小ネタレポート

感光基板でエッチングアートを作ろう

執筆 2007年9月30日
感光基板は日光写真のようなもの、エッチングとは銅版画の技法。 そんな思い付きから感光基板を使ってあんなものやこんなものを作れるか試した時のレポートです。

見て楽しむ基板

電子回路に使う基板は、塩化第二鉄などで不要な部分のパターンを溶かしてつくります。 皆さんもご存知の通りこれをエッチングと言いますが、元々銅版画に使われる技法です。 ある程度電子工作の経験を持っている方なら感光基板を製作したことはあると思います。 今回はパターンを焼き付けるのではなく、写真を焼き付けて観賞用として使ってみましょう。

用意するもの

原画、感光基板、現像剤、エッチング液、サンハヤト インクジェットフィルム、コーティング剤(クリアラッカーなど)

基本的に感光基板の製作機材と同じです。 ガラスエポキシ基板(FR-4)を使うとキーホルダーのように穴を開けても十分な強度が得られます。

製作工程

右の原画はネットでダウンロードしたものですが、写真はスキャナ等でデータとして取り込みます。 画像の加工はPhotoshopなどの2値化処理が付いているものと、変倍処理をしたときに画像のスムージングをする機能がついているものがよいでしょう。 ドット絵が書ける人は一から書いたものを利用すると、良い物に仕上がるかもしれません。

画像は最終的に2値化するのですが、ただ単に2値化してしまうと色の濃い所がつぶれてしまう場合があるので、Photoshop等で画像を加工しちゃいましょう。

まず、基板の大きさに合わせてドット数と解像度を調整します。解像度は、露光をする時の精度によって変わってくるのですが、一番上の写真では100dpi(≒4dot/mm)で作成しました。 あまり解像度を上げすぎると、露光の時に露出オーバーでドットが消えてしまったり、エッチングの時に周りからの侵食でドットが細くなってしまったりするので、いい具合の所を見つけてください。ちなみに200dpiでは失敗しました。 右の画像は実際に焼付けに使用したものとは違うのですが、ドット数を237×320の100dpiに変換して約6cm×8cmに仕上がるようにした所です。

次に画像の加工を行います。Photoshopでは彩度を下げて白黒画像を作り、自動選択ツールで下地を真っ白に塗りつぶします。

次にレベル補正をかけ、2値化した後に塗りつぶされる部分とディザがかかる部分の調整をします。 はじめは適当に決めておき、実際に2値化してから具合を見て再調整します。

2値化します。私の場合、モード変換→インデックスカラーの中で誤差拡散が指定できるのでこれを使いました。 ディザの量をうまく調整してきれいに見える場所にします。

最終的に出来上がった画像です。インクジェットフィルムに印刷をする時には表裏が逆になるので、左右反転をかけ忘れないように注意してください。

露光と現像が終わり、洗浄しているところです。写真と同じ原理なのでそれなりに精度は出るのは当たり前なのですが、結構感動しますね。

エッチングの時間はドットが細かいのでコントロールが結構シビアです。 頻繁に液からあげて溶け具合を確認しておきましょう。また、液温は42度ぐらいでいいのですが、新品の液を使うと溶け過ぎるため、通常の基板を1~2枚焼いた後のほうがうまく仕上がります。 エッチングが終わったら、ボンスターで感光膜を除去してクリアラッカーなどで銅箔が錆びないように保護しましょう。

写真を見ていただければ分かると思いますが、基板は紙フェノールよりもガラエポのほうが見た目が非常に綺麗です。 また、キーホルダー用に穴をあけるときも結構丈夫なのでお勧めですね。 実はこの基板の裏には別の画像がプリントされているのですが、ガラエポなので裏側が透けてしまっています。 ガラエポで作る時は片面プリントがおすすめです。

いかがでしたか? 皆さんも一味違った小物で部屋を飾ってみてください。 ちなみに写真の基板は両面基板30KR(75×100mm)をまるまる使ってエッチングしたので、エッチング液がすぐに傷んでしまいました。