









やつらはどんだけボッてんだ?ファーティマの手というチュニジアのお
守りや、簡単なアクセサリーを物色するも、最初の言い値からどんどん
どんどん下がっていく。安くなるというわけでは決してなく。最初のがあ
りえないのだ。きっと。“高すぎる!”というと、奴らは決まって“じゃぁ、
いくら?”と聞いてくる。これに気の弱い日本人、というか僕はやられて
しまうのだ。あんまり低い値言い過ぎて怒られやしないか、などという
軟弱な精神が高慢ちきなアラブ人をつけあがらせる。今日の敗北。
マルタで買ったサンダルがイカレかけてきたために、新たにスタイリッ
シュな物を求めスークをまわっっていた僕は、一軒の皮サンダル屋で
それなりに気にいったものを見つけた。軽く店の青年と談笑しながら、
はいてみるとサイズもピッタリだ。僕の使えるフランス語の中で最も使
用頻度の高い言葉が鼻から抜ける。“いくら?” 青年は平然として答
える“クァラントゥ サンク ディナール(45ディナール=3500円)”
あまり聞き慣れぬ数字に少し間を置くと、今度ははっきりと聞き取り
やすい英語で“フォーティ ファイヴ” “冗談じゃない!“アホか”と帰
ろうとすると、ガシっと腕をつかんでいつもの言葉“じゃぁ、いくら?”
ここで“5ディナール(400円)だ!それ以上は絶対に払えない!”
こうはっきりと相手の鼻先を指差しながら言いきれる強い男になりた
かった。しかし、さんざん葛藤したあげく僕の口から洩れたのは“じ、
じゃぁ10ディナールくらいなら・・・” 僕が、相手の言い値の10分の
1というのはさすがに失礼であろうか、5分の1でもマズイか、などと
深く悩んでいたことなんか全くのおかまいなしに、青年は“OK、15”
と即答。そんな一気に下がるんかい!!僕が10といった時点で彼
は内心ほくそ笑んだのでしょう。もう僕は自分の言い値の10よりも
安くは買えないのだから。結局11ディナール(880円)で、安い(?)
軽い、滑りやすい、と三拍子そろった皮のチェニジアンサンダルを購入。
物価がないというのはちょっと良さげに聞こえるが、実際はプロの商
人の手綱にまんまとかかるということなのだ。
気をとりなおして、昨日もいったレストランで昼食。ジェルバでは海の
幸ということで、一皿目には‘めちゃくちゃ柔らかいタコに旨味たっぷり
のトマトソース煮込み’ メインには‘車エビのプロヴァンス風’レモン
の浮いたフィンガーボールまでついてくる。がんばって仏語メニュー読
んだかいがあった。
外へでるとジェルバの空は真っ青に。太陽がギラギラと照り付けて、
昨日感じた涼しさはどこへやら。
海辺のほうまで歩いてみるが、
小さな漁船が少々とタコツボが
山積みされているばかり。そ
して地中海はあいかわらず碧
い。それだけは、イタリアだろ
うが、トルコだろうが、チュニ
ジアだろうが、変わりはしな
い。オスマントルコの庇護を
受け、この近辺を荒らしまわっ
ていたという海賊の砦で一休
み。今はなくなってしまったが
昔はキリスト教徒の骸骨で
作られたピラミッドが恐怖の象徴だったという。今はノンキな漁船が一艘
揺ら揺らしているだけだけれども。帰り際、日本人のおばちゃん2人に遭
遇。この暑いのにやたらと元気だ。“もう、いかなくちゃ!”とあわただしく
去っていき、ツアーバスの中から思いっきり手を振っていた。真夏にこん
な所を連れまわされてオニのようなツアーだな、と不憫に思ったが、彼女
らの部屋はきっとクーラーつきだ。バスもかもしらん。
思いっきり安そうな店の兄ちゃんに“魚くいたい”というと、“Oui!Oui!”
と早々に焼きあがってくる。タマネギスープに、付け合せのサラダとポテト。
アツアツのうちに塩をふってナイフをいれる。昼の高級レストランとは違っ
た満足感がここにはある。超安いし。
宿に戻るとテレビでサッカーがやっていた。しばらく見てると、なんか
どっかで見たことあるオランダ人が・・・。でも奴は今ドーピングひっか
かって出場停止中だったような。それにどうみたってバルサのユニフォ
ームではない。いぶかしんでいると、なんとフランク・デブールの双子の
兄貴、ロナルド・デブールだった!お兄ちゃん最近見んとおもったら、
チュニジアリーグにおったんかい!たしかにR・デブールは抜けてうま
かった。ハーフタイムにシャワーを浴びて戻ると、チャンネルはカンフー
映画にかえられていた。“サッカーみないの?”と一応言ってみるが、
あっさり“Non” あんまり長居するとカンフーの実演を強要されそうだっ
たのであきらめ就寝。明日のバスは午前5時なのだ。いよいよサハラ
のすその街ドゥ-ズへ。
