島(白)時計の電池交換
900円 1万円以下の時計、アルバ・カシオ等
1,300円 1万円〜5万円のセイコー・シチズン等
1,500円 5万〜10万円のセイコー・シチズン・外国時計等
3,000円以上 10万円以上、貴金属ケース・極薄型などの時計等

※900円の電池交換では、、電池メーカーの表示だけの、ノーブランドの電池を使用します。消費電流のチェック、防水テスト等は、行ないません。時刻と、カレンダーは合わせますが、アラームなどその他の設定は行ないません。
※防水テスト、パッキン交換は別途料金をいただきます。
※特殊な工具が必要な場合は、製造メーカーに送って電池交換をしますので、日数がかかる場合があります。
※ケースやガラスのデザインによって、電池交換をお受けできない場合があります。
※機械の不調で止まっている時計は、電池交換をしても動きません。
※時計の修理もお受けしていますが、部分的な修理だけでは良くならない場合が多くありますので、ほとんどの場合分解掃除も必要です。
※ご自分で、電池交換する方に、電池だけの販売も行なっています。必ず以前の電池もご持参ください。時計の電池交換には、高度の技術が必要ですので、下の「電池交換時のチェックポイント」を参考にして慎重に、ゴミや湿気、電池の裏表に注意して交換してください。
 大切な時計は、技術のしっかりした、時計店に電池交換を、依頼されることをお勧めします。

プロの技術を解説します。
時計職人の技と知恵「電池交換時のチェックポイント」

                                                (広島県時計宝飾眼鏡小売協同組合資料を参考)

  トラブル回避は、時計を受け取ったときにあり!

 電池交換時計を受け取った時、まず、時計が動いているか止まっているかを確かめます。動かないから電池交換に来られたのですが、中には動いたり止まったりで、電池さえ換えればよいと思っている方があります。また、止まっている秒針がわずかに、律動している時計もあります。これは電池が弱っているから、新しい電池に交換すればよいと判断するのは早計で、多くの場合他の原因の場合があります。
 次に竜頭(クラウン時間を合わせるつまみ)を引き出して見ましょう。ゴミやサビで動かない場合や、針回しが利かない時計があります。無理に引き出すと、竜頭や竜芯が折れてしまいます。クォーツ時計は、メカ時計と違ってゼンマイをまかない上に、時間あわせが少ない為、使用者が竜頭に触れる機会が少なく、したがって竜頭がサビたりゴミで動かなくなっていることにきずいてない場合が多くあります。
 竜頭に異常がなかったら針廻し、カレンダー付は日送り曜日送りも確かめましょう。また日常生活防水などで、文字板や針など水に侵された痕跡はないかと注意しましょう。
 次のステップとして、その時計が何時頃まで動いていたのか、前の電池交換は何時だったか訊ねておくのも大切です。現在入っている電池の電圧をはかることでその時計の調子のおおよそを、はかり知る参考となります。
 その他に時計自体、外観的にキズはないか、ガラスは壊れていないか、バンドの取り付けは大丈夫かと、、あらゆる点に注意を怠らない事が、後々のトラブルを防ぐ為には大切なことです。
 最近ガラス面が広くて、ガラス縁が背くて狭い、スリムな時計が出回っています。有名品もあればデザインを似せた、安物の時計もあります。ことにコピー商品の場合は、かなりな熟練者でも、ガラスを壊してしまいそうな時計が出回っています。こうした、時計の電池交換は、作業にかかる前、お客さまへ、万一ガラスが壊れた場合を申しあげて、それでも構わないと了解を取ってからでないと、トラブルを後に残す結果になる恐れがあれます。

