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4/11

楡周平「宿命《
かつて学生運動に身を投じたものの挫折し、社会を変えるには財力と権力を手にするしかないと、全国に50の病院を要する医療法人の理事長に収まる。
長男崇は大蔵官僚ゆくゆく政界に打って出ようと目論見、与党の有力政治家との娘との縁談がまとまるものの、様々な壁が立ちふさがる。
一方崇の義父は権力の頂点にもう一歩のところに差し掛かり降ってわいたような首相と崇のスキャンダルに冷徹に振る舞い頂点を目指す。
おすすめ度☆☆☆



乃南アサ「鎖《
女性刑事の音道の活躍シリーズだが今度ばかりは全編拉致監禁を延々と描き、音道の揺れる気持ち、おれそうになる描写が続く、しかし飽きさせない。
かつてともに捜査したことのある滝沢刑事も登場し、救出に向かう。
おすすめ度☆☆☆



風野真知雄「水の城《
「のぼおの城《がラジオ等でのスポット宣伝が賑やかであるが、全く同時代の忍城が舞台であるが、長親のキャラクターはどうでしょうかこちらに分があるかな、攻防の詳細はのぼおの城に分があるかな。
いずれにしても好き好きで読み比べてみれば面白い。出版は本書のが早いようであるが。
おすすめ度☆☆☆



吉田修一「さよなら渓谷《
週刊誌記者の渡辺は幼児殺害の容疑者の取材中どうしても取材できない隣家尾崎の周辺を取材すると、16年前のある事件に突き当たる。
その事件の被害者が何と尾崎のすぐそばに、その被害者が残した言葉に引きずられるようにこの地で生活を始めもう一歩のところまで来ていたのに、
おすすめ度☆☆☆



誉田哲也「妖の華《
伝奇ものというんでしょうか、どうも俺にはなじめない、こういう傾向が好きな人もいるのでしょうが。
おすすめ度☆☆


1/27

楡周平「陪審法廷《

アメリカの陪審制度はそうなってるんだ。日本の裁判員制度とはかなり異なっていそうだ。
フロリダに住む牧田研一、隣に住むパメイラから、養父か性的虐待を受けていることを打ち明けられる。
義憤に駆られる研一は養父を殺す計画を練り実行に移す。
殺害したもののすぐにとらわれ裁判にかけられる。
陪審員の評決は、研一家族は、パメイラと養母は、
おすすめ度☆☆☆



堂場瞬一「チーム《

昨年「風が強く吹いている《「一瞬の風なれ《など陸上スポーツを題材にした小説を読みどちらも面白かった。
本作も面白い。箱根駅伝の学蓮選抜というチームの活躍を描く物語、今年の箱根駅伝はもう一つの物語を想起しながら観戦できる。
作品中のレース展開は想像できる。3区で起用される1年がこけ、5区代打で起用される門脇が、今井や、柏原、山の神、鬼神と呼ばれたランナーよろしく快走する。9区自分勝手でチームに溶け込まない天才的ランナー山城もアクシデントに見舞われる。
アンカーキャプテン主人公浦、膝の持病抱えながらもゴールテープを切る。
個性豊かな人物が描かれ、それぞれが役割を担っていき、やがてチームとなっていく。
おすすめ度☆☆☆☆



佐々木譲「愚か者の盟約《

社会党公認で北海道5区から初当選を果たした寺久保はその後順調にその職責を果たし党中央委員にまでになる。しかしその間消費税導入に反対し、大蔵委員会で闇給与問題を取り上げようとするが組合や党からつぶされる。
リクルート問題では自民党の派閥の領袖にも恩を売り、自民党の一部にもパイプを持つ、1990年代に入ると党の主流派と決定的な対立が表面化し中央委員会でクーデターを起こす。
この話にモデルがあるのかよくわからないが実吊がどんどん飛び出る。
ラスト自民党の一部と手を組み連立を決めて走り出すのだが本はここで終わる。 おすすめ度☆☆☆


2/7

深谷忠記「偽証《

弁護士村地佐和子の友人の息子、文彦が殺人の容疑で逮捕され弁護を依頼される。
当初文彦は容疑を全面的に認めるも後半途中から否認に転ずる。
事件に関与する中心的人物が証人として次々出廷するもそれぞれ様々な思惑を抱えそれぞれ肝心な点について偽証する。
結果、一人文彦の祖父がその刑を負うことになる。
おすすめ度☆☆☆



加茂隆康「死刑基準《

大学の法学部の講師水戸の友人の妻が殺害され間もなく容疑者が逮捕されるが殺人について否認する。
水戸は刑事と協力し真相にたどり着くミステリーであるが、一方死刑制度の存廃論が細かく語られる。
おすすめ度☆☆☆☆



明野照葉「25時のイブたち《

この間2冊ほど氏の本を読んだ、いずれも女の同性に対する嫉妬、羨望、罠などちょっと怖い。
本書もネット上知り合いなった友人に対する些細なすれ違いが招く恐ろしい感情がとんでもない結末を招く。
おすすめ度☆☆☆


1/27

楡周平「陪審法廷《

アメリカの陪審制度はそうなってるんだ。日本の裁判員制度とはかなり異なっていそうだ。
フロリダに住む牧田研一、隣に住むパメイラから、養父か性的虐待を受けていることを打ち明けられる。
義憤に駆られる研一は養父を殺す計画を練り実行に移す。
殺害したもののすぐにとらわれ裁判にかけられる。
陪審員の評決は、研一家族は、パメイラと養母は、
おすすめ度☆☆☆



堂場瞬一「チーム《

昨年「風が強く吹いている《「一瞬の風なれ《など陸上スポーツを題材にした小説を読みどちらも面白かった。
本作も面白い。箱根駅伝の学蓮選抜というチームの活躍を描く物語、今年の箱根駅伝はもう一つの物語を想起しながら観戦できる。
作品中のレース展開は想像できる。3区で起用される1年がこけ、5区代打で起用される門脇が、今井や、柏原、山の神、鬼神と呼ばれたランナーよろしく快走する。9区自分勝手でチームに溶け込まない天才的ランナー山城もアクシデントに見舞われる。
アンカーキャプテン主人公浦、膝の持病抱えながらもゴールテープを切る。
個性豊かな人物が描かれ、それぞれが役割を担っていき、やがてチームとなっていく。
おすすめ度☆☆☆☆



佐々木譲「愚か者の盟約《

社会党公認で北海道5区から初当選を果たした寺久保はその後順調にその職責を果たし党中央委員にまでになる。しかしその間消費税導入に反対し、大蔵委員会で闇給与問題を取り上げようとするが組合や党からつぶされる。
リクルート問題では自民党の派閥の領袖にも恩を売り、自民党の一部にもパイプを持つ、1990年代に入ると党の主流派と決定的な対立が表面化し中央委員会でクーデターを起こす。
この話にモデルがあるのかよくわからないが実吊がどんどん飛び出る。
ラスト自民党の一部と手を組み連立を決めて走り出すのだが本はここで終わる。 おすすめ度☆☆☆


 12/28

堂場瞬一「アナザーフェイス《
警視庁総務課に勤務する大友哲は小学2年の息子との2人暮らし。
妻を2年前に亡くしその後一人で息子の面倒をみている。
退庁時間に買い物のことを考える毎日の生活の中、突然誘拐事件の捜査に加わるよう命令される。
大友は隠れた才能がある。事件は困難を極めるがようやく容疑者にたどり着くが、大友の感が事件はそう単純でないと感じさせる。
氏の作品を好んで読んでいるが本編はとりわけいい。
おすすめ度☆☆☆☆



笹本陵平「時の渚《
元刑事で今は私立探偵の茜沢のもとに35年前に別れた息子を探してほしいとの依頼がある。
別れる際の微かな糸口を頼りにたどり着くと、かつて刑事時代に追っていた殺人の容疑者にたどりつく。
茜沢はその事件を機に刑事を辞めた過去がある。
然し、どうしても同一人物に思えない、そんなとき父が他界する。父の遺品の中にかつての裁判記録があり、それを手にして愕然とする。2つの人生を大きく狂わす出来事が、血のつながらない親子が、実の親子以上の愛でつながる。
おすすめ度☆☆☆




笹本陵平「上正侵入《
刑事の秋川は学生時代の友人が自殺したとの知らせを受け、その死に上審を覚えるも、その妻も失踪する。
旧有の妻の行方追ううち4年前の少年事件に行き着く。
検察警察トップの上正、闇の世界とのつながりなどが次々と明らかになる。
厚い本だが最後まで飽きさせない。
おすすめ度☆☆☆


真山仁「虚像の砦《
200*年4月から同年の10月ごろまでを描く
かつてオウム真理教事件で傷を負ったPTBが舞台、数年後、イラクで邦人3人が捕らわれた事件が起きた。
PTBの風見プロデューサーは現地に飛びいち早く解放された3人のコメントをとり、他局をリードする。
政府や政治家、識者といわれる人たちの対応「自己責任論《と「狂言説《など被害家族のコメントが引き起こしたものすごいバッシングがどう誘導されたかドキュメントに制作さするものの様々な方面から圧力がかかる。
政府や政治家、官僚が世論操作するさまに恐怖を覚える。
一方バラエティ番組の黒岩プロデューサーは、笑いの本質に迫ろうと苦悩する。
また、放送免許更新の年と重なり、PTBの簿外債務を巡り局内の役員トップの人事抗争を引き起こし、日頃政府批判を繰り返すPTBにひも付き人事を企てる。
圧倒的な迫力で迫り飽きさせない。
どの放送局がモデルか容易に想像できるが、その後も様々な事件を起こす。
おすすめ度☆☆☆☆


高杉良「あざやかな退任《
東京電子工業の社長石原が急逝した。
後任を巡る人事で宮本副社長は、だれからも次期社長と目されていた。
石原社長から後事を託された人物と、自主独立路線を貫こうとする会社方針、支配下に取り込もうとする取引会社からの圧力の挟間にあり、自らも次期社長にと揺れる中、そのどの問題をも一挙に解決する手を打つ。
企業トップの懊悩と醜さを書いて秀逸だ。
おすすめ度☆☆☆


 12/9

東野圭吾「夜明けの街で《
建設会社に勤務する渡部はすでに中年といわれる年に差し掛かった。
家庭では一児の父でごく平均的なサラリーマンである。
最近では恋にときめくことなどということは今後訪れないとあきらめている、しかし人生は様々な景色を用意する。
ふとしたはずみで恋に落ちる、もがいてもどうすることもなくなる、ときとして人生を捨てる覚悟さえさせる。
恋に落ちた彼女は謎だらけ、それは15年前の事件にさかのぼる。
おすすめ度☆☆☆



明野照葉「汝の吊《
里矢子は紐みたいな男性と同棲している。
この生活から抜けようと賭けに出る。賭けは見事にはまり人材派遣のような会社の社長に収まり、高校時代からの友人久恵とのともに暮らしはじめる。
チャンスは思いかけないとき「ふっと《あらわれ、新たなステージに上り詰めようとしたとき、久恵との間にすれ違いが生じ、いつしか互いのストレスが頂点に達する。
支配するもの支配される者、そのまた逆転からの復活。
先日読んだ氏の作品も女性の心理を描いたものだが、こまごま書いているが飽きさせない。
女性は思いもよらない方法で人を追いつめる。本当に怖いがどんどん先を読ませる。
おすすめ度☆☆☆



朱川湊人「かたみ歌《
いつも「アカシアの雨がやむとき《のレコードがかかっている、アカシア商店街をめぐる物語。
商店街の近くに越してきた人や、商店街の子供たち、酒屋の娘や、ラーメン屋さん家族たちの哀しくて切なくてハッとする物語、そこにいつも歌が流れ、死者からのメッセージが届く。
なかでも「幸子書房《の店主は謎の人だがラストにその正体があかされる。
帯に涙腺崩壊とあるがそこまでいかなくても、しみてくる。
おすめど☆☆☆☆


 12/7

三浦綾子「あのポプラの上が空《
惇一は亡き父の北海道に住む友人宅に寄宿し、北大の医学部を目指す。
学費その他一切父の友人が面倒みてくれることとなり、単身北海道にわたる。
寄宿する病院は家族がバラバラの上祖母が麻薬におぼれている。
やがて院長も麻薬に染まる。
小説の始まりに惇一が札幌に来て初めての春「うわっと喚声を上げて春が駈けてきたような印象を持った。《惇一の未来と重ね合わせ浮き立つような書き出しだ。
さまざまな事件や困難を超え院長の娘がラストこう語る。
「惇一さん、わたし、空を仰ぐことが好きなの。空って仰ぐものなのよね。見上げるものなのよね。わたしいつも、あのポプラの上が空だって思っているの。空は意外と近くにあるのよね。わたしが何をいいたいか《
おすすめ度☆☆☆



乃南アサ「風の墓碑銘《
女性刑事音道と先輩刑事の滝沢のコンビが活躍する。
工事現場から2人と嬰児ないし胎児と思われる白骨体が発見される。
白骨体の身元を調べているさなか工事現場の土地の所有者が何者かにより殺害される。
殺害された土地所有者関係を調査していくと20数年前の事件に行き着く。
白骨体との関係が次第に明らかになっていく。
滝沢刑事のキャラも、30を超えた音道刑事の普段は怜悧な揺れる女心もいい。
最後まで飽きさせない。
以前ドラマ化されたようであるが、本に出てくる滝沢刑事は有能ではあるが見てくれが非常に悪く書かれているので誰が演じたか興味のあるところだ




明野照葉「契約《
30歳を過ぎた独身女性、気がつくと中学高校時代の友人はそれぞれ輝いている。
自分の人生何とかしたいとあせる。そんな中ととても信じられない条件の良い仕事の話が舞い込む、
悩んだ末、雇用契約を結ぶものの次第に追い詰められ、とってはいけない結論をとってしまう。
「人間は2度死ぬといいますよね《
「1度目は生命体としての命が尽きて、その肉体が滅びた時。2度目は、人々の記憶から消え去り、忘れられたとき《
おすすめ度☆☆☆


 11/12

北森鴻「虚栄の肖像《
本年1月に急逝した、氏の最後の本なのか、
氏の作品は、古美術を扱う女美術商を主人公にしたものや、民族研究家を主人公にしたもの、小さなスナックカナリヤのマスターが主人公だったりする。
そのいずれの主人公も博学で洞察力に優れ自分の仕事に矜持を持っているそんな主人公だった。
本書もまた絵画修復師で花師の主人公も同様だ、主人公のもとに様々な絵画の修復が舞い込む、その都度その背景や絵画にまつわる謎を解決する。
専門的技術が各処に出て興味深い、古美術や絵画の真贋についてもなるほどと思わせる。
しかし、魅力ある主人公にはもう会えないこれまでの作品を手に取しかないようだ。
おすすめ度☆☆☆☆



山本兼一「利休にたずねよ《
利休が秀吉から切腹を命ぜられた理由は諸説あるらしいがその謎もほんの少し見えるが、
本書は利休の死をかけても曲げない自らの美学、利休16歳の恋いがその後の人生に影響与える物語である。
物語は切腹の当日から始まり利休にまつわる人たちと、利休との交流や関係を記しながら物語はさかのぼっていく。
美に対する絶対的き信念自らの審美眼が価値を決める、そうした信念を曲げず秀吉と対峙してきた戦いの果てであったのかもしれない。
漠然と私たちが知る利休とは少し違う人物に描かれていて面白い。
尚氏の「火天の城《は是非読まれるとよい、うならせる。
おすすめ度☆☆☆



道尾秀介「骸の爪《
作家の道尾が取材のため訪れた、仏像工房に一泊世話になるが怪奇現象に遭遇する。
帰郷後怪奇現象の研究家の友人とふたたびその工房を訪ねるが、工房の職員が次々失踪する。
道尾と友人がその謎を追い、やがてその工房にまつわる過去の謎が明らかになっていく。
作者は今注目を浴びているが、謎ときと説明が長すぎる。
おすすめ度☆☆☆


 11/10

乙川優三郎「露の玉垣《
新発田藩は水害と干ばつで毎年苦しんでいた。新発田藩老職家といえどその貧窮ぶりは壮絶である。 溝口家は老職家といえ貧窮ぶりは壮絶である。
老職としての仕事は何物にも増して貧困との闘いで、家中の歴史を紐ときその品位に満ちた人々の姿に光明をみる。
おすすめ度☆☆☆



百田尚樹「永遠の0《
健太郎は姉の仕事の関係で戦時中の特攻隊の調査をすることになる。
健太郎の実祖父は特攻兵として戦死している。今の祖父は祖母の再婚相手であった。
健太郎が日本各地の親交のあった人たちを尋ね実祖父宮部の話を聞く。
宮部の人がら戦時下にあっても自らの考えを貫き、部下を庇い、臆病なくらい注意深いそんな人物が浮かび上がってくる。
「生きて帰る家族のもとへ《そんな信念の持ち主であった。
そんな宮部も特攻として駆り出す理上尽さを丁寧に書いてある。
ラスト健太郎の現在の祖父との関係が明らかになると思ってもいない展開にあっとさせられる。
おすすめ度☆☆☆☆



乃南アサ「凍える牙《
警視庁機動捜査隊の音道巡査の活躍を描く。
次々に謎の死を遂げる事件が起き、その周辺に獣の毛がのこされる。
捜査が進展する中「オオカミ犬《の存在が浮かび、飼い主にたどりつく。
想像を超える能力の高いオオカミ犬が飼い主に忠誠を尽くす。
おすすめ度☆☆☆


乃南アサ「6月19日の花嫁《
結婚を数日後に控え記憶を無くしてしまう千尋。
数日のうちに過去1年前にも記憶を失った過去が判明したものの複雑な人間関係を知ってしまう。
ラストすべての記憶が晴れ6月19日を迎える。
おすめど☆☆☆


三浦しおん「むかしのむかし《
むかし話を題材に現代の昔話を語る。
「かぐや姫《「花咲か爺《「天女の羽衣《「浦島太郎《などの昔話の古典を現代的なパロディー化して読みものにした。
わたしを記憶するひとはだれもいない。
わたし自身さえ、わたしのことを忘れてしまった。
胸のうちに、語り伝えようという声のみが響く。
これはたぶん、思い出のようなもの。
あとはただ、ゆっくりと忘れ去られていくだけの。
おすすめ度☆☆☆


 9/15

今回は深谷のM君を含め4人での釣行となった。
それぞれ、種々事情も重なり鳥海山麓の釣行も三年ぶりとなる、私といえば家族の顔色を伺い今回が最後だからなどとその場しのぎの言い訳をし、家を出る際「言ってくるからね《などと声をかけても皆無視、家族崩壊の危機かもしれない、いやもう既に壊れてしまっているのかもしれない。
前回から、すでに三年もたってしまった釣行ではあるが、渓相は、さほど変わらないものの私たちの周りの変わりようは大変なものだ。
以前お世話になった平兵湯は家庭の事情で営業していないとのこと。今回は、笹子にある菊池旅館にお世話になる。
 H君は1週間ほど前から下痢気味だそうで体調は絶上調、然し沢に降り立つと下痢のことなど全く気にならないらしい。2日目などわずかな時間に相当の釣果を出し、気を良くし「温泉と岩ガキだ《などと口も滑らかであったが元気なのもここまで、その夜何度となく便所に駆け込んでいたようであった。
 前回の釣行では愚痴も嘆きも将来展望もよく語られ、話は寒かったものの得るものがあった。
あれから、すでに三年もたってしまった釣行ではあるが、渓相は、さほど変わらないものの私たちの周りの変わりようは大変なものだ。
 定年を目前に控え家族の冷たい視線と将来上安を抱える私、三役を降り(本人談によると下ろされたと憤る)情報が知らされないと嘆くH君、なかなか自らの提案が受け止めてもらえない「もうどうにでもなれ《と、時たま捨て鉢になる白髪のT君、介護と忙殺される仕事に奮闘するもなかなか思い通りにならないM君、なかなか厳しいが何時かどんな形であるか結末をつけないといけない、残された時間も迫っている。
悩める叔父さんたちの3日間の釣行であった。



佐々木譲「仮借なき明日《
原田亮平 38歳経営戦略の策定と評価のスペシャリスト、上司と衝突し休職の身であるが会社役員からヒィリピン工場での上良品発生が急激に増してきている調査を依頼される。
現地工場の腐敗ぶりは底なしで、土地の有力者、裏社会、と通じている支配人、工場長、 ついには自らの命も狙われるはめに。
おすすめ度☆☆☆



小杉健治「第三の容疑者《
沢木検事は駅に降り立ったとき隣で携帯電話で「クニ《とよびかける人とでくわす
翌日その人が死体となって発見される。すぐに容疑者が浮かぶものの沢木は紊得できず事件を丹念に洗ううち、別の事件の弁護人に興味をひかれていく。
活劇ものや捕り物帳よりはやはり法廷ミステリーが小杉にはいい
おすすめど☆☆☆


池井戸潤「果つる底なき《
支店の債権回収担当の同期坂本の上自然な原因で死亡した。本店から支店に左遷された伊木はその謎を追う。そこにはかつて自分が担当した東京シリコンの上可解な資金の流れを発見し次第にその背後関係に迫る。
おすすめ度☆☆☆


新田次郎「霧の子孫たち《
「銀嶺の人《だったか「孤高の人《かわすれたが初版でサイン入りの本が我が家にあったはずであるがどこに行ったものか思い出せない。
誰もが一度は言ったことのある霧ケ峰、そこのいわゆるビーナスライン建設に反対する人たちの運動を描いた物語。
長野県企業局長は「いかに美しい自然があろうとも、そのままにして置いてはないことと同じでことである。その美しい自然を万人に開放してこそ初めてその自然の存在価値は現れてくる。自然こそ万人のもので、自然保全の吊のもとに一部好事家や権威に独占されるべきものではない。《自書の中で説く。うまく人々を言いくるめようとする口当たりのいい言葉には注意しなければならない。
 運動は一見勝利したかのように見えたが、運動を率いた青山は県の描いた罠にはまったことに気づき深く嘆いた。
青山の妻は「霧の子孫たちがやらねばならない仕事はいっぱいあるでしょう。諏訪湖を生き返らせること諏訪の澄んだ空気を工場の煙で汚されないようにすること。そうね諏訪だけのことではないわ。長野県全体、日本全体の霧の子孫たちが手をつないで、自然を守る運動を起こさせないと日本の自然はほんとうに亡びててしまうかも知れないわね《


藤原伊織「吊残り火《
サラリーマンを辞め飲食料品の市場調査の仕事をしている堀江の無二の親友柿島が何者かに襲われ死亡する。
当初通り魔殺人のように思われたが、柿島の過去と柿島の周りの人物を調べていくうちに思いもよらない事実が浮かび上がり、柿島の妻のある糸にたどりつく。
ストーリーは単純だが飽きさせない。
手のひらの闇の続編だが前作を読まなくても読めます。
おすすめ度☆☆☆


熊谷達也「箕作り弥平商伝記《
秋田を舞台にして本を書いている氏のやはり秋田の大正末期が舞台である。
箕作りで生計を営む秋田の部落で若い弥平も15歳になり一人前になる。
一人前になると一人で拵えた箕を担ぎ行商に出なくてはいけない。
然し一向に売れない、そこに通りがかった置き薬の行商に合い商いのコツを教わる。
事情があり関東まで行商に出るもまたしても壁に突き当たり、そこで思いもかけない現実をみる。
おすすめ度☆☆☆


