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1986/10/16
東京/テルプシコール
[舞踏新人シリーズ第3弾]
音=田中敏
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くらい手あかるい手
室野井洋子の独舞する「くらい手あかるい手」に寄せて
倉橋信廣
膜は流れているのか
いないのか
胸の雫は存在の汗
と呼べるのか
塩の闇
方形の闇
鼓膜の震えに結露する 闇は
孤独な耳だれの想念
たゆたう乱糸の布が肌身を連れ
いちまいいちまい剥がれてゆく
なにかを孕もうとする
赤面するなにか
石面するなにか
清潔な意志をもって
決然と
肘から折れるくらい手が
未明の層を攪拌する
不随意筋に掛かるもの
剥きだしのやわらかな神経叢
甲殻類十脚目猩猩蝦
卵を噛み
爪が這いずり
増女は泣いているのか
いないのか
耳の水は動いているのか
いないのか
くらく裸足が輝いて
強い水を擦足が進む
棘を除き果肉をわけ
秘の手練を語る
巫の名
ときにおおきく撓み
くらい手の航跡に落ちる胸の房
無機の匂い
が漂う静かな一踏の姿から
白拍子は一挙
心の至高に立ちあがり
たれの胸にも
あかるい手は
いまだ
見えない
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