  裏ブタを開ける時の注意

 裏ぶタを開ける時に、最も大切なことは、アケ口を確認することです. 通常、アケ口は、6時位置、9時位置に多いようです。しかし最近は、その中間位置にある時計もあります。近い例ではシテズン製に、12時、10時の位置のものがあります。
 シテズンの場合、裏ブクに刻まれた記号や番号の所に、→12,→10など矢印で、アケロを示したた時計が多いようです。
 9時位置にアケ口のある時計(殊に女性用)はアケ口の近くに、駆動コイルが、ある機械が多いようです。コジあけを滑らせてコイルを断線させたり、回路に傷を付けないように注意を要します.
 裏ブタには、外食い付き式と、内食い付き式とがあります. メカ時計時代には、殆どが外食い付き式でしたが最近は、どちらかと言うと、内食い付き式の方が多いようです。 外食い付きと、内食い付きの違いは、コジあけの使い方が違います.
 外食い付き式の場合は、コジあけをやや斜めに下げるように、アケ口に挿入して手元を持ち上げるように力を入れると、裏ブタが外れます.つまり、ケース本体の衰ブタを止める部分の段差のあるフチに、コジあけの刃先が当たり、テコの原理で裏ぶタが外れます。
 内食い付き式の場合は、その段差のあるフチがありません、従って、コジあけを、下向きに差し込みますと、裏フタの外れた瞬間に、コジあけの刃先が機械部分に、突き刺さってコイルを切ったりします。だから、内食い付き式の場合は、アケ口に、コジあけを入れて、手元を下げるように、つまりコジあけの先で、ゆっくり裏ぶタを静かに押し上げるように開ければ良いのです.この場合も機械に当たらないよう、注意を要しますが、たとえ少し手が滑っても、外食い付き式の開けのように機械にまで傷は付きません。
 外食い付きと、内食い付きを見分けるには、熟練を要しますが、総じて外食い付きは構造上、裏フタが厚く、内食い付きは薄くて形状もなめらかなようです.
種類
裏ブタの構造図
裏ブタの開け方 特  徴
@内食い付き式 裏ブタを、胴の内側にはめ込む構造で、丸型のドレスタイプに多く使われています。
A外食い付き式 裏ブタを、胴にかぶせるような構造で、ケースの外観を薄く見せます。
Bだぼ食い付き式 裏ブタに突起物を作り胴の内側に、はめ込む構造で角型のドレスタイブに多く使われます。
Cつめ食い付き式 裏ブタのつめと、パッキンの弾力性を利用し、胴の内側にはめ込む構造です。
Dプラ直式 裏ブタの外周に、プラスチックパッキンをつけ、胴の内側にはめ込む構造です。

  裏ブタを取り付ける時の注意  

 裏ブタには、外食い付き式と、内食い付き式、とがあります。内食い付き式には、竜頭、竜芯の通る切り込みの溝があるので、うっかり押し込むと竜頭が回らなかったり芯が折れる事もあります。それを防ぐには、裏ブタの外側の溝のある個所へ、マジックなどで印を付けて置くと間違いません。後でペンヂン等でキレイに拭うのは忘れないでください。
 内食い付きの裏プタは簡単に入るものと、中々入り難い時計もあって、強引に圧しても、裏ブタが拡がり気味となっておさまりません。裏ブタの外周を左右の親指で絞るように押さえのがコツですが、それでも上手く入らない場合があります。
 そうした時は、押し込み工具に頼るしかありません。押し込み工具を用いる場合、最も大切な点は、押さえコマと受けコマの選択です。
まず受けコマは、ガラス面に触れない、時計のフチの周りに沿ったコマを選んでください。これは平面ガラスも膨らみのあるガラスでも同様で、絶対ガラス面を押さえないように注意をはらうことです。 押さえコマは、内食い付きの場合は外周ギリギリのコマを選ぶことです。盃のような形をしたコマが理想的です.
 また、時計と受けコマの間にやや厚めのビニール等を入れて置くと、ガラス面や時計を傷つけませんまた、確実に竜頭位置を定めたら、セロテープで仮り止めして置くと狂いは生じません。
 外食い付き式の時も、受けコマの選択は同じですが、押さえコマは外周より少し小さなコマを使ってください。押し込み工具には、握り式とネジ式がありますが、どちらにしても、あまり強引な使い方はしないでください。
 尚、シリコングリスは、押し込む時の潤滑に役立ちます。またパッキンの傷んでいる時計は、お家さまに告げて置く事と、なるたけ取り換えするようにと、勧める方が良いでしょう。

