高い人にも向くのではないか」(菅沼さん)とのコメントもあり、今後のさらなる研究に期待がもたれます。

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老化防止

人間にとって酸素はとても重要なものではありますが、体内で脂質を 酸化させて過酸化脂質を生成し、動脈硬化や細胞の老化を引き起こす 原因になる場合もあります。

一般に、老化防止の薬としてビタミン E が良く知られていますが、 これは過酸化脂質の生成を抑える働きがあるためです。 岡山大学薬学部の奥田拓男教授は、動物実験により、茶のタンニン (カテキン)の抗酸化作用がビタミン E の20倍もあることを解明 しました。

こちらもまだ動物実験の段階ですが、茶に含まれるタンニンは非常に 多量なので、人体にもかなり効力があるものと期待されます。

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食中毒防止

昔から、お米をとぐときにお茶を使ったり、茶がらでまな板や調理場を 拭いたりする習慣があり、お茶には殺菌作用があるといわれていました。

昭和大学医学部戸田眞佐子助教授の研究によれば、茶のタンニンには 黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、腸チフス菌、コレラ菌などに対する 抗菌作用や殺菌作用が顕著であるということです。また、ほとんどの 抗生物質が効かないために話題となった MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)にも効果があるとのことです。

96年8月10日付けの東京新聞夕刊によると、緑茶のカテキン (タンニン)は病原性大腸菌 O-157 に対しても効果があるという研究結果が報告されたそうです。

これは昭和大学医学部の島村忠勝教授(細菌学)らの研究グループに より行われたもので、O-157 についての効果が報告されたのは今回が 始めてです。実験によれば、1ccの緑茶に1万個の O-157 入れ、 一定時間後にシャーレに塗布して形成されるコロニーを観察したところ、 時間に比例してコロニーの形成は少なくなり、5時間後には0になった とのこと。

O-157 が作り出すベロ毒素に対しても解毒効果が期待出来る 動物実験の結果もあり、近く本格的な実験に着手する予定だそうです。

「日本人がお茶を飲んできたのは嗜好だけでなく、先人の知恵の継承」、 効果が期待される飲み方としては「普通に飲んでいれば大丈夫」 (いずれも島村教授)とのことです。食事の後にはお茶を心がけたい ものです。

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虫歯予防

お茶には抗菌作用がありますから、虫歯の原因となる歯周菌を殺し、 虫歯菌の増殖を防ぐ働きがあります。 また、お茶にはフッ素も含まれていますので、これが歯のエナメル質を 強化し、虫歯を予防する効果が見られます。

東京医科歯科大学の大西正男名誉教授によると、毎日コップ一杯の お茶を飲むだけで、日本の学童の虫歯は半減するだろうとのことです。

子供にジュースなどばかり飲ませるのではなく、お茶を飲む習慣を つけさせるのも大事なことかもしれません。

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肥満防止

お茶のタンニンには抗酸化作用と同時に、脂肪の吸収を抑制する働きが あります。サポニンにも同様の働きがあるといわれています。 また、タンニンには腸内調整作用があり、便通がよくなります。 カフェインには利尿作用もあります。

お茶を飲むだけでやせるというわけにはいかないようですが、 体内の調子を整えると同時に、余分な脂肪の吸収を抑えることによって、 健康な身体を作ることには役立ちそうです。

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抗高血圧作用

お茶のタンニンには、さらに抗高血圧作用もあります。

東北大学の中塚先生の調査によると、お茶を良く飲む人ほど脳卒中で 倒れることが少なく、また脳卒中で倒れた人達の死亡率も お茶を一日に5杯以上飲む人はそれ以下の人の半分とされています。

血圧の高い人はお茶をたくさん飲むのがよさそうです。

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水虫撃退

これまでにもご紹介してきたようにお茶には抗菌作用があり、 水虫やたむしの原因である白癬菌に対しても効果があることは 以前から知られてはいました。今回、寝たきり状態のお年寄りの 身体を緑茶の出がらしで拭くことで、大変大きな効果があったという 報告が岡山市で開催された日本看護学会看護総合分科会で行われました。

国立静岡病院(静岡市)の看護婦、加藤由紀子さんにより発表され た内容は、以下のようなものです。

加藤さんの予想をも上回る大きな効果が認められたとのことで、 水虫に悩む人は、自宅の風呂で試して見るのも良いかもしれません。

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おむつかぶれに

赤ちゃんにも有効です。

江戸時代の民間療法「経験千万」によると、「赤子股タダレタルニ、挽茶ノ粉ツケテヨシ」とあるそうです。ベビーパウダー代わりに使われたということと思われますが、「水虫」と同じようにお茶の出がらしからの残り成分で拭いてやることで、もっと手軽におむつかぶれを直すことが出来るそうです。

お茶の出がらしからもう一度お茶を出し、赤ちゃんの体温より少し下まで冷ましたところでガーゼなどの柔らかい布にそのお茶を浸し、軽くしぼって拭いてやります。2〜3回のうちに大抵は直るとのこと。

何かと最新の科学医療品に頼ってしまう昨今ですが、このように自然のもので対処が出来るなら、その方が安心かもしれませんね。

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お気づきの点、ここに載せたらよさそうな情報がありましたら、ぜひご一報ください。
田中 慎一郎(hamadaen@iris.or.jp)