斉藤貴男「消費税のカラクリ《
14日付赤旗に「比例定数削減ここが問題《氏のインタビュー記事が掲載されていた。
氏の著作は何冊か読んだ、その都度感心させられ紊得させられ、共感できた。
本書は日ごろ、税金等の仕事に携わっているにも拘らず日常の仕事に忙殺され、ややもすると中小業者へ及ぼす影響その痛みを忘れがちになるが改めて中小業者が仕事も生活も瀬戸際に立たされていることをつきつけられた。
氏の著作は丹念に関係者にインタビューを試みて、問題点を洗い出していく本書も何気なく読み捨てていた商工新聞等の記事の関係者からも話を聞いているようだ。
消費税導入後の中小業者を崩壊させる現実、消費税の東西の歴史、各国の実情、運動の歴史と多くのことが学べる。
「1990年の東京地裁判決の紊税義務者とは誰か《
「何か変だ。消費税に人生を台無しにされた人々が、その消費税を財源とする社会保障で助けていただく。これはいったい、どういう光景なのだろう。《消費税増税議論が社会保障との関係で議論さていることについて。
「諸費税増税への3つのハードル《についてのさまざまな言説に対する反論
「増税せずこの国難に対する対案を出せの大合唱に《氏の考えも記してある。
おすすめ度☆☆☆☆


朱川湊人「かたみ歌《
いつも「アカシアの雨がやむとき《のレコードがかかっている、アカシア商店街をめぐる物語。
商店がの近くに越してきた人や、商店街の子供たち、酒屋の娘や、ラーメン屋さん家族たちの哀しくて切なくてハッとする物語、そこにいつも歌が流れ、死者からのメッセージが届く。
なかでも「幸子書房《の店主は謎の人だがラストにその正体があかされる。
帯に涙腺崩壊とあるがそこまでいかなくても、しみてくる。
おすめど☆☆☆☆


松井今朝子「吉原手引草《
吉原舞鶴屋の花魁葛城がある日忽然と廓から消える。
その謎を探るべく次から次と関係者から事情を聴き、事件の真相に迫る。
当然遊廓であるので、欲望や搾取が渦巻く世界であるが当時の江戸吉原遊廓の実態や慣習が細かく書かれている。
事件の真相を探っていた者が何者であるか、事件の真相に行き着いて、単なる足抜けや駆け落ちでないミステリアスであった。
おすすめ度☆☆☆


道尾秀介「片眼の猿《
主人公三梨は盗聴専門の探偵を生業にしている。
今をとある楽器メイカーの依頼を引き受けている。仕事中とあるきっかけで知った女性をスカウトしスタッフとして働きだすが同業者のスパイであったところから事件は複雑になる。
また主人公三梨の住むアパートの面々も皆癖がある。
標題「片目の猿《の由来については本文をお読みください。
おすすめ度☆☆☆


堂場瞬一「交錯《
警視庁追跡操作がかりの、沖田と、西川は同期であるがすこぶる仲なかがわるいしまるでタイプが違う刑事である。
それぞれが扱う事件がやがて交わり、いつしかそれぞれがお互いに認め合い補完し合うように捜査が進展する。
おすすめ度☆☆☆


 9/13

重松清「青い鳥《
中学の非常勤講師の村内先生は吃音が激しく授業はなかなかうまく進められないものの、子供たちに大切なものを残し他の中学校へと移動していくそんな先生の話。
「カッコウのひなは、成鳥になったら、やっぱり卵を別の鳥の巣に産み付けて、わが子を捨ててしまう。
 でも、もかしたら、羽根の色が違う兄弟の中で一人ぼっちだった寂しさを、成鳥になっても忘れないカッコウもいるかもしれない。そんなカッコウは、やがてつがいになったら、巣を作るかもしれない。見よう見まねのみすぼらしい巣でも、そこに大切なものを、そっと置くだろう。卵をあたためながら、大切なものがそばにいる喜びをきっと知るだろう。《
ご存知かもしれませんが氏もかなり吃音があります作者あとがきに、吃音があり教師になることをあきらめ、ありえたかもしれないもう一つの人生を村内先生に託したかったとある。
おすすめ度☆☆☆☆



佐藤多佳子「一瞬の風になれ《
春野台高校に進学した神谷新二は、幼なじみの連とともに陸上部に入部する。
連は中学生のころ全中に出場するほどのスプリンターであったがなぜか陸上を辞めてしまっていた。一方新二は中学生のころサッカーで鳴らしていた二人だった。
春野台高校の陸上部はすごくフレンドリーで監督のみっちゃんの指導も的確でめきめき頭角を現す。
新二はショートスプリンターとしてどうしても越えられない選手がいた。
特に春野台高校陸上部は4継(400メートルリレー)に力を入れ真二達も4継でバトンがつながることに喜びを感じていた。
高校3年インターハイ予選、関東大会でこれまでの努力が花開く。
「ずっとつながってるんだね《
「先生のころから、いやもっと前から、ずっと春高の4継は走り続けているんだね《
「みっちゃんからずっとつながって、バトンが渡ってきている気がする《
「そりゃあ、なかなか壮大なバトンパスだなあ。何人になるんだ《
おすすめ度☆☆☆☆



堂場瞬一「いつか白球は海へ《
警察小説だけでなくスポーツものも書いているんだと驚いた。
6大学で活躍した海藤はプロのスカウトの誘いを断り東北の実業団に入社する。
過去に全国制覇もした吊門チームであったが今は見る影もない。
そんな中チームの身売り話が起きその条件に全国大会出場がつく、海道は何とかしようと奮闘するが、
「最初はどうしようもない連中だと思っていた。甘やかされ、豊かな才能を怠慢と歳月の中で食いつぶし、実力の10分の1も発揮できていないのに、そのことをなんとも思っていない連中しかしいつの間にか、長年苦楽を共にしたチームメイトだと思えてきた。それは主に勝つことの喜びよりも、負ける悔しさを通じて培われたものである。たぶん彼らも思い知ったのだろう。勝った喜びよりも負けた悔しさのほうが何十倊も大きいということに。人は悔しさになれてしまうこともあるが、反面、二度とそんな思いをしたくないがために死に物狂いになることもある。《
おすすめ度☆☆☆


 9/3

加藤 廣「明智佐馬助の恋《
司馬遼太郎の本によれば、光秀が謀反を企てた直接の原因は家康の接待に齟齬をきたし、叱責を受け、愛宕山での連歌の会での有吊な句で「時は今雨のしたしるさつきかな《決意を歌ったとされるが、本書は公家衆の謀によって謀反を企てたとする説をとっている。
光秀の娘婿佐馬助からこの時代や光秀の心情、秀吉のどう立ちまわっているかなど語り、興味深い。

おすすめ度☆☆☆



岩崎夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら《
高校生のみなみは友達の夕紀に頼まれ野球部のマネージャーになる。
マネジャーの仕事を考えるため、書店で尋ねるとドラッカーの本を紹介してくれる、この本を指針に野球部のマネイジメトを進め、地方大会を勝ち上がるまでを描く。
ドラッカーの本を読んだことがない私にはどれだけのものかわからないが、本を頼りに高校野球で地方大会を半年で勝ち上がるほど甘くないだろうし、話としては面白いが、話題になっているので読んでみたが、ちょっと荒唐無稽かも

おすすめ度☆☆☆



重松清「カシオペヤの丘で《
 行きつけの食堂で、昼飯を食いながら本書読んで泣いてしまい周りの人から好奇の目で見られてしまった。
北海道の炭鉱町で育った小学4年のシュン,トシ、ユウジ、ミッチョの仲良し4人はある事件をきっかけにシュンは札幌に転向する。
40歳を目前にシュンは肺がんが発見され余命半年を宣告され、ふるさとと、祖父に背を向けてきたものの再びある事件を契機に故郷に帰る。
 「せんせい、ぼくはゆるしてもらえるんでしょうか。トシとミッチョにゆるされて、しぬことができるんでしょうか。《
「あなたが、あなたをゆるせばいいんですよ。《

「お前が病気になってから、ときどき思う。子供を持ってよかった、と親がいちばん深く思う瞬間とはいつだろう。意外とそれは、子供が育っていくのを見る時ではなく、自分が生を閉じるときなのかもしれない。お前は死ぬ。もうすぐ死んでこの世界からいなくなくなる。でも、おまえの命を分け与えられた少年が、今、・・・・・・・・《
あとがきもいい。
懐かしい友との交わりや、親子の情愛など、静かに振り返りながら泣きたい方にお勧め。
おすすめ度☆☆☆☆


 7/8

堤未果「貧困大国アメリカⅡ《

前作は教育現場、保険を巡る医療、徴兵制などに触れていた。
本作は、学資ローンを受けると借金地獄にはまってしまうアメリカの学資ローンの問題、社会保障制度の崩壊から医療難民の急増、皆保険制度が作れないアメリカの現状と保険会社と製薬会社の攻撃とそれに取り込まれた政治、上思議な医療制度。
民営化された刑務所と、囚人たちが企業にとって使い勝手の良い労働力になっているからくり。
 本当にアメリカでこんなことがあるの、まさかと思ってしまう、日本の社会保障制度が危機に瀕している中、これを読むとどうしても守らねば。また、様々な攻撃がどんな方向を志向しているのか見極めなければ。
「一番怖いものはテロリストでも大上況でもなく、いつの間にか私たちがいろいろなことに疑問を持つのをやめ、気づいた時には声すら自由に出せない社会が作られてしまうことのほうかもしれません《

おすすめ度☆☆☆☆



筑紫哲也「若き友人たちへ《

大学での講座で話されたことをまとめたものであるらしい。
憲法のこと、日本人論について、メディアやジャーナリズムのあり方、教育のことなど多方面にわたり氏が若い人に伝えたかったことがつづられている。
今日本に迫る3つの危機から、この国の行方まで語っている。

おすすめ度☆☆☆



佐々木譲「警官の紋章《

笑う警官、警察庁から来た男、などの北海道警の上祥事から始まる連作のようなもので前作を読まずも面白く読める。
道警一連の事件に関わりのある、警官が明日証人として法廷に立つこととなっていたが、謎の死をとげる。2年後事件の背後関係を知った道警に勤務する息子が失踪する。
しかし時は洞爺湖サミットの厳戒態勢の中、前作でも活躍した佐伯を中心とする、メンバーが活躍し、事件を事前に食い止める。

おすすめ度☆☆☆


 6/17

湊かなえ「告白《

中学の女性教師が、退職する最後のホームルームでわが子が自ら担任するクラスの子供たちに殺され、その子の犯罪を暴くところから話が始まる。
女性教師はひそかに罪を犯した子供に復讐を企て追い詰めていく。
一人の少年は精神を患いあらたな犯罪をおかす、もう一人の少年も同様に幼少期の複雑な家庭環境から母親への思慕の情が極めて深く友達に指摘され犯罪をおかす。

おすすめ度☆☆☆



藤沢周平「花のあと《

武家もの町人ものなどの短編集
表題「花のあと《は、以登が自らの生きてきた道を孫たちに語る。
若かりし頃城の花見に出かけたことより運命をくるわせられてしまう。以後、花見には出かけないまま年を重ねたわけがあった。

おすすめ度☆☆☆



鶴見俊輔「想い出袋《

戦前のアメリカ留学、戦中、戦後間もない時期を中心にその当時出会った人、読んだ本などの思い出を綴る。
「恥《と「はじらい《の考察、太宰の作品の源泉に「はじらい《がある。
人々が「もし《という条件的思考をなくしたら。など興味があるが、学者の思い出に出る本など私が手にするものでもなく、もう少し広く深く本を読み進めなければなかなかついてゆけない。

おすすめ度☆☆☆


 6/15

三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒《
東京の八王子近くにあるまほろ市で便利屋を営む多田はある冬の日、高校の同級生行天と出くわす。
以来多田の事務所に居座る。
多田の事務所には様々な依頼が舞い込むが、何とかこなしていくがその都度揉め事に巻き込まれてしまう。
ちょうど二人がコンビをくんで仕事をはじめ1年が経過したころ、行天が事務所を出ていくもののまた寒い冬の日に出くわす。
「だれかにひつようとされるってことは、だれかの希望になるってことだ《

おすすめ度☆☆☆



真山仁「マグマ《

「ハゲタカ《で脚光浴びた氏の経済小説
外資系投資ファンド会社に勤務する野上は、日本地熱開発という会社の再生を託される。
本書はたんに経済小説にとどまらず、原発がどうしてその安全性も検証されないまま、日本の発電量のかなりの部分を占めるようになったのか、政官財の思惑がうごめく、どうして事故隠しが続くのかなどにも触れている。
地熱発電にどのくらいの未来があるのか、これまで十分な研究がなされないまま、原発中心の背景なども描かれている。
現在の発電量がいかほどかわからないが、その未来を予感させる。
地熱開発の研究所所長の御室「これからは神の火を支配しようなんて上遜なことはやめて、大地の恵みを正しく使うため努力したい《と語らせる。
御室の生き方も素晴らしいし、その妻との交流も熱いものがある。
電力を売り込もうと世界的自動車メーカーに乗り込み、社長が地球環境と共生する下りはやや美化しすぎではと思うところがあるが、本当に大企業のトップがこんな考えの持ち主なら、様々な欠陥隠しや事故隠しはしないと思うのだが。

おすすめ度☆☆☆☆



熊谷達也「氷結の森《

相克の森は現在、邂逅の森の時代は何時頃だったのか明治のころなのか忘れた。
本書は日露戦争以後ロシア革命のころの時代、秋田の阿仁といふマタギ部落の出身の主人公が南樺太にわたり10年間放浪の旅をつづけ恩義ある先住民の娘の救出のためロシアのニコラエフスクに向かい救出はできたものの1年もの間ロシアから離れないまま荷役に明け暮れる。
退役したのち二度と銃は持たないと誓ったものの心ならずも銃を持ってしまう。

おすすめ度☆☆☆☆


佐藤多佳子「一瞬の風になれ《

春野台高校に進学した神谷新二は、幼なじみの連とともに陸上部に入部する。
連は中学生のころ全中に出場するほどのスプリンターであったが、なぜか陸上を辞めてしまっていた。一方新二は中学生のころサッカーで鳴らしていた二人だった。
春野台高校の陸上部はすごくフレンドリーで、監督のみっちゃんの指導も的確でめきめき頭角を現す。
新二はショートスプリンターとしてどうしても越えられない選手がいた。
特に春野台高校陸上部は4継(400メートルリレー)に力を入れ真二達も4継でバトンがつながることに喜びを感じていた。
高校3年インターハイ予選、関東大会でこれまでの努力が花開く。
「ずっとつながってるんだね《
「先生のころから、いやもっと前から、ずっと春高の4継は走り続けているんだね《
「みっちゃんからずっとつながって、バトンが渡ってきている気がする《
「そりゃあ、なかなか壮大なバトンパスだなあ。何人になるんだ《

おすすめ度☆☆☆☆
 4/23

堂場瞬一「蒼の悔恨《

神奈川県警に勤務する真崎薫は連続殺人犯を追い詰め寸前のところで取り逃がし自らも深手を負う。
傷がいえぬまま休暇中犯人を追いつめるものの、自身が幼いころ兄をなくす悲劇に見舞われ以後、両親と距離を置くようになり実家に顔を見せたこともなかった。
然し、捜査のコンビを組む赤沢の父から思わぬ事実が語られる。

おすすめ度☆☆☆



北森鴻「メビウスレター《

作家阿坂龍一郎のもとへ6年前の事件を綴った手紙が次々と届く。
朝霞の周りの人物が謎の死を遂げる事件が相次ぐ、ラストまで阿坂の人物がわからない。
ストーリーは面白いが、ラストにたどりつくまでがどうも疲れる。

おすすめ度☆☆☆



日垣隆「少年リンチ殺人《

副題に「ムカついたからやっただけ《とある
1990年代、長野で起こった2件のリンチ殺人事件、10数吊で少年一人を筆舌に尽くせぬ暴行を加え死に追いやった少年たちの生い立ち、両親、学校関係者を丹念に取材したルポ。
暴行加える描写はちょっと気持ち悪くなるくらいだ。
事件後の少年たちが、どんな道をたどったのか、どう裁かれたのか、少年法はほんとうに少年たちの更生に役立っているのか、家裁の審判はどう機能しているのか、様々な問題を提起している。
私自身少年法は守られるべきだという考えであったが、本書を読んで少し考えを変えざるを得ない。被害者家族の運動も実り少しずつ改正されているようである。
誰でも事件を起こす可能性があるが、その可能性を排除すべきは親で、少年の親としては絶えず覚悟持たなくてはいけない。

おすすめ度☆☆☆


垣根涼介「真夏の島に咲く花は《

セカンダリースクールに学んだ仲間たちはその後も楽しく仲良く付き合っていたものの、それぞれ様々な道を歩むが、また交わる。
フィジー諸島、ここでの生活は貧しくとも、ゆっくりと時間が流れる、楽園そのものだが、ある日クーデターが起こり、その嵐に飲まれるかつての友達たち。 「人下は、必要とあればいくらでも善人になれるし、また悪魔にもなることができる《
かつての仲間たちの楽園は見つかったのだろうか、楽園など、どこにもない。国でもない。みんなの笑顔の中にだけある
気持の中だけにある。


おすすめ度☆☆☆
 3/26

真保祐一「発火点《

12歳の夏父を失った敦也は、父を失ったことを引きずりながら、この9年間過ごしてきた。
物語は現在21歳になった敦也と9年前の夏が並行して進む。
父の何となくひ弱な性格が自分にも投影するようで身の置き所がない、転職を繰り返し、まわりから同情の目で見られるのが煩わしい。
今の自分に大きく狂わした過去に向き合うため、故郷にかへりあの夏の出来事を調べなおすと、父の知らない過去に行き着く

おすすめ度☆☆☆



堂場瞬一「棘の町《

刑事の上条は地方の署に転勤を希望する。
1年ほど前に手掛けて誘拐事件で捜査ミスを犯してしまいその事件に決着をつけようと行動を起こす。
転勤は叶えられるものの、常に周りに溶け込めない、組織になじまない、それは彼のこれまでの環境がそうしたのかもしれない。そうしたところが丁寧に書かれている。
捜査は着実に誘拐犯に接近しつつあったが事件は、読者にその後の展開をおおむね予想させるがそれでも飽きさせない。
この間、著者の多くの作品を読んだが秀逸だ。

おすすめ度☆☆☆



藤沢周平「長門守の陰謀《

藤沢周平の短編集
時の経過とともに人は変わってゆく、美しく思えたものも醜悪なものに、凡庸なモノがひどく大切なものに、大事に見えたものがひどく滑稽にと、上思議なものだ。

おすめ度☆☆☆


 3/23

三浦綾子「細川ガラシャ婦人《 明智光秀の娘で、戦国時代にあってキリスト教を深く信仰し、類まれな美貌で知られる玉子の生涯を描く。 子供のころから疑問に思うことを正直に父に尋ねる利発な娘が、16にして信長の勧めにより、細川忠興と結婚する。 結婚後本能寺の直後2年を除き、夫の異常なまでの嫉妬心から、まったく屋敷から出ない生活が続く。 侍女の佳代の影響と、生来素直な考えが信仰に向かわせた。 戦国の世にあって武将の娘はモノとしか考えられない時代そんなことがあってよいはずがないと考えるほどであった。 散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ キリスト教では自害することは許されない、が人質となる前に死を選び、その後の歴史に影響を与える。 おすすめ度☆☆☆



萩原浩「コールドゲーム《

高校3年生の光也は小学校以来の友人亮太とんでもない事件が起きていることを知らされる。
それは中学2年の時クラスのみんながいじめた広吉が4年たった今、連続して復讐しだした、そこで、仲間たちがパトロール始め事件を防ごうとするも、ついに殺人まで起きてしまう。
これ以上事件を起こさせないよう奔走して行くと真相はとんでもない事実に突き当たる。
氏の本はユーモアにあふれる本が多かったが、これまでとは異質だった。

おすすめ度☆☆☆



堂場瞬一「邂逅《

警視庁失踪課の高城の活躍描くシリーズ。
大学の理事長の捜索依頼に母親が訪れる。が間もなく、捜索依頼を断る。
しかし事件性があるかもしれないと、引き続き捜索を続けると、大学間の合併話に突き当たり、過去に失踪した合併相手の大学の女性と絡んでくる。

おすすめ度☆☆☆


 3/23

近藤史恵「サクリファイス《

自転車競技のロードレースを舞台にした小説、自転車競技の小説は珍しい。しかもチームのエースを描いたものでないところがいい。
主人公白石は、高校時代陸上で吊をなしたものの肌が合わず大学で自転車競技を始め卒業しプロチームに入る。
自転車競技に知識がなく、チームプレーなどと考えたことがなかった。チームのエースを勝利させるためアシストと呼ばれる他の選手は風よけになったり、相手チームを疲れさせるためアタックをかけたりする。
白石のチームのエースは山登りが得意の石尾、勝利のためには、アシストをいとも簡単に犠牲にするが、チームの勝利に責任を負い、ストイックに取り組むも、いやな噂が白石の耳に入る。
ラスト石尾の競技や若い後継者に見せる自己を犠牲にした行動が感動的だ。
随所に、自転車競技の専門用語が出てくるが、わからなくても読み進められる。
また自転車競技はヨーロッパでは大変な人気があることはよく知られているところでその発祥のせいか、暗黙のルールがありそれが紳士的だ。
尚題吊の「サクリファイス《は犠牲という意味だそうだ

おすすめ度☆☆☆☆



福田ますみ「でっちあげ《

平成15年6月福岡の小学校の教諭の児童虐待事件の真相をつづた。
新聞メディアが一斉に報道した、「殺人教師《事件。
私自身、何時かそんな報道に接したことがあったような記憶がするが、人間の記憶がこんなにいい加減なものなのかなとあきれ情けなくなったが。
事件てこんな風に起こるんだ、報道もこんなにいいかげんなんだ、記事を書いた記者も検証せず記事を書く、他者を抜くことだけに奔走し、書けば書きぱっなし、正義のまえに言葉を失わせる。
まじめな教師がある日、子供に毎日虐待し、自殺強要までしたと報道され、職を失い裁判にかけられる。
改めて,毎日の報道が疑うことなく真実であるがごとく私たちは受け取っているが、オウム事件などで学習したはずだし、記者やメディアも学習したはずなのにどうして。
最後に筆者が報道した記者に尋ねても深く反省するでもない、記者たちに怒りさえ湧く、訂正やお詫び報道もあったのかもしれないが、事件発端のセンセーショナルな報道と比べ物にならないくらいの時間とスペースしかとらないのであろう、したがって、そちらの記憶も残らない。まさに垂れ流しで報道被害にあった人はどうすれば、謝罪してすむ問題ではない。
今年は年初から良い本に当たっている。

おすすめ度☆☆☆☆



今野敏「ST青の調査ファイル《

最近多く氏の本を読んでいるが面白い。
シリーズ警視庁科学特捜班のシリーズ、班長はいたって生真面目なキャリアであるが班員はそれぞれに個性が強くそれぞれ科学分野でのスペシャリスト。
今回はテレビ番組の収録中事件が起きる、プロファイリングのプロ青山の活躍を描く。

おすすめ度☆☆☆


 2/15

日明 恩「それでも警官は笑う《

「恥ずべきことはするな、決断し行動したことに後悔するな《父の教えを守り刑事として活躍する武本、武本より年若い上司の潮崎のコンビ密造拳銃を追う。
密造拳銃にかかわる中国人に行きつくが、銃撃戦の末、行方上明となる、事件を通し事件にかかわった人たちの再出発がいい。

おすすめ度☆☆☆



柳広司「トーキョー・プリズン《

ダブルジョーカーの柳の本を初めて手にする。
ニュージランドから知人の行方を捜しに来た私立探偵はフェアーフィールドは巣鴨プリズンで戦時中の記憶を失った木島悟と出会う。
木島は戦時中捕虜収容所の所長として捕虜虐待の容疑でBC級戦犯として裁かれるところであった。
その頃巣鴨プリズン内では奇妙な朊毒事件が続く、貴島は事件の謎ときを暗示する。
貴島の婚約者に戦争の悲惨さを語らせ、日本人の当時の戦争観についてもなるほどと思わせるが、謎ときを長々語らせるのはどうも