普通でない時計のあけ方

普通でない時計とは、この場合有名ブランドに似せた、コピーの時計などを指しています。こうした時計の電池交換は、断った方が正しいのかも知れません。然し、営業をしている限り、そうばかりは言って居られません。
裏フタにターレットが刻まれた(ローレックス型)の時計には回転式のネジ蓋と同じような形の、はめ込み式の裏ブタの時計があります。先ずはそのどちらなのかが、問題です。 バンドを外してケースの汚れを取り除き、キズミで丹念に開け口を探します。何処かに開け口が見つかればはめ込み式で造作もないでしょう。
けれども、開け口がなければ回転式だと断定するのは早計です。このような場合、お客さまに正規でない時計の事情を話して、時計のケースに傷が付く事もあると、了解を取る事が問題を後に残しません。
開け口がなければ、一応は回転式と想定して防水側開け機を用意します。そして、それぞれの方法で開けにかかる訳ですが、その前に裏フタとケースの周りに油を与えてください。
回転ネジ式ですと、裏ブタを四分の一、から三分の一、くらい回すと、手応えが少し柔らかくなります.また裏ブタが少し淫き気味になり差した油がしみ込むのが判ります。こうした手順で、少し回しても同じ手応えだったり油がしみ込まないようだったら、はめ込み式と判断して間違いないでしょう。
ただ、はめ込み式には、竜頭や竜芯の通る切り込みがある裏ブタもあります。このような場合は、最初、裏ブタを回しに掛かった時に、竜頭の幅か、いま少し回った所で、ピクリと固く動かなくなったら、切り込み溝のある、はめ込み式と考えた方が良いでしょう。このような時計は、どちらにしても多少、傷が付き易いので、お客さまの了解を得て、作業にかかるべきでしょう.

   コジあけの整備に注意を払うこと

 裏ブタを外す時に、最も大切な工具はコジあけです。その大切な筈の工具に意外と無頓着な人があるようです。 それと言うのは、お客さまの持って来られた時計の中に、裏ブタに摩り傷の跡や、ひどい傷口があるのに察せられます。このような時計はきっと、作業中に付けたものではないでしょうか。
 コジあけの、先端部のカーブを帯びた刃先が、ポロポロだったり、丸くチビていたのでは、裏ブタのアケロにうまく食い込みません。 そうした工具で強引にこじ開けようとすると、深い彫り傷をつける結果ともなります。
 コジあけは、なるたけ数本を用意して置くべきです.比較的うすいもの、中間的なものや、特に堅いケースを開ける場合の頑丈なものなど、使い道に応じて何本か用意しましょう。 同時に、そのコジあけの刃先は、常にキレイに研いで整備して置かねばなりません。
 次に、釈迦に説法と、お叱りを蒙るかも知れませんが、コジあけの研ぎ方、整備の方法を述べてみます。
 コジあけの刃先はコンゴウ砥石で、両面を平均に摩り合わせるのは勿論ですが、刃先のカーブを砥石面で整えてからルーペで確かめながら、もう一砥石で軽く両面を仕上げます。 次に500番〜1000番くらいの水性研磨ペーパーで滑らかにします。この時、砥石で擦った跡とはクロースするように摩り合わせます。次に、平たい板に、セルペットを貼りつけ、青粉(酸化クローム)を擦り込み、今度も、ペーパーで擦った角度と逆に、強く歴きあげると、ツルツルになります。
 この磨き板は、後で述べる、裏ブクやステンレスの側の、傷痕の消去に便利です。ネジ式の側開け器は、大変便利で安全性の高い工具ですが、刃先をキレイにしなければならない点では、コジあけと同じです。また、新しい時計の場合、刃先にビニールーを被せるのが良い方法です。

