中国のインタネット

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http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050420202.html

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2005年4月14日 2:44pm PT

巧妙な中国政府のネット検閲、米の調査で明らかに
AP通信

 米国の研究機関が中国政府のインターネット統制について調べたレポートが14日(米国時間)に発表された。それによると、同国政府は様々なレベルで手段を講じ、体制を批判する言説のみを正確にブロックしており、その手法はますます洗練されつつあるという。

 精度が高まったことにより、中国政府のフィルターは、チベット一般に関する内容をそのまま通し、チベット独立関連の内容だけをブロックできるほどの機能を持つようになった。同様に中国政府は法輪功やダライ・ラマ、天安門事件など、要注意と見なされるトピックに関する議論を効果的に取り締まっているという。今回の調査は、『オープンネット・イニシアティブ』によって行なわれたもの。

 中国政府の検閲には多数の政府機関と数千人もの公務員や民間企業の従業員が関わっており、その範囲も、長距離にわたってデータを運ぶ基幹ネットワークから、多くの中国国民がインターネットにアクセスするネットカフェまで、あらゆるレベルに及ぶ。

 また、広範にわたる検閲活動により、中国政府によるフィルタリング・ツールはウェブ日記やブログといった新しい形態のメディアにも対応していることが明らかになったと、レポートは記している。

 「技術の急速な変化にもかかわらず、中国は世界のどの国よりもインターネットのフィルタリングで成功を収めている」と、今回発表された調査の中心となった1人でハーバード大学ロースクール『インターネットと社会のためのバークマン・センター』責任者の、ジョン・ポールフリー氏は語る。

 例えば、サウジアラビアではインターネットを管理するため、すべてのトラフィックを統制機関に集中させ、ここが場合によっては監視を行なうという手段を主に使っている。この場合、禁止されたサイトにアクセスしようとすると、要求はブロックされたというメッセージが表示される、とポールフリー氏は指摘する。

 「それに比べると中国ははるかに巧妙だ」とポールフリー氏。「ブロックされたことすら知らされない。存在は知っているのにアクセスできないとユーザー側にわかってしまう手法に比べると、こちらの方がより効果的だ」

 中国の検閲は、いくつかのサーチエンジンをはじめとする複数の箇所で行なわれており、禁止コンテンツの代わりに警告が表示されるのではなく、コンテンツそのものが削除されるのだと、ポールフリー氏は説明する。

 米グーグル社は、昨年秋から試験運用を開始した中国語のニュース・サービスで、中国政府が禁止するサイトを検索結果から削除していることを認めている(日本語版記事)。同社は、このような措置をとった理由を、ユーザーがたとえリンクをクリックしても中国側のフィルタリングのせいでページにたどり着けないからだとしている。

 またポールフリー氏は、中国でのフィルタリングが効果的なのは、常に変更が行なわれ、ユーザーの不意を突くからでもあると述べる。

 米国に次いで世界第2位のインターネット人口を抱える中国では、政府はビジネスや教育目的のインターネット利用を促す一方で、体制批判やポルノなど、共産党政権が要注意と見なすトピックへのアクセスの遮断に努めている。ただし、中国のネットユーザーの多くはこうした統制を回避する方法を心得ている(日本語版記事)――例えば、プロキシサーバーを使うことで本当の所在を隠すといったやり方だ。

 今回の調査でも、こうしたプロキシサーバーと長距離電話でのダイヤルアップ接続を使って、国外にいる研究チームは中国内の統制の実態を把握した。研究チームはまた、中国内のボランティアに依頼してさらに大規模なテストも実施した。

 トラフィックの流れを監視し、どこでコンテンツが削除されるかを調べるために、研究チームは「パケット・スニファー」と呼ばれるソフトウェアや機器を使った。ポールフリー氏は調査手法の詳細を明らかにせず、多くのインターネットシステムにはセキュリティー上の問題が存在し、これを利用すれば通信内容を傍受できると指摘するにとどめた。

 大富豪の金融家ジョージ・ソロス氏が設立・運営している人権擁護団体『オープン・ソサエティー研究所』から資金援助を受けているオープンネット・イニシアティブでは、ハーバード大学やケンブリッジ大学、トロント大学の研究者が共同で、インターネットでの検閲や監視の問題に取り組んでいる。