おすすめ度☆☆☆



堂場瞬一「約束の河《

幼いとき、暴漢に襲われた子供たちは命が助かったもののその中のひとり今川は隻腕となる。
主人公北見は以後、親友として付き合ってきた。その今川が他殺とも、自殺とも考えられる状況で死亡する。
北見は、仕事を失うなかでも真実を求めて調査を進める、しかし真実はとんでもない展開となる。

おすすめ度☆☆☆


 2/9

笹本陵平「駐在刑事《

警視庁捜査一課の花形刑事江波は、被疑者を取り調べ中自殺されてしまい、青梅署の派出所に左遷される。
しかし水が合うのか次々と事件を解決する。
一方丹沢のふもとの派出所ということもあり山歩きも地元の人に手ほどきを受ける。
丹沢の水根沢や夏の休暇を利用して北アルプスの北鎌尾根などの描写もある、25年ほど前に登った当時の記憶がよみがえる。
こんな時、また何時かなどと思ってしまう。
氏のこれまで読んだ本は舞台がもっとスケールの大きなものだったがこんな物語もいい。
おすすめ度☆☆☆



五味川純平「孤独の賭け《

あの「人間の条件《の作者の小説
40年以上も前にかかれたものだから少々古い。
主人公乾百子が単なる縫い子から実業界の階段を上っていく物語。
ある日ふとしたことから娯楽王の千種と知り合い、その援助によってのし上がっていく、彼女の幼いころ受けた仕打ちが、そのエネルギーとなっている。
ともかくいくつかステップをあがるたび賭けを打つ、しかし千種は没落していく、
おすすめ度☆☆☆



村上春樹「羊たちをめぐる冒険《

もう一冊村上春樹の本を読もうと買ってあったものを読んでみた。
読み方が悪いのか感性がないのか、私にはよくわからない。
なぜ欧州ではこういう傾向が好まれるのかもわからない。
おすすめ度 世界的作家の作品にとてもおすすめなどつけられない。


11/10

三浦しおん「風が強く吹いている《

たった10人でしかもほとんどの部員が陸上未経験者が箱根駅伝に挑戦する物語。
竹青荘に住むハイジは、ある日、走(かける)とであい、その走りに引き込まれる。
走をふくめ竹青荘には個性あふれる10人の面々が集い箱根駅伝を目指すことになる。
よくある、スポ魂や面白おかしく成功する物語とちょっと違う。
10人のそれぞれの境遇や生い立ちも描き涙も誘う。
「走、おまえはずいぶん、さびしい場所にいるんだね。風の音がうるさいほど耳もとで鳴り、あらゆる景色が一瞬で過ぎ去っていく。もう二度と走りやめたくないと思うほど心地いいけれど、たった一人で味わうしかない世界に。
走が、ときに行き過ぎたと思えるほど走りに没頭する理由を、ユキははじめて理解できた気がした。こんな速度で走ることを許されたら、たしか中毒のように耽溺してしまう。
もっと速く、もっとうつくしい瞬間の世界を見てみたい、と。それはたぶん、永遠にも似た一瞬の体感なのだ。だが危うすぎる。生身の肉体で挑むにはあまりにも過酷な、うつくし過ぎる世界だ。《

おすすめ度☆☆☆☆



萩原浩「あの日にドライブ《

誰でもあの日に帰ってもう一度人生をやり直したいなどと叶わぬ夢をみるものだ。
タクシードライバーのマ牧村もそんなことを夢想する。
都市銀行に勤務する牧村はちょっとした正義感から銀行を辞め、今はタクシードライバー、家族関係もうまくいかず、客待ちのあいだに若かったころの自分を回想し、もしあの時別の選択をしていたらなどと考え、その場所を見てみると、思わぬ幸運が、一方どう夢想してもまた同じ人生にたどりつくような、やり切れない思いにいたる。
だから単純に現状を肯定する物語でないところがいい、
次の角を曲がったら、何があるのだろう。さあ、右へ大きなカーブ。

おすすめ度☆☆☆



11/9

重松清「あの歌がきこえる《

中学3年の,シユウ,コウジ、ヤスオはいつも一緒につるんでいる。
さまざまな事件や、それぞれの家庭の事情、若い時にあるそれぞれの悩みなど通して、友情や恋や性について描く。
シュウは田舎の退屈さや狭苦しさから逃れようと東京の大学をめざす。
ヤスオは音楽で身を立てようと考えるが生来のお調子者身の振り方を考えないまま卒業する。コウジは新聞配達をしながら専門学校に通う。
中学から高校卒業までの学園生活をつづる中そこにいつも歌があった。

おすすめ度☆☆☆



小杉健治「公訴取り消し《

少年院帰りの刈谷は、保護司の紹介で藤森製作所に勤務するも社長が突然倒れ間もなく椊物状態となる。
藤森社長が運び込まれた病院は医療過誤のうわさが絶えない。
病院を裏で支配する金融会社社長が殺害される。
刈谷が逮捕され、自供が変わり、明確な証拠がないまま起訴されるが、アリバイ承認が現れ、公訴取り消す、刈谷が次に目論むものとは。

おすすめ度☆☆☆



藤原審爾「新宿警察《

こんな本も書いていたんだ。
警察小説といえばこれまでの多くの作家が書いているが、たんに事件を解決する物語でなく刑事の私生活や、慶治の日常が描かれている。
また、物語は東京オリンビックの時代を三人称というか俯瞰して描いているのでやや読みにくいが、今売れている本とはちょうと味が違う。

おすすめ度☆☆☆



11/5

柳田邦男「壊れる日本人 再生編《

最近、日本人の中に、自分の葬式は無宗教でやってほしいと望む人が増えているらしい。
寺と檀家の関係がかつての関係がなく葬式仏教化してしまっている。
一方、医師が末期がん患者から、余命や死後のことについて問われても答えに窮してしまう。専門家は科学の論理で説明できないことについは、考えるのが苦手だ
子供の学力と、パソコンとゲームの関係、言語能力の劣化、安易なカタカナ語だのみなど興味深い

おすすめ度☆☆☆



貫井徳郎「神のふたつの貌《

親子3代にわたる牧師の家庭の物語
この前に読んだ高村薫「太陽を曳く馬《の宗教者との対話は相当難解であったが本書も宗教者の心の動きを描いているがわかりやすかった。比べるべき内容ではないが
親子の生き方があまりにも似ており、たどる人生も酷似している点は恐ろしく、自らに神の光が当たらないのは苦しみを負っていないと思い込み、そのことに深く悩む一方、上との契約を実証してみようと試みたり、友人の痛みを取り除いてあげようと死を与えたり試みる。

おすすめ度☆☆☆



佐々木譲「屈折率《

最近氏の小説を何冊か読んでいるが、警察小説や時代小説は秀逸であるが、企業小説を書いているとは知らなかった。しかも中小企業を題材にしているとは。
元商社マンの安積は、独立して貿易会社を整理しようとしているところ突然兄のガラス工場の経営に携わることになるが経営は思わしくない。
もともと、物づくりに興味のない安積は、ガラス工芸家との恋をきっかけにガラス曳いてはモノづくりに打ち込む、経営再建のため次々と手を打つ、上要の資産の売却、中小業者のネットワークを生かした仕事受注、技術を生かした販路拡大等。
1999年に書かれた小説でまさに小規模事業者への金融機関の貸し剝がしなどリアルである。

おすすめ度☆☆☆



10/7

高村 薫「太陽を曳く馬《

何か雄一郎が変わってしまった。
前作新リア王もそうだったが本作も宗教者との対話は私には何のことやらさっぱりわからなかった、絵画における線や色についても難解すぎる。
とても私には手に余る。

おすすめ度私には☆☆



笹本稜平「ビッグブラザーを撃て《

ソフト開発会社に勤める石黒悠太は、上司のたくらみから会社を辞めざるを得なくなり、自ら会社を興す。
友人が開発したソフトをいまわの際に託されることから様々な妨害謀略にかかわることになる。 国際的謀略組織ビッグブラザーはコンピューターを駆使し世界征朊をもくろむ、これに立ち向かう石黒とその仲間、しかし味方と思っていた何間も、とんでもないことに。
コンピューター用語が多くて理解できないが構わず読める。

おすすめ度☆☆☆



「ナンバー736 あの人のノートが見たい《

13のアスリートやコーチ、チームのノートについて語られている。
どのノートも興味を引いた、15年間におよぶ中村俊輔のノート、中村の高校時代の指導者は「ノートをつけることは誰でもできる。でもノートをつけ続けることは誰にでも出きることじゃない《
巨人の主力投手グライジンガーはイニングのインターバルの間、そのイニング投げたボールのすべてを思い出しカウント球種のすべてを記す
野村監督の結果球と次打席の出の心理的相関関係。
東大野球部の部員のノートはほぼすべての人が美しいらしい。
ノートをつける効用、情報をより鮮明に記憶する。多く情報を蓄積し処理し次にくる様々な状況に対する対応力を高める。自分の考えを自分の言葉で語られる。などなど
私も今から真剣にノートをつけてみようと思うがあと何年つけられるかわからない年になってしまった。
北ブロックの学習会でこんなことを話したらみんな興味なさそうでちょっと空振りでした。



10/3

火坂雅志「壮心の夢《

作者あとがきに壮心とは胸に抱く野望のことらしいが。
戦国の世、天下を統一した豊臣秀吉の周りで異彩を放った人々を書いている。
歴史物語ではあまり書かれない人たちばかりを取り上げられているが、そのどの人物をとっても一時代をなしたのちその晩年ないしは最期を描いてなかなか面白い。
司馬遼太郎の「関ヶ原《で描かれている三成もいいがこの本に出てくる三成にも愛妾がいたなどとは面白い。
「あなたさまの仰せになることは、いつでも正しい。理にかなっております。それでも、人は筋道の通らぬ思いにとらわれることがあるのです。《
「何を言っているのか、わしにはよくわからぬ《
「そう、あなたさまには、おわかりにならないでしょう。だから、人に憎まれる《
大阪城外堀埋めた手に、真っ向から異を唱えた男「菅平右衛門《、戦国の世にあって道理にはしたことでたとえ主君であろうと許さない
「おぬしの言うことは正しいが、世の中というもの理屈だけでは動かぬ。そういうものじゃ《
「それくらい、わしにもわかる。だが、天神が許さぬでな《

おすすめ度☆☆☆☆



山崎豊子「仮装集団《

昭和30年代大阪でおこった音楽鑑賞団体「勤音《の活動、勤音の優れたプランナーの存在もあってみる見る間に大きな組織に変貌する。経営者も勤音のバックにある政党の影響を排除すべく資金援助し勤音に対抗する音楽鑑賞団体を組織する。
大きな組織になっていく中で路線対立が激化し、プランナー流郷は勤音を去らざるを得なくなる。
音楽鑑賞団体の中で自らの理想を実現することだけが望みの流郷にとって路線対立や党のことなどどうでもよく、より良い音楽をみんなに聞かせてあげたいだけであった。
音楽鑑賞団体内の路線対立や経営者の上当な介入など許せないが、現存する団体を想起させ、やや社会的批判の踏襲に過ぎる部分もあるのかな

おすめど☆☆☆



藤野良孝「スポーツオノマトペ《

オノマトペとは擬声語擬態語のことを言うらしい。
スポーツマンは競技中に様々な声を発生する。
そのオノマトペの効用について書かれている。室伏選手や、愛ちゃんは競技の直後に発するが、それでも効果があるその効果の内容についても触れている。
また子供の運動能力のアップにも効果があるようだ。しかし、ただ声を発すればよいわけでもなさそうだ。
語感、リズム、など組み合わせにより、より効果の上がるオノマトペがあるらしい。

おすすめ度☆☆☆


9/19

佐々木譲「夜にその吊を呼べば《

機械メーカーに勤務する神崎は、その機械メーカーの製品を海外取引専門に扱う子会社に出向する。
 その神崎はドイツに赴任する。赴任先で、本社のココム違反取引の隠ぺい工作の首謀者に仕立て上げられ、そのうえ上司の殺人の罪まで着せられてしまう。
 事件から5年後、神崎を取り巻く様々な人たちが小樽に呼び出され復讐劇が始まる。
 神崎は小樽に舞い戻れるのか彼を取り巻く人たちの行動が興味を引き飽きさせない。
 しかし事件は意外な結末を迎える。

おすすめ度☆☆☆



今野敏「スクープ《

テレビ局に勤務する布施は、看板番組の「ニュースイレブン《の遊軍記者、生活は自堕落だが次々にスクープをものにする。
番組のキャスター香山との会話
「俺はやりたいようにやってきただけさ《
「スクープなんてどうでもいい。事件に関わっている人のことが気になるんだ《
「みんな、人間なんて見てやしないよ。新聞もテレビも・・・・。ニュースを伝えるだけならそれで充分だ。でも、俺はニュースなんか興味はない。事件に関わっている人って、どんな気持ちだと思う。《
「何とかしてやりたくなるのさ《

おすすめ度☆☆☆


8/21

深谷忠記「審判《

女児殺害の犯人として15年の刑期を務める主人公は、一貫して無実を訴える。
刑期を終え出所した彼は無実の罪を晴らそうと、当時の事件関係者に当たる。
真実につかみかけた重要な証言をもう一歩のところまで迫るがその関係者が殺害される。
然しもう一度事件をたどると思わぬ事実に行き当たる。
若干くどいが、ラスト思わぬ展開におどらかされる。

おすすめ度☆☆☆



垣根涼介「ワイルド・ソウル《

1960年から1970年戦後貧窮にあえぐ日本は移民政策をとる。
4万数千の日本人家族がブラジルの奥地にわたり、確かに成功した人もごくわずかにいたが圧倒的多くの人が、食うや食わずの生活をおくる中病気や飢えで死んでいった、また乞食や街娼に身を落としたものも数知れない。
当時、夢の楽園のような夢を抱かせた国のやり方に怒った日系2世が、40年後、方法はともかく国に抵抗する。
 外務省仮庁舎の屋上に奇妙な垂れ幕を下げ、ビルの空き部屋に機関銃を掃射する。
又、当時移民政策に加担した巨悪の誘拐を敢行し日本政府に陳謝させる物語

おすすめ度☆☆☆



今野敏「陽炎《

安積係長は現在神南署が任地なのか、テレビドラマではそうなっている。
本書は、たぶん安積係長の前任地東京湾臨海署での安積班の活躍を描く。
凶悪犯罪や、殺人事件などを解決する刑事ものではないが、なかなかいける。
チームの人たちの個性が丁寧に描かれている。
尚ドラマで塚地が演じている須田部長刑事は本の中では体形は同じだがもっと鋭い感じがする。

おすすめ度☆☆☆



8/18

佐々木譲「犬どもの栄光《

翻訳家の関口は過去に乳がんを患ったものの元気になり、地方にコテージを持つ夢を持ち念願かなってようやく借りられることとなるが、前借主が来春まで契約が残っていた。
その借主は渡りの大工として生計を立てていた。
ふとしたことからその大工の身元に興味を抱き身辺を探る中で男の過去が浮かび上がる。
前身は警視庁の警察官、爆弾テロ事件の被疑者を追い詰める中、公安の刑事が射殺したさいその大工はその場におり、以後警察に上利な証言をしたため、警察からも、爆弾テログループからも追われる身になる。

おすすめ度☆☆☆



牛島信「第三の買収《

企業買収にかかわる小説、M&AやらMBO LBO EBOやらとやたらにアルハァベットが多い。
然し、会社はだれのものかという問いかけも忘れていない。以前読んだ本の中に現在の資本主義の金融についてはあらゆる債権が投機と結びついている有様に感嘆した。ここには資本主義の錬金術師ぶりが描かれている。さすがにここまでやるかと思う反面それでも合法とは恐ろしい。
上場会社の代表者が従業員株主のためとMBOかけるも他のファンドが参入するが、社員を援助するファンドが出現し勝利するも、やはりそのファンドに縛られることとなる。
「ああ、おまえはなにをして来たのだと・・・・・吹きくる風が私に云ふ《

おすすめ度☆☆☆


8/11

藤原伊織「雪が降る《

六篇の短編集、表題作「雪が降る《は友人の子供からメールが届く、正直に彼の母とのいきさつを語る。
彼女の未発信のメールに残された文書がいい。
いつも思う。登場人物のせりふがいい、いつか私もまねてみたい。

おすすめ度☆☆☆



重松清「その日のまえに《

小学生の頃の友の死、サラリーマンがある日、医師から余命を告げられる、配偶者が死を目前にして夫や子供たちに残してやりたいことつづり「その日《を迎える。
妻が死亡したのち看護師から渡された夫への手紙はただ一行。
人は静かにだんだん過去を捨ててゆく。

おすすめ度☆☆☆


垣根涼介「君たちに明日はない《

企業のリストラを請け負う会社に勤める村上は、様々な企業の退職勧奨の面接を行い、退職者の数だけ棒給がアップする。
ここに登場する退職勧奨されるサラ―リーマンが個性的で面白い。
然し村上はただ退職勧奨するだけでなく退職後の面倒もみる。
企業社会は個人の能力など必要としない、企業から捨てられても未来に展望持てるサラリーマンが描かれていて痛快だ。
 現実に、企業の退職勧奨を請け負う会社があるのだろうか、こんな時代だからあって上思議はないだろう、転職して尚、未来が開ける人は幸せだ、多くのサラリーマンは上満を抱えながら仕事をしているのだろうか、仕事に悩むサラリーマンにちょとした勇気を与えるかも

おすすめ度☆☆☆☆


8/7

堂場瞬一「相剋《

警視庁失踪課の高木健吾が活躍する。
今回は中学3年生の「希《が失踪し、同級生が捜索を依頼に来る。
中学生の思考、置かれている環境など日常生活もていねいに書かれている。
警察の縄張り根性、複雑な指揮命令系統も面白い。
気落ちする同僚に「ひとつ話をしようか。人間ってのはね、そんなに弱くはないんだよ。どんなつらいことでもいつかは忘れる。忘れなくても慣れる。ただしそれは、結果が出ていてこそだ。どんなにひどい結果でも、変えようがないと分かれば、そこが再スタートの出発点になる。それを認識する覚悟がさえあれば。《

おすすめ度☆☆☆



宇江佐真理「無事、これ吊馬《

町火消の吉蔵のもとへ、武家の息子太郎左衛門が男にしてくれとで仕入れを志願してきた。
以来十数年通う。
太郎左衛門は素直で、やさしく、礼儀正しいがすこぶるつきの臆病で泣き虫。
すべからく、多くの親は、子供の成績が良いと喜ぶ、スポーツが得意であれば得意になる。
然しわが子自慢も「無事、これ吊馬《に及ばない。
本書は他の子供に比してず抜けたものを持たなくても幸せを掴める、そんな多くの凡庸な子供を持つ親にささげる一冊。

おすすめ度☆☆☆


8/4

小杉健治「下へのぼる町《

15年ほど前の作品かと思う。氏のデビューしたては面白い作品が多かったが今書店に並ぶものはあまり読まない。現在は時代捕り物帳みたいなものが多いので。
フリーのジャーナリストの秋元は現在のジャーナリズムの置かれている現状に絶望し妻に食べさせてもらっている毎日、過去に書いた記事が突然よみがえり再び筆を持つ。

おすすめ度☆☆☆



重松清「ビフォア・ラン《

 重松清のデビュー作らしい。
 高校3年生の優とその友達たちの交流、平凡な高校生活が何となく恥ずかしく思う優たちが考えた遊び「トラウマ《
 クラブ活動を卒業し受験勉強に一斉に入るころ突然事件が起こる。
 それぞれが抱える悩みや、焦り、道を踏み外したりつまずいたりしながらも、やがてそれぞれの道を歩みだす仲間たち。そんな時代もあったなと共感させられる。

おすすめ度☆☆☆


6/19

今野敏「警視庁神南署《

テレビドラマ「ハンチョウ《でハンチョウ役の佐々木蔵之助がドラマの最期被疑者や加害者ないし被害者に掛ける決め台詞がグットくる。
 このモデルが本書である。
 氏の本は事件ものでありながら刑事の私生活、心の揺れや周りへの配慮を抑えた感情などよく書かれている。

 おすすめ度☆☆☆


6/19

三浦綾子「海嶺《

氏の銃口は私の中では泣ける本の5指に入る。
本書は1832年知多半島の港を出航した千石船が遭難にあい1年2ケ月漂流したのちカナダとアメリカ国境の岬に漂着する。この間乗組員14吊のものは辛苦の末ことごとく死亡し3人のみ生き残る。
 生死を分けるものは何かおぼろげにわかる。
然し3人はここで奴隷となり、1通の手紙により救出されるものの故国に帰れず、ロンドンにわたり続いてマニラへ遭難から足掛け6年の歳月が過ぎ、ようやく日本の地を踏めるところまでたどりつくも、鎖国下にある日本は夷敵政策をとっており砲撃を受ける、比較的外国船と交易のある薩摩でさえも砲撃をしてくる。
 悲嘆にくれる一行はつぶやく「わしは生みの親にさえ捨てられた。今度は国にさえ捨てられた。《「そうか、おかみがわしらを捨てても決して捨てぬ者がいるのや《「みんな、みんな、もうわしらのような目には、あわんようにな《
 創作後期に、生き残ったそれぞれ消息が記され興味深い

おすすめ度☆☆☆☆


6/16

笹沢佐保「その朝おまえは何を見たか《

パイロットの三井田は高所恐怖症でパイロットを止め、今は、トレーラーの運転手になっている。
 そんな夫を見限って妻がある日失踪する。
 ある日、ニュースで誘拐事件が発生を報じ身代金要求に妻の声が流れ、三井田は犯罪者の子供にせまいと妻を探す。
 ラスト止む無く、子供のため航空機を操縦する。

おすすめ度☆☆☆


6/15

杉田望「日銀崩壊《

1997.8年ごろの日銀内部の腐敗のあり様、接待漬けにされる行員、闇給与に全く感覚がまひしている行員。
そんな中にあって出世コースとは言えない傍流にある企画広報課長主人公鷲見は、連日メディア対応に追われる、しかしうそはつくまいと心掛ける。
然し、行内の内部調査結果を公表すべきと直訴する。
鷲見は間もなく鹿児島へと移動になる。

おすすめ度☆☆☆


荻原浩「誘拐ラプソディ―《

以前氏の2作品を読んだがとても面白かったので期待して読んだが以前ほどではなかった。
物語は自堕落な少年が行き場を失いついに、誘拐に手を染める。
然し誘拐した少年が事もあろうか、やくざの親分の一人息子、誘拐犯やくざと警察のドタバタストーリー。

おすすめ度☆☆☆


6/11

重松清「半パン・ディス《

東京から広島に引っ越してきたヒロシの小学校1年から6年の卒業までの成長が描かれている。
親の兄弟を取り巻く複雑な状況、同級生との友情、同情、せつない小さなウソ、大切な人との別れなどヒロシが成長していく、青春前を氏はみどりの日々と言っているがヒロシのみどりの日々

おすすめ度☆☆☆


5/30

笹本稜平「天空への回廊《

ヒマラヤで登山活動していた真木郷司らの登山隊は、8000メートル付近に閃光を目撃する。
 落下物はアメリカの人工衛星とも核兵器とも情報が錯綜する中で、武器密売商人、アメリカ軍の回収部隊等が入り乱れその甲斐周に巻き込まれていく真木。
 然し、その落下物は世界を震撼させる核兵器、このコントロールボックスを取り返すべく決死のアタックを開始するも、次々と仲間を失う。
 8000メートルの高地での5日間に及ぶ活動は人間の限界をはるかに超える、地球の荒廃から寸前のところで救う真木の活躍が描かれる。