  入っていた古い電池は、必ず測定しましょう 

 時計から電池を取り出したら、電池の入る部分を調べましょう。漏液でヌレタ時計があります。ペンジンかアルコールで拭き取るのは勿論ですが、白い粉状に固まった漏液の残った時計もあります。この様な時計は絶縁体のビニールのシートがアルカリに侵されポロポロに破れたのも見かけます。これ等はお客さまに示して、取り替えるべきです。又こうした作業は応急のもので、漏液が機械や回路を侵している場合があるので、近い内に分解掃除をされた方が安心ですと、付け加えて置けばトラブルは避けられるでしょう。
 また、外した元の電池の電圧は、必ず測ってみましょう。意外に1,55Vある場合もあります。(特殊の場合を除いて電池交換ではありません) 電圧が全く認められないものや、0,3V くらいですとかなり長い間、放置された時計です。秒針付のもので、1V前後、二針で0,7X くらいの時計は、止まってから間のない時計ですから、ほとんど電池交換で良い筈です。
 しかし前述の1,55V位あって動かない時計は、機械的な故障か、電気系統の故障かを判断しなくてはなりません。クォーツテスター、またはクォーツソナーで発振パルスが出なければ電気的な故障と分かります。つまり発振しているのに動かないのは機械部分(輪列)の汚れか、ゴミ又は油のネバリと判断し、分解掃除で請け合えば良い筈です。しかし発振の認められない時計は、回路部分か駆動コイルの断線が考えられます。
 国産時計の場合は、余程古いもの(7〜8年)は別として部品がありますから、分解掃除を含めて修理でお預かりすれば良い筈です。 また先に述べた特殊の場合とは、極めて稀な例ですが、テスターで計測した時には1,55V有ったのに、時計へ組み込むと出力が無くなる電池を指しています。この検査法は色々ありますが、簡単な方法として電池のプラス側とマイナス側を、金属製のピンセットで、2秒くらい接触させてから電圧を測定しますと、電圧値はドロップします。良い電池の場合は見る間に元の電圧に戻りますが、出力の無い電池は、中々戻らないので不良電池と判断がつきます。
 尚、こうした検査をした電池は激しい消耗にさらされた電池ですから、時計へ組み込む事はできません。特に注意してください。

  湿気とゴミとホコリと防水性について    

 日常生活防水の時計を開けると、裏フタパッキンの周りにゴミやホコリが溜まって、中には頑固にサビた時計があります。これは温度差に起因するものが多いようです。
 我々の生活は昼と夜との繰り返しですが、昼間は温度が高く、夜は昼に較べて温度は下がります。温度が高いと、空気は膨張して時計の外へ出ようとします、反対に夜は空気が収縮し、時計の中へ吸い込まれます。(表現が適切でないかも知れませんが)
 時計の側が防水式でなかった時代は、気密性が乏しいので夜の空気はゴミやホコリを連れて入ります、然し昼になると、置きみやげのように汚れを残して出て行きます。だからピッタリした側なのに何処からゴミが入るのかと、不思議がられたものでしたが、結果はともかく、そのゴミやホコリで時計は不調となり、修理にされたものです。
 完全防水の場合、裏フタは回転ネジ式で、竜頭の部分もネジのバルブ状なので、水もゴミも空気も遮断しています。(但しゴムバッキンが劣化しない期間です)
 しかし日常生活防水は、遮蔽してあるとは言え、強固な防水時計ではないので、多少のゴミも入ります。それでも機械にまでは侵入しないように、裏ブタパッキンの辺りが境界となって、水やホコリを止める役目は果たしています.だから電池交換に際して、ゴミやホコリはキレイに取って、シリコングリスを良く塗布することです。
 ところで、防水性と関係のある課題ですが、温度の高い空気中では水分が気化して目には見えません。しかし温度が冷えると空気と水分とが分離して水が現れます。この状態を露点と言います。 気密性の高い建物では、冬は窓際のガラス枠など結露と呼ばれる水がたまります。時計の場合もこれに似た現象が起こる訳です。
 つまり時計の中の水分を含んだ空気が冷やされて、ガラス面を曇らせたり小さな露
となり、知らぬ間に文字板や針まで汚れたり、サビに及んだりします。このような事を防ぐには、雨の続いた日や、温かく湿度の多いと感じた日は、なるたけ電池交換は避けた方が良いのですが、商売であるかぎり、そうばかりは言って居られません。
 その時計の状態や、品物の程度などを見極め、高級品等は、その日の状況を説明してお預かりするのが本当でしょう。

