早朝2時家を出た。目指すは福島喜多方、東関道を走り高速中央環状線から東北道に入る予定だったが、
四つ木あたりの事故で不通個所があるので、箱崎から向島方面に迂回した。夜中なので車は少なく
順調だ。東北道は青森から車で帰ったことがあるが、9時間ぐらいで千葉に着いた。
郡山から磐越道に入り磐梯河東で降りる。千葉からの距離は300キロぐらいだろうか。
高速を降り信号を喜多方方面に左折した。千葉より遅い稲田はまだ穂先が見えない。
長居の話どうり行くと橋があって、その橋を渡る手前を右に曲がると長居のアパートがある筈である。
長居はタクシーの運転手をしているので、道には詳しいはずであるが、人に道を教えるのは別問題だ。
しばらく行くと橋はあったが右に入る道は無い。しょうがなく長居に電話した。その先の信号を左折した所に
もうひとつ橋があった。なるほどこの橋のことかと右折すると長居は道に出て待っていた。
千葉から375キロだった。7:00着。長居のアパートは2階建ての下駄箱アパートだった。1階の手前から
三番目の部屋が長居の部屋だ、ドアの所に雪かきが置いてある。まだ引っ越してあまり日が経って無いので外から見た限りは綺麗だ。部屋に入ると荷物がいっぱいだがまだ座るスペースはあった。「朝食はどうする」俺が聞くと「そばを茹でるよ」長居が茹でた、蕎麦を食べ。「さあ、行くか」二人で腰を上げた。山でキャンプするようならと、テントは俺が千葉から持ってきた、長居がフライパン、卓上コンロ、などを積み込み、長居の人間ナビで出発した。49号線を新潟方面に向かう、津川で「餌を買おうよ」と俺が言い車を旧市街に入れた。長居が「聞いてくるよ」と車を降り洋品屋で餌を売っている店を聞いてきた。釣道具屋でなく何でも売っている店だった。
店に入り「餌を下さい」と俺が言うと店の主人が「何がいいですか」と聞いた。
俺は「ブドウ虫はありますか」と言うと店の奥の冷蔵庫に行きブドウ虫を出した。「少し痛んでいるかもしれない」
と店の主人。長居が「じゃあ1ケ200円で1ケサービスにしてよ」「ついでにミミズもサービスで」と言い主人も
しょうがなくそれでいいと言うことになった。俺は「すみませんね、ずうずうしくて」と言って店を出た。
食料を買いにスーパーに行きカップ麺などを買った。津川から渓流目指して車を走らせた。
道路から狭い山道に車を入れ10分ぐらい入ると細い渓流があった。ちょっと広くなっている所に2トンダンプが
止めてある、そこに車を置くことにして車を降りるとアブが無数、体の周りを回り始めた。いっせいに開いたドアから車の中にも入ってくる。長居と沢に下り釣りを始めた。長居は毛ばり釣り俺は値切ったブドウ虫を付けて始めた。渓流釣りは入ったとこから、釣り上がるか釣り下がるかしかない。長居はゴム長を履いてどんどん上流に行く。狭い沢では魚の居るポイントは限られる。長居の探った後を俺は歩いて行った。くもの巣が張っていて、竿と糸に絡みつく、「くもの巣が張っているので、人が入っていない」長居が言った。俺は途中で林道に上がった。
林道をちょっと登ると橋があった。その橋の下に小さな淵が見えた。「あそこにはいるな」俺は思った。
長居が沢を上がって来てその淵に着いた。やっぱり23センチぐらいの岩魚を釣り上げた。
その沢は地図に名前も載ってない、長居が言うには小瀬ケ沢だと言うが定かではない。
場所を変えた。今度の川は長居が昔は釣れたと言う東小出川と言う所に行った。まだ磐越道が出きる前の
話だが川に向かった。磐越道を見ながらしばらく車を走らせると沢が見えた。沢に下りると水量、沢景も良く
釣りやすそうな川だったが、また、人が入り易く見えた。長居は相変わらず毛ばりでどんどんポイントを探って
川を上がって行く。俺はその後をゆっくり餌で釣って行く。結構な淵があり石の下がえぐれている。「この下には
いるな」俺はおもむろにブドウ虫を入れた。アタリは有る、しばらくするとハヤが釣れた。三匹ばかりハヤを釣った。「いや、岩魚もいるはずだ」俺はしつこく仕掛けを入れた。きた、岩魚の15センチぐらいのがきた。
手元まできた岩魚をばらしてしまったが、やはり岩魚は穴の奥にいるのがわかった。
俺は結構この川が気に入っていたが長居が上流から戻ってきたので納竿した。
長居が言うには昔、釣りをしていたら地元の人に「うちの部落の川で釣らないでくれ」と言われたのでその上流のゴルフ場に車を置いて川に入ったそうだ。そこに行こうと言うことになり、ゴルフ場目指して車を走らせた。
ゴルフ場に着くと川に入る道が分からず、来た道を戻った。帰りの途中の部落の田んぼの小さな川で探って
みたが何にもいない。地元のおばさんが「昔はいたけど、釣ちゃたから今はいないよ」と言っていた。
山でのキャンプは夜が長いので止めて長居のアパートで酒を飲むことにして帰路についた。
長居はギターが上手いスリーフインガーを教えて貰おうと前から思っていた。長居が言うには突然に弾けるようになったと言う。でも長居は高校時代からギターを弾いていたと言う。右手の指3本の爪を伸ばしていたのには俺は感心した。
翌日朝、昨日買った、カップラーメンを食べ、今日はどこに連れて行って貰えるのかも知らず車を出した。喜多方から会津若松に向かった。俺は「今日はもっと開けた渓谷に行きたい」と長居に言って置いた。車は会津西街道を南に向かった。南会津方面に行くようだ。阿賀川沿いに走り芦ノ牧温泉を越えた。会津下郷を右折川沿いに上流に向かった。この川は戸石川(姫川)と言うらしい、川沿いに道があり川は開けていた。道からすぐ川に入れるので釣り人も結構入っているようだ。上流に向かう途中の道の脇に群馬ナンバーの車が3.4台停めてある。
川に入って釣っているのだろうか。俺と長居は上流に向かって車を走らせた。部落を抜けた所に車を置き川に入った。ちょうど良い水量ではあったが釣って見るとアタリも無く何も釣れない。もっと下流に行くことにした。
不思議なもので川は下流、中流、上流と川景がどんどん変わる。良さそうな川の近くの道端に車を置き川に入ったがそこも、川は良いのだが、一度もアタリも無い。魚は全然居そうも無い。止めてもっと下流に行った。そこは田んぼの中でハヤは釣れそうだ。堰があったのでそこで竿を出した。小さなヤマメが2匹釣れただけだった。
今回の釣行も釣果は思わしく無かったが、まあ、渓流釣りがどういうものか少しだけ分かった。