天   出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この項目では中国思想における天について記述しています。その他の用例については天 (曖昧さ回避)をご覧ください。

天(てん)は、東洋思想の世界観が生み出した概念である。古くから身近に存在しながら知り得ない宇宙を含めた世界の構造を仮想する場合に用いられている。この為、時代を経て伝来した西洋思想・宗教の概念を表すためにも利用されている。

天という言葉には非常に多くの意味が付加されている。この世界全て、あるいは世界を統べる法則そのものであったり、あるいは自然の代名詞に使われたりと様々である。中国の思想では人間には全て天から一生をかけて行うべき命令(天命)が与えられており、それを実行しようとする物には天から助けを受け、天命に逆らう者は必ず滅ぶと考えられている。天は人間全ての動きを見ており、悪を行うものには天罰を善を行うものには天恵を与える。その時の朝廷が悪政を行えば天はこれを自然災害の形を取って知らせ、逆にこの世に聖天子(理想の政治を行う皇帝)が現れる前兆として、天は珍しい動物(麒麟など)を遣わしたり、珍しい出来事を起こして知らせると考えられていた。

特に皇帝、王朝の交代には盛んに使われる。ある王朝を倒そうとする者は「(今まで前王朝に与えられていた)天の命が革(あらた)まって我々に新しい天命が授けられた。」と言う考え方をする。つまり革命である。