因島市学校統合諮問委員会 「答申」

   目     次

T はじめにU 審議の基本的な考

V 小・中学校の現状

W 適正な学校規模

X 適正な学校配置

Y 今後の教育課題

Z おわ り に

【答申付属資料】工事中

工    は じ め に

 本諮問委員会は,平成12年(2000年)5月2 3日に因島市教育
委員会から次の事項を審議し,因島市立学校の統合に関わる基本
的な方向について提言するよう諮問を受けた。

 (1)学校の適正な配置
 (2)学校及び学級の適正な規模
 (3)適正,可能な通学区域(通学距離及び通学方法)
 (4)必要な教育内容及び教育条件
 (5)跡地利用


 諮問に際し,因島市教育委員会から,「本市の産業構造の変化
や近年の少子化傾向等により,市内の小・中学校の児童・生徒数
の減少が進み学校の小規模化が深刻化してきている。一方では,
国際化や情報化をはじめとする社会の急激な変化とそれに伴う
『教育改革』が進行している。今後因島市が21世紀に向け確固
たる基盤を築き発展していくうえでも,次代を担う子どもたちが
逞しく心豊かに成長することが何よりも求められている。そうい
った状況下にあっては,学校の適正規模・適正配置等について十
分な検討を行い,子どもたちにとって良好な教育環境を整え教育
の充実を図ることが必要である。」との認識が示された。
 本諮問委員会は,このことを重くとらえ早急な対策が必要であ
るとしたうえで,「因島市立学校統合検討チーム報告書」をはじ
め,今後の児童・生徒数推計,小・中学校通学区域等,多くの資
料や,各委員が関係者等から聞き取りしたものを参考にしながら,
多面的な検討を重ねてきた。
 本答申は,これまでの審議をまとめたものである。広く因島市
民の理解を得て,適正な学校配置を推進することで,一層の教育
環境の整備及び学校教育の発展に生かされることを期待する

U   審議の基本的な考え方

 本諮問委員会は,次のような基本的な考え方に立って審続を行
つた。
(1) 子どもの教育を最重点にしながら,地域文化や財政的課
   題を加味し,総合的に審議する。
(2) 40人学級や教職員設置基準(学校教育法施行規則)等の
   改善要望が高まっているところであるが,ここでは現行制
   度を前提とする。
(3) 答申後に『因島市立学校統合計画策定委員会』が策定す
   る統合計画のめやすとするため,緊急度を勘案し順位度を
   設定する。
(4) 学校統合にかかわる財政上の検討,並びに学校跡地の利
  活用の詳細については,前記『因島市立学校統合計画策定
  委員会』の審議に譲る。
(5) 答申は広く市民に公開し,説明会を開くなどして十分な
   理解が得られることを期待する。

V 小中学校の現状

 本市における小・中学校の現状を時系列的な推移及び県内の他
市町村と比較すると,次のような状況になっている。詳しくは答
申付属資料を参照されたい。
1 児童・生徒数の推移
 本市の小学校の児童数は,戦後のベビーブーム世代が在籍した昭和
33年(1958年)度の6,798人をピークに,また,中学校の生徒数は,
昭和37年(1962年)度の3,262人をピークに以後減少に転じた。さ
らに,昭和61年(1986年)には地元基幹産業であった日立造船の
新造船部門の撤退により,減少傾向に一層拍車がかかった。
 平成12年(2000年)度の児童数1,410人,生徒数791人(合わせて
2,201人)とピーク時とを比べると,実数で7,859人の減少,減少
率にすると78%になり,因島市の児童・生徒数は,ピーク時の約
5分の1にまで激減したことになる。
 加えて,平成20年(2008年)度の推計によると,児童数は957人
(1校平均137人),生徒数は565人(1校平均113人)で,そのうち
新入生は小学校129人(4学級規模,1校平均18人),中学校186人
(5学級規模,1校平均37人)となり,ピーク時と比較すると,さ
らに7分の1にまで減少すると予想される。
                           《資料1参照》
 さらに,県内の郡市ごとにみた児童・生徒数の増減率〔平成6
年(1994年)度に対する平成11年(1999年)度の比較〕をみると,広
島県全体の平均減少率は小学校が11.0%,中学校が8.5%である
のに対し,本市は小学が28.9%,中学校が22.1%の減少であり
県下で最も大きく減少している。
                            《資料2参照》

