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  離婚の話(2) −変わる離婚訴訟!(人事訴訟法の成立)−

                             2003(平成15)年11月12日 


 ● 離婚訴訟が変わります!
 平成15年第156国会において、新しい法律である「人事訴訟法」が成立しました(施行日は、2003・平成15年7月16日から1年以内の政令で定め日となっていますが、本日現在、決まっていません)。
 これまで、離婚訴訟などのいわゆる身分関係に関する訴訟(婚姻無効・取消訴訟、離婚訴訟、離婚無効・取消訴訟、婚姻関係存否確認訴訟、嫡出否認訴訟、認知訴訟、認知無効・取消訴訟、父子関係存否確認訴訟、養子縁組無効・取消訴訟、離縁訴訟、離縁無効・取消訴訟、養親子関係存否確認訴訟など。これらを人事訴訟といいます)についての法律としては、「人事訴訟手続法」がありました。しかし、例えば離婚事件の場合、離婚の調停は家庭裁判所でできるけれど、調停が不成立になった時には、離婚訴訟は「地方裁判所」に起こさなければならないなどの不便が指摘されていました。また、不貞を理由とする損害賠償請求訴訟のように、離婚に関連する訴訟も家庭裁判所が扱うことはできませんでした。
 これらの不便を解消し、家庭裁判所の機能の充実による人事訴訟の充実・迅速化を図るために、「人事訴訟法」という新しい法律が制定されたのです。
 その主な内容は、@人事訴訟事件の家庭裁判所への移管、A家庭裁判所調査官制度の拡充と参与員制度の導入、B人事訴訟の公開停止、D離婚訴訟での和解許容 などです。

 ● 離婚訴訟は家庭裁判所に!
 人事訴訟法では、これまで地方裁判所で扱ってきた離婚訴訟などの人事訴訟は、離婚調停と同様、家庭裁判所で扱うことになりました(人訴法4条、家庭裁判所の専属管轄)。また、例えば不貞を理由に離婚訴訟を家庭裁判所に提起したときなどに、この不貞を理由に損害賠償請求も地方裁判所などに提起した場合、その地方裁判所などは離婚訴訟に関連するこの損害賠償請求訴訟を離婚訴訟が行われている家庭裁判所に移送して一緒に審理することができるようになりました(人訴法8条、競合管轄)。

 ● 家庭裁判所調査官制度の拡充と参与員制度の導入
 離婚訴訟においては、申立により、子の監護者の指定、養育費の支払、財産分与などの附帯処分をすることも可能です(人訴法32条)。この場合、裁判所は附帯処分をするに当たっての「事実の調査」を家庭裁判所調査官に担当させることができるようになりました(人訴法34条)。これにより、離婚訴訟においても、家裁調査官の心理学その他の専門的知見を活用することができるようになったのです。なお、「事実の調査」においては、審問期日における当事者の立会権が原則として認められています(人訴法33条4項)。
 また、家庭裁判所は、必要があるときは、参与員を審理又は和解に立ち会わせて意見を聞くことができることになりました(人訴法9条)。これは、一般国民の良識を人事訴訟に反映させようとするものです。
 
 ● 裁判の公開停止
 憲法82条は、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ」としています。但し、公序良俗に反する場合は対審は非公開にすることもできます(憲法82条2項本文)。また、人事訴訟では、当事者が裁判の公開を望まないことも多くあります。そこで、人事訴訟法は、当事者や証人が「自己の私生活上の重大な秘密に係わるものについて尋問を受ける場合」において、「公開の法廷で当該事項について陳述することにより社会生活を営むのに著しい支障が生ずることが明らかであることから当該事項について十分な陳述をすることができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによっては当該身分関係の形成又は存否の確認のための適正な裁判をすることができないと認めるとき」は、裁判の公開停止(非公開)をすることができるとしています(人訴法22条)。


 ● 離婚訴訟における和解の許容

 離婚訴訟においては、解釈上、これまで訴訟上の和解は出来ないとされてきました。そこで、実務では、訴訟手続の中で「離婚することに合意して(協議)離婚届に署名捺印した」という和解を成立させて、実際に協議離婚届に両者が判を押して、その後に離婚届を一方が市役所などに提出するという方法が採られてきました(形式上は離婚請求は取り下げとなり、協議離婚として扱われる)。しかし、この場合には、他方当事者が市役所などに離婚届不受理申立書を提出していた場合などに協議離婚届が受理されないなどのトラブルが生じる可能性がありました。
 そこで、人事訴訟法では、明文で、訴訟上の和解による離婚を認めることになりました(人訴法37条)。
 
 ● その他
 家庭裁判所が離婚判決などを出すときになされた附帯処分(子の監護者の指定、養育費の支払、財産分与など。人訴法32条)が守られなかった場合、権利者は申出により、家庭裁判所に、相手方(義務者)に対し @履行の勧告 A履行命令 B家庭裁判所に対する金銭の寄託(命令)などを出してもらうことができるようになりました(人訴法38条以下)。
 これまで離婚調停などで認められていたこれらの履行確保の制度が、離婚訴訟においても認められるようになったのです。

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