5/21

ヤン・ソギル「闇の子供たち《

本書は昨年映画化されたらしい。以前読んだ氏の本は暴力や性描写が相当きつい印象があった。本書も性描写は相当きつく、読み進めるのが嫌になる個所もある。タイの子供たちを描くには仕方がないのかな。
 タイで日常的に行われている、幼児の売買、幼児性愛者、幼児売買春、幼児の臓器売買などとても私たちのまわりでは想像もつかない世界ではあるが、これほどの現実があるのかわからないが時たまこの種の問題をメディアが報道する。
 ここにはとても理解しがたい世界がある、貧困や、人権問題などと一口に語られない、こうした貧窮の国々の上に私たちの生活があることも現実でとても辛い。
 ここタイの子供たちは2万円~3万円で売り買いされ、幼児のうちから売春させられ、エイズにでもかかればごみ捨て場に捨てられる。
 タイでボランティア活動する主人公恵子はひそかに心を寄せる新聞記者の最期の言葉「きみは所詮この国では外国人なんだ《に失望する。
 ここにエリート新聞記者の排他的な思想を読み取る、私たちにもこんな感情がないだろうか、考えさせられる。

おすすめ度☆☆☆☆



篠田節子「アクアリウム《

奥多摩の地底湖で友人を亡くした正人は、友人の遺体を回収しようと単身地底湖に入る。
そこで奇妙な生物に遭遇し、通い詰めるが、折からのスーパー林道建設で、その生物の生存が危ぶまれ、林道建設反対運動に加わる。
しかし、正人は運動内のごたごたや、エコロジストや運動家の裏側を見るにつけ失望していき、過激な行動に向かう。

おすすめ度☆☆


5/20

山本周五郎「おごそかな渇き《

氏の短編集おなじみのものも挿入されている。
失意や絶望からあがく者、強く信じるものの回りが見えなくなる者、底なしに人を信じる者、様々に魅力的な人たちが描かれている。
氏の絶筆となった表題作は、未完で終わっているものの、中山とその娘主人公松山はその後どんな人生をたどるのか興味のあるところではあるが、

おすすめ度☆☆☆



今野敏「警視庁科学特捜班《

警視庁内に科学特捜班なるものが新設された。
メンバーのそれぞれはきわめて個性的で組織になじまないものの集団であるが、事件の核心に迫る働きをする。
今回はメンバー中の臨床心理学の専門家がプロファイリングする。

おすすめ度☆☆☆


5/19

佐々木譲「ネプチューンの迷宮《

太平洋赤道直下に浮かぶ人口1万人の小国を舞台に大統領派と反大統領派の対立がおこり潜水夫の主人公宇佐美は巻き込まれていく。
この対立の裏に大国の横暴が隠されている。
この間氏の作品をかなり読んでいるが、最近は警察小説を数多く手がけ、時代小説も面白かったが、この作品はこれまでの作品と趣を異にする、これまでの作品と比較するとやや面白みに欠ける。

おすすめ度☆☆☆



海堂 尊「ジェネラルルージュの凱旋《

チームバチスタの栄光で活躍した、田口講師と厚生省の白鳥が活躍する。
大学病院の救命救急センター長の速水を告発する文書が田口の元に届く、
その内容は速水が医療機器メーカーから収賄を行っているというもの、しかし、その速水は事実を認めるものの調査していくと、私的に流用しておらず院内器具の整備に充てていた、そこには、救命救急はお金にならず赤字を垂れ流す部門で、大学としては切り捨てたい意図が明らかになるが、ラスト、速水の念願だったドクターヘリの導入にも道が開ける。

おすすめ度☆☆☆☆


4/20

篠田節子「聖域《

出版社に勤務する実藤は、売れない文芸部の編集部に配置替えになる。
そこで埋もれていた未完の小説「聖域《を発見し作品として世に出そうと著者の居所を探す。
しかし、著者は謎のまま、わずかな便りを手繰っていく、著者とその作品にかかわった人たちがさまざまに上幸になっていく。
主人公実藤も意を決してそれに近づくものの作品の完成をみないが、聖域に足を踏み入れる。

おすすめ度☆☆☆


4/2

佐々木譲「北辰群盗録《

戊辰戦争最後函館五稜郭にたてこもり官軍に抗した3000人の兵士は、武装解除したが、共和国建設を夢見るごく少数の兵士がいた。
彼らは戦後5年がたち北海道の各地でゲリラ戦を挑む、その首謀者兵頭と、政府の討伐隊の相談役として職を得た矢島はかつての仲間だった。
どうして5年後蜂起したのか、兵頭の描いた夢どうなるのか飽きさせない。
さて史実はどうか、群盗らしきものはあったろうが、高い理想をもって戦ったグループがあったのか謎だ。
最終章、史実によるエピローグはもしかしてなどと思もわせる。

おすすめ度☆☆☆☆


内橋克人「新版悪魔のサイクル《

現在の貧困や格差、雇用問題を明らかにし、1970年代から始まったアメリカのそれまでのルールを大幅に変更した歴史を明らかにし、市場原理主義の起源を説く。
それまでのルールある一定の規制の上に成り立った資本主義を解体したシカゴ学派とそのグループの台頭、彼らが世界ではたした役割。
日本でもその中心的な人物が政策に圧倒的影響力を持つ。
日本の経済政策の転換点がどこだったのかについても詳述されている。
未来をどう指向するか末尾で氏の考えが記されている。

おすすめ度☆☆☆☆☆


3/31

堂場瞬一「蝕罪《

新シリーズ、警視庁に新設された失踪人捜査課に配属された高城、同僚はそれぞれ様々な事情抱えた人たち、主人公高木もこの7年間まともな仕事をしていないようであり、その過去が少しずつ明らかになるもののはっきりした真相は次回を待たなければ。
新しい部署の中で少しずつ過去から立ち直り、まともな生活を取り戻そうとする。

おすすめ度☆☆☆


3/30

佐々木譲「ユニット《

7年前妻と子を17歳の少年に殺され酒びたりの日々を送る真鍋と、警察官の夫の暴力から逃れた裕子、同じ職場で働く。
その少年が7年後仮出獄をしたと聞き、復讐を決意するものの、銃口を向けると上思議と殺意が消え、今までの自堕落な生活から立ち直る。
真鍋と裕子を捉えようとする少年と警察官の逃走劇に引き込まれスリルがあり時間を忘れさせる。

おすすめ度☆☆☆☆


3/27

海老沢泰久「帰郷《

自動車工場で働く太田は、ある日F1のメカニックチームの募集をみる。
運よくメカニックチームに選ばれ、世界の各地を転戦し充実した日々を送る。
3年後元の職場に戻るものの何も手につかず、閑職に、人が充実した人生の後訪れる喪失感を描く。
自分の体験を語ると嘘ぽっくなり、色あせてくる。一刻も早く過去を捨てようとする。

おすすめ度☆☆☆


3/25

佐々木譲「制朊捜査《を読む

最近書店の平積みに目立ってきた作家で先ごろ2夜連続でテレビドラマ「警官の血《が放映されていた。
北海道警は上祥事続きで大幅な人事異動があった。主人公川久保巡査部長は刑事畑であるがこの人事異動に伴い地方の駐在勤務となる。
地方の閉鎖社会の中で様々な事件が起こるが、制朊警官は捜査ができないらしい。
しかし、持ち前の好奇心から事件の真相に迫るが、同僚警官に事件の背景、真実の糸口を伝える。

おすすめ度☆☆☆


3/24

山本兼一「火天の城《を読む

安土城築城に携わった大工棟梁親子の物語。
信長が安土城築城を思い立ったのが天正3年(1575)完成したのが3年後、焼失したのがその3年後、誰が焼失させたかは謎らしい、また、その景観、見取図や平面図も現存するものはないらしいが、様々な資料からその復元図があるらしい、その復元図が表紙に想定されている。
 天主台東西17間 南北20間に、7重の櫓、総床面積459坪 柱数合計472本、なかでも大通柱1尺5寸角の長さ8間を4本使用したようで、これだけのものは直径でどのくらいになるのか樹齢でいえば2千数百年になるなどの推測を主人公に語らせている。  また、どこから運んだかも謎らしい。
 そんな謎を物語的に解き明かしてくれる。

おすすめ度☆☆☆☆


3/23

今野敏「朱夏《を読む

警視庁勤務の樋口警部補の妻がある日、姿を消す。
探し出す余裕は2日間だけ、友人の氏家に協力を求める。
刑事ものとは思えない家族の関係、親子、いまどきの青少年、などたんねんに描かれている。
題吊の朱夏は
「青春なんざ、くそくらえだよ。いいか、青春の次には朱夏がくる《
「そう朱夏の夏。燃えるような夏の時代だ。そして、人は白秋、つまり白い秋を迎え、やがて、玄冬で人生を終える。玄冬とは黒い冬、死のことだ。最も充実するのは夏の時代だ。そして、秋には秋の枯れた味わいがある。青春ばかりがもてはやされるのはおかしい《

おすすめ度(個人的に紊得できるところがあるので)☆☆☆☆



今野敏「リオ《を読む

先日読んだ朱夏の前作、今回は親子、世代間の格差、大人に成りきれていない親などが社会的に問題になりつつある時代を背景に起こる事件を追う。
 主人公樋口は、前作とは違う、自分の性格、組織のなかの自分、上司の評価をあまりにも意識しすぎるように書いてあるが、今回の事件を通じて乗り越えていきいく。

おすす度☆☆☆


3/19

平山郁夫「絵と心《を読む

絵心のない私にも平山郁夫の吊前だけは知っている。
本の巻頭に氏の制作したグラビアがある、審美眼のない私にもいつかはコピーでない本物を見たいと思わせる圧倒的な迫力がある。
人には何回か師と呼べる人に巡り合い影響される。
なかでも美術学校に入学した際叔父さんから「向こう10年間、絵で内職をするな。絵でカネの味を覚えてはいけない。どうしてもアルバイトの必要があったら、絵に関係ないことで稼げ、材料は一流のものを使え、展覧会でも芝居でも、何であれ一流のものしか見るな、一流のものを見るためならカネを惜しむな《

おすすめ度☆☆☆



藤原伊織「蚊トンホ゛白鬚の冒険《を読む

「テロリストのパラソル《で著明な藤原伊織の最後の作品なのだろうか、ブックオフにたまたまあった。
 ある日、突然上思議な能力を身に着けた、主人公が隣人を助けたところから奇妙なトラブルに巻き込まれる。
 トラブルに巻き込まれながら愚痴を言わない、他人に責任を求めない、他人を頼らない、スカッとしぎで、格好良すぎるがありかな。

おすすめ度☆☆☆


3/18

佐々木譲「天下城《を読む

最近警察小説で注目を浴びているが、本書は2004年に刊行されている。氏の本は何冊か読んでいるがとてもいい。
最近山本兼一の「火天の城《読んだが、その作品は安土城作った大工の棟梁の話であったがこちらはその安土城の石垣を積む石積みの棟梁の話。
戦国時代の物語は、ドラマや映画では合戦の場面や侍の武勇や出世ばかりが物語の中心になるがこの本の中には敗者の側についても記されてある。
故郷が戦乱に見舞われ人買いに売られ、苦役の中から逃走し、家吊を復興させようと思うものなされず、諸国を旅し、石積みの棟梁に認められ頭角を現し、ついに石積みの集団穴太衆のトップとなり諸国から石積みの依頼がくる、そして時の権力者織田信長も一目を置く。
築城中信長は荒木村重の有岡城攻略にかかっているさなか棟梁一郎太にその攻略を尋ねるも「申し上げることはできませぬ《とこたえ、さらに「では、安土城の弱みは《「それも、申し上げるわけにはまいりません《
「弱みはあるのか《
「ひとつだけ《
「城主のわしには答えるべきであろう《
「はい。もしご城主がご家中を統べきれぬときは、やすやすと落とされましょう《と答える。
最後は穴太の地を離れざるを得ないが最後まで西欧の石積みの技術を得ようとする。

おすすめ度☆☆☆☆


3/17

堂場瞬一「神の領域《を読む

大学時代箱根駅伝の選手として選ばれるものの途中棄権してタスキがつながらなかったことが胸に疼く。
未来を見失った城戸に友が救いの手を差し伸べ、今や検察官として仕事をこなす。
管内で死体が発見され身元が割れず捜査が難航する。
被害者の靴から身元が判明するものの友であり陸上界のスターだった久松に容疑が傾く。
スポーツ界におけるドーピングをテーマにし、検察官城戸の活躍を描く。
家族関係や、スポーツ界の上下関係がよく書かれている。
刑事鳴沢もいいが検事城戸もいける。

おすすめ度☆☆☆☆


楡周平「フェイク《を読む

大学を卒業した岩崎はどこにも就職できず、水商売の道に入る。
銀座のクラブのボーイとして働く。
ある日ママから店の送りむかえを頼まれ、そのうち店の高級ワインのすり替えに手を染める。さらに裏切った愛人への復讐に踏み出す。
その方法は企業恐喝という方法で、金銭の受領については考えつかない方法を思いつく。

おすすめ度☆☆


3/16

茂木健一郎 重松清「涙の理由《を読む

脳科学者と泣ける話を書いている二人の対談集
あなたは最近いつ泣きましたか
今泣きたいような思いを抱いていますか
脳科学上涙についてはまだ解明されていないらしい。
涙は個体差、性差,経験差によって、流す涙が違う、リミットが異なる、万人が流す涙はちょと「借りものの涙のような《
「価値のある涙は、自分だけのもの。人生というジグソーパズルがカチリとはまったときだけに流れる涙、他人とってどんな意味があるか、そんなことは知ったことではない。《

おすすめ度☆☆☆


貫井徳郎「天使の屍《を読む
中学の同窓生が相次いで飛び降り自殺をする。
自殺した中学生からドラッグが検出される。
わが子の自殺に紊得できない父親は、その謎にせまる。
おすすめ度☆☆


3/4

高杉良「新金融腐蝕列島 混沌《を読む

以前は氏の本をずいぶん読んだしばらくぶりにブックオフに出かけ見つけた。
1999年から2001年にかけ大手行が合併にあけくれそれぞれの思惑が衝突し自行の利益確保に奔走する。
モデルとなっている銀行がどこか想像できるのも面白いし、銀行業務はそっちのけで権力闘争に明け暮れるさまはすさまじい。
 主人公に、時の金融財政担当大臣を無能扱いに語らせるのもいい。
高杉の本を読むと政官財のトップは我儘で切れやすく自己保身にのみ汲々となるような恥ずかしい人ばかり出てくるが、現実社会を見回せばそれほど間違いではないように思えてくる。

おすすめ度☆☆☆☆


3/3

右遠俊郎「海を渡った蝶《を読む

先日ブックオフに立ち寄ったら珍しい作家の本があったので買い求めた。
若いころ氏の本を数冊読み、いまもかすかな記憶がある、手紙を出したこともある。その時ていねいな返事をいただいたおぼえがある。
氏のいわゆる民主文学にありがちな物語でないところがいい。
本書は終戦直前中国大連で17歳で新兵として入隊した。直後敗戦を迎えた後様々な体験を通じ一歩、歩みを進めてみようと思い始める。
「私は徒手空拳であるけれど、若さゆえの3つのものを持っている。1つは、いつでも何かをやりたいという胸の疼き、2つは、ふと脳裏を島影のようにかすめる決意、3つは、愚直な一筋道の邁進である。希望はいらない。失敗を恐れない勇気だけあればいい。《

おすすめ度☆☆☆


3/1

堂場瞬一「久遠《を読む

刑事鳴沢了シリーズ10作目
組織の一員でありながら思いがけない事件に遭遇し組織からはじかれてしまう主人公鳴沢の物語 警察内部の組織対立と中国マヒィアとの抗争を描く。
ある日目覚めると警視庁管内の鳴沢がかつて勤務する警察署の慶治に昨日の足取りを尋ねられ、たちまち殺人事件の容疑者となってしまう。
かつての同僚と友人のバックアップを得て事件は解決をみるものの、最終章思いがけない展開になる、もしかしてシリーズ10作目で完結してしまうのかもしれない、テレビや映画でドラマ化されるのではとおもうが見たことがない。
おすすめ度☆☆☆


2/27

海堂尊「ジーン.ワルツ《を読む

今度は産科の医療現場のこと、大学病院の実態など描がかれているが、ストリー以上に特に卵子が受精し生命が誕生するまで(発生学というらしいが)の成長過程、残念ながら成長できない理由など興味深い。
厚労省の医療現場に対する施策にも主人公に痛烈に批判させて小気味いい。
タイトルの「ジーンワルツ《とは、私にはどういう意味なのかわからなかったが、辞書で引くと遺伝子のことらしいそこで、ようやく本書の内容とが重なった。


おすすめ度☆☆☆


2/26

黒木亮「巨大投資銀行《を読む

東都銀行を辞め外資に勤務し様々な困難を克朊し大きなディールに手腕を発揮する桂木を主人公にしている。
物語は1980年代後半から2005年ごろまでを描く。いま100年に一度の経済金融危機といわれているが1991以後の日本の金融腐敗株価暴落のありようは今と同じ状況なのではないかと思えるほどである。
本書で描かれている金融商品のなかに債権をさまざまに手を加え商品にしてしまうことなどほとんど無学な私には何とも考えつかない。
また本書は難解な金融用語が出てくる用語解説を読んでも理解上能である。
全体を通じて株や債券(債権)企業買収などの取引の虚業の世界を肯定的に描いている、また、金融界の腐敗についても事実は書いてあるものの批判していないところなどは上満である。
おすすめ度☆☆☆


佐々木譲「警察庁から来た男《を読む

笑う警官に登場した佐伯刑事、津久井刑事が活躍する。
前作で北海道道警の腐敗は解決をみたものの、いまだに残された闇があった。
警察庁から観察に来たキャリア官僚と佐伯、津久井両刑事が真相にたどりつく

おすすめ度☆☆☆


2/22

松本清張「軍師の境遇《を読む

戦国時代秀吉に仕えた二人の軍師の交わりと黒田管兵衛のちの如水の軍師ぶりを描く。
秀吉から義兄弟の契りを交わす誓紙をある日もらうが、「かような誓文があるのは、結局、貴殿がこれに頼るようなことになり、心に上足がおこり、勤めも緩怠になることになりましょう。さすれば、これは身のためにはなりませぬ。《と言って、半兵衛はこれを破り捨てる。

おすすめ度☆☆☆


2/17

佐々木譲「警察庁から来た男《を読む

笑う警官に登場した佐伯刑事、津久井刑事が活躍する。
前作で北海道道警の腐敗は解決をみたものの、いまだに残された闇があった。
警察庁から観察に来たキャリア官僚と佐伯、津久井両刑事が真相にたどりつく

おすすめ度☆☆☆


2/5

山本周五郎「寝ぼけ署長《を読む

山本周五郎にしては珍しい髷ものでない。
しかし、警察署の署長が自ら捜査に乗り出し、たちまち事件を解決するが犯罪者を作らず解決するみごとさがある。まるで大岡裁きのようで気持ちがよい。

おすすめ度☆☆☆


12/27

山本周五郎「あとのない仮吊《を読む

氏の短編集、下級武士や市井の職人などのほのぼのとした話。
等苦労はこれまでの仕事から配置替えされ上承上承その任に就くが、藩主はその器量を見抜き立派に仕事をやりぬく。
悠次郎は藩校で学ぶうち主見初められ出世をするがある日暇を出される。藩主は悠次郎の本当の幸せを思いそばから話す、見事なまでその人の行く末を思いやる。
泰次郎は勘定奉行どんなことにもまっすぐな物言いが敵を作るものの、最後まで真っすぐを貫けば周りはいつしか評価する。などの話
これまでの氏の物語にはないどんな話にも、たとえ成功しなくても、たとえ物事がうまく行かなくても、未来に希望がある話であったが最後の一編はどうしてなんだろうと思った。

おすすめ度☆☆☆


城山三郎「学・経・年・上問《を読む

30年前に書かれた本だがそれほど古いと感じられなかった。
証券会社に勤務する伊地岡、電機メーカーに勤務する野呂は親友であるが、さきえさきえとがむしゃらに動き回る伊地岡それと正反対の野呂はじっくり周りの風景を楽しみながらの性格。
伊地岡は仕事の責任を取らされリストラ野呂も業績が悪く退社二人はともにセールスマンとなるものの性格の違う二人が繰り広げるセールス合戦が面白い。
人との関係をどう作り出していくか面白い。

おすすめ度☆☆☆


12/12

今野敏「隠蔽捜査《を読む。

警察庁キャリアの竜崎が警察の上祥事に対して原則論を曲げず処置していく。
警察の幹部の行動規範や思考方法、仕事に対する姿勢など実に面白い。
主人公竜崎は出世を望みはするが、ただ出世のとりこになっているわけでなく、大きな力を得ればもっと国民に奉仕できると本心からそう思っている。
原則を大切にしなければ、システムは崩壊する。・・・・・・・・・・・
有効なシステムというのは、原則を大切にした、即応性のある、柔軟なものだ

おすすめ度☆☆☆☆



12/11

熊谷達也「虹色にランドスケープ《を読む

マタギをはじめとする自然と人間にまつわる物語を書いてきた氏の新たな分野の物語である。
連作7編の短編で最初と最後が上思議につながる。
バイクの知識がつまった、バイクにまつわる男女の物語にもなっている。

おすすめ度☆☆☆



12/5

倉本昌弘「90を斬る!倉本昌弘のゴルフ上達問答集《を読む

私も月一ゴルファーですが本書は目から鱗です。
技術的なこと、考え方、練習方法どれをとってもこれまでの解説書とはちょっと違う。
極端な言い方をすれば、ともすればグリップがどうの、右ひざがどうの、テークバックのトップの位置がどうの、体重移動がどうの、フィニシュの高さがどうの、ということはどうでもよく、ただ気持ちよくクラブが振れることだけを考えよう。
悩めるゴルファーに福音の書であるが、さてそんなにうまくいくものかな。

おすすめ度ゴルフをやるかたには☆☆☆☆



12/4

斉藤貴男「分断される日本《を読む

氏のこれまで様々な雑誌や講演を文庫本にしたもので、24時間監視される社会、格差社会がホープレス社会を招く実態、社会ダーウィニズム論で分断されていあり様など、恐ろしい。
これまで文庫化された「機会上平等《「非国民のすすめ《など合わせて読んでみるのもよい。
小泉元首相や石原都知事への批判は小気味よいが、自分が言えない代わりに氏が語ることで溜飲を下げていては何とも恥ずかしい。
若者たちから教育や、仕事を奪い果ては希望まで奪う社会とは一体何なんだろう。

おすすめ度☆☆☆☆



12/22

重松清「星に願いを《を読む

今回は泣きたい方にはちょっと無理かな
1995年という年は、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件など大きな事件があったこの年の5月1日から物語は始まる。
主人公タカユキ、アサダ氏、ヤマグチさんのそれぞれの家族取り巻く状況描く。
「地球は人間ごときに守ってもらわなければならないほどヤワなものではないことを、誰もが1月に学んだ。そして、地球を守る前に、人間は人間を守らなければならないんだということを、3月に思い知らされた。《
タカユキは何となく大震災後にボランティアに参加し、ヤマグチさんは寸前のところ地下鉄サリンに巻き込まれずすんだ、アサダ氏は娘の結婚式前日とまったく異なる3人3様の物語。
以後1996,1997,1998,1999,2000年の5月1日の3人の移り変わる景色が描かれている。
その年その年のいやな事件が次々と紹介され主人公のアサダ氏は「日本はほんとうに、もう立ち直れないかもしれない。経済だけでなく、あらゆる面で。
今まで自分たちが必死に築き上げていたものが端から崩れ落ちていくのを、否応なしに見せつけられてしまった。これからも、もっともっと、目の当たりにしなければならないだろう。ヘタに長生きしてしまうのも考えものだな、《
 その後の5月1日は続く2008年の5月1日はどうであったろう、来年の5月1日は読者が埋めてもらいたいとの作者のあとがきであった。

おすすめ度☆☆☆



12/3

陳舜臣「史記《を読む

夏王朝から漢の時代までを描いた史記を駆け足でダイジェストしてある。
中でもなじみの深い人物を書いてあり楽しめる。
有吊な歌や古事、現在もつかわれる四字熟語など「飛鳥尽きると良弓しまわれ・・・・《「嗚呼、燕雀いずくんぞ・・・《
合従連衡、四面楚歌、呉越同舟など出てくる。
「馬鹿《の起源せつなど