2 学級数の減少・学校の小規模化
 児童・生徒数の減少により,当然のことながら学級数も減少の
一途をたどり,市内7小学校のうち学校教育法施行規則で学校規
模の標準とされている12〜18学級(障害児学級を除く)を満
たしているのは,因北小1校のみで,他の6佼はすべて小規模校に
なっている。さらに大浜小に加え,3年先には新たに東生□小
に複式学級が出現すると予測される。
 また,市内5中学校は(学校教育法施行規則の標準は小学校と
同じ。)すべて小規模校となっており,重井中・田熊中においては,
1学年1学級(以下「単学級」という)が出現しており,田熊中は
平成13年(2001年)度から,重井中は平成14年(2002年)度,三庄
中は平成16年(2004年)度から全学年単学級になると予測される。
                         《資料3〜8参照》

3 市内学校の沿革

 戦後,本市においては,昭和24年(1949年)に中庄中と大浜中
が因北中学校として,東生口中と南生口中が組合立生口中学校と
して統合された。
 また,昭和42年(1967年)に外浦小,鏡浦小,中庄小が因北小
学校として統合された。
 さらに,平成2年(1990年)には,椋浦小が三庄小学校に統合さ
れた。
 以上,過去においても,学校規模の適正化を図ることで,子ど
もたちの教育環境を整え,教育の充実に努めてきた経緯がある。
                        《資料9,10参照》

4 県内類似規模の市町における学校数の比較

 近年,県内においては,毎年10件程度の学校統廃合等(幼稚
園を含む。)が行われており,各市町で少子化や教育改革に対応
すべく努力がなされているところである。
 県内で,本市と類似規模にある7市町を比較した時,小学校は,
面積が本市の3〜6倍ある竹原市と庄原市がそれぞれ12校,1
4校と面積に相関して多いものの,他の5市町の小学校数を平均
すれば4.6校で,本市の7校は,面積比にすれば多いといえる。
 また,中学校は,2市が4佼,4町が2校,1市が1校となっ
ており,本市の5校が最も多い。
 さらに,面積,人口密度も酷似している熊野町と比較した場合,
小学校は,熊野4校に対して因鳥7校,中学校では,熊野2校に
対して因島5校である。
                            《資料2参照》

5 市内小・中学校の通学距離

 通学距離については,昭和31年(1956年)に中央教育審議会よ
り「公立小l中学校の統合方策について」の答申として,通常の
場合,小学校は4キロメートル,中学校は6キロメートルを上限とすることが
示されている。
 本市においては,総面積が39.8平方キロメー川(架西8.2キロメートル,
南北10.6キロメートル)という島のため,小・中とも1校に統合しない
限り,通学距離上の問題は少ないと考える。
 めやすとして,小学校の場合,例えば因南地区では土生小を中
心に,因北地区では因北小を中心に半径4キロメートルの円を描くと,
重井町と原町の一部を除いて全市を包むことになる。
 次に,中学校の場合,例えば島の中央部を中心に半径6キロメートル
の円を描くと,原町の「一部を除いてほぼ全市を包むことになる。
                          《資料11,12参照》

