現役中年バンド

「再起動」

SAIKIDOH

リードギター
○田○雄
電器屋
FMパーソナリティー

○○才
ベース
○田○児
はいしゃ



○○才
ドラムス
若○○美
某大手企業勤務
労組

○○才
キーボード
○田○子
某幼稚園勤務



○○才
リズムギター
増○○樹
電器屋
ハードロッカー


31才

きっかけ 男は、ある日、息子のエレキギターに触ってみた。
突然あの懐かしい青春の日々が走馬燈の様に蘇った。
エレキバンドがブームであった頃、憧れながらもギターすら買えなかった頃が。
男はベンチャーズ・エレキ・カラオケを始めた。
出会い ある晩、某市某酒場で二人の男が巡り会った。
エレキに目覚めた中年と、昔、エレキ小僧だったオッサンだった。
オールド・エレキ小僧は30年以上もJAZZの世界に行っていた。
コントラバスを担当していたオッサン小僧は、エレキベースを男の為に弾く事になった。
胎動 ベンチャーズ・カラオケとは、リードギター以外の音が入っているCDである。
最初は男ひとりでそれに合わせて弾いていた。
オッサン小僧はベースパートをカラオケにかぶせて弾く事になった。
練習場所は閉店後の男の店、行きつけの小さなスナック。
「好きこそ物の上手なれ」レベルは見る見る向上した。
小手調べ スナックで常連の客相手に修業した二人は 例の某酒場での某忘年会に出演した。
宴会芸のようなものであった。
芸のあと、二人は呑みながら話し合った。
「リズムギターとドラムが欲しいな」
増殖 オッサン達の練習に男の息子が参加する様になった。
なぜだかは不明だ。

行きつけのスナックの常連のつてで ドラムスを叩く中年が見つかった。
ドラ中年は13年間叩いていなかった。
宴会芸なら という引き気味の乗りで参加した。
ところが、こいつが一番ハマってしまった。
命名 「リセット」というバンドがある。三条市出身のおじさまバンドである。
芸歴は長い。高校時代からだそうである。
途中のブランクもあったが、数年前にリセット じゃあなくて、リスタートしたのだ。
まとまりも良く、テクもある。
長岡周辺の色々なイベントにも多数出演している。
それに憧れて、男は自分のバンドに「リセット」の日本語訳である「再起動」と命名した。
なんて安易なんだ。
出陣 最初の対外試合は 忘れもしない「上条夏祭り」であった。
セミしぐれの中、演奏した4人は既にバンドとしての一体感を共有していた。
「仲間であること。」
これを確認した一夜であった。
成上がり 二つ目のステージは、なんと、早くも 市内随一のホテル。
某業界団体の納涼パーティーであった。
初ギャラまで頂いてしまい、大感激であった。
なんか、いっぱしのバンドになった様に錯覚したのだった。
演奏の方は・・・・・ ノリ過ぎの大音響だった とか。
充実 本物のベンチャーズにはキーボードのサウンドが随所に絡んでいる。
「リセット」にもキーボー担当のお姉様がいる。
我々「再起動」にもキーボーが欲しいと男は思った。
「出来るならば女性がいい」というのがオッサン達のすけべ心からなのは明かだった。
「求めよ、しからば与えられん。」は正しい。
女性のキーボード奏者が現れた。
乱発 バンドは「現場」が全てである。
「現場」即ち、ライブの為に必死になって練習する。
練習するとその成果が出る。
好評判を聞いてまたまた練習に励むようになる。
練習するとその成果を発表したくなる。
「どこでもいいから、ノーギャラでいいからやらせて。」となる。
現場をこなす内にバンドは技量を向上させ、新たな知己を得て、活動範囲が拡大した。
未来 このバンドについて将来を語るのはタブーである。
メンバーの多くが高齢者間近だからである。
それとも、老人ホームのように椅子に座ってロックするか。

関係者事情聴取


BACK TO THE TODOMAN'S HOME