   電池の固定とネジ止めの電池押さえ

 裏ブタを開けた途端、電池が飛び出したりポロリとこぼれる時計があります。これは電池の側面(プラス側)に接した、端子の形状が良くないものと板バネの端子(マイナス側)の押し上げが強すぎるものがあります。(マイナス端子の修正は熟練を要します)。
 多くの場合、機械の厚みと電池の厚みが、はぼ平行ですと、裏ブタが電池を押さえているので、電池を押し込めば特に心配はありません。
 しかしポロリこぼれる時計の中には、プラス端子がしっかり電池に接触していない事があります。 プラス端子を止めたネジが弛んでいたり、先端が欠けて、電流が流れたり流れなかったりで、時計は動いたり、動かなくなったりは当然です。滅多にない状態ですが、そうした例が実際にあります。
 板バネになった電池押さえが、ネジ止めになった時計は、一本ネジと二本のネジの物があります。片方を緩めるか外すかで良い機械や、両方外さないと駄目なものとがありますが、どちらも電池押さえには弾性があるので、不用意に扱うと押さえもネジも飛ばしてしまいます。こうした作業は、電池全体を指で押さえてネジを入れれば良いのですが、これには必ず、指サックを用いてください。 また日頃からピンセット、ネジ回し等を整備して置かないと、ネジを摘んだ瞬間に飛んでしまう事もあります。
 シチズン系の機械で、電池押さえと回路を止めるプレートが、一体になった時計があります。 これはふた股に分かれたプレート押さえの、細い方の先端に丸い穴が開けてあるので、その部分をピンセットか探り棒で拡げれば、簡単に電池は入ります。ただ、その近くに駆動コイルがありますから、注意を怠るとピンセットの先で断線させてしまいます。 もしプレートが拡がり難いようでしたら、プレート全体を止めている二本のネジを、一回転かもう少し緩めれば楽に電池は入ります。後でネジを締めるのを忘れてはなりません。

  テスターの使い方

 テスター(回路計)は、電圧(ボルト)電流(アンペア)抵抗(オーム)等、姿の見えない電気的数値を、計測する器具です。水晶時計を扱うには、電気の約束事を知る必要があります。修理の場合には駆動コイルの抵抗値が大切ですが、電池交換の為のここでは、電圧、電流(消費電流)を主体に説明します。
 テスターには針式のものと、デジタル式のものとがあります。 従来からの針式も電子時計から水晶時計への成長から、時計専用の便利なものが出ました.電圧も直流と交流の両方をレンジの切り換えで計れますし、別個のアダプターを接続すればその時計に使っている電池で、微細な消費電流を計測できます。この針式で注意しなくて
はならないのは、必ず水平に置いて計測する事と、ゲージの真上から読みとらないといけません。また内臓された電池が衰え出力が弱いと、正しい数値が出ませんから、使用しない時はレンジを必ずOFFにする事と時折、中の電池を点検することです。
 抵抗を計る時にはプラス(赤棒)の方からマイナス電流が流れ、マイナス側(黒棒)からプラス電流が流れるのも、知っておいてください。
 デジタル式のテスターは電圧も計りやすく、消費量の検出もミリとマイクロを切り換えれば簡単に数字が現れます。 しかし水晶時計の内容が段々分かってくると、抵抗値も必要となるので、針式も中々、捨てがたいものがあります。 針式、デジタル式のどちらも、使用法の説明書をよく読んで誤りなく利用してください。
 電圧を計る場合のデジタル式は、電池の徽妙な変化を直ちに数字として表します。計測する時は表示した数値の中での平均的なものを選んでください。消費電流の計測では、プラス(赤)の方を機械のプラス端子に当て、マイナス(黒)をマイナス端子に当てれば良いのですが、この時、マイナス棒のどこかが、機械の部分に触れる場合はテスターの液晶スクリーンが混乱してしまうので注意をしてください。消費電流も電圧測定と同じように、近似値が現れるので、平均的な数値を選んでください。

 腕時計用酸化銀電池について

 腕時計用の電池には、水酸化ナトリウム(NaOH)を使った、微電流用と、水酸化カリウム(KOA)を使った大電流用とがあります.微電流用は通常のクォーツの腕時計に用いられますが、大電流用電池は、アラーム付の時計や文字板照明ランプの付いた時計に用います。これ等の機能が働く場合には、大きな電流が急速に必要となるからです。 電池交換に当たっては間違えないようにしましょう。
 大電流用を入れるべき時計へ、微電流用を用いると、アラームが鳴らなかったり、照明のボタンを押すとデジタルの文字が、薄くなったり消えたりします。
 微電流用と大電流用の、見分け方を下図に示します。

      微 電 流 用 電 池 の 記 号
  
6 21
水酸化銀電池を表す 丸型Roundを表す 直径6.8oを表す、端数の、0.8oは切り捨て 厚さ2.1oを表している 水酸化ナトリウムを使用 時計用を表している