 今回の調査では、以下の事実が明らかになった。

一斉送信されるニュースレターが時折ブロックされると不満を述べる反体制活動家もいるが、個々の電子メールはほとんどフィルタリングされていない。

フィルタリングの多くはバックボーンで行なわれるが、個々のインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)でもさらにブロックされることがある。ネットカフェや掲示板運営者も、当局からの処罰を恐れて自主的にコンテンツの統制を行なっている。

フィルタリングは、特定のドメイン名やIPアドレスにアクセスしたときよりも、特定のキーワードが出てきたことをきっかけに行なわれることが多い。キーワードベースのフィルタリングにより、禁止されたトピックを含む記事のブログへの掲載も阻止できる。

 「キーワードレベルでのフィルタリングはさらに精度を上げることもできる」と、ポールフリー氏は言う。「中国政府は、国民にインターネットの利用を促し、ひいては経済成長につなげたいと考えている。すべてのブログサーバーを閉鎖するのは政府にとっても賢いやり方とはいえないのだろうが、どんな形であれ体制批判は流したくないのだ」

[日本語版:高橋達男/長谷 睦]
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2004年9月25日 9:04am PT

『Googleニュース』中国版、中国政府の検閲に追従
AP通信

 サンフランシスコ発――米グーグル社(カリフォルニア州マウンテンビュー)が先頃中国で提供を開始したニュース・サービスでは中国政府がブロックしているウェブサイトからの結果が表示されないことが判明し、「邪悪なことはしない」(do no evil)を謳い文句にしてきた検索エンジン企業に、扱いの難しい疑問を提起している。

 オンライン検閲に断固として立ち向かう調査会社、米ダイナミック・インターネット・テクノロジー社が行なったテストにより、中国でインターネットに接続しているコンピューターを通じて『Googleニュース』中国版で検索を実行したところ、中国政府がアクセスを禁止したニュースサイトの検索結果が削除されていることがわかった。

 まったく同じ条件で米国内でインターネットに接続しているコンピューターを使って検索すると、中国政府が遮断しているサイトからの結果も表示される。

 「これは問題だ。中国の人々は、中国政府が提供する以外の選択肢もあること、政府によって覆い隠されていることがたくさんあるということを知る必要があるからだ」と、ダイナミック・インターネット・テクノロジー社のビル・シア最高経営責任者(CEO)は語る。「ユーザーはGoogleがネット上にあるすべての情報を結果として表示してくれるものと考えている。それが検索エンジンなのだから」

 シアCEOは、グーグル社が将来の利益増加につながり得る事業拡大計画を円滑に進めるために、中国政府の検閲に協力しているのではないかと推測している。

 中国政府は2年前、グーグル社に対して厳しい処置をとり、一時的に『Google』へのアクセスを遮断した(日本語版記事)。この遮断はその後、世論の圧力を受け解除されている(日本語版記事)。

 グーグル社は、中国語のGoogleニュース――9月上旬にベータ版として導入した――では政府がアクセスを禁止しているサイトからの結果を削除していることを認めているが、これは検索エンジンを効率的かつ利用価値の高いものにするという長年の使命に沿った行為だと考えている。

 Googleが中国政府にブロックされたサイトからの結果を表示しても、ユーザーがそのリンクをクリックした際にどこにもたどりつけない――グーグル社はこれまで常に、こういった状況の回避に努めてきた。

 グーグル社の広報担当者は24日(米国時間)、「グーグル社は、中国本土のユーザーに可能な限り最良の検索体験を提供するために、アクセスが禁止されているコンテンツを含むサイトは含まないことに決めた」と説明した。

 グーグル社は、Googleニュース中国版で排除されているのは「ごく一部」のウェブサイトに過ぎないと述べている。だが、シアCEOは、自分が行なったテストでは『ザ・エポック・タイムズ』[中国名:大紀元]や『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)など、少なくとも8つのサイトからの結果が表示されていないと指摘する。

 グーグル社によると、Googleニュース中国版は約1000のサイトを検索対象にしており、700サイトのドイツ語版や約250サイトのイタリア語版より検索対象が広いという。