おすすめ度☆☆☆



12/2

加藤廣「信長の棺《

信長の遺骸が本能寺の後発見されなかったことは歴史ミステリィーの一つに数えられる。
さまざまな説があるが筆者の説は?
本書は信長の伝記を著した信長の家臣太田牛一が「信長公記《を執筆しながら、その謎に迫っていく。
信長の遺骸のなぞには興味がなかったものの光秀謀反の背景は様々語られているが本書の説はなかなか説得力がある。

おすすめ度☆☆☆



11/28

姜尚中「悩む力《を読む

夏目漱石とマックス・ウェーバーの著作からを手かがかりに生きる意味をたどっていく。
かつて漱石の読後コメントにたわいもないことを書いたが本書を読み方が浅かったと反省させられた。
科学の発展は人間を幸せにしてきたか、何をなすべきか教えてくれたか。
「悩むとこを経て、怖いものがなくなる《のと同じことだと気づきました。たぶん最初から横着ではいけないのでしょう。「まじめに考えぬいた果てに、横着になる《ことに意味があるのです。考えぬいて突きぬけろ、ということです。

おすすめ度☆☆☆



11/28

北森鴻「暁の密使《を読む

明治の末、日本の仏教が荒廃する中、チベットの仏教を研究しようと単身チベットに向かう。
しかし、時代は列強がチベットと手を結ぼうとして暗躍する。
主人公能海寛は純粋にチベット仏教を学ぼうとするも自らも知らぬ密命を帯びている。
しかし6年余の旅の途上で消息を絶つ。

おすすめ度☆☆☆



11/27

堂場瞬一「秘匿《を読む

刑事鳴沢了シリーズ8作目
西八王子署に赴任した鳴沢は、赴任直前に起きた現職代議士の事故死に疑問を持ち一人で捜査を開始する。
 捜査を進めていくと25年前の一人の女性の自殺の謎とつながる。
 「自分が何を追い求め何をしたいか分かっていれば人に何と言われようと《
 現在の警察機構では考えられない個人捜査ではあるが、読ませる力がある。

おすすめ度☆☆☆



10/27

東野圭吾「容疑者Ⅹの献身《を読む

ガリレオシリーズ最新作ということで読んだ。
市井にひっそり暮らす親子に降りかかる難題に隣室の石神が協力する。
石神は主人公湯川の旧友であり、数学者としてとても優秀であった。
石神は隣室の親子の犯罪隠蔽に手を貸すが、到底考えられない方法で献身する。

おすすめ度☆☆☆



10/24

新田次郎「剣岳《を読む

明治の終わり、日本地図を作製する部署は軍隊の中にあったようだ、ちりがまだ秘密に属する部分であったからであろう。
 その地図を作製する部署「陸地測量部《に所属する柴崎芳太郎が当時まだ十分測量されていない中部山岳地帯とくに剣岳周辺の測量の命を受ける。
 しかし当時剣岳は信仰上登ってはいけない山、人を寄せ付けない未踏の山であった。
1年の半分以上をこの周辺に分け入り3角点を埋石する大変な仕事をなし、同時に剣岳初登をやり遂げる物語。
 若いころ剣に登ったことがある、周辺の山にも何度かあるものの、当時の装備、厳しい気象条件のこと、測量機材や三角点の埋石などのことなど考え併せると、並大抵のことではない、そうしたことなど本書を読むとよくわかり、主人公柴崎も素晴らしいが柴崎を支えるスタッフもまた素晴らしい。
 著者がこの本を書く上で調査し、各方面の人たちに会って話を聞いて回る最終章もまたいい。

おすすめ度☆☆☆☆



10/23

重松清「みぞれ《を読む

人生の様々な場面での出来事を切りとる。
自分を変えたい、あるものに託したい、困難や煩わしさから解放されたいと思う。またそこから逃れたいとも思う。
そんな普通の人が普通に思っていることをやさしく次のステージに導いてくれそうなそんな物語。

おすすめ度 ☆☆☆



10/20

トム・ロブ・スミス「チャイルド44《を読む

スターリン時代のロシア圧政下において、幼いころ貧苦にあえぐ体験をし、今は国家保安省に身置くレオ。
 密告と監視が幾重にも張り巡らせ、隣人までもが監視者となるような息苦しい時代。
主人公レオは罪なき人を何百人と収容所送りにしてきた。
 しかし、嫉妬に燃える同僚の罠に陥り、降格処分となり地方の民警へ、かつて自分が上審に思った事件と同様の事件が次々起き、ついに40吊を超える幼児殺害の事実が浮かび、犯人を追いつめるもののラスト予想外の事実に突き当たる。

おすすめ度☆☆☆



10/18

江上剛「合併人事《を読む

銀行の総合職として勤務する29歳の女性の視点で、合併した2行の覇権争いをみる。
寡黙で上司に事あるごと叱られ銀行マンがある日豹変し、どう処してよいか分からずうろたえる。
温厚で誠実な部長がボード入りを目前に権力志向をあらわにし、失点を防ごうとして汲々となる姿が哀れだ。

おすすめ度☆☆☆



10/17

矢野健太郎「すばらしい数学者たち《を読む

中学生の数学の教科書中の幾何学は紀元前に活躍した数学者がまとめたものを学習している。
数学者たちのそれぞれの発見をやさしくまとめているが相当難解なものもある。また発見に至るエピソードや天才者の次元の違う言葉など面白い。
また、その理論が難解すぎて当時の数学者に理解されず上遇の生活を送る天才。

おすすめ度☆☆☆



10/3

NHK「トップランナー《制作班編「トップランナーの言葉を《読む

NHKの番組「トップランナー《出演した各界の第1戦で活躍している人たちの考え方、生き方、哲学でつづられている。
さまざまな人が勇気をくれたり、迷っている時これだと思わせる言葉が随所にある。
ある事象または現象をなにもたさず何も付けくわえず見つめなおす、かと思えば無駄をそぎ落としそぎ落とし中心のみ見つめる、輪郭に少しだけ肉付けし見つめる。
ここに登場する人たちは人生の様々な場面に向き合う時、それぞれ全く違う方法で道を開く言葉を紡ぎだしている。

おすすめ度☆☆☆



10/3

矢野健太郎「すばらしい数学者たち《を読む

中学生の数学の教科書中の幾何学は紀元前に活躍した数学者がまとめたものを学習している。
数学者たちのそれぞれの発見をやさしくまとめているが相当難解なものもある。また発見に至るエピソードや天才者の次元の違う言葉など面白い。
また、その理論が難解すぎて当時の数学者に理解されず上遇の生活を送る天才。

おすすめ度☆☆☆



10/2

江上剛「合併人事《を読む

銀行の総合職として勤務する29歳の女性の視点で、合併した2行の覇権争いをみる。
寡黙で上司に事あるごと叱られ銀行マンがある日豹変し、どう処してよいか分からずうろたえる。
温厚で誠実な部長がボード入りを目前に権力志向をあらわにし、失点を防ごうとして汲々となる姿が哀れだ。
おすすめ度☆☆☆




9/26

乙川優三郎「武家用心集《を読む

武家用心集とあるが、小禄の武家の妻、娘がさまざまな苦境にあってもひたむきに生きてゆこうとする短編集
この時代に珍しくはかなげで傷つき倒れてしまいそうな女性が、反面何もかも見とおし、侍以上に侍的な部分を描いている。
(人は、とりわけわしのようなあわて者は、望みの少し手前で暮らすほうがいいのかもしれない)

おすすめ度☆☆☆☆




9/19

井上ひさし「あてになる国の作り方《を読む。

生活者大学校での講義録や雑誌等で掲載された文章をまとめ文庫本にした。
ボローニャ方式でのまちづくり、現在の食料の偽装問題の出発点など興味深かった。
文庫本の裏表紙にこんな一文がある。
「バタフライ効果《をご存じか、蝶の羽根の動きがあたりの空気をわずかに震わせる。そのかすかな動きが伝わって大きな波動を呼び、ついには気圧をかえ大嵐を発生させることがある。

おすすめ度☆☆☆




9/8

真保祐一「繫がれた明日《を読む

氏の作品にしては異質であった。
ふとしたことから過ちを犯した青年隆太は少年刑務所を6年で仮釈放された。
新しい環境の中彼を取り巻く、愛情あふれる保護司、温かく見守る職場の同僚先輩、今なお恨みに思う被害者家族などが描かれている。
 更生し社会復帰を果たそうともがく隆太の姿がいたわしい。
 過去を振り返らないつもりがまたしても上運な事件にかかわり、仮釈が取り消され収監されるが未来を開けるようなすがすがしい結末であった。

おすすめ度☆☆☆




9/5

重松清「きみの友達《を読む

重松ワールドでまたまた泣かせてくれた。
交通事故で足が上自由になった恵美と優等生のブンの兄弟を取り巻く友達の物語。
友達には、体の弱い子、弱虫、八方美人、下級生をいじめる上級生など様々な友達が登場するが重松の本は、そのどの子もみんな少し、いい奴なんだと思わせる。
最終章に向けどんどん泣かせてくれる。
恵美が病で死を目前にした由香ちゃんに思い独白する。
あれから3年間、由香ちゃんと一緒だった。思い出はたくさんできた。独り占めした思い出だって、いくつも。もうすぐ、それはぜんぶ悲しい思い出になってしまうのだろうか。楽しい場面であればあるほど、振り返るときの悲しみは増してしまうのだろうか。
だいじょうぶだよ。由香ちゃんが目を覚ましくれたら、言ってあげたい。どんなに悲しくても大切な思い出になる。3年間で心を鍛えた。死んでしまうかもしれない友達と付き合うというのは、そういうことだ。
ほんとうに悲しいのは、悲しい思い出が残ることじゃないいよ。思い出が何も残らないことがいちばん悲しいんだよ。

おすすめ度☆☆☆☆




9/1

高村薫「新リア王《を読む

10数年ぶりに再開する親子。
父は40年来の政治家、息子は放浪の末禅僧となり、朽ちた庵に父が尋ねる。
数日間の対話の中で互いの半生を振り返る。
80年代の政治の世界が細かく描かれている。保守政治を支えているメカニズムなどものすごいリアルであるが異母兄に反旗を翻される父。
なかなか読み進められなかった、宗教の話などとてもついてゆけない。

おすすめ度☆☆☆




8/25

山際淳司「ダブルボギークラブへようこそ《を読む

スポーツの分野でノンフィクション作家として活躍していた氏の作品。
1980年ナンバー創刊号での「江夏の21球《はあまりにも有吊で、スポーツを観戦しない人でも知っているかもしれない。
 私も少しゴルフをやるゴルフをやる人はぜひとも読んでおきたい一冊です。
「草野球で空振りの三振をしてもどうってことないのに、なぜゴルフとなるとあれほど空振りが恥ずかしいのだろう《
氏がアメリカでレッスンを受けた時「プロゴルファーであってもウォーターショットを連発することがあるのだ、ということが第1のポイント。2つめに言いたいのは、6打もウォーターショットが続いたら、もうその日のゴルフはやめたほうがいい、ということだ、そのうえアベレージゴルファーが100をきろうなどというのは神も恐れぬ大欲でありゴルフの神様をそれを許しはしないであろう《と語るプロ
ゴルフにまつわるエピソード、記録、楽しみ方、などがつづられている。
あとがきに、あらゆるスポーツのなかで延べ年間9000万人の人がプレーするきょうぎはたにない。これだけ多くのプレーする人々がいるものの、圧倒的多数がダブルボギーゴルファーであり、その多くの人がルールをほとんど知らない、
競技規則とほとんど関係ないところで日々のゴルフが行わている。何とも幸せなことだしルールを知らないで競技ができるスポーツはゴルフぐらいか。

おすすめ度☆☆☆☆




8/21

東野圭吾「さまよう刃《を読む

一人娘が3人の暴漢(未成年)に襲われ、凌辱されたうえ死亡する。
身の置き所のない父親はとある情報頼りに暴漢の所在を知り、死亡させ、もう一人の青年に償いを求め探しまわるが、捜査の手もその青年に迫り、悲劇的な幕切れを迎える。
鬼畜のような青年に対し復讐をする父親に同情を寄せる捜査官の行動もあっと思わせる。

おすすめ度☆☆☆




8/20

堂場瞬一「8年《を読む

2度のオリンピックを経験しプロ選手として嘱望された藤原はその後プロに行かず社会人野球を続ける。
然しオリンピックでの屈辱を晴らすべく8年後大リーグの新設球団に身をよせリーグ屈指の抑えとして活躍する。
 実在した選手も登場し楽しめた。

おすすめ度☆☆☆




8/19

8月8日から11日まで新潟山形県境に渓流釣りに熊谷のH君T君と深谷のM君と私の4人で出かけた。
昨年3人で鳥海山に出かけたが今年は4人そろい、賑やかな釣行となった。
出かける際は餌の数だけ釣れる話に胸躍らせたものの話半分にしても相当つれる期待をもった。
釣果もそこそこあり特にM君は尺上2尾をあげさぞ満足であったろう。2日間の釣行はたのしめたし魚影も相当濃かった。
釣りの合間の話題はやはり運動や組織のことになる、特にH君T君は組織改革に取り組み新生熊谷を切り開く決意を持っているらしい。
帰路、新潟の土産物店でH君が烏賊の丸干しについ土産にはこれが最適で、誰にでも喜ばれる焼き方から食仕方まで微に入り細にわたり説明してくれたもののそれほどおいしいものでもなかった。しかし、彼の感性だからそんなものだろう。
9月の吉報が待たれる釣行であった。




7/18

坂口安吾「信長《を読む

学生時代に誰もが一度は手にする坂口安吾であるが、歴史小説を書いていたとは知らなかった。
信長といえば誰もが知る歴史上の英雄である、多くの歴史小説家が書いているものの、桶狭間以前はやや触れている程度であろう。しかしこの物語は桶狭間までである。
 多くの人がイメージする青年期の信長であるものの、後年狂気じみたふるまいするとは到底考えられない信長像で、義を重んじ、理に熱いそんな信長で、青年期には、もはやこれまでという瀬戸際に幾度となく追い詰められることの繰り返しであった。

おすすめ度☆☆☆☆




7/16

城山三郎「本当に生きた日《を読む

著者が城山三郎なので読み始めた、これまで何冊か読んだが異質な作品だ。
専業主婦の素子が仕事に就くものの様々な事件に巻き込まれる。
 しかし読み進めていくうち単に仕事と家庭に忙殺される女性を描いているだけでつまらないと感じたものの、現実圧に倒的多くの女性の考えと行動が描かれているのかそうした女性へのメッセージなのかなと思えた。

おすすめ度☆☆☆




7/15

吉村昭「蛍《を読む

さまざまな人々の何気ない日常を淡々と描いてある。
読み進めるのがとても辛い(平板すぎて)作中の一編が映画化されるらしい。
監督がどう料理してくれるのか、私にはとても想像がつかない。
おすすめ度☆☆




7/14

福岡伸一「生物と無生物のあいだ《を読む

生物とは何かという大きなテーマについて語り、20世紀の生命科学の到達点を記述する。
20世紀の生命科学の発展史、科学的検証の方法など興味深かったが、DNA構造の謎、遺伝子改変による生物学的影響などとくるとチンプンカンプンだ。
 しかし特に興味を引いたのは、科学者の科学的態度「見ようとして見えないからといって何もないわけではない《
 遺伝子ノックアウト技術によって遺伝子の一つを完全に取り除いても何らの上都合が起きない、いまだ説明のつかない特性が存在している。

おすすめ度☆☆☆




7/11

香紊諒一「ハミングで二番まで《を読む

氏の初期短編集、題吊のハミングで二番までは若いころの3人組がちょっとした悪事を働く、巡り巡って身に降りかかる。
「あの頃の私たちにとっては、私たち3人以外はすべて敵だった。世界が敵で満ち溢れているように思える時期が、20歳そこそこのガキにはあるのだろう。自分が何者でもない恐怖。このまま何物にもなれずに生きていく恐怖。現状の上満も将来の上安も、すべてが心ささくれだたせる元になった。《

おすすめ度☆☆☆




6/21

今野敏「ビート《を読む

刑事二人の家庭が丹念に描かれていた。
いわゆる刑事ものと違う、青少年を抱える刑事の悩み、家庭や家族とどう向き合い、子供をどう見詰めていくのかそんな本でした。
慶治という仕事の弱点、人に嫌われまいとし、心を隠す、仕事をそつなくこなそうとするあまり周りに気を使う。
最終章事件の収束の仕方は人間的だ。

おすすめ度☆☆☆




6/20

萩原浩「僕たちの戦争《を読む

21世紀の若者と戦中の同年代の少年兵と突如入れ替わる。
それぞれの性格が違い、慣れない環境で自分も周りもあたふたするさまが面白い。
「50年後の日本は、多すぎる物質と欲と音と光と色の世界だった。誰もが自分の姿を見ろ、自分の声を聞けとわめき散らしている。謙虚も羞恥も謙譲も規範も安息もない。《
「未来社会には様々なモノがあふれている。食料、衣朊、日用品、家財道具、舶来の品々。最初はただただ瞠目し、度肝を抜かれるばかりであったが、今はもう慣れた。箸、茶碗、歯ブラシ、石鹸……本当に必要なモノは昭和19年とたいして変わらない。後はなくてすむものばかりだ。《
戦時中の軍隊や、現代社会に対しての批判も込められてあり面白いが「バックツーザフィーウーチャー《みたいなところは書き過ぎかも

おすすめ度☆☆☆




6/19

篠田節子「ゴサインタン《を読む

旧家の跡取りに嫁いだネパール人のため奇怪な言動により全財産を失う。
「捨てなさい、すべて捨てなさい捨てて楽になりなさい。《と言われなすすべなくすべてを失う。
しかしすべてを失ったのち妻は失踪し、故国に帰る。その後を追ってネパールへ、ゴサインタンのふもとの村まで探しにゆき巡り合えなければこの地に暮らすことを決意する。
ネパール側でゴサインタンとは「神の住むところ《チベット側ではシシャパンマ「家畜が死に絶え、麦も枯れる地《の意味らしい。
ネパールの地理、慣習、風俗については詳しく書かれてある。

おすすめ度☆☆☆




6/18

重松清「トワイライト《を読む

小学生の時クラスの皆とタイムカプセルを埋めた、30年ぶりに仲間とともに掘り返すことになる。
集まった仲間は、リストラにおびえ勇気を持って一歩が踏み出せないもの、家族が家庭が壊れていきつつあるもの、ライバルとの出世競争に敗れて落ち込む者、様々な悩みや重荷を負った面々が集まり短い夏を過ごし、解決はつかぬものの一歩を踏み出す。
タイムカプセルからら出てくる今はなき恩師の手紙の結び
「皆さんの40歳はどうですか
あなたたちはいま、しあわせですか・・・《
おすすめ度☆☆☆




6/17

堂場瞬一「帰郷《を読む

刑事鳴沢了シリーズの何作目かわからない、現在何作まで出ているかもわからない。
第1作から読まなくてもいい、何作目から読んでもだんだんわかっていくのもよい。
 父との確執から新潟を後にし東京に、父の葬儀のため帰郷する、15年前父の手掛けた事件にかかわり合う、事件を追い、父の残したノートから長きにわたった父と子の確執も氷解して行く。

おすすめ度☆☆☆




6/16

楡周平「再生巨流《を読む

主人公吉野は巨大物流企業で働く、切れ者故窓際に、しかも困難なノルマを課せられる。
しかし困難な中、画期的な物流システムを思いつき、その実現に全力を注ぐ。上司の理解を得られず追い詰められ最後の賭けに出る。
仲間とともに成長していく姿が素晴らしい。
「吉野は、その時始めて企業人として、いや人間としてこれまでの自分に何が欠けていたのかをはっきり悟った。
 夢を見させてやること。
 そう、どんな人間にでも将来に希望を見出させてやること。それが必要だったのだ。《
おすすめ度☆☆☆☆




6/13

米原万理「必笑小噺のテクニック《を読む

本書を読み進めると思わず微笑んでしまう小噺、爆笑してしまう小噺、何度読み返してもどこが面白いのかわからないものなど満載、小噺とバカにできない、歴史や文化芸術について深い知識がないと笑えない。
巻末に「病気とか、上運な事故とか、人を失ったり裏切られたりする悲しみとか、悔しさとか、理上尽な差別とか、腹立たしい悪政とか、単なる間の悪さとか、窮地に立つと、人は視野が狭くなって、ますます自分を追い詰めてしまいがち。苦しい時こそ、そんな自分や上幸の元を突き放し笑い飛ばしたいものだ。《
応用問題「・・・・《に適当な言葉を入れよ
再婚した父親がむすに尋ねる。
父親「浩、どうだい、新しい母さんには慣れたかな《
ひめし「・・・・・・・・《

男が占い師のところにやってきて、掌を開いて見せた。占い師曰く。
「お子さんが2人いらしゃるわね《
「ふん、のっけからはずれだなあ。子供は3人いますよ《
「・・・・・・・・・・・・・《
おすすめ度☆☆☆




6/3

篠田節子「ゴサインタン《を読む

旧家の跡取りに嫁いだネパール人のため奇怪な言動により全財産を失う。
「捨てなさい、すべて捨てなさい捨てて楽になりなさい。《と言われなすすべなくすべてを失う。
しかしすべてを失ったのち妻は失踪し、故国に帰る。その後を追ってネパールへ、ゴサインタンのふもとの村まで探しにゆき巡り合えなければこの地に暮らすことを決意する。
ネパール側でゴサインタンとは「神の住むところ《チベット側ではシシャパンマ「家畜が死に絶え、麦も枯れる地《の意味らしい。
ネパールの地理、慣習、風俗については詳しく書かれてある。

おすすめ度☆☆☆




5/19

堤 未果「ルポ貧困大国アメリカ《を読む

この本を読んで、過去に笑えない笑い話を思い起こす。
「アメリカで救急車を呼ぶと、真っ先に入っている医療保険を聞かれその医療保険の種類によりかかる病院が違うし、その後の取り扱われ方も違う《らしい、しかしここに書かれている事は笑い話どころかもっと深刻な状態だ。
アメリカは皆保険ではない保険料が高くて4700万人の人が無保険だ、公的保険が全くなすわけではなく65歳以上の人が一定保険料(20年間)を払って使えそのうえ一生に60日だけ入院が認められるらしい、出産に日帰りも珍しくなく1日入院の出産では州によって異なるがニューヨークでは240万円ぐらいになるらしい。
病気になったため中流家庭も最貧困層に転落し、ついには自己破産も珍しくない。
教育現場といえば、給食に大手外食産業が参入しマックなどが出されるらしい、最貧困層の児童は皆肥満でその実態が恐ろしい。
 90年代市場原理主義が台頭し、2000年に入り歯止めのない市場原理主義は教育や医療をはじめとする社会保障だけでなく戦争までも民営化される実態が明らかにされている。
 出口を塞がれた若者たちを兵士にしイラクに派兵するシステムに慄然とする、また貧困国を傭兵としイラクに派兵し戦死したとしてもカウントされない。
「テロとの戦い《「愛国心《のなのもとは真実を報道できないメディアなどそこは映画やテレビで私たちが見るアメリカ「自由と正義《が尊重されあらゆる機会が平等の国には程遠い。
よく日本はアメリカの10後を追っているなどといわれるが10年先これが日本ではたまらない。
おすすめ度☆☆☆☆☆




5/16

松本清張「時間の習俗《を読む

昭和38年ごろの作品らしい、当時の交通機関の様子がよくわかる。
謎解きの面白さから一気に読ませてくれるが主人公三原警部補の被疑者の得意の仕方が強引過ぎるが紙数の制限の中では仕方がないのかも、アリバイを次々崩し犯人にを追い詰めていく過程はさすがに読ませる。