       大 電 流 用 電 池 の 記 号

           S R 6 21W

大電流用電池は、SR621の後に、Sが無く時計用のWとなっています。
 このように時計用水酸化電池は、すべてSWとWとで、区分されています。
 * 此の表は、SR☆☆☆SW,等を使用しましたが、メーカーに依っては独自の商品記号や番号で表している電池があります。副称としてSR000SW等、刻印 されています。またSR44,SR43,SR41は、対象となっていません。

     リチウム電池について       

リチゥム電池には、二酸化マンガン(MnO2)を使ったものと、フッ化炭素(CF)を使ったものとがあります。どちらも3ボルトです。この電池を用いた時計の殆どは、多機能のLSIを持つデジタル式の時計です。電池交換の後、機械のACと電池のプラスをピンセット等でショートさせると、初めて機能が働きだします。この操作をオール
クリアー、またはシステムリセットと言います。電池の規格は次の通りです。

   (二酸化マンガン使用) 
     
20 16
二酸化マンガン 二酸化マンガン 直経20mm 厚さ、16mm

   二酸化マンガンを使った電池はCR、フッ化炭素を使った電池は、BRとなっています。
 尚リチゥム電池には例外があります。オメガ1458,1459,は直経5,7厚1,77(2V)の+−が逆の電池を便用します。然し同じ機械でSR512(1,55V)を使う時計があるので、低い電圧の機械へ2Vを入れないように、固路に記された電圧を確認ください。

  ※最近、光発電や、手を動かすと発電するタイプの時計の電池は、充電できるタイプの電池が使用され、番号が特殊で(例XR9527W)、専用の電池を入れないと、本来の機能が発揮されないので、注意が必要です。

     使用電池が判らない場合

 大電流用と徽電流用の違いは前の項で説明しましたが、電池が入れてないのでどの電池を使ってよいのか判らないばあいは、メーカーの仕様書を見るか、メーカーに問い合わせてください。
 通常は、前の電池を参考にするのですが、入っていた電池が誤りの場合があります。
誤りのほとんどは厚さです。厚つ過ぎた場合は電池が裏フタに押さえられて、止まることや文字板まで歪める場合も生じます。反対に薄すぎると電池が浮き、マイナス端子が
離れて止まりを生じます。 電池の厚さは、機械のプレート面と平行か、やや、厚い電池が理想です。便い道のない電池を何種か用意しサイズ計測に役立ててください。

  消費電流の測定の意味

 クォーツ腕時計の消費電流は、その時計がどれ程の電力を消費して動いているかと、言うことです。消費電流は通常、Aアンペアで表しますが、腕時計の場合、Aの百万分の一の、μA(マイクロアンペア)と言う微細な単位で表しています.つまり装填された電池の蓄えたエネルギーで動くのですから、消費電流が少ない程長い日時を動き続ける訳です。故に電力の保有量(電池容量)と密接な関係が生じます。
 クォーツ腕時計が登場した初期、消費電流は15μAもあったので、電池も大型で厚いものが使われていました。しかし、現在では普通の機械で1μA〜2μA、小型の機械では、0,6〜0,8程度の低い消費量となっています。
 さて、電池交換の時に消費電流の計測が大切な理由は、その時計が電池交換だけで良いのかを判断する為です。先に述べた0,6〜2μAの時計の消費量を測ってみると4μA〜5μAの測定値が出ることがあります。通常の消費量の2倍以上もあるのだから単純計算でも、その時計の動く期間は半分以下と考えられます。このような場合、お客さまへ消費量の大きい事を説明しておかないと「電池交換したが半年もたない」と苦情を言われたり、他店に持って行かれたりするかも知れません。事前にそのことを申しあげていれば、トラブルも避けられるはずです。
   A(アンペア) mA(ミリアンペア) μA(マイクロアンペア)を図に示します。
 


    1A      100mA       10mA     1mA     100μA     10μA  1μA


 1/10  1/100  1/1000 1/10000   1/100000  1/1000000 

 ※ 本来、消費電流の検査は電池交換の前に行うべきで、消費量の多い時計は分解
  点検を勧めるのが本当です。また消費費が著しく過大な時計は、電気部分に異常
  があることもあります。