 米フォレスターリサーチ社のアナリスト、シャーリーン・リー氏は「インデックスからはずされることで、いくつかの(中国語)サイトはおそらく葬り去られてしまうだろうが、グーグル社はそれ以外の全サイトへのアクセスを提供することで、よりよい成果を得ることを選んだのだろう」と推測する。

 Googleの検索結果について不満の声が上がるのは、今回が初めてではない。

 Googleは、ここ数年で検索エンジンとしての人気が高まるにつれ、特定の検索結果ばかり突出させて表示し他を軽んじているという批判を集めてきた。また、受け付ける広告の種類を決めたグーグル社の方針に不満を表明する団体もある。

 グーグル社の「邪悪なことはしない」という誓約――同社の共同設立者、ラリー・ペイジ氏とサーゲイ・ブリン氏によって高らかに掲げられた――は、企業の行動をさらに厳しく吟味する姿勢にも拍車をかけている。

 グーグル社が政治的な立場をとるつもりなら、検索結果が政府の検閲に左右される可能性があることをユーザーに示す免責条項を、Googleニュース中国版に掲載することも検討できたはずだとリー氏は指摘する。

 しかし、こうした措置をとれば、中国政府によるGoogleニュースへのアクセス制限を招く危険性もある。

 「邪悪なことはしないという意味は必ずしも、グーグル社が変化に向けて進歩的な姿勢を維持するということにはならない。(中国で)グーグル社が示しているのは『これがこの国の法律であり、それを変えるためにわれわれにできることは何もない』ということだ」とリー氏は語った。

[日本語版:藤原聡美/高森郁哉]

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2003年6月26日 2:00am PT

政府の検閲を問題にしない中国のネットユーザーたち
Hector Mackenzie

 北京発――中国で国家によりインターネットが検閲され、サイバー反体制活動の容疑者たちに非常に厳しい刑罰が科せられていることは、国外では人々の想像力を掻きたてるかもしれない。しかし中国国内のネットユーザーの大多数は、『グーグル』にアクセス可能かどうかといった、もっと日常的な事柄について心配している。

 確かに、米CNN社や英BBC放送のサイトに入ろうとしてもあの悪名高いサイバー版「万里の長城」(日本語版記事)に直接ブロックされる場合のほうが多い。こんな経験が、中国にいる新聞記者の関心を惹くのは当然だろう。

 しかしこのような出来事は不快には違いないが、たいていは諦めのため息をつくか、またかと首を横に振るだけで済まされる。

 結局は誰だって、最終的には自分の欲しいものを手に入れる方法を見つけ出すものだ。また、技術に明るい中国人ネットユーザーは、非常に我慢強い性格を備えている。気が遠くなるほど遅く不安定な接続状況や旧式な機器といった、理想とはほど遠い条件に慣れっこになっている一般の中国人ウェブサーファーたちは、そんな環境にもすばやく順応している。なかには、楽しんでいるユーザーさえいる。

 ただし、グーグルにアクセスする自由が侵害される問題は、面白がっているわけにはいかない。

 20代のジャーナリスト、ワン・フアさんは次のように述べている。「私の友人や職場の同僚の多くは、とくに仕事場でグーグルを常時利用している。仕事をするうえで、なくてはならないものだ。(他の一部諸国よりも)存在意義は大きいかもしれない。他の手段で情報を得るのが非常に難しかったり、時間がかかったりするからだ」

 北京の多国籍企業に勤める25歳のトゥ・シュさんは、仕事上の特権としてインターネットへの常時アクセスを楽しんでいる。余暇には、膨大な量の教材を無料で入手する場所としてグーグルを最大限に活用し、英語力の向上に励んでいるという。

 昨年9月、グーグルへのアクセスが数日間遮断された。理由は不明だが、中国では国内の政治的緊張が高まったり、2001年4月に起きた中国軍機と米軍偵察機による接触事故(日本語版記事)のような外交的小競り合いが起こったりしたときに、政府によるインターネット検閲が強化されるのが通例となっている。このときはシュさんも、英語学習を一時中断するしかなかった。しかし、問題は簡単に解消できたとシュさんは説明している。「ロンドンにいる友人に電子メールでどんなものが欲しいか伝えたら、3分もたたないうちに情報を切り取って貼り付け、送ってくれた」

