餓鬼
仏教においては,最高の境界である仏から最下位の地獄までを十位に分かち,餓鬼はその下から2番目の悪趣(あくしゆ)(悪い境界)の住人である。
絶えず飢えと渇きに苦しみ,咽喉はきわめて細く,腹部はふくれた姿で表されている。飲食物を口に近づけるとすべて炎となり,口に入れることはできないのである。天,人,修羅(しゆら),畜生(ちくしよう),餓鬼,地獄を六道とも六(悪)趣とも言い,行いの善悪によって六道の中で生死を繰り返すのが輪廻(りんね)である。この人生において物質上の,とくに食物についての欲望の強い人,むさぼりの心のつよい人は死後,餓鬼道に落ちるのである。
このことから他人をいやしめて餓鬼と呼んだり,生きながら餓鬼道に落ちると言ったり,また,子どもは普通,食欲が旺盛であるので,子どもを餓鬼と呼んだりする。⇒餓鬼草紙‖施餓鬼(せがき) 井ノ口 泰淳
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