番外11

一茶庵かしはや(98/1/13、99/7/2)
ジャンル そば
最寄り駅 信越線 長野駅
電話番号 026-228-2877
住所 長野県長野市南千歳町865
場所の目安 長野駅より、ワシントンホテルに向かう道を直進、ボディーショップのある交差点で左へ10m進みすぐに右斜めに入る道を進む。しばらく行った左側。
営業時間 11:30〜15:00
17:30〜22:30
休み 土日祭日は、夜の部はお休み
予約 可能
駐車場 無し
お品 三色蕎麦大盛り 2100円。他多数
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コメント

 初めて行ったのは、去年の一月。それ以来、長野市に行く度にここに行っている。なかなかレポートに出来ないでいた。

 写真の1枚は、初めて行ったときのもの。屋根に雪がある。看板の拡大は、今回の写真。

 番外4で紹介した「蕎麦をもう一枚」と言う本に紹介されていた店。本には、「1年に1回来て20年と言うようなお付き合いがしたいですね」と言う一言が書かれているが、私はこれに近くなって来た。
 半年ぶりに行ったのに、すでに女将さんに顔を覚えられている。「また来てくれたんだ。嬉しいね」だって。どこの誰なのか、今までにどんな話をしたのか。そんなことは覚えていないだろうけど、久々に行った店で声をかけられると嬉しいものである。次回も必ず来ようと思ってしまう。

 長野市に行く度にここに通うのは、女将さんに声をかけてもらえるからだけではない。蕎麦がうまいのである。

 お店は創業90年。でも、老舗の味を守っていると言うものではない。今のご主人が、「足利一茶庵本店」で修行した後、今の形態になっているそうである。
 信州蕎麦と言うストレートな蕎麦を売りもにしているのではない。ここの看板メニューは、三色蕎麦。

 三色蕎麦と言うと、さらしな粉に、他の何か(ゆずとか、抹茶とか)練り込んだものを想像するが、ここではそれは、かわり三色と呼ばれる(さらしな、茶蕎麦、甘エビを擦り込んだ蕎麦)。

 一番粉のみの「さらしな」、二番粉、三番粉を使った蕎麦のうま味を引き出した「並蕎麦」、挽きぐるみを使った「田舎」の三色なのです。
 この3つの蕎麦が、小さい3枚のせいろに載せられて来ます。下から、田舎、並蕎麦、さらしなの順に重ねてある。

 初めて食べるときは、女将さんの指示に従って、薬味の使い方を調整して下さい(私の場合、最後までほとんど薬味は入れませんけどね)。
 
 この三色蕎麦には、様々工夫がある。解説は後にして、まずはおそばの感想です。

つゆ
 鰹のみのだしに、本返し。醤油は利いているがそれほど辛口ではない。冷やしすぎていないので、きっちした味を感じることが出来ます。
 難点を言えば、つゆが樹脂製の容器で保存されているため、この容器の臭いがちょっと。まあ、こんなもん、普通はわからないからいいか。


さらしな
 上から順に食べて行きます。最初はさらしな。真っ白な蕎麦で、非常に薄く伸ばしたものを、多少の幅を持たせて切っています。麺の長さは他の2品より短めです。
 最初の一口はつゆなしで食べる。木理が細かい事は、口に運んだ途端にわかる。喉越しを楽しみたいと言う話もあるが、私はよく噛みしめる事をお勧めします。

 ほのかな、蕎麦の香りと、独特の甘み。特に、この甘みと言うやつはさらしな独特のものである。つゆを付けるなら最小限。つけないまま、全部食べてもいいと思いますよ。

並蕎麦
 これは、一般的な信州蕎麦の味。そう。並蕎麦は、味が生きています。つゆをどっぷりと漬けたって、負けない味があります。腰もあり、美味しい蕎麦です。

田舎
 最後の一段は、田舎と呼ばれる挽きぐるみの蕎麦です。蕎麦とは思えないほど、太い。顎が疲れるほどの腰、強い蕎麦の香り。蕎麦が太いため、麺の中心部は、ほとんど生の状態です。香りが茹汁の中に逃げていないので、非常に強い。インパクトのある、力強い蕎麦が楽しめます。私は、これが一番好き。

 この蕎麦。よく考えられている。
 繊細で弱い感じのさらしなから、順番に力強い味と香りに変わって行く。女将がうるさく言う、薬味の使い方。順番に食べろと言う指示は、繊細な味からの変化をちゃんと感じてもらいたいからだと思います。三種の蕎麦が、横に並べられていて、適当に食べたら、三色の意味がなくなってしまうのです。

 2つ目は、この三色蕎麦の茹で方。
 田舎から順番に茹でて行きます。田舎を茹でて水で洗って、盛りつけた後に、並蕎麦を茹で、同じ様に盛りつけて、最後にさらしなになります。
 ゆで時間が長く、伸びにくい物から、順番に料理してます。また、しっかり盛りつけた後に、せいろを上に乗せて、次の蕎麦を盛りつけるため、下の蕎麦は上の蕎麦からの水滴が落ちて来て、表面に適度な湿り気を与え続けられる状態になって、蕎麦が乾かないのです。上から順番に食べるときの時間まで考えた、絶妙の調理方だと思います。

 このお店。自家製粉ではありません。
 餅は餅屋と言うことで、製粉は業者に頼んでいるそうです。また、生粉打ちにもこだわっていないようで、時期に合わせて適当な量の小麦粉をつなぎに使っているそうです。

 このお店。日によってのあたりはずれが少なく、いつでも同じ高いレベルの蕎麦が食べられます。製粉は専門の業者に。また、つなぎの量で同じ腰と食感を。そう言う考え方のお店です。
 方式ではなく、実を取るとでも言うのでしょうか。究極の蕎麦は出てこないかもしれませんが、7月なんて時期でも美味しい蕎麦が食べられるのは、嬉しい限りです。

 そば粉の産地は、地元黒姫、磐梯山、北海道のものを使っているそうです。
 最近、麺のゆでは、息子さんがやってます。今日はご主人を見なかった。

 こんな時期に蕎麦を食べたのに、幸せになれました。  でも、値段が高い。これが唯一最大の欠点。

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