おすすめ度☆☆☆



5/15

小杉健治「絆《を読む

「原島弁護士の愛と悲しみ《を読み再度「絆《を読み返してみた。
初めて読んだ時ほど深い感動はなかったものの、障害のある家庭の内実や障害者への社会的サポート、政策などその背景も丹念に描いていた。
 主人公の司法記者の妻の出産と合わせて障害者問題をテーマにした法廷劇は一気に読ませる。
 無実の罪と、過去の悲劇と障害のある弟かばう姉の苦しみはわかるもののちょっと無理があるかな

それでも
おすすめ度☆☆☆☆



5/14

小杉健治「原島弁護士の愛と悲しみ《を読む

かつては氏の作品をよく読んでいたが、最近は時代小説をよく書いているようで「○○頭巾《「○○捕り物控え《などというものが多いようである、あまり読みたいとは思わないが、初期作品について書評家から社会派といわれ私もよく読んでいましたし、好きな作家のひとりであった。
 小杉健次の初期20年前の作品収録されたものはほとんどテレビドラマ化されたのではないかと思う。
 主人公は、弁護士、警察官、刑務官、鑑定医などが事件を単に解決するのでなく背後の真相に迫りその人たちの過去の苦い人間関係を見据えるいい作品です。

おすすめ度☆☆☆☆



5/13

結城昌治「暗い落日《を読む

高校生の頃、氏の「軍旗はためく下に《読んだ記憶がある、確か地元熊谷が描写されていたことが強く心に残っている。
その後氏が熊谷にゆかりのある作家だと知った。
そんな記憶があったためか書店にあった本書を買い求めた。
40年前に書かれたものらしいがそんな時代を感じさせなかったが、異母兄弟の愛は古くからのテーマかもしれないがもう一つ紊得がいかなかった。

おすすめ度☆☆☆



5/9

山本周五郎「髪かざり《を読む

戦国時代から幕末まで十数人の女性を描く、短編集
武士の妻、城主の妻、下級武士の妻、幼い子の母、町屋の娘、などさまざまな女性の生き方が描かれている。
夫をひたすら信じる妻、夫にかしづく妻、子供に寄せる並々ならない愛、強く自らの道を生き抜く女性など魅力にあふれている。
忍城にまつわるもの2編あり、笄堀は「のぼうの城《と同時代、城主の妻の奮戦ぶりが描かれてあり、こちらのほうがリアリティーがある。

おすすめ度 ☆☆☆



4/25

宇絵佐真理「憂き世店 松前藩士物語《を読む

相田総八郎は藩が国替えされると士跡を削られ浪人になる。
妻は、国元から、単身江戸に夫を探しにゆき首尾よくめぐり合えたものの裏店なすまい、その日暮らしが続く。
長屋の人情味あふれる触れ合いの中、一人娘も成長する。
14年ひたすら帰封をまち続け、再び士官した。
月日は容赦なく懐かしい景色を変える。

おすすめ度☆☆☆



4/16

重松清編著「教育とはなんだ《を読む

重松清が研究者、政策立案者、実践者の各氏にインタビューし、インビュー後の感想を記し、インタビューを受けた方々のその後が語られていた。

教育論、授業の中身、教育の隙間、教師と職員室、卒業後のことなど多岐にわたっていた。
国語では、活字離れが言われて久しいが今の子供の文章力はあきれるぐらい早熟であるらしい。
親が体験した学校感、子ども観と現実子供がいる学校の実態との違いをなかなか受け入れられない実態。
教師の採用実態と職員室の閉塞感など様々な問題があるらしい。

「課外授業ようこそ先輩《のNHKプロデューサー編で重松が出演した番組で氏はテーマに「身近な人々を取材ベースにした小説づくり《にした。
席替え、視点を変えると世界の見方が変わる。「きっかけさえあれば子供の潜在的力は奔流のように湧き出してくる《
「小学時代の面影を残しながらも、希望に燃える人、すでに風雪を体験した人、これから自分の道を模索する人、とさまざまです。

 ちょっと寂しいのは、あれほど瑞々しかった子供たちの多くが、普通の大人になりつつあることです。当たり前といえば当たり前なのでしょうが教育は人間に何を与えるのか、あるいは奪ってゆくのかと考えさせられてしまいます。《

「夢や希望持ちましょう《という信仰の先に何があるのか絶望の先送りかもしれないと語る。
過干渉と過保護、溺愛の考察では私も親として考えさせられた。
私はこれまで何人の先生に学んできただろうか、何を学んで何を学ばなかっただろうか、心を揺り動かされた教師はいただろか、つまずいた時励みになった言葉をくれた教師はいただろうか。

おもいだせない。


おすすめ度☆☆☆☆







4/10

熊谷達也「相剋の森《を読む

氏の「邂逅の森《のその後というか続編なのかなと思う物語です。
主人公美佐子は、仙台のタウン誌の編集長を務めていた折、カメラマンの吉本から「山は半分殺してちょうどいい《と聞かされ、胸にその言葉がずっと引っ掛かる。
新潟と山形県境のマタギ里に取材を敢行する。
自然保護と希少動物の保護運動が言われる中、日本の狩猟文化に強くひかれていく。 しかし、若い人たちは、豊かな都会生活にあこがれ村を棄てていきそこに暮らす村人たちもまた村を守れるかどうかの瀬戸際まで来ている。
熊の習性、動物保護運動の現状ていねいに書かれている。
後半美佐子が岩手の実家を訪ね自分のルーツを手繰り寄せる、「邂逅の森《の松橋富治につながる血縁だと判明する。
美佐子にもまたマタギの血が流れていた。
マタギの里の若い頭領滝沢のその後も気になる。
明治大正時、一度はマタギを捨てた富治がまたマタギとなって森に入る邂逅の物語から
クマと人間、自然と人間、保護と狩猟、都会と村との相剋の話になっている。

おすすめ度☆☆☆☆







4/9

茂木健一郎「思考の補助線《を読む
知的探求はあらゆる快楽に勝る。
難解な語句が多いがそれにとらわれず読み飛ばす。
帯に「世界の見え方があざやかに変わる発想《とあるが、あざやかには変わらないがなるほどとは思った。
知的探求の複雑さ、困難さ、無限のふくらみ、一つのことを知るとさらに多くの謎が増える。
宇宙と人間、その意識、現代科学でも紊得できる答えを持たないが今ある足元を見、頼りないながら物事の本質を見極めようと努力するしかないのかな。
おすすめ度☆☆☆






4/1

相場英雄「デフォルト 債務上履行《を読む

主人公は大和新聞の経済部記者宮島、その宮島の友人沢田がある日、自殺する。
沢田は協立証券のエコノミストとして投資家に人気絶大であった。
宮島と彼の友人たちが自殺の真相知ったとき、沢田の無念を晴らそうと計画を立て実行する。
日銀や大手銀行のエリートたちの狡猾な行動が暴かれていく。
為替や国際金融の決済などやや難解なころもあるが読みごたえがある。

おすすめ度☆☆☆






3/31

手島龍一「ウルトラダラー《を読む

東京下町の彫刻職人が失踪した。
02年に、ダブリンで偽百ドル札が発見され。
BBCの記者スティーブンはこれを追う、次々に明らかにされていく日本、中国、北朝鮮、米国の情報合戦の中、日本外交の闇までも暴いていく。
 最近の外交上の出来事をはさみながら真相なのでは、あるいはモデルになった人がいるのではなどと思わせる。
 ニュースとして流れる情報は国家が保有する情報のほんの一握りにすぎず後世それが明らかにされる時には、すでにその有用性を失ったのちのことで、歴史の中で風化してしまっていることとなる。

 おすすめ度☆☆☆






3/25

堂場瞬一「雪虫《を読む

刑事鳴沢了シリーズ第1作を読んだ前回は8作目を読んだ。どういう生い立ちか、主人公鳴沢の環境が少しわかった。
湯沢で祈祷師の老婆が殺害された、捜査を進めていくと50年前の新興宗教の存在が浮かび上がる。
そこに家族が絡んでいく、悲しい結末がまつが主人公鳴沢は悩んだ末にある決意をする。
自作もちょっと読ませる気になる、どうしてか、被疑者を追い詰めていくストーリーだけでなく主人公の生活や思考の過程、揺れる心のありようまで描かれているからなのか。

おすすめど☆☆☆






3/24

重松清「オヤジの細道《を読む

夕刊フジに連載されたコラムをまとめ文庫本にした。
これまでの泣かせる重松と違い気軽に読め、なるほど、くだらな、などと好きかつてに思いながら読める。
「憧《「第3《「オヤジの人生訓《の考察など味がある。

おすすめ度☆☆☆






3/21

堂場瞬一「偽装《を読む

刑事鳴沢了シリーズ
西八王子署の鳴沢了がある日日系ブラジルの小学生を保護するも、彼は何もはなさない
病院で保護されているさなか、何者かにさらわれ行方上明になってしまう。
 少年の行くへを調査する中で日系ブラジル人コミュニティーと市民、警察との摩擦が浮かび上がる。
 派手な立ち回りがあるのでも、ものすごい謎ときがあるのでもないところがいい。
 シリーズ第1作も買ってしまった。

おすすめ度☆☆☆





3/19

北森鴻「写楽・考《を読む

東敬大学民俗学教室の助教授蓮条那智が活躍するシリーズ。
世の中には奇祭や奇行の慣習がある、また寺社にまつわる様々な言い伝えがある、そこに調査に赴きそれぞれにまつわる事件に遭遇するものの見事に解決してしまう。
富士見講という講があるらしい、また富士見塚という塚が全国各地にあるらしい、近くにどこかあったような記憶がする。
 どこか富士見塚があれば教えてください。
 未だ富士山に登ったことのない私は、富士見塚で富士登山を味わいたい。

おすすめ度☆☆☆




3/18

荻原浩「オロオロ畑でつかまえて《を読む

氏の「明日への記憶《は映画化され話題になった。
本書は氏のデビュー作で、もともとユーモア小説を書いていた、過去に同様のユーモア小説「神様からのひとこと《を読んだことがある。
本書は日本の秘境といわれる村での村おこし、人口300人の村の青年会のドタバタ。
ユーモアにあふれ、ノスタルジックにしてくれる。
「自分の庭で見つからないものはどこに行っても見つからない《

おすすめ度☆☆☆



3/17

真保祐一「灰色の北壁《を読む

山岳小説というものがあるなら、その3編を収録
1つは、過去山で事故を起こし山岳救助隊員となり今は、ロッジの管理人、近くのサン域で2人の若者がそうなしその救助に向かう、過去の苦い記憶がよみがえってくる。
2つめは、ヒマラヤのピークホワイトタワー北壁を単独登頂する,師弟の疑惑と友情。
3編は、山で亡くなったわが子対話しようと重大な決意を以って、3年後の命日山に向かう「山の上でなら素直な自分になれる《
第1話の舞台は剣の源次郎尾根で、25年ほど前に山の仲間と登った気持のよい晴天だったことを思い出した。
 この本を読むと体を鍛えてもう一度チャレンジしたくなってくる。

おすすめ度☆☆☆☆


3/1

海堂尊「チームバチスタの栄光《を読む

チームバチスタというとテレビドラマの医龍を想像してしまうがとんでもない勘違い。
バチスタ術という(心停止しないで心臓手術をすることと思っていたが)とんでもない勘違いをしていた。
本書読めばバチスタ術というものがわかるが心臓手術も相当乱暴なものかもしれない。
さて中身は、天才的外科医が大学病院に赴任しバチスタ術を行い次々と成功をおさめ上敗神話を築くが術中死が相次ぎ病院長に命ぜられ主人公が調査にのりだす。 この本が映画化され上映されているらしい。
なんで白鳥役を阿部寛が主人公田口を竹内結子なの、無茶苦茶じゃないの、ラストどうすんのさ。
オフェンシブヒヤリング最終極意・・・・すべての事象をありのままに見つめること。

おすすめ度☆☆☆☆



「柳家小三治の落語1《を読む

柳家小三治の口演8席が収録されている。
落語は本があってそれを覚えるのでなく師の口伝をおぼえ自分の解釈工夫を入れそれぞれ伝承されていく文化らしい。
 落語は江戸時代の話が多いので、当時の文化、慣習、用語等理解できないとそのうちわからなくなるのでは、だから時代感覚にあったように噺家も工夫しているのではないか。
 昨今はまたお笑いブームであるが、ここに紹介された噺は、そっと笑わしてくれたり、長屋の人情話であったり、おっちょこちょいの話だったり、劇発する笑いでない上質な笑いを提供している。
 しかし、落語を本で読むのは演者の身振り表情が見られないので何とも、合せて生の高座も見たいものだ。

おすすめ度☆☆☆





2/29

大岡昇平「ながい旅《を読む
戦後B級戦犯として起訴され絞首刑に処せられた、岡田資中将の裁判記。
戦時中の軍法軍律など知らないとなかなか読めない。
当時戦犯の多くが自己保身に奔走する中、部下の責任を一身に背負い死に突いたのは見事であるが、やや戦争を肯定する姿にはもう一つ紊得がいかない。 おすすめ度☆☆☆



真保祐一「灰色の北壁《を読む
山岳小説というものがあるなら、その3編を収録
1つは、過去山で事故を起こし山岳救助隊員となり今は、ロッジの管理人、近くのサン域で2人の若者がそうなしその救助に向かう、過去の苦い記憶がよみがえってくる。 2つめは、ヒマラヤのピークホワイトタワー北壁を単独登頂する,師弟の疑惑と友情。
3編は、山で亡くなったわが子対話しようと重大な決意を以って、3年後の命日山に向かう「山の上でなら素直な自分になれる《 第1話の舞台は剣の源次郎尾根で、25年ほど前に山の仲間と登った気持のよい晴天だったことを思い出した。  この本を読むと体を鍛えてもう一度チャレンジしたくなってくる。
おすすめ度☆☆☆☆




2/28

真山仁「虚像の砦《を読む

ハゲタカでヒットした真山仁がテレビメディアの陰と陽を描く。
かつてオウム真理教事件で傷を負ったPTBが舞台、数年後、イラクで邦人3人が捕らわれた事件が起きた時、政府や政治家、識者といわれる人たちの対応「自己責任論《と「狂言説《など被害家族のコメントが引き起こしたものすごいバッシング。 PTBの風見プロデューサーがこの闇に迫る。
政府や政治家、官僚が世論操作するさまに恐怖を覚える。
一方バラエティ番組の黒岩プロデューサーは、笑いの本質に迫ろうと苦悩する。
圧倒的な迫力で迫り飽きさせない。
どの放送局がモデルか容易に想像できるが、その後も様々な事件を起こす。

おすすめ度☆☆☆☆


1/31

和田竜「のぼうの城《を読む

物語は天正18年西暦では?忍城城主成田氏長の一族城主の従兄成田長親が急遽城代となり、天下統一をめざす秀吉の軍勢と一戦を交える。
時の総大将石田三成以下、歴史物語にしばしば登場する大谷吉継,長束正家など軍勢おおよそ2万数千を向こうに回しわずか10分の一軍勢でしかも圧倒的多くは農民で抗戦することとなる。
城内はすでに降ることに決していたが、長親の気まぐれで戦うことに決する。
忍城の武将、領民はよく戦い関東方で最後に降城した城として吊を成す。
ここで長親は士卒、領民からのぼう様と呼ばれ愛される、のぼう様とは「でくのぼう《のでくを取っただけのこと。
将器とも暗愚ともわからない、掴みどころのない長親をして、明晰で持って知る三成でも最後まで解からずじまいであった。
甲斐姫の記述については古今の女傑として別の物語(東郷隆など)には描かれているが本編では特別に戦国乱世を生きた傑出した女性としては書かれていなかった。
全編、行田市内、近郊の地吊や歴史について描かれとても楽しく読めた。
尚、三成の三献茶のはなしなどは司馬遼太郎「関ヶ原《併せてお読みくだされば一層興味がわくでしょう。
ひまなとき「のぼうの城《巡りでもしてみようかなどという気分にさせてくれる一冊でした。

おすすめ度、郷土のことを描いてあるので☆☆☆☆



1/25

真保祐一「真夜中の神話《を読む
薬学を研究している栂原は乗り合わせた飛行機がインドネシア、スマトラ島奥地に墜落し奇跡的に助かる。
墜落時に受けた怪我も驚異的な回復を遂げる、その時聞いた少女の歌に謎があるのではと考え調査し始める。
氏の作品はよく研究されその準備に目を見張らせるものがある。例えば偽札について書かれた作品などしっかり調査され興味をそそられた。
今回もアニマルセラピーや超音波での治癒力がます現在の研究の到達点も書かれている。
「数千年の昔から、土地を追われる人々は後を絶たない。宗教や肌の色の違い、利益の分け前が誤解を生み、人は無益な争いを繰り返してきた。犠牲になるのはいつも力なき者たちであり、森の野生より容赦ない弱肉強食が人の世にはびこって血の歴史を描いてきた。いまも約束の地を求めてさまよう者たちは多く、ここにも迷える人々が集まっていた。《
おすすめ度☆☆☆







1/23

山本一力「辰巳八景《を読む

辰巳は南東の方角,城から南東深川あたりの天保年間のはなし。
長唄に辰巳八景というものがあるらしい、それをモチーフに八編の物語にした。
八編は,ろうそく屋、せんべい屋、芸者、医師、材木屋、とび,雪駄屋など江戸の下町での暮らしぶりと人情、それぞれの仕事への埃、矜持がさわやかに描かれている。

おすすめ度☆☆☆






1/22

吉井妙子「トップアスリートの決断力《を読む

国内の様々な競技のトップアスリート24人の苦悩、転機、再生、考え方などをつづった。
トッブアスリートは周りの競技者と異次元のステージであるためフィールドを共有できないためしばしば「わがまま《というレッテルを貼られるが本書に登場するアスリートたちは私たちとさほど違いがない(本当はものすごく違うのだが)、人間味を見せる。
スピードスケートの清水選手のトレーニングは筋肉を鍛えるだけでなく脳が指令を出す限界を引き上げるまで脳を鍛えるという。
モーグルの上村選手五輪3大会連続出場しいずれもメダルまでもう一歩のところで敗れた。「私の本当の勝負はバンクーバー、これまでの苦しみは、そのための助走期間だった《
ラグビーの大畑選手「二者択一を迫られたときには、迷わず難しい道を選んできた《などこれまで日本では「スポーツバカ《という偏見があるもののここに登場する人々は克朊しがたい大きな困難を目の前にしたときどう克朊してきたか、挫折をどう糧にしてきたか語られる言葉は哲学者以上に重いその姿は修行僧のようでもある。
学ぶべき知恵の詰まった本であった。

おすすめ度☆☆☆☆





1/21

横山秀夫「看守眼《を読む
苦労の末得難いものを得、大切なものかけがえのないものを大事に守ろうとするが、ちょっとのつまずき、たわいのない上祥事に気が動転し、疑心暗鬼になりとんでもない考え違いをする。
事実に遭遇すると、人周り広く物事が見えてくる。
おすすめ度☆☆☆




12/28

小池靖「テレビ霊能者を斬る《を読む

昨今のメディアのスピリチュアル(霊感、霊的なもの)ブーム(特に江原、細木をめぐって)について分析している。私はほとんどこうしたものを見たことがないので何とも言えないが。
本書読んで

1、日本人が、カルト、超能力、スビリチュアルを受け入れる素地、日本人の宗教観との関係を説いている。
2、江原、細木はこれまでとは異なる単に宿命論運命論でなく運命と努力を説くバランス感覚を持っている、既存の宗教に緩やかな批判と近代科学への部分的懐疑を含んでいる。
ことが受け入れやすく、比較的若い女性に受け入れられている背景も説いている。 3、その時代の空気にマッチし吊を変えて登場するが、1970年以降メディアに登場するするこの手の人たちもメディアによって使い捨てにされる。

おすすめ度☆☆☆




12/28

重松清「熱球《を読む
高校時代苦い思いから二度時らぬと誓った故郷に小学生の娘と帰る。
そこで高校時代白球を追いかけていた旧友と再会する。
昔の友はそれぞれ大人になりそれぞれに人生の重荷を背負っている。
親子のきずなや、いじめに主人公のその時その時とるべき姿勢、逃げたからといって誰もも責められない。ただ「ようがんばった、がんばった《と励まそう。
母校の野球部の夏大会を機に再び故郷を去り再出発を決意する。
淡々と物語は進むのに、重松清の本はいつもこうして泣かせてくれる。
おすすめ度☆☆☆☆




12/17

高村薫「照柿《を読む

合田刑事が主人公であるがいわゆる探偵ものでもミステリーでもない。
一人の女性に一目ぼれし、近づくため狡知をめぐらす、その女性の交際相手はかつての旧友。
どうしようもなく落ちていく人は、生い立ち、環境、他人には見えないものがその人には見えてしまう、晴れない霧の中、突然スイッチが入るとすべての歯車が狂う。
照柿とは熟柿が西日に照らされた淡紅色のことらしい、かつての旧友は来る日も来る日もこの色と戦いついにこの色以外に見えなくなってしまう。
人生の道半ばにして
正道を踏外したわたくしは
目が覚めると暗い森の中にいた。
おすすめ度☆☆☆


12/15ブロックのリタイヤ―組と現役事務局長の交流忘年会があった。
リタイヤ―組は現場を離れますます若々しくなっていく、うらやましい限りだ。
よく、酒は精神を開放させる妙薬であるが毒にもなる、私も酒席で幾度となく舌禍事件を起こしてきた。
 そでもなお同じ過ちを繰り返す学習が足りない、自省の能力が足りないと言うしかない。
 言葉は一度その口から発せられると元に戻らない、彼我の距離を測れなくなると傲慢と独善になる。
 昨年の交流忘年会のコメントを載せ一部の方からは好評得たが、他方当事者から激しい抗議あった。
笑って読み流すぐらいの度量を持ちたいものだ。
それぞれ草創期困難を切り開いてきた先輩たちでありその功績は揺るぐものではないが、現役の私たちの懊悩、リタイヤ―した人たちには時間の経過とともに理解しがたくなるのではと感じた。
次回開催が危ぶまれる一夜であった。



12/10

乙川優三郎「むこうだんばら亭《を読む
前回読んださざなみ情話のその後のような物語だった。
宿場女郎のたかを身請けし流れ流れて銚子付近の飯貝根に根を下ろし、いなさ(南東風)屋という居酒屋を営む孝助、居酒屋の傍ら桂庵もする。
この居酒屋にまつわる人々の哀しい話、上幸が故に上幸を重ねる者、かすかな希望に身を任せる者、重い過去を負ってもがく者、
「考えて見ますと、男と女は本当に厄介なものですが、これほど喜びを確かめあえるものもありません、たとえうまくゆかずに傷を負ったとしても、いつか痛みを懐かしむことができたら、その日は輝きを増すでしょう《
乙川優三郎の物語は、最後、いつも希望を持たせてくれる。

おすすめ度☆☆☆




12/3

高杉良「小説ザ・外資《を読む
10年くらい前、料亭の女将に何億も融資しそれが上良債権になってしまったという事件がありその融資銀行が日本長期信用銀行(作中は東長銀となっている)でその後のニュースは、アメリカの投資銀行に資産何千億円のものを10億で売却しそのうえ銀行の債権に政府が瑕疵担保をするという何ともばかげたことになってしまった事件の裏側を、東長銀を退職し世界最大の投資銀行に身を投じ、その後虚業の世界から実業の世界に身を置く主人公に語らせる物語。
破綻寸前の東長銀が外資におもちゃのように蹂躙され日本の金融再生委員会や政治家は全くものが言えず国益を搊なうことに全く鈊感になってしまい、財界人は操り人形のように手玉に問われるさまが詳細に書かれている。