6 改築対象経過年数

 国の補助金対象となる経過年数については,次のような規定が
ある。
・木造24年経過建物でかつ教育を行うのに不適当な建物
・鉄筋コンクリート造50年経過建物でかつ教育を行うのに不適当な建
  物
・鉄骨,その他造35年経過建物でかつ教育を行うのに不適当な
  建物
 別に,阪神大震災以後改めて調査が行れている耐震力等,他の
規定も設けられている。
 本市の小・中学校の校舎については、大浜小を除いて全般的に
小学校の校舎の老朽化が進んでおり(特に土生小,三庄小におい
ては,緊急な対策が必要。)補修費も年々かさんでいる状況であ
る。一方,中学校の校舎は三庄中を除いて比較的新しいものが多

 また,10年後の平成2 2年(2010年)を節目としてみると,小
学校の校舎の40%,中学校の校舎の30%が,さらに10年後の平
成32年(2020年)でみると,小学校で80%,中学校で62%が補助
金対象となる経過年数を超える。
                            《資料13参照)

W   適正な学校規模

 学校規模については,法制面からは,学校教育法施行規則第1
7条に 「小学校の学級数は12学級以上18学級以下を標準とす
る。(同規則第55条により中学校についてもこの規則を準
用)」との規一定がある。すなわち,小学校では,各学年2学級〜
3学級,中学校においては,各学年4学級〜6学級で構成される
規模になる。

1 学校規模の学校教育への影響

 本市においては,すでに大規模校と呼ばれる学校は存在せず,
小・中12校のうち因北小のみが標準に属し,11校は小規模校
に属する状況にある。そのため,ここでは小規模校に絞ってその
メリット(長所)とデメリット(短所)についてまとめてみる。

(1) 小規模校のメリット

  ・同一人メンバー間での相互理解が深まり,コミュニケーショ
    ンが容易になる。
  ・児童・生徒会活動や学校行事などで,一体感が集まれると
   ともに, 一人ひとりの活動の場が増え責任感が育つ。
  ・縦割り(学年を越えた)活動により,若年者をいたわり,
   また年長者を尊敬する関係が生まれる。
  ・小回りが効くため,他校との交流等,機動性に富んだ教育
    活動ができる。
  ・全数職員が,全校児童・生徒の名前を覚えやすいため,細
   やかな指導ができる。
  ・おのずと地域や保護者の支援を頼む場面も増えるため,地
   域ぐるみの教育が展開できる。

(2) 小規模校のデメリット

  ・児童・生徒の切磋琢磨・競い合いがなく,多様な見方考え
   方や覇気・たくましさが育ちにくい。
  ・人間関係・交友関係が固定化されるため,序列ができる傾
   向があり,「いじめ」等は深刻化しやすい。
  ・学校行事の種目や部活動の種類が限定されるため,盛り上
    がりに欠ける。
  ・1学年の担任が1人であったり教科担任が1人であると,
   教材や指導方法などの研究交流ができにくい。
 ・1人の教職員が多くの校務分掌を担当することになり,時
   間的にも,児童・生徒へのかかわりの面にも,支障をきた
   す恐れがある。
  ・中学校では,免許外教員や時間講師による授業も生じてく
    る。

 本市の小規模校においては,教職員のみならずPTAや地域が
力を合わせて,デメリットを最小限に押さえ成果を上げているが,
一定規模を下回る学校については,教育上の問題に加えて保護者
の負担が非常に大きくなっており,学校規模の適正化が強く望ま
れる。

2 適正規模の考え方

 ここでは,学校規模が学級数で表されていることや,教職員の
設置が学級数によって行なわれることから,学級数を中心に適正
規模について検討を進め,次の2点で整理した。

(1) 学習集団の充実

 ・学校の存在意義の最も大きなものの一つに,集団学習によ
  る教育効果がある。すなわち,多くの個性がぶつかり合い,
  多面的なものの見方や考え方を交わす切磋琴磨の揚が学校
  である。また,力を合わせて問題解決する過程で,一人の
  非力さや仲間の素晴らしさに気付きながら,豊かな社会性
  が育まれる場でもある。

