ジッポーライター製造年月日鑑定法

ジッポーハンドブックより引用著者かとうともゆき氏

底の刻印で製造年を知る


 まず、ライターを手にとり底面に刻まれたロゴや文字を読み取ってほしい。それが製造年を知る重要な手がかりだ。 ふつうのモデルなら、ZIPPOのロゴ、BRADFORD・PA(PAはペンシルバニア州の略称)と製造地が記されているはずだ。そこに刻まれている内容でさまざまなことがわかってくるのだ。ジッポーのロゴタイプ。これは、初歩的な知識だが、大体の製造年代を知ることができる。
 その手がかりは、ロゴのデザイン。現在のものを含めると3種類。ひとつは角張った細い文字の単純なZIPPOで、1932年から1956年まで使用した。つぎは、1957年から1976年まで使われた斜体でイタリック調の流れるような(図1)。1977年からは、現在の炎のイメージもあしらった堂々とした現代的な(図2になっている。
 しかし、日本向けのポピュラーなブラッシュ・クローム仕上げの♯200FB(フラット・ボトム)モデルだけは、83年よりファンのイクリック調ロゴ(図1)の根強い復活の要望に応える形で旧ロゴタイプを使用しているので注意されたし。 つぎにチェックしてほしいのは、ロゴの左右。よく見るとなにか記号のようなものがつけられているはずだ。一時期、これはニセモノとホンモノを識別する暗号だとされたり、製品の等級をしめす符号であるなどと、もっともらしい噂がマニアのあいだで囁かれていたものだが、実は、そんなものではない。
 真実は、ライターの製造年をあらわす記号なのだ。もちろん、特別な秘密でもない。ジッポー社が品質管理の徹底を図るために1957年より採用し
ている方式で、すでに公表されているものだ。
 逆に言えば、それより以前のものは、USパテント・ナンバーの有無やデザインで製造年を判別するしかないので年号を確定できるモデルはすくない。
 とにかく、製造コードを見れば、1957年以降のものは製造年を確定できる。当初は「・」印からスタート、1966年よりタテにまっすぐの「│」印、1974年からは斜めの線
「/」印、1982年からはその逆の線「\」印を基本にしている。
 いずれの時期もロゴの左右に配して、その数で製造年を判定でさるようにした。それは、左右にそれぞれ4つが最大の数で、それをひとつずつ減らしてゆく方法。最後のひとつになったら、つぎは新しいパターンに変えて、ふたたび左右に4つから再スタートした。
 こうして大体8年のサイクルで表示パターンを変更してきたが、1986年からは、製造月も判別でさるように配慮。右に製造年をしめすアラビア数字(86年はU、87年はV、88年はW…とつづく)、左に製造月をしめすアルファベット(1月はA、2月はB、3月はC・=12月はL)を刻んでいる。
 もちろん、ホンモノと復刻モデルとの見分けがしにくい1937年型ビンテージ・シリーズとオリジナルの1932年型レプリカ・モデルにも製造年表示はある。ビンテージ・シリーズでは、1932年の創業年をしめす「1932」 のつぎに製造年(たとえば「1988」)を刻印。また、1932年レプリカの場合は、コード表にある工・U・V……の刻印が刻まれている。スクーリング・シルバー・モデルもおなじだ。
 例外といえば、50周年記念ライターとして発売された「コメモラティプ」で、これには製造年表示がない。しかし、それは1982年だけの限定アイテムであるからだ。いずれにしてもほとんどのジッポーの底の刻印は、製造年を知る情報。ジッポーを手にしたら、ロゴ、パテント・ナンバー、左右の刻印のいずれかをデータとして読み取ってほしい。ときには、刻印が浅いものもあるので、よ−くチェックすること。
 それで「いつつくられたか」の疑問は解けるが、そのモデルが「いつはじめてつくられたものか」、つまり「発売何年目か」 「どうしてつくられたか」を知るためには、製品の歴史やデザインに頼らざるをえない


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