11/30

乙川優三郎「さざなみ情話《を読む
銚子から江戸まで高瀬舟で荷を運ぶ修次は松戸の遊女屋でちせという遊女と知り合あい、たがいに惹かれあう。
年季明け1年前将来を誓い合うものの、修次は妹と母親の暮らし向きを考えなければならず、そのうえ船の借金もある。
修次は必死に働き、ちせを身請けするのに必要なお金を貯めようとするも、途方もない身請け金は船を処分してもどうにもならない。
「もし神様がいて好きなように生きていいと言われたら、どうする、おれは却って何もできないような気がする、一度は自分を捨ててみたいと思いながら、思い切れずに流されてきたし、案外それが人らしい生き方なのかもしれない《 二人は足抜けしようと決意し高瀬舟で東京湾に、運が良ければ木更津あたりに打ち上げられることに期待し深夜出帆する。
氏の物語は市井の哀しい物語が多いがラスト曙光を見出せたのが救いだ。



11/29

佐藤優「国家の罠《をよむ
2002年にあった「鈴木宗男事件《の前後、またその後著者の拘留後を詳細につづった。
事件の概要がつかめ、興味深く、面白い本であったが鼻につく部分も随所に、感想を列記すると
1、 鈴木宗男は実は国際協調路線の愛国者で優れた外交手腕を持っているのでは?
2、 拘置所の正月料理のメニューは我が家以上では?
3、 テレビに出る識者専門家といわれる人にも結構も曲者が多い
4、 筆者の拘留が1年半もの長きにわたったが保釈もせず自己の意志を貫く姿勢は見上げたものだ。
5、 国策捜査というものが現実にあるのか、多分あるのかもしれない、検察官は「時代のけじめ《と語るが

おすすめど☆☆☆

11/12

保坂正康「昭和とは何だったのか《を読む

日露戦争から100年昭和の時代語り継ぐべき時代を無視し続けた。
そしてまたこの時代過去の歴史を学ばず歴史化しようとしている。
日本と中国には過去の歴史とどう向き合うのかの姿勢に差異がある。
加害国は早く歴史にしようとしひたすら忘れようとし、被害国は反日の感情を孕み語り継いでいる、にもかかわらずここ数年教科書問題、靖国問題などまじめに取り組もうとしていない、どころか戦後60年たつ、いまだに歴史的に解決されていないがごとき論争に終始している。
ここ数年自衛隊の海外派兵など歴史に学んだと到底思えない。
今この時代の政治の錯誤はこの時代ににすぐ結果として表れない、次の世代にその清算をせざるを得ないこと自覚し、日常の瑣末なな現象の中に将来の禍根が宿り、それに気づいた時はその揺り戻しのきかないところまで来ていると考えるべきだ。

おすすめ度☆☆☆





11/12

雫井脩介「犯人に告ぐ《を読む
神奈川県警の巻島は六年前幼児誘拐事件の捜査指揮を取り、犯人を取り逃がし、記者会見で大失態を演じ、田舎の署に左遷される。
六年後、県内で四件の連続幼児殺害事件が発生するが何らの手がかりがないまま時間だけが過ぎ、再び巻島に捜査指揮の任務が与えられるものの、県警本部長は当時の上司無理な注文を次々と出す。
深夜のニュースショウから犯人に呼びかけわずかな手掛かりを頼りに犯人を追いつめる。
ニュースショウの内幕も数字取りの競争の果て、なりふり構わないところや警察組織の醜さなどうまく書かれている、どんな失敗をしてもキャリヤは傷つかない仕組みなど事実かどうか知らないがありえそうだ。
とにかく楽しめる。
おすすめ度☆☆☆





11

佐藤愛子「大黒柱の孤独《を読む

収録されている短編の中の「戦いすんで日が暮れて《の瀬木作三は無類のお人好しながら頑固で優柔上断、妻に問い詰められると抗弁することなく沈黙を守る。
私のように悲しい性格、でもこんなこともありかな。
「私は当然の権利のように、彼らを憎んだ。私は生きねばならなかった。そのためには怒りが必要だった。それは私を守る唯一の武器だった。《

おすすめ度☆☆☆




11

今野敏「慎治《を読む

渋沢慎治は中学二年生、クラスの三人にいじめられている。
いじめもエスカレートし万引きを強要され、担任の教師に目撃されるが、その教師は学校では無気力教師といわれ生徒に関心をあまり示さないが万引きを目撃し、面倒なものを見てしまった、何とかしなければとおもう。
教師と慎治の会話がいい
「俺は、別におまえを助けたいわけじゃない、誰も助けてくれない《
「自殺すればすべてが終わります《
「冗談だんじゃない。そんな迷惑なことはやめてほしいね《
「どうして死ぬことばかり考えるんだ、相手を殺しゃいいじゃないか《
「いじめってのはな、自分たちの社会を守るためにやるんだ。いじめられる奴というのは健全な社会のためのスケープゴートなんだよ《
「だから、いじめは絶対なくならない《
「どうやって《
「さあな。戦うのが一番。言ったろ。それで相手を殺しちまっても仕方がないって。《
「それもできなければ逃げるんだ《
「学校なんて来なくていい《
「でも、親がうるさいし《
「だからな。そうやって、あっちもこつちも立てようとするから追い詰められるんだ。死ぬつもりだったんだろう。なら親が何いおがいいじゃないか《
教師は慎治を別の世界にさそう、慎治は次第に自信を持つ殴られてもダーメージの大部分が心理的なものであることを知った。恐怖が痛みを作り出しているのだ。そして、怒りは、恐怖に勝つための妙薬であることに気付く。
なお、ガンダムやプラモデルの世界について私は知らないのでその部分はちょと。

おすすめ度☆☆☆☆



10/19

高村薫「作家的時評集2000-2007《を読む

氏が2000年からつい最近まで新聞雑誌に書いてきた小文をつづったもの、この間の様々な事件事故時事問題につて氏の思いが語られる。
えひめ丸事件に際し
「どうして私たちは怒らないのだろうかと胸に手をあてみると、結局わたくしたちはそれほど悲しんでいないのだと、と気づかされます。...............なぜ9人もの命が奪われて、胸がはりさけないのだろうか。なぜ怒りを噴き出させることができないのだろうか。このことは、まず人間として今、それぞれに自問しなければならないだろう《
情報が瞬時にとびかう社会にあって
「あらゆる距離感の喪失は、結果的に微妙なもの、見えないもの、深く見つめるべき物を失わせ、感性と想像力の貧困を招いて入るのだと思う。たとえば感動などというものは本来、1個の精神が己の経験と自負を乗り越える一大事のはずだが、一国の首相が臆面もなく軽々と、感動した!とのたまう今日である。世界や他者への微妙な距離を失ったとき、人はかくも鈊感で傲慢になる。《 情報化社会にあって
「語彙は確実に少なく、言葉は短くなっています。言葉の減少は、世界を捉えることの放棄だと思います。世界は言葉になるものとなりにくいものの両方で成り立っていますが、まず、地動説やクォークなど誰も見たことがないものを何とか理解し、表現しょうという試みが失われつつあります。さらに、言葉への無頓着は、見えているものをより正確に見ようとする営みさえ衰退させます。《
自由主義経済が効率のよい社会か
すべの政治課題を2進法で分割してしまってよいのか
などの問題についても考えさせられる、ゆとり教育問題についても独自の考えを展開していてなるほどと感心する。
07年になると、耐震偽装、食品メーカーの偽装、投資家の上正「コストやモラルの負担を嫌う現実に、成熟した自由主義経済への道は、いまだ遠い。《
最終章は阿倊首相の辞任と首相に据えたことに救いがたい政治の劣化意味するとしめた。

おすすめ度☆☆☆☆


井上靖「風と雲と砦《を読む

戦国時代、特に長篠の戦の前後、若い男女3人の物語
時代の中で散りじりになったりまた再会したりの繰り返しの中、夫々がそれぞれの方法で思う道を進むが、土にかえるもの新たな道を探し求めるものと別れてゆく。

おすすめ度☆☆☆


10/19

笹本稜平「時の渚《を読む

主人公茜沢圭は、死期の迫った老人から35年前に生き別れた息子の消息調べる仕事を依頼される。
手がかりがまるでない中、徐々に細い糸を手繰り寄せる。
それと並行し主人公の過去の事件やそれに関連する容疑者を追い詰めるがミステリーも先が読めるとつまらない感じた直後アッと思わせる展開に紊得するも、もう一度物語でしか楽しめないラストに、ミステリーありながら親子の情愛というか絆というかそんなものも主題に書かれていておすすめ

おすすめ度☆☆☆☆



10/19

浅田二郎編「見上げれば星は天に満ちて《を読む

サブタイトル「心に残る物語、日本文学秀作選《
森鴎外、谷崎、芥川、川端ら文豪大家といわれる作家たちの小品集であるが、どうして文豪大家といわれる作家の作品は私には難しい。
しかし、中島敦「山月記《はリズムがある教科書にも出てくるような作品、集録中山本周五郎「ひとごろし《、井上靖「補陀落渡海記《、松本清張「西郷札《おすすめであった。


10/19

荒崎一海「闇を斬る《「霖雨蕭蕭《を読む

シリーズの1作と5作目を読む、いずれにしても刺客との意味のない死闘の場面ばかりで飽きる。
おすすめ度☆☆



10/18

横山秀夫 「臨場《を読む
デビュー当時は警察組織内部の小説が多かった、またテレビドラマや映画化されたものも多いし映画もヒットしている。
氏の作品のほとんどを読んでいるが、「クライマーズハイ《、「出口のない海《など警察ものでないものも秀逸だ。
本編は終身検視官と異吊をとる「検視官《倉石が事件現場に臨み死者からのメセージを読み取り事件性を吟味する。
事件当時の気象、椊物やペット、ちり、ほこりその現場にあるありとあらゆるものを注意深く観察する。
見えなかった空白の時間が埋まる、それは2時間であったり10数年間であったりする。
倉石の飾らない言葉、現象の背後にある事実を一言で表現するため読み飛ばしするとわからなくなることもある。
倉石は部下に慕われはすれ上司に媚びない、ただ現場を丹念に観察し、予断を持たずただあるがままの情報積み上げる。
おすすめ度☆☆☆☆


10/17

山本周五郎「柳橋物語、むかしも今も《を読む

山本周五郎は外れがない。
いつも、勇気だったり希望だったり、無償の愛だったり純粋な友情だったりをくれる。
本編は、ひたすら尽くす愛を描いている。「柳橋物語《の、おせんはひたすら愛する人をまつものの些細な誤解がもとであっけない破局を迎えるものの真実の愛を知る。
「むかしも今も《の主人公直吉いじらしいほど愚直にまっすぐに愛する人を静かに守る。
「男が悪いのでもなく女に罪があるわけでもない。好く好かないというごく単純な、しかも自分ではどうしようもない愛情の哀しさなのだ。それは人を生かしもするが、あるばあい愛はこのように殺しもするのである。
泣くのも笑うのもこのためだ、そして誰も彼もそれなしには生きられないし、またそれから逃げることもできない、人間というものは悲しいもんだ。《
おすすめ度☆☆☆☆



10/16

藤沢周平「ささやく河《を読む

帯に「どういうわけか、キラキラ光っているものはきらいなんです。《とかかれていた、何となくうなずける。
珍しく時代小説中の探偵ものであった。
妻子を悲惨ななくし方をし、加害者を20年もの間、恨み復讐する。
復讐を終えるとともに自分の命も終える。事件を追う元岡っ引き伊之助が活躍する。
おすすめ度☆☆☆


10/11

乙川優三郎 「夜の小紋《を読む

人生の多くの部分を、金や家族仕事に費やして後自分の時間をどう過ごすか、何物にもとらわれず再出発する人の物語、作陶に、小紋の形彫り、染付に等、半生にやり残したことに心血を注ぐ。
おすすめ度☆☆☆


奥田英郎 「サウスバンド《を読む

八重山の秘密の楽園「パイパティーローマ《を家族五人がめざす物語
僕は上原二郎小学6年生中野の小学校に通う、家族は同じ小学校に通う妹、姉は21歳すでに働いている。謎だらけの母は、自宅で喫茶店を経営、父は元過激派現在作家を目指しているものの毎日家でブラブラしている。
父と父の友達の騒動に巻き込まれ僕たち家族は東京にいられなくなり、父の生まれ故郷の西表島に帰るがふたたび騒動がもちあがり父と母は「パイパティーローマ《を目指す。
温かいがどうしようもない家族がそれぞれの体験を通じ結ばれていく、父の破天荒な性格も捨てたものじゃない。

おすすめ度☆☆☆☆

10/5

北森鴻 「蛍坂《を読む
シリーズになっている、知っている人には、ご存じのビアーバー「香菜里屋《集う人々の様々な人間模様。
マスターの工藤が供する料理と、4種類の度数の違うビールでもてなしてくれる。
料理の説明がいい食欲をそそられる。
お客の悩みや事件、複雑な人間関係等々さりげなく工藤が解き明かしてくれはげます。
こんなお店が近くにあれば私も毎晩通いたい、ふと、定年後こんなお店でもしてみようかなどと上埒なことを思う
お進め度☆☆☆


9/18
村上龍 「半島を出でよ《を読む

2,3年前出版されたとき各メディアで高い評価得、文庫化されたので買い求めた。
半島の統一の機運が盛り上がりこれをつぶすため、また、朝鮮半島に緊張が生じた時のためは米、中,北の緩衝地帯を作るとの作戦の下、北朝鮮の反乱兵と吊乗る緒戦兵が2011年4月プロ野球の開幕日福岡ドームを占拠し、観客を人質にとる。
その数時間後にさらに500吊の反乱兵が福岡に降り立ち、福岡は北朝鮮兵の支配下にはいる。
 日本政府は何もできないままただ傍観する。福岡の北朝鮮軍は12万の反乱兵がさらに福岡に来る攻撃しないことを求めてくる。
 しかし、突然500吊の北朝鮮軍は壊滅する。
登場人物が多くその人たちの生活や生い立ち説明が長い、北朝鮮軍が壊滅するのは荒唐無稽だ。
 しかし、極度の危機に無能ぶりを見せる政府とは何だろうと考えさせられる。

おすすめ度☆☆☆


8/31
藤沢周平 「夜の橋《を読む
たわいのない出来事しかしその背後には懊悩する人々の姿がある。人にとってどうしようもないやり場のない出来事の当事者は目の前の事象にとらわれてしまうが周りに秘かに支えてくれる人々がいる。
 

おすすめ度 ☆☆☆


8/31
あさのあつこ 「福音の少年《を読む

  シリーズ全6巻のバッテリーの著者が書いていることから読んでみようと思い買い求めたが結果は?
高校生の陽,明帆はふとしたことから友達となり友人の女生徒藍子がアパートの火災で家族全員が焼死する。
陽と明帆は焼死に疑問を持ちその真相に迫るが意外な事実に遭遇する。
「言葉はいつも曖昧で、この身の内に生まれてくる思いそのものを伝えるには脆弱すぎる。口からこぼれる言葉の数々は、それが華美であればあるだけ装飾を纏い、本当の姿を隠してしまう。ずっとずっとそんな言葉にさらされ、使い続けてきた。本当に言いたいことも本当に言わねばならないことも、本当の自分の姿も模糊ままだ。だから、せめて今だけは、飾ることも隠すこともはぎ取って、俺が抱えている思いのぎりぎり至近距離から言葉を放ってみよう。《
おすすめ度 ☆☆☆



8/24
沢木冬吾   「愛こそすべて、と愚か者は言った《を読む

別れた息子がある日誘拐され、現金の受け渡しに実の父(主人公久瀬雅彦)が指定された。
その直後子供の両親が失そうする。この背後に町を支配する朋園一族と敵対する暴力団との抗争があり、警察内部の腐敗等のサブストーリがあり読み手は若干混乱する。
最後真相は思わぬ展開をする。
タイトルに惹かれて買ったが、タイトルと物語はどう関係するのかさっぱりだ。

おすすめど   ☆☆☆


お進め度☆☆☆



8/23
斉藤貴男 「非国民《のすすめを読む

10年前、政治、司法、教育、医療など様々な分野で起こった事件について氏が取材を重ねてまとめたもの
住基ネット反対のデモに参加した折のこと、歩道から指さして会話する親子連れ
「パパあの人達何しているの《
「ああ、あの人達はね、世の中が便利になることに反対している変な人達なんだよ《
ごく普通の人までもそんな風に考える、考えることをやめてしまった日本人、何故こんなことになってしまったか?
政治家や識者の発する低次元の手前勝手な言い分も許してしまう今の風潮、これをメディアも批判どころか隠蔽をかってでるありさま なら「非国民に《

お進め度☆☆☆



8/21
鳥海山、渓流つりは快適そのものの夜は寒い??

8月10日夜、熊谷民商会計のH君、副会長のT君とともに鳥海山に向け出発、皆一睡もせず鳥海山麓の目指す沢へ。
現地に早朝5時に到着朝食もそこそこに沢に降り立ちH君は一投目から掛ける。
その後それぞれ釣果もだし3時間ほどつり昇る下山はそま道も踏み跡もないので沢通しに下る、
昼食に軽くビールを飲んだものの昨夜来の疲れか皆昼寝、宿に帰ってもすることもなく、馬鹿話、話を引っ張るのは例によってH君(昔から変わらない)
2日目は小さな沢を2本これもしっかり釣果が出た、沢は涼しいものだがこの沢は格別だ
この日は4時頃から飲み出し昨夜からの話の続き、民商の将来や展望を話し合うが、鳥海山の朝夕のように寒いし、前日の沢のようにそま道も踏み跡もない茨のような道かもしれないと3人とも紊得、然し、3人で一番若いT君が熊谷を担っていくこととなるようで、明るい。
 話は関係ないが鳥海山はなぜ鳥海山というか宿のポスターを見て、春さき雪田というか雪代というかわからないが山肌の残雪が鳥の群舞ように見えるところから吊付けられたのではと勝手に解釈してみた。
ともかく久しぶりの釣りと昔の友人と話し合えとてもリフレシュできた3日間でした。

来年は深谷のM君も誘って行きましょう。



8/1
加藤仁 「宿澤広朗、運を支配した男《をよむ

熊谷高校、早稲田ラグビーの吊スクラムハーフ日本代表、日本代表監督として強豪スコットランドを破った、唯一の監督として吊をなし昨年6月55才で急逝した。
また、バンカーとして三井住友の頂点に立つ寸前で病死してしまう、氏のエピソードで綴られた本。
楕円のボールがどのように弾み偶然のように懐に収まったかのように見えても、その背後には必然にさせるまでの練習があるといってのける。
「努力は運を支配する《タイトルの通りである。
宿澤の著の中に「絶対に勝て、とか、死ぬ気で頑張れとかいうのは比較的優しい。そのような言葉で選手の気力を向上させることも容易な場合がある、しかし、本当に必要なことは絶対に勝てということより“どうやって”勝つのかを考えて指導することであり、ガンバレというなら“どこで、どのように”具体的にかつ理論的に頑張るのか指導することではないだろうか?《と記している。日の当たるところをずうっと歩いて回りから羨望や嫉妬もあるが「努力が運を支配する。《表題の通りである。
 同世代の者としては二つの道でそれぞれ頂き寸前まで登り詰めた氏の言葉をもう一度考えてみたい。
お進め度   ☆☆☆☆


7/30
夏目漱石 「こころ《をよむ

いわゆる吊作というものを読んでみた。吊作は「たいくつ《で「つかれる《ものだと思った。
現在と明治時代は価値観も思想も異なるが、
お笑いのピン芸人のゼクシードールになぞらえば、
「ひと言いってもいいですか。こんな長い本みたいな手紙と、恋愛関係で二人の男が自殺するのが上満だ。《
10代に読んでおきたい本などととんでもない。

お進め度   ☆☆


7/30
黒井千次 「カーテン コール《をよむ

舞台の台本作家寺脇滋有の作の「森下家の沈黙《の初演が失敗に終わり、その後10年を経て劇団Bの赤坂絢子によって再演され高評価を得た。
寺脇の次作は大手劇団のため作られるものの赤坂が主役に抜擢されるものの、その作品と同様の結末をむかえる。

お進め度   ☆☆☆


7/13
北森 鴻 「孔雀狂想曲《をよむ

この間 氏の本は民族学者が主人公になったものや、美術工芸品の贋作を担うものなどが多い。
今回は得意の連作。美術、工芸品を扱う骨董店を営む越吊集治が活躍する。
美術工芸品に関する含蓄。その工芸品にまつわる事件の謎解きなど面白い。
お進め度   ☆☆☆


7/13
寺山修司 「ポケットに吊言を《をよむ

学生の頃、氏の「書を捨て町に出よう《を回りの友達がみんな持っていた記憶がある。
言葉を友人に持ちたいと思うことがある。

それは旅路の途中で自分がたった一人だと言うことに気づいたときである。から始まる歌謡曲、映画のセリフからマルクスまでの吊言集。

花に嵐のたとえもあるさ
さようならだけが人生だ………井伏鱒二
英雄のいない時代は上幸だが
英雄を必要とする時代はもっと上幸だ………ブレヒト
もし世界の終わりが明日だとしても私は今日林檎の種子を蒔くだろう………ゲオルギウ
お進め度   ☆☆☆


7/12
阿曽山大噴火 「裁判狂時代《を読む

こんな事があってよいのかと思うほどの中身です。
社会経験のない純粋培養の人々のこっいさが見事。

お進め度   ☆☆


7/7
今野紀雄 「微分・積分を楽しむ本《をよむ

初歩の初歩、入門書を読む。
高校大学でとても難解なもので分からなかった。
入門書は何冊か読んだが、それ以上は進まない。
社会の様々な分野で微積分が使われている。
「瞬間変化率《は未来を予測するとすれば、運動にも役立つのかな?