・児童・生徒は,生活の大半を学校で過ごしており,そのた
  め学校における人間関係は大きな意味を持っている。新年
  度のクラス替えは,固定しがちな人間関係に変化を与え,
  気持ちの切り替えのチャンスにもなる。 もし,1学級のま
  ま入学時から卒業まで同一集団の中で過ごさなければなら
  ないことになれば,子どもにとって少なからぬ影響がある
  と考える。

・小規模集団では,実施したくてもできないものも多くある。
  体育や音楽における団体競技や合唱の活気や迫力は大集団
  になるはど高まってくる。また,行事におけるプログラム
  が豊富なほど,部活動の種類が多いほど,一人ひとりの個
  性・特性を伸ばすチャンスも増えてくる。一定規模の集団
  であれば,工夫によって小規模集団の持つメリットに近づ
  くことができるが,逆の場合は限界があると考える。

・従って,ある程度の集団を確保することが,子どもの学ぶ
  権利を保障することになるといえる。

(2) 教育指導・学校運営の充実

・21世紀の新しい指導法として,一人ひとりの特性に応じ
  て学習の課題や方法を設定し,複数の教職員によるティー
  ムティーチングにより教育効果をあげる等,斬新な取り組
  みが導入されてきており,多様な取り組みが始まっている。
 また,子どもの自己決定力を養い,興味関心に応じた学習を保
障するうえで,選択教科や部活動が重要な位置を占めてい
る。しかしながら,小規模校で教職員が少なければ,十分
な選択枝が準備できないという明らかな課題がある。

・教職員の設置は学級数に応じて行われるが,中学校におい
ては,1学年2学級以下になると,教科によっては,免許
外教員か非常勤講師が対応することになる。免許外教員が
授業をすることの問題もあるが,非常勤講師の時間的制約
 は,時間割編成にも影響を及ぼすと共に,放課後などを使
 った指導もむずかしく,教育活動に十分関われないという
 問題もある。

・学年や同一教科に複数の教職員がいることは,教育実桟や
教育研究を進める上で,発想がより豊かになり,相互協力
 が得られるなど大きな力を発揮することにつながる。

・小規模校では校務分掌も1人が多くを抱えることになり,
 その役割を十分にこなせないこともある。また,仕事の引
継ぎもむずかしく,一人の教職員の転勤によって校務が滞
 る恐れもある。

・従って,一定以上の教職員の確保は教育指導・学校運営の
 充実には不可欠であるといえる。

 以上のことから,小学校は1学年において複数の学級が編成
されること,中学校は,各教科の担任が満たされることを「適正
規模」の条件とみなしたい。
ただし、東生口小については、歴史的・地理的・行政的な背景も
あり特別の配慮を要する。

V   適正な学校配置

 学校の教育環境を良好な状態で維持していくためには,「学校
は地域と保護者の理解と支えによって成り立つ。」ことを基本に
置きながら,できうる限り長期にわたり安定して適正規模を維持
できる学校を配置することが必要であると考える。
 本市における小・中学校の適正配置については,Wの「適正な
学校規模」を実現するべく,次のようにまとめた。

1 適正配置の基本的な考え方

(1) 通学距離

  通学距離については,Vの「小・中学校の現状」でもふれ
 たとおり,本市においては小学校を2校に統合してもほぼ適
 正距離内に配置でき,中学校では1校に統合してもはぼ範囲
 内になる。この場合,道路事情を十分に検討し,児童・生徒
 にとって著しい負担にならないよう配慮する必要がある。

(2) 通学道路の安全

  適正配置の実施にともない,児童・生徒の通学道路の安全
 確保のため必要に応じて横断道路や信号の設置をしたり,通
 学路の設定及び安全確認や安全指導態勢の確立等を徹底する
 必要がある。