   2Pについて          

 ここ数年来、水晶腕時計の多くに、2P(ツーパルス)機能が付いています。
2Pは元々、スタートの瞬間(竜頭を押し込んだ瞬間)ローター車が、完全な回転をしない場合に、二つ目の電気信号を送って正常な動きをさせる為のものです。
 2Pが作動した時は、秒針の動きがスムースでないので判ります。また、クォーツテスターの一秒ごとのパイロットランプの点滅がまたたくように見える事がありますし、イヤホーンでのパルス音がダプッタように聞き取れます。これはクォーツソナーでも同様です。
 こうした現象は、数秒、または十数秒で正常に戻る時計もありますが2P状態がそのまま続く場合には支障が起こります。
 この状態は、輪列(歯車の並び)にゴミが入ったり、油のネバリで歯車の動きが重くなった為に、二つ目の電気信号を出し続けるからです。このような状態の時計は、定まった消費量の他に、2μA以上も余分に重力を消費するので電池寿命も短くなり、機械の調子も悪く止まりを生じることになります。
 電池交換の折に、2Pが出ているのを発見した時には、「電池交換をしたので暫くは使えますがその内、分解掃除をした方が良いでしょう」と、伝えておくことです。
 2Pが出ている時計は消費電流が大きくなるので、測定から2Pを発見する場合があります。尚、強い光線や熱の伴う電気スタンドの下では消費電流の測定値が大きく表れるので注意をしてください。

  電池の容量について      

 電池容量とは、その電池がどれ程の電力を蓄えているかと言うことです。 例えば、ウイスキーのボトルには○○CCと表示されていますが、電池容量は一般的には明らかではありません。消費電流を測れと説かれているのに、肝心の容量が曖昧では、時計の動く期間がつかめないので、少々不親切だと思えなくもありません。
 然し、電池は使わなくても自然に放電する上に、製造から我々の手に渡るまでには、日数を費やします。それに実際に時計へ組み込まれるまでに、容量も減衰する筈なので、メーカー側も、明示を控えているのかも知れません。 
 また電池は、各々の店での保管条件(温度、湿度の高い場所)では劣化が早まると考えられます。
 銀電池の容音は、mA/h(ミリアンペアアワー)で表されます。20mA/hの電池は、1mA(ミリアンペア)づつ消費した場合、20時間使用できると言うことです。
 従って此の電池を、1〃A(マイクロアンペア)消費する時計に使用した場合、20mA/h÷1μA で持続時間が算出できます(注意〃AとmAの単位の違い)μAはmAの千分の一だから 20÷0,001となり 20000時間 833日となります。
 上記は計算上の数値で、電池容量と消費電流の関係を説明しましたが、持続時間の凡そが判ると思います。また比較的よく使われている電池の容量を色々、実験の結果、下図のような近似値を得ました、メーカーに依る多少の違いや保存条件で異なる数値が出ると思います。参考になればと思います。容量の単位はmA/hです。


電池種類 容量 電池種類 容量 電池種類 容量 電池種類 容量
SR512SW  5, SR712SW lO
SR516SW  7−9 SR616SW 15  SR716SW 20 SR916SW 24
SR521SW 15 SR621SW 22 SR721SW 25 SR920SW 40
SR527SW 22 SR626SW 25 SR726SW 30 SR927SW 58

  
   電池交換シールについての注意    

 電池交換のシールを貼りつける際には、裏ブタ内側のほぼ中央に貼ってください。シールが裏ブタの食い付き部分に接触していますと、汗や水がシールを伝って入ってくる心配があります。 また薄型の時計で、裏ブタの内側と機械部分の隙間が極めて少ない時計には、シールを貼らないでくたさい。 シールがムープを押さえ、止まり
の原因となる場合があります。
 アラーム付の時計などで、機械とケースの間に電気の通るしかけ(バネ等)のある時計は、導通部分を遮断しないように、貼りつけてください。 また、裏ブタの内側に電池交換の際の注意書のシートが貼ってある時計は、交換シールをその上に貼ると、注意が読めなくなり、後々で不具合が生じる事がありますから、電池交換シールは、
使用しないでください。
 交換シールの使用、不便用は別として、それぞれのお店では、自分の所で交換した時計には、凡その、年、月が分かるように暗号でも記して置くと、お客さまも、自分を覚えていてくれたと、喜んでくださいます。直接、電池に軽くシルシを入れて置くのも方法です。