 システム管理スタッフのワン・イーさんは、政治的解釈によってはネットサーフィンを禁じられる可能性も認識しているが、状況をそれほど懸念していないという。イーさんの友人も多くは同じ意見のようだ。

 「正直な話、若い人は(政治に)それほど強い関心を持っているわけではない。私は、いい仕事に就くチャンスを広げる方法を知りたくてインターネットを使っている。チャットをしたい人もいれば、ボーイフレンドを探たい人もいるし、辛い勉強のことを忘れて『カウンターストライク』のようなゲームをしたいだけという人が多い。個人的には、サイバー反体制活動家に興味を持っているような人は1人も知らない。私たちの生活にはまるで関係のないことだ」とイーさん。

 中国の国民が、サイバー版「万里の長城」を飛び越える機会を楽しんでいないと言っているのではない。グラフィック・デザイナーのツァン・チーさんは声をひそめて、欲しいものを手に入れるためのお気に入りのテクニックを披露してくれた。

 今年、非合法の気功集団『法輪功』がスパムメールを送信し、大勢が受信している。チーさんもメールを受け取った。技術面のノウハウを豊富に持っている法輪功は、いくつかのテレビ局の生放送に無断侵入し、グループの宣伝活動を行なったこともある。

 「法輪功のメッセージには興味はなかったが、添付されていたプロキシサーバー情報にはすごく魅力を感じた」と言いながら、サイバーカフェのお気に入りの隅の席に体をかがめるようにして座ったチーさんは、ざわめく店内の様子をすばやくうかがった。

 チーさんによれば、日本で作成されているという毎時間更新されるリストを使えば、たいていは数秒で欲しいものが入手できるという。23歳のチーさんは、明らかに非教育的なポルノも簡単に見つけられる、と率直に認めた。

 チーさんは早速、1989年の天安門事件の画像をいくつか探し出したが、その中身にはほとんど関心を示さず、ただ自分の主張を証明することだけが目的のようにみえた。

 中国政府当局はどうやら、画像とは違う、別のもっと単純な「脅威」に頭を悩ませている。脅威の正体は、シンプルなテキストメッセージだ。

 現在、中国の携帯電話利用者は、2億人以上いる。道路清掃員から、流行に敏感な大学の新入生、企業の最高経営責任者(CEO)にいたるまで、中国では誰もが携帯電話を持っているように思えるほどだ。そして、ショート・メッセージ・サービス(SMS)の流行がこれほど大きなインパクトを持つ国は、中国以外にはない。

 SARS(重症急性呼吸器症候群)危機(日本語版記事)の最中に自宅に閉じこめられた何百万人もの市民の間で、簡単に鬱憤を晴らす方法として、反政府的内容のメッセージ――多くの場合、辛辣な風刺や、事実に即した皮肉っぽいジョーク――の送信が大流行した。

 政治権力者の一部は、これを単なる笑い話とはみなさなかった。北京の街全体が隔離され、あと数時間のうちに消毒薬が大気中に散布されるといった噂が広がり、パニックを起こした市民が買い占めに走るなど、ただでさえ緊張した状況がさらに不安定になる一幕があったためだ。

 中国政府はSMSの情報伝達能力を軽視していない。その証拠に、政府はテキストメッセージを使って水不足になるという噂を流した広東省の男性5人を収監している。

 匿名条件で取材に応じた北京在住の電気通信アナリストは、次のように述べている。「テキストメッセージは誰にでも、手軽に、金をかけずに集団を組織する方法を提供してくれる。法輪功もこれを利用して、大量のメッセージを全く検知されずに送信してきた。好ましくないメッセージを遮断するために、政府がフィルターシステムやユーザーID確認システムを開発する可能性も考えられる」

 この可能性について質問したところ、チーさんはスクリーンに現れたエイリアンを殺す手を止めて画面から目を上げ、馬鹿にしたようにフンと鼻を鳴らした。そして、パソコンの横に置いたスタイリッシュな銀色のボディーの携帯電話機『エリクソンT29』を眺めながら、こうコメントした。「メッセージで女の子を口説いたり、友だちとジョークを見せ合ったりできれば、正直そんなの、全然気にしないよ」

[日本語版:藤原聡美/湯田賢司]
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