(3) 地域社会との関係

  学校と地域社会は互恵の関係にある以上,住民のニーズを
 十分把捉することが大切であり,統合が進んだ場合において
 も,地域ごとの子ども会や祭り等の行事において,今までの
 つながりを持続・発展する必要がある。
  また,本市は、島の中央を東西に走る山によって因南・因
 北に分けられているが,適正配置にあたっては,こうした地
 理的な要素も十分考慮する事が大切である。

(4) 他の教育行政との関係

  東生口小の児童は,卒業後に東生口中へ入学する関係もあり,
 瀬戸田町立三南小との統合も含め,滞戸田町教育委員会との密
 接な連携のもとに,例えば,小中一貫校のような斬新な方向
 も視野に加えながら,今後の教育の充実に向け多面的な検討
 を進めることが大切である。

2 適正配置の具体的方法及び実施時期について

(1) 具体的な方法

 適正配置の具体的な方法としては,「通学区域の変更」と
「統合」がある。本市においては,通学区域を一部割愛して
 他校区へ譲るほどの大規模校は存在しない。
 このため,適正規模・適正配置を確保するには,「統合」
を中心とした対応策を取らざるを得ないという結論に達した

(2) 実施時期

  適正配置の実施時期については,長期的な展望のもとで諸
 条件を勘案しながら,次のような順に行うことが望ましい。
 緊急度に応じて3段階に分けて考えてみた。

・第1順位は,早急な対応が必要な学校として,小学校では大浜
小(複式学級解消)と東生口小(統合のあり方・複式学級対
処)があげられる。
 中学校では士生中(高校跡地の確保・単学級),三庄中(高
校跡地の確保・単学級・校舎の安全性)及び田熊中(高校跡地
の確保・単学級)があげられる。

・第2順位は,早い時期に対応が必要な学校として、小学校
 では土生小(単学級・校舎の安全性),三庄小(単学級・
 校舎の安全性)及び田熊小(単学級)があげられる。
 中学校では因北中と重井中(単学級)があげられる。

・第3順位は,今後の推移を見ながら対応する学校として,
 因北小と重井小(単学級)があげられる。
 なお,小学校の統合と中学校の統合が同時に検討される状況が
生じた場合は,社会性の育成ともいう観点から中学校の統合を優先
する。

3適正配置を進めるにあたって

・適正規模校であっても,近接する学校が統合を必要とする規
 模にあるときは,検討の対象とする。

・統合にあたっては,新しい通学区域の中心に近い場所に統合
 校を設置することが望ましいが,それが困難な場合は,諸要
 件を総合的に検討し,いずれかの学校に統合する。

・統合にあたっては,地域住民に対し趣旨説説明を十分行い意見
 聴取しながら,住民の理解と協力を得るよう努める。


4 統合場所及び跡地利用

  統合にかかわる具体的な場所については,因島市立学校統
 合計画策定委員会[平成12年(2000年)1月31日発足]に譲
 るとして,ここでは,検討を要する何点かに触れておく。


(1) 因島高等学校(土生校舎)跡地

   平成14年(2002年)に因島高等学校が現在建設中の重井の新校
  舎に一本化され,土生校舎が廃止される。土生校舎には,広
  い敷地やグランド・プール等があり,囚南校区の中学校が統
  合すると仮定した場合,距離的にも最適な場所である。平成
 11年(1999年)3月に開通した南北縦貫道も利用度は高く,
  将来的にこのような適地を確保することは困難である。
   跡地の譲り受けについては,県教育委員会との折衝も期限
  があることから,早急な方向付けが必要である。