     パッキン不良の場合は

 電池交換の際に、パッキンが切れたりサビなどで使用が危ぶまれるものがあります。
 国産(セイコー・シチズン・アルバ)などの時計は、裏ブタに刻まれた部品の番号(ケース番号)で、専用パッキンと取り替えることです。 その他の専用のないものは、元々入っていたパッキンと同じ程度の太さのもので代用するしかありません。直径は少し小さなものを選び、裏ブタの溝に填め込みシリコングリスを丁寧に塗布してください.然しバッキン取り替えを要する時計は、竜頭周りが悪い場合が多いので、お客さまへ水や汗に気をつけるように言って置く方が無難です。



防水ケースの基本的な構造
先頭に戻る
パッキン

   裏ブタの傷の処理について      

 時計を開ける時、ケースを傷めないことが大切ですが、万一擦り傷をつけた場合は、元通りとはならないまでも、出来るだけ修復しましょう。金ムク側は金銀細工に頼むのが無難ですが、ステンの裏ブタは少し経験を積めば、殆ど判らない程度になります。
 ツルツルに磨かれた裏ブタは、日の細かいヤスリで傷と直角に擦って傷跡を消しコンゴウ砥石を手に持って、ヤスリ目と交差するように仕上げます。 それからこじ開けの時に説明したように、水性紙ヤスリで仕上げます。 最後に青粉を擦り込んだ板の上で、カをこめて研磨すれば大抵の傷はキレイに取れます。
 筋目の入った裏ブタは、セルペットの上に目の荒い紙ヤスリを置いて、定規などをガイドに真っすぐ筋目とおりに仕上げるのがコツです。 問題は紙ヤスリの粒子ですが、これは経験しかありません。
 古い裏ブタを利用して、繰り返し練習する他には、上達の道はありません。
       
     電池交換に使う工具について

 工具の中で最も重要で、微妙な工具はピンセットとネジ回しです。 ピンセットは、各々が手に馴染んでいる筈ですから、特にあれこれ迷うことはありません。ただ金属のピンセットで電池のプラス側とマイナス側を同時に掴むと、電池は急激に消耗するので絶対、避けなければなりません。 その為電池用のピンセットはプラスチック製か竹製のものが適しています。 然し長年、普通の道具に慣れた人は、どうも使い難いとの意見があるようです。 これから電池交換の技術を目指す若い人達は、最初から絶縁体で作られた工具に慣れるようにしてください。
 ネジ回しは、ネジの頭の90%くらいの幅のものが適していますが、先の刃の部分が斜めですと滑り易く、機械やコイルを傷つけることがあるので、常に平たく研ぐようにする事です。 また電池交換の前にはベンジン等で工具を洗浄して、汚れが機械に入らないよう習慣づけましょう。

   電池のあれこれ     

 時計用酸化銀電池は、エネルギーの無くなる直前まで、電圧は低下しません。従って、普通の電池のように電圧の衰え具合で、残量をおしはかることは不可能です。
 言い変えれば、いま手元にある銀電池は、後どれはど使えるかは判りません。
 先に述べた電池のプラスとマイナスを衝突させる検査法も、一種の破壊テストですから、もう使わないと云う条件の下でしか行えません。だから使用されている電池を、無闇にテストしたり、再び時計へ戻すことはなりません。
 こうした事を基本にすると電池交換の際に、金属ピンセトなどで電池のプラス面とマイナス面を同時に掴んではならないと言う、警告と受けとるべきでしょう。


 ご存じと思いますが、電池の側面には、製造の年や月が記号で記入されています。
 また台紙に使用期限の書かれたものもあります。交換に当たって、製造からなるたけ時日を経過していない(新しい)電池を用いる方が良いのは言うまでもありません。
 また、使用期間の示されているのも、その期間中は時計へ組み込められると考えるよりも、その期間内が、時計の機能が果たせられる期間だと、解釈する方が正しいと思われます。だから期間の残り少ない電池や、期限ギリギリのものは使用しない方が良い、と言うことにもなります。
 このような考え方からすれば、安いからと大量に仕入れるのは得策だと、言えないかも知れません。必要と思われる数量と、有効期間を参考にすべきでしょう。


 尚、分解掃除等の修理でお預かりした時計は、たとえ電池電圧が充分あると認められた場合でも、お渡しした時点から時計店として責任の生じるわけなので、新しい電池に交換して置く方が後々にトラプルを残さないと考えられます。
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