番外40

蕎麦ずくし蕎仙坊(きょうざんぼう)(00/6/11)
ジャンル 日本蕎麦
最寄り駅
電話番号 0559-98-0170
住所 静岡県裾野市須山1737
場所の目安 裾野インターチェンジを出て、トヨタの研究所方面に進む。そのまま直進して、突き当たったら右折。しばらく行った右側に看板がある。道を曲がって100mほど先。看板入口には、
営業時間 11:30〜18:00
休み 月曜日、第2,4火曜日
予約
駐車場 20台程度
お品 おせいろ700円、田舎700円、二色そば700円、のりかけ900円、そばとろ1000円、天ぷら付き二色1500円、上天ぷら付き二色2200円、辛味大根そば800円
かけ700円、鴨南そば1400円、天ぷらそば1500円、上天ぷらそば2200円、かしらそば1400円、山かけ1100円、なめこ1000円、玉子900円他
ホームページ
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コメント

 古くからの友達と、沼津に遊びに行った。その帰り道、どうしても寄ってみたいお蕎麦屋があった。それがここ。長野市のかしはやと同じ一茶庵系のお店である。

 藪や更科が老舗であるなら、足利一茶庵本店を頂点とする一茶庵系は、片倉康雄によって築かれた現代の名店の系譜である。このお店のご主人、斉藤親義さんは、千葉の中山競馬場の近くでお店をやっていた。富士山の見えるところでお店をやりたい。蕎麦には、良い空気と良い水が必要だから。
 ご夫婦で箱根のあたりから、探し始めて、行き着いたのがこの古い建物。築400年の庄屋屋敷を別荘として移築した物だった。この地でお店を開いたのは平成元年。口コミでお店の評判は徐々に広がり、今では、いろりのある待合室に入りきらず、店の外にまで客が列ぶと言う.......って話は「そばをもう一枚」(山口雅子著 静岡新聞社)からの受け売りである(^_^;)

 こんな話を読むと、どうしても行きたくなってしまうではないですか。そんな訳で、カーナビを頼りに家族で行ってきました。道を進みつつ、こんな所にお店があるのかと不安になった頃、木の陰に突然看板が現れた。導入路を100mほど進むとその旧家が目の前に現れた。
 残念ながら屋根は瓦に葺き替えられていましたが、古さを感じさせる佇まい。玄関で靴を脱ぎ、奥に入るといろりのある待合室。もう2時を過ぎているのに、待合室は人が溢れていました。
 玄関周りで気になったのは、傘立てに入りきらずに散らかる傘と下駄箱がないために、雑然と脱ぎ捨てられたままの靴。これは、ちょっと改善してもらいたい。

 待合室からはガラス越しに、蕎麦打ちの部屋が見えます。綺麗に整頓されていますが、桟に溜まるそば粉が、日々使われている部屋であることを示している。奥に見えるガラス戸の付いたタンスの様なものの中には、たぶん石臼が入っているのであろう。

 30分ほど待たされる内に、注文を先に聞かれる。
 メニューは多い。まず蕎麦の種類は2種。並蕎麦のせいろと太打ちの挽きぐるみの田舎そば。2つの両方を盛る二色蕎麦。とろろ、のり、辛味大根などがある。温かい蕎麦の種物も豊富。蕎麦のメインシーズン以外でも楽しめる物となっている。新蕎麦の時期以外は、つなぎを入れ、蕎麦の出来を一定にしているとの事。

 席に着いてから、更に15分ほど待ったのだが、ほぼ同時に通された隣の席の子供がうるさい。飛び回る、ストロボを光らせる。騒ぐ。非常に不愉快であった。我が家の子供だって、子供だから騒ぐ。でも、食べ物屋では大人しくしているのが、我が家の絶対のルールである。破れば即刻ゲンコツが飛ぶ。
 食べ物屋は、物を口に入れるところである。走り回れば埃がたってそれは食べ物に付くのである。食べ物屋は、静かに話をするところである。食べ物の感想をきっかけに会話を楽しむ所である。雑音は他人の迷惑。

 ああ言う連中がいるから、「お子さまのいる方はご遠慮願います」なんて店ができるのある。我が家のガキどもは、お手拭きでペンギンを作りながら、蕎麦が出てくるのを待っていた。

 蕎麦が出てくるまでに、50分。これだけ混んでいれば仕方がないが、子供達には辛かったであろう。私だって辛かった(^_^;)

 私は、二色の大盛り、息子は鴨南(贅沢なやつ)、妻はなめこ蕎麦(温物)、娘は卵とじ。それそれの蕎麦をがっついて食べ出した。
 さて、感想です。


 並蕎麦の細切りが「おせいろ」、挽きぐるみのうどんの様に太い麺が「田舎」。
 せいろの艶は良く、均一な幅に切られた蕎麦は、丁寧な仕事をしている事がわかる。食感はまあまあだが、この時期はやはりつなぎの量が多いようで、蕎麦のみの食感とは異質のものを感じる。香りが弱いのも仕方のないところか。
 田舎の方は、うどんの様に太い。かしわやの田舎そばと同じ様なもの。切るまでの行程は丁寧であったようで、太さはこれも均等である。但し、途中から折れているものが多数あった。また、表面はぬるっとしており、食感もねちねちしている。茹での問題と言うか、最後に蕎麦を冷やしきれていない。氷で冷やした蕎麦は嫌いであるが、芯の熱が取りきれていない蕎麦は、もっときらい。蕎麦の香りもあり、挽きぐるみ特有の味もあるのに、食感が評価を落としている。

つゆ
 鰹だしのが中心と言うか、もしかすると鰹のみかも知れない。返しは、醤油の生の味が強いもので、生返しかも。辛口のもの。
 雑味のない、シャープな味がいい。

薬味
 大根下ろし、白ネギ、ワサビ。
 大根は青首、白ネギは非常に薄く輪切りにしたもの、蕎麦の食感を損なわなくていい。ワサビはもちろん本物だが、わたしはいつもの様にほとんど使わなかった。


 田舎の出来は、残念であったが、全体的には、レベルは高い。待つ価値有りです。
 合鴨の鴨南もうまかった。合鴨の出す油が、蕎麦のうま味を強めます。なめこ蕎麦は、海苔の上に大根下ろしの土手を作って真ん中になめこが盛られています。卵とじはふっくらと仕上げられた玉子の甘さがアクセント。とろみはついていません。

 伊豆や箱根に行くことがあったら、ちょっと寄り道して行ってみてください。

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