番外39
元祖平壌冷麺食道園(00/5/24)
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コメント 盛岡の麺と言うと、盛岡冷麺、じゃじゃ麺、わんこそば。その中でも、冷麺は盛岡の麺を代表するものだと思います。 2度目の盛岡出張。お昼に時間が出来たので、この冷麺のお店に行って来ました。 このお店は、盛岡冷麺の元祖と呼ばれている。 このお店を始めた、青木輝人氏は、朝鮮半島の北部の生まれ。昭和13年に東京に移住し、昭和24年、数奇屋橋の「平嬢冷 麺・食道園」で修行した後、昭和28年に盛岡に移り、この食道園を開いた。 開店当初は、そば粉を使った冷麺を作っていたがこれが不評で、そば粉を使わない今の盛岡冷麺の原型を開発した。これが昭和29年5月の事。 そう言うことで、このお店は、盛岡冷麺の元祖となるそうです。 行ったのは、昼の1時過ぎ。店を探してずいぶん歩き回ってしまった。曲がり角に顕著なランドマークがないのがつらい。 お店は鉄筋のビル。10年ほど前に立て直した様である。外観は白いタイル張りで清潔感はあるが、看板を見なければ何のお店かよくわからない。 店内は、座敷席とテーブルで40人ほど入れる。2階(もしかすると3階)もある。ほぼ全員が冷麺を注文していた。メニューには焼き肉もいろいろあるので、夜は、こちらでも賑わうのであろう。 さて、もちろん冷麺を注文したわけだが、これには、辛さで4つ段階がある。普通→辛→大辛の順に辛くなる。別辛は、辛さの元となるカクテキが、別皿になっていて、自分で辛さを調整できるもの。 同行のものは、「普通」を食べたが、「普通」に盛られるカクテキよりずっと多い量のカクテキが、別皿に盛られてくるので、こっちの方がお得。 さて、感想です。 麺 馬鈴薯澱粉と小麦粉で作られた麺。麺は、艶があり、小麦粉の淡い黄色。透明感があり、太麺のストレート。非常に強い腰がある。日本で食す麺の中では、一番固い部類に入るでしょう。 ちょっと脱線します。盛岡冷麺の材料について、「片栗粉と小麦粉」と書かれている場合と、「馬鈴薯澱粉と小麦粉」って書かれている場合がありますが、これはどちらも同じ物を示します。販売されている片栗粉の原材料は、馬鈴薯澱粉だからです。 手ごねの後、機械によって絞り出されて茹でられる麺。これだけ腰のある麺を手でこねるのは力のいる作業であろう。食べる方もアゴが疲れる。適度に噛んで食感を楽しんだら、後はツルッとした喉越しの食感を楽しむくらいにしておいた方がいい。 スープ 牛骨8割にトリガラ2割と言うスープ。牛骨特有のクセと脂は完全に取り除かれており、濁りのない澄んだスープ。別辛にしたので、辛味を入れる前のスープの味を試せたが、これが甘い。砂糖やみりんの甘みではない。スープ自身の出す味。スープにフルーツが入っているのかと思ったほど。お店の人に聞いたが、フルーツは入っていないとのこと。 味付けは、塩と酒ぐらいであろうか。 これに、カクテキとその汁を加えて辛さを調整して行く。韓国の唐辛子の粉末が大量に入った汁であるが、唐辛子の辛さはそれほどではない。結局最後には、汁をほとんど入れてしまったが、それでも、スープの味をちゃんと堪能できました。 カクテキの汁が程良い酸味を加える。今回は食卓にあった酢を加えないで食べ終わってしまった。 具 牛肉、ゆで卵、キュウリ、カクテキ。 牛肉は、時雨煮の様に煮込まれたもの。多少固めであったが、味の染み込んだもので、なかなかよい。ゆで卵は半分。上に白胡麻とネギがかけられている。キュウリは甘酢に漬けたもの。カクテキは、上記の様に辛味の元となるもの。適度な酸味でなかなかよかった。 具の完成度もいいと思います。辛さに疲れた舌を、甘みのある味でリセットしてくれる。 元祖なんて名前が付いているところは、元祖と言う名前に頼って味がそれに伴わない事も多いのだが、ここは胸を張って元祖を名乗れるお店だと思った。 昭和29年の創業以来、創意工夫を続けた結果、今の味が出来ていると思う。 納得1杯であった。 |