(2) 中学校跡地

   市内の中学校は比較的新しい建物が多く,統合によって空
  くような場合は,小学校への転用も含め総合的に検討される
  ことが望ましい。

Y   今後 の教育課題

 21世紀は国際化,情報化,科学技術の発展,少子高齢化,経
済構造の変化などがますます加速化していく。本市においても,
こうした時代の変化を踏まえた新しい教育のあり方が問われると
同時に,今日的にも様々な辣題への対応が求められている。


l 公教育に対する信頼の回復

  本市教育は,少子化の急速な進展を背景に,次のようないく
 つかの課題を抱えている。

 ・小学校を中心とした老朽校舎の改築の課題

・文部省の是正指導など全県にまたがる教育行政上並びに学校
  管理の課題

 ・児童・生徒の不整校・問題行動・学力向上などの課題

 ・40%近い中学生が島外の高等学校に進学する課題等

  これらの課題に適切に対処し,公教育への信頼を回復するた
 めには,行政・学校において,必要教育予算の確保・学校情報
 の公開・学校評議員制度の導入など,教育環境を整え,地域の
 教育力の活用を図っていくことが重要である。

2 学校統合後の地域への対応

  統合に伴って地元に学校がなくなる地域に対しては,学校跡
 地に地域のコミュニティーセンター的な性格を持つ施設を整備
 することが望ましい。
  また,児童・生徒に対しては,自分の生まれ育った「ふるさ
 とを大切に思う心」(愛郷心)を育てる教育も忘れてはならな
 い。

3 新しい教育への対応

  次代をた<ましく生きる子どもたちを育成するため,国際理解
 教育や情報教育・総合的な学習の時間など,様々な取組みが
 すでに始まっている。そのため,時代の変化に対応でさる,意
 欲と能力を持った教職員の育成が何よりも求められると同時に,
 家庭・地域の教育力の一層の向上が望まれる。

Z   お わ り に

 本諮問委員会は,平成12(2000年)年5月23日に因島市教育
委員会の諮問に応じ因島市立小学校及び中学校の通学区域等,学
校統合に関わる必要な事項を協議し,教育委員会に提言すること
を任務に設置された。
 審議にあたっては,あくまでも子どもの立場に立ち,子どもに
とって理想的な教育環境を整備・提供するという視点を中心にお
いて進めた。
 審議経過としては6カ月の期間と審議会8回,小委員会3回に
わたる審議を経て,答申をとりまとめることができた。
 審議の過程で,今日に至る・因島市の人口減及び年齢構成の激変
を改めて認識し,なおかつ,この変化は少なくとも今後10年間
は同様に進んでいくという現実を見たとき,統合の長所,短所を
はじめとして様々な意見が出されたが,最終的には積極姿勢か消
極姿勢かの違いはあるものの,委員全員が、 統合はやむを得ない
選択くであるという考えを持つに至った。
 もちろん,学校統合が実施されれば学校の無くなる町ができて
しまい,当該町民,卒業生等にとっては大変辛いことであること
も充分に承知したうえでの,苦渋の審議であった。
 因島市教育委員会に対しては,この答申の趣旨を充分に踏まえ,
関係者の意見を充分聴取し,協議を行うなど,円滑な実現に向け
て努力を払われることを望むものである。
 最後に,本諮問委員会では,この答申が具体化されることによ
つて因島市の教育環境が益々整備され,充実した学校教育の実現
に役立つことを願い,関係各位のご理解と積極的なご支援を期待
するものである。

因島市学校統合諮問委員会名簿

名前 職名等
学校 村田 積穂 小学校長会長(土生小)
河 野  貢 中学校長会長(土生中)
桶東 愛生 因島高等学校長
PTA 楠見 由活 市P連役員(三庄小)
武田 妙子 市P連役員(重井小)
岡野 裕行 市P連役員(土生中)
安藤 鈴枝 市P連役員(田熊中)
地域社会 串畑 健太郎 区長会連合会長
桑原  元 子ども会連合会長
中郷  勲 民生・児童委員協議会副会長
吉本 田鶴子 女性の会会長
学識 戸田 照夫 前教育長
村上 喬一 前中学校長会長
行政 桧垣 恵三 市長部局 総務課長
井上 哲也 市長部局 福祉事務所長

事務局
幹事 小川 勝也 市教委 庶務課長
岡本 和信 市教委 学校教育課長
添付資料は工事中
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