第一審判決公判を傍聴しての印象

おっとー

 12日、「反戦落書き」判決公判を傍聴した。既に各所で報じられているごとく懲役1年2月、執行猶予3年の判決が下された。後日判決文の全文が公開されるであろうから、詳細な批判は後に回して、印象のみ記す。
 執行猶予付きの有罪という判決は予想通りではあったが、それにしても検察の主張を(より詳細に)繰り返しただけのような「判決理由」を延々と読み上げる裁判長の鉄面皮ぶりには辟易させられた。起訴事実さえ認められればほぼ自動的に「有罪」になると言われる日本の司法制度の「手続き」が日常通りに繰り返されたに過ぎないのであろうが。裁判官と検察官のこの一種異様な馴れ合いも当事者たちにしてみれば当然のものに過ぎないのであろう。両者とも、もともと法務省下の同僚である。もともと議会多数派からなる政府が決定した派兵が事後に国会で実質自動的に「承認」されるのも、これに似た観あり。
 ところで判決言い渡し中に被告人が「マイクの一部を裁判官に向かって投げ付け」たと報じられているが、これでは何か硬い物質を用いて暴力を振るったと勘違いされるであろう。現場で目撃したところでは、被告人は何かヒラヒラする黒いものを「投げた」ようであった。「投げた」といってもほとんど前に飛ばず、宙を舞っただけと言った方がふさわしい。黒い小さな羽根のように見えたが、後で他の人に聞いたら、マイクカバーだそうだ。舞い方からしておそらくスポンジ製のものであろう。
 退廷を命じられると「水色の水性スプレーを吹き付けた」とも報じられている。私の目には白く見えたのだが。これは宙に向けて噴射されていた。人に向けて噴射されたのではない。他人を傷つける意図があったようには私には見えなかった。だがいかなる性質のスプレーも完全に無害とは言えないわけで(事実私も清掃用や整髪用等のスプレーで気分が悪くなることがある。)、これを突如室内で噴射したことは実行者の環境に対する意識の希薄さに起因するものと思われる。この点については私も抗議したい。
 いずれにしても、「しょぼい」パフォーマンスではあったが、「暴力的」という印象は受けなかった。だからこそ「退廷」だけで済んだのであろう。
(2004.02.13)

参考:判決を報じた各メディアの記事タイトルとリンク

(毎日)落書き:公園トイレに「反戦」 外観損ね有罪判決 東京地裁
(朝日)「反戦落書き」に有罪判決 被告、法廷にスプレーまく
(産経)便所落書き有罪に暴れる 東京地裁、被告退廷
(時事)「反戦」落書きで有罪=公園便所、美観損ねた−法廷でスプレーまき退廷・東京地裁
(共同)反戦落書きに有罪 「建造物損壊に当たる」
(サンスポ)有罪にも懲りない落書男−判決言い渡し中にスプレー噴射
(日刊スポーツ)「反戦」便所落書きに有罪

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