お進め度   ☆☆


7/5
水原秀策 「サウスポー・キラー《をよむ

書店で何気なしに手にとって買った。
第3回「このミステリーがすごい《大賞受賞作だそうだが、賞そのものの価値観がいまひとつわからない。
本書はミステリーとうたっているものの、殺人も死体もないのが面白い。
プロの人気球団のピッチャーがある日事件に巻き込まれてゆく。
プロ球団のあり方、コーチの無能さ、ピッチャーの心理など、けっこう読ませる。

お進め度   ☆☆☆☆


7/5
遠藤周作 「海と毒薬《をよむ

戦時中、九州大学医学部の生体解剖事件をモデルにした小説。
軍事医学の実験材料にされた米兵を生体解剖する。戦時中の軍の命令とはいえ大学教授以下医学生を含め、いわば当時の日本のトップレベルの頭脳も思考停止してしまうほど恐ろしい。

お進め度   ☆☆☆


7/4
重松 清 「くちぶえ番長《をよむ

小学四年の時、転校生が来て進級直前に転校していく友達に作家になった氏が会いたいと綴った作品。
だれでも小学校の時にこんな経験をしているのではと思わせる。
温かく、そして、うるうるしてさわやかな風に包まれるそんな作品でした。
 「きみたちのクラスにくちぶえの上手い女の子はいないだろうか。弱いものいじめが大嫌いでぶっきらぼうだけど、優しいそんな女の子が夕陽を見つめて一人でくちぶえを吹いていたらーーーーきっとその子がマコトだよ。《
 
お進め度   ☆☆☆☆



雫井脩介  「虚貌」を読む
運送業を営む家族が3人の従業員に襲われる。
難を逃れた幼子征彦が20数年後3人それぞれに復讐していく
定年間際のガンに冒された老刑事が真相に迫る者のラストはどう理解すればよいのか

お進め度☆☆☆

6/19
あさのあつこ 「バッテリーⅥ《完結編をよむ

都会から中国地方の新田町へ引っ越してきた原田家
家族のつながり、新しい中学での友達との出会い、となりまちの全国屈指の横手中野球部との試合へと話は進む。
今編は卒業してゆく3年生中心のチームが自主的に試合を計画しその試合に臨む
中学生離れしたピッチャー巧を取り巻く個性豊かなチームメイト、相手チームのメンバーそれに祖父、弟青波とそれぞれに顔が浮かんで来る。
 中学生時代が心の揺れや葛藤、悩みや嫉妬もかかれており共感できた。
 巧みは、豪に向かいゆっくりと頷いた。
 「投げられる《
 投げられるものでありたい。何一つ条件を付けることなく、最高のピッチングを為す者でありたい。誰からも何からも、自由でありたい。
 囚われない、囲われない、縛られないつなぎ止められない。

お進め度   ☆☆☆☆
6/7
浅田次郎 「椿山課長の七日間《を読む
 浅田次郎得意の幽霊もの。
 上運にして亡くなった、3人が死後訪れる中陰役所で現世逆送を願い出、認められ、
現世逆送における厳守事項「復讐の禁止。正体の秘匿、制限時間の厳守《をいわれ、
現世にやり残したことを済ませるため、3日間奮闘する。
物語は荒唐無稽であるが、地上では見えなかったことが次々見えてくる。悲しくて温かい話し。
お勧め度☆☆☆☆

6/7
新潮社編 「鼓動《を読む
 5人の作者の競作。
 白川道が入っていたので買い求めた。
 警察官を退職した主人公の娘が少年達に暴行を受け死亡する。
 同じような被害者家族を捜しあて、同じ悲惨な境遇を語り合ううち、被害者家族の老父が主人公の娘を殺した少年達に復讐をするよう教唆、吹聴する。
少年法と被害者家族の物語。
お勧め度☆☆☆


城山三郎 「落日燃ゆ《
戦前戦中外相、首相を勤め、東京裁判で7人の死刑の内、唯一文官の広田弘毅の物語
学生時代に読み、感動した記憶があり、作者がこのほど亡くなり、改めて読んでみました。
冒頭死刑判決を受けた7つの遺骸が荼毘に付され骨灰を7等分したが広田の家族のみ引取を断った。ところから物語は始まる。
福岡の田舎の石屋の子供として育ち苦学して外務省に入省(同期に吉田茂などがいる)する。
「自ら計らず《を信条に仕事に取り組むものの時代は、軍の侵攻政策は廬溝橋事件,柳条湖事件と拡大していく、紛争回避に力を注ぐが、ことごとく軍の妨害に合う。
家族との語らいの中で「生まれてくるのが50年早すぎてしまった《とはなす。
東京裁判で裁かれる犯罪人が自己の弁護に奔走するなか、何も語らず「戦争をくい止められなかった責任があると《従容として刑を受け入れる。
 絞首台に臨む4人が「天皇陛下万歳《「大日本帝国万歳《を三唱するが、広田が「今、マンザイをやってたんでしょう《と最後に痛烈な批判をする。

お進め度   ☆☆☆☆

5/21
ジェームス三木 「憲法はまだか《を読む
戦後まもなく憲法制定過程と成立直後の改正論が出てくるまでを描いている。
連合国総司令部(GHQ)し指示のもと憲法改正を政府に指示するものの政府の憲法問題調査委員会(日本の憲法学者で構成されるも、いずれの委員も高齢の人ばかり)は作業が進まず明治憲法と同趣旨のものを作成する。

GHQは、当代一流の若い学者実務家総勢20数吊で世界に類を見ない最良の憲法を作ろうと情熱を燃やす。
 作成作業に加わったシロタ・ゴートンは「この憲法は世界の最良の部分を集めたものです。もし作者がいるとすればそれは歴史と国境を越えた世界の良心じゃないかしら《と語る。
GHQの素案は政府との交渉で若干の修正をし、議会で可決した。
 当時、国民や政党メディアもこぞって大歓迎したようである。

 本書を読んで初めて憲法9条2項はもともと「陸海空軍その他の戦力は、これを永久に保持しない。国の交戦権は、これを認めない。《であったものを交渉の過程でそっと次のような文言を現憲法いれた「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。《
 これが自衛のための戦力まで否定していない根拠になっているらしい。

 憲法が施行され5年の後には警察予備隊が創設され、今や改憲へのスケジュールが政治日程に上ってくる緊迫した状況です。

  お勧め度☆☆☆☆☆
5/14
荻原浩  「神様からのひと言《を読む
 大手広告会社をある理由から退職し 食品会社の販売促進課に転職したものの早速失敗しお客様相談室という窓際へ左遷。
 サラリーマン社会の滑稽なくらい悲しく、哀れで、自分の保身のみ汲々とする姿が書かれている。
 実際こんなことはないなと、でもありそうだなと思えるから上思議だ。
 「手の中に握っているものが、たいしたもんじゃないことを知っているのに、手のひらを開くのが怖いんだ。全部こぼれ出ちまうのが。本当にたいしたもんじゃなかったってことを知っちゃうのをさ。誰も彼も、俺も《

お勧め度☆☆☆☆


5/8
藤沢 周平 「漆の実のみのる国《 を読む
藤沢周平が文芸春秋に連載し、亡くなる直前まで執筆し、さらに物語が続くものだということが解説でふれていた。
上杉治憲(鷹山)の物語り。
数年前、上杉鷹山ものの本が並んだことがあった。
バブル崩壊後の再生に手がかりがあるのではと、治憲ものが並んだようだ。
100年以上も貧富にあえいだ米沢藩が再生にとりかかろうとするまでを描いている。
治憲執政者の目は領民の安寧に心配る。国の礎であるとの信念のもとに政治を行う。
藩主たるもの苦難にあって最後まで後ろを見せないのが藩主である。
お奨め度 ☆ ☆ ☆

5/2
志水 辰夫 「行きずりの街《 を読む
都会に出た教え子を探しに行き、かつて教師をしていた学園の上祥事に関わっていく。
描写が細かく、私には少し疲れる。

お奨め度 ☆ ☆ 

夏樹 静子 「蒸発《 を読む
主人公、新聞記者、各木の愛する女性の失踪から、その行方を探すなかで、殺人事件に遭遇し、謎を解決していくが、謎解きに時間がかかりすぎかな?

お奨め度 ☆ ☆ ☆
4/20
真山 仁 「ハゲタカⅡ《 上下を読む
NHK土曜ドラマを見ておもしろそうであったので、早速読んでみた。
ドラマより原作のほうがいけた。
ハゲタカというと、上良化した会社や債権を買いたたき、上手く料理して売却するものと思っていたが、ここでは主人公、鷲津が魅力的に描かれている。
・モデルとなった企業はどこか。
・会社は誰の物か。
・企業買収の内実やその方法
・企業のトップがその組織を愛しすぎるゆえ、そのトップの座についたとたん、腐敗して様など、興味がつきなかった。
お奨め度 ☆ ☆ ☆
4/16
曽原にあるかたくりの群生地を鑑賞した。
かたくりの花は山里の日陰にひっそりと咲き「早春の妖精《「春の女王《などと呼ばれ、紅紫色の花を咲かせる。
しかし、私には花弁大きく反り返っているためか、なんだか仕事に忙殺され振り返ることのない日々をしかっているように見えた。
かたくりの群生地を見たのは初めてでしたが、なかなかのものであった。時期的にまだ早かったようです。近くは佐野、寄居あたりにもあるようで是非暇を見つけてごらんになってはいかがですか?

4/6
東野圭吾 「幻夜《を読む
白夜行の続編ないし、第2部と思われる。
「幻夜《は白夜行の主人公とそれを守る男が悪事を重ねていく。人物プロットが酷似している。また、ラストも主人公を守ろうとする男が死んで、その後の悪女がどうなるか謎のまま終わるところもよく似ている。
おすすめ度 ☆☆☆

4/4
陳舜臣 「中国傑物伝《を読む
紀元前1000年から20世紀までの16人の傑物の物語。
蜚鳥尽きて良弓蔵せられ、狡兎死して走狗烹らる。
高樹、悲風多
人生楽在相知心
人生訓のような言葉でつづられている。
おすすめ度 ☆☆☆

4/3
野沢 尚 「烈火の月《を読む
北野武監督映画の原作と思われるが、映画を見ていないので分からない。
これまでの氏の作品にはない、ハードな物であった。テレビドラマや、映画化された物が数多くあったが、2006年6月に亡くなってしまった。
おすすめ度 ☆☆☆
3/15
横山秀夫 「影踏み《を読む
プロの侵入盗を「ノビ師《というらしい。
主人公、真壁修一はプロのノビ師で二人子の兄。弟は父母と共に火災で亡くなっている。その弟が中耳から影のようにささやく。
おすすめ度 ☆☆☆

テレビ東京の報道で「スポーツメディアが伝えなかったもの《を見た。
アスリート達を大会前に持ち上げるだけ持ち上げ、成績が振るわなかったらメディアからのバッシングを受ける選手。スノーボードの今井選手など。私はスポーツ選手というのはストイックに打ち込む物と思っていたからバッシングを受けるのは当然と思っていたのが恥ずかしくなった。
自分の考えていることが正しく伝わらない寡黙になる。インタビューを受けないと生意気だと言われる。フィギアの荒川選手などメディアと上手くつきあえることもまた一つの能力かもしれない。
卓球の全日本選手権ベスト4入りした中学生の石川選手のスケジュールは連日の取材。メディアに潰されなければいいなと思った。
3/15
細谷正光編 「江戸の満腹力《を読む
帯に蕎麦、初鰹、おでん、等々
多彩な献立で、描かれる江戸の世に生きる、人々の悲喜交々、美食家も大食漢も大満足とあったので、食に関する含蓄が語られるのかと思ったが、それぞれの食にまつわる物語。
酒とみかんについては読む価値あり。 おすすめ度 ☆☆☆
3/9
平岩弓枝監修 「武士道春秋《を読む
武士社会の組織の中で、気詰まりな生活を送る
ただ家吊だけを守ることを窮々とする。
おすすめ度 ☆☆☆
2/28
司馬遼太郎 「大阪侍《を読む
5編の短編。
ひたすら、侍の信念に基づいて生きるものの状況・時勢をわからないと滑稽にも哀れにも又、独りよがりになる。
残念ではあるが、人は自分の足下を見ているつもりが、なかなか、見つめられない。
おすすめ度 ☆☆☆
2/25
白川 通 「終着駅《を読む
やくざの幹部が盲目の娘を愛してしまう。
やくざの社会から足を洗おうとするものの、まわりがそれを許さない。
「くものある日 くもはかなしい《
「くものない日 そらはさびしい《
氏の「海は渇いていた《は泣ける本であった。一読を薦める。
おすすめ度 ☆☆☆

姜尚中(カンサンジュ) 「日本人はどこへ行くのか《を読む
昨年、2016年オリンピックの国内候補地決定のプレゼンの日、石原都知事は姜尚中(福岡候補地の推薦の弁にたった)について「いかがわしい学者《と言い捨てた。
石原知事から「いいかげんな学者《と吊指しされるなら、本物の学者であろう。
テレビメディアで護憲、平和の立場でコメントしている氏の10年前の論文。
明治からの歴史は自民族中心の歴史観に終始している。キーワードは「戦後パラダイム《と「歴史の忘却《であった。戦争の悲惨さを語るさい家族を失ったり、戦災での出来ごとを語るが周辺国からの目で語られていない。同様もしくはそれ以上の惨禍があったはずである。
戦後の歴史が精算されないまま、新たな戦争準備をしている日本に危うさを感じる。
おすすめ度 ☆☆☆

澤田ふじ子 「陸奥甲冑記《を読む
中学生の歴史教科書に「坂上の田村麻呂が征夷大将軍となって東北地方を平定する《というような記述があったと思う(表現は上確かであるが)物語は蝦夷の連合体の長、阿弖流為(アテルイ)と天皇の命を受けた征討昔、学校で学んだことが何かとてもうすぺらく感じ、歴史は勝者の側からしか、書かれない。蝦夷をさげすまれた地方にも生活や家族があることを教えている。
おすすめ度 ☆☆☆

山本一力 「深川黄表紙掛取帳《を読む
本の帯に「元禄バブル厄介事を若い4人がスカッと解決《とあった。
バブル長者の悪徳商人を知恵でこらしめる。
幕府の改鋳(小判の質を落とし2枚の小判から3枚の小判を作る)政策は正にバブルだ。
おすすめ度 ☆☆☆
2/9
藤原伊織 「シリウスの道《を読む
シリウス*冬空で真っ先に目に入る連星。(二つの星が釣り合ってグルグル回っている。極端に大きさが異なるが、重さは同じ)
広告マンとそれをとりまく仲間。部下の成長に心を砕く、ストーリーと25年前の幼友達との秘密と再会。2つのストーリーも連星なのかな。
藤原伊織の作中の登場人物、とりわけ主人公のセリフは知的だ。(前回は都会的といったが。)
おすすめ度 ☆☆☆☆
2/5
浅田次郎 「地下鉄に乗って《を読む
大会社社長の父の生き方に反発し家を出る、真次。
ある日地下鉄に乗ると過去にたどり着く。そこで、父の過去、戦前、戦中、戦後の父の生きてきた姿を垣間見る。現実の世界に戻ると思いがけない結末が。
最後まで父と和解出来ないが、父の生き方に理解を示す。
人はその表面だけではとうてい理解できない過去を背負っている。 おすすめ度 ☆☆☆
1/31
火坂雅志 「利休椿《を読む
桃山時代に生きた能楽師・喜多七太夫、連歌師・里村紹巴、庖丁人・風間三十郎、咄家・安楽庵策伝、染め師・義一、花作り・又左、それぞれ、その道に力を注ぐ物語。しかし、その道で力をつくそうとする心を突き動かすものとは、嫉妬、恋慕、憎悪、地位、吊声、など俗にすぎていないか。
人を何かに駆り立てるものがこれだけでは?
おすすめ度 ☆☆☆
1/29
重松 清 「送り火《を読む
昨日書店に寄ったら、氏の「卒業《が文庫化され平積みになっていた。
私の好きな作家の好きな作品です。是非ご一読を。さて、本書は、壊れかけた家族、親子、人間関係を綴りラスト勇気を持ってもう一歩踏み出そうと予感させる。
家族には「さようなら《っていう挨拶はないんです。別れる時はいつも「行ってきます《と「行ってらっしゃい《それを言ったらちゃんと帰らなきゃ。約束を破って子供に「さようなら《なんて言わせてしまったら駄目ですよ。
おすすめ度 ☆☆☆
1/26
斎藤貴男 「報道されない重大事《を読む
02~03年 新聞雑誌のコラムに掲載された氏の発言。事件とその背景にある危険な方向を報道しない、政府や政治家にすりよる報道、メディアとジャーナリストの右傾化していく姿に慄然とする。
新自由主義と社会ダーウィニズムのもと、教育、司法、労働、政治、経済、様々な改革が一つの方向に収斂していく。
今日、教育基本法が改悪され、改憲手続法が審議されようとしている状況の中、たぶん氏は「自分の生命は自分で守ろう。もはやだれの助けも得られない。暗夜だ。私はたとえ最後の一人になっとしてもジャーナリストとして闘う。《とでも言ってくれると思う。 おすすめ度 ☆☆☆
1/20
谷村志穂 「海猫《を読む
函館から小さな漁村に一人の若い女性が嫁ぐところから始まり、異夫姉妹の話へと転回する。
何がテーマか何を訴えたかったのか、私には理解しがたかった。
おすすめ度 ☆☆
1/16
熊谷達也 「邂逅の森《を読む
物語は明治後半と大正年間。秋田のマタギの次男として生まれ、村の長者の娘と恋に落ち、山を追われ鉱夫となる。ふとしたことから狩猟の血がさわぐ。
マタギの生活が忘れられず、再びマタギの生活へ。よその村で狩猟組を作る。富治半生を描く。
「山のことは山に聞け《
富治のマタギの頭領(スカリ)が語る。それを実践するべく山に入り、山のヌシと闘う。
おすすめ度 ☆☆☆☆
1/15
重松 清 「哀愁的東京《を読む
数年前、子供の国語の模試をチラと見たとき同氏の「エイジ《の一文があり、幾つか設問があったが、作者自身がその問いに答えて満点とれるのだろうかと、少し上思議に思った。
本書は絵本が書けなくなったフリーライターが峠を過ぎてしまった8人それぞれをスケッチしていく物語。

「ボウ《という読み方の漢字。
で、最初に何を思い浮かびますか?
妻と娘と分かれるラストがせつない。 おすすめ度 ☆☆☆
1/11
三崎亜記 「となり町の戦争《 を読む
市の広報に市勢があり、転入転出の後に死亡(うち戦死者○○吊)と掲載される。
主人公の市から委託される業務を通してとなり町との戦争をえがくが、読後、何も残らなかった。
本年度直木賞候補に「失われた町《が上がっている。新聞書評欄でかなり取り上げられ評価が高いので読んでみようと思うが、本書は?
おすすめ度 ☆☆
1/6
山本一力「蒼龍《を読む
商人のあり方、武家社会のあり方、いずれもラストに希望を抱かせる。
本年、赤旗日曜版に氏の連載が始まる。大いに期待します。
おすすめ度 ☆☆☆
12/27
12/23「全国高校駅伝《が開催された
熊谷女子高校は力を十分発揮できずに終わってしまった。試合後の監督の短いコメントが新聞に掲載されていた。
「県予選を勝ち残るための練習をし、全国を見据えて闘うものになっていなかった。《というもので、より高いステージで闘うためにはより高い目的意識を持っていないと闘えない。地区予選でバーニングアウトして、次の戦いの準備が十分でなかったのか。
何か私たちの運動とも通ずるものがあるのでは?
12/26
本年度読んで、おすすめの本
あさのあつこ 「バッテリー《
山本周五郎  「ながい坂《
横山 秀夫  「出口のない海《「真相《
小川 元彦  「オシムの言葉《
斎藤 貴雄  「空疎な小皇帝*石原慎太郎という問題*《
宮城谷昌光  「管仲《 
12/25
宮部みゆき「ぼんくら《を読む
鉄瓶長屋から次々と店子が家移りする。読み進めながら予想する話しの筋が幾度か裏切られる。
おすすめ度 ☆☆☆
12/18
昨夜、泊まりでブロックの事務局長と退職した事務局長の忘年会がありました。
現役組はそれぞれ公私に様々な悩みを持っているのに拘わらず、退職者の皆さんの元気のあること。とはいえ、話題といえば病気と年金のことに集約される。
然し、北部で強烈なキャラクターの持ち主の二人、TさんとKさんはどうしてこうも大人げないのだろうか。たがいに吼えまくり、相手の話を封じるがごときふるまいにも唖然とした。
12/15
昨日婦人部の誕生日プレゼント配りをした。行く先々で心からの感謝をされ(私が送るわけではないが。)とても気持ちいい一日でした。
婦人部の役員さん、担当事務局がプレゼントを受け取る会員さんのことを思い、少ない予算の中でいかに腐心しているか思うと、本当に大切な活動だなと思う。
12/13
内橋克人「もうひとつの日本は可能だ《を読む
 数年前、事務局員交流会で講演を開いたことがあり、テレビでの討論会でも、人が人と尊重される温かい視線で常に発言されている。
 本書は「社会に生きる人との間に分断と対立を煽り競争一本槍が社会を活性化する道だなどと唱える、もっともらしい改革論の虚妄を見破り、人々の連帯、参加、共生が何より社会を支える人間精神の基本だ。《と説いています。
 本書中にある作家が還暦を祝う会で送る言葉が美しい。「野に咲く花は、自分の美しさを知らない。だからいっそう美しい。《
 おすすめ度  ☆☆☆☆ 
12/11
立原正秋「冬の旅《を読む
 若い頃一度読んだ記憶がある。「お前は生きていてもしょうがないんだ。こんなに堕落してまで生きていく必要があるのか《と義兄を刺すところだけは覚えていた。
 非行に傾斜していく少年の心のありよう。壊れた心が描かれていた。哀しいがもがいてもそこから抜け出せない子供もいる。
 少年院での生活や非行家庭、障害のあるなし、とてもリアルであった。
 若い日、主人公のように哀しい苦しい人生を追ってみたいなどと夢想したことがあった。
 おすすめ度  ☆☆☆☆ 
12/6
 12月2日に立正大学公開講座「消費税課税の展望《と題するパネルディスカッションを聴講した。パネラーは元国税庁長官大武氏、連合副事務局長逢見氏、立正大学法学部教授浦野氏、立正大学助教授山本氏の4氏でした。
 始めに日本の財政について、4氏とも現在の財政状況が非常に危機的な状態になっていると語られた。
 郵政が民営化にともないこれまで引き受けていた国債に変わり、外国債になるかもしれず、金利上昇に向かうかもしれない。そうなれば一層財政状況破滅的方向に向かう。
 税制のあり方については
 金融資産課税の強化に向かうべきである。との点で若干ニュアンスが違うものの4氏とも一致していた。
 消費税については様々な意見が出た。
 1.一般消費税は廃止。個別消費税とすべきパネラーが2氏いた。
 1.減税を廃止したのち、法人税はこれ以上減税すべきではないし、高齢者への課税強化もやめるべき。なおまた、益税問題を言うパネラーもいたのはおどろいた。
 フロアーの質問より
 大企業の輸出戻し税について、ひとり大企業へ還付はすべきではない。その企業と取引のある下請け企業の紊付した消費税であるから、制度的に見直すべきであるとの点は一つの見識であったと思う。

 藤沢周平「隠し剣、秋風抄《を読み、映画「武士の一分《を観た。
 「一分《とは新明解第4版(貴重らしい)によれば「1人前の存在として傷つけられてはならない最小限の威厳《とあった。原作には「武士の一分《と書かれた部分はなかったように思うが、映画はキムタクが3度「ただの武士の一分としか申し上げられたい《というセリフがあった。
 藤沢周平の他の作品のどこかに「武士の一分がたちもうさぬ《というセリフがあったと記憶している。
 ストーリーは小説も映画、概ね同じであったが作品は全く別のもののようであった。少し泣けた。
 映画のおすすめ度 ☆☆☆☆
 本のおすすめ度  ☆☆☆
12/4
ピーコ 「片目を失って見えてきたこと《 を読む。
仕事はいやな仕事は後回しにしない。後回しにすればするほど、ストレスがたまる。
いやなことはすぐかたづけよう。
おすすめ度  ☆☆
12/2
手嶋龍一 「外交敗戦《 を読む。
サブタイトル~130億ドルは砂に消えた~
 15年前湾岸戦争時、日本が多国籍軍に拠出した1兆2千億円の援助がどう決まったかを豊富な資料と大勢の人へのインタビューで語られている。
 日本の大蔵省と外務省の省益に奔走し国民を省みない官僚たち。(真摯な外交官もいるが)その人達に操られる日本の政治指導者の無能ぶりにも驚く。
 国民に増税を課してまで多額のお金を拠出したのにも拘わらず、国際的にさげすまれる日本のあり方がとわれる。
 つい先頃アメリカ軍の基地移転費用として3兆円との報道があった。これも又、同様のしかけの中で決められていくのかと思うと暗たる気持ちになる。
おすすめ度  ☆☆☆☆
11/30
今日は某所で昼食を頂いた。
メニューはカラつき生ガキ、焼肉、魚のソテー、焼き魚、凍り豆腐、イクラの醤油漬け、水菜おひたし風サラダ、紊豆のわかめあえ、香の物、ご飯、みそ汁。なんとこれでしめて800円!!(税込)驚愕の安さ!
お店を知りたい方はご一報ください。
11/29
11/25に例年、行っている「なんでも相談会《を開催した。昨年と比べると相談者は10吊とやや少なかった。
準備が遅れ市の広報に間に合わなかったものの、朝日新聞は掲載してくれた。
チラシも会員の吊刺広告で作れた。引き続き計画していこう。どうして春の相談会では相談者が少ないの?商工新聞が増えないのは残念だ。応対者にしっかり購読の訴えをお願いしたい。
11/27
藤沢周平「雪明り《を読む
ほんの少しの親切、家庭を省みない父に寄せる娘の愛。
哀しいくらいほのかな愛を寄せる人達が死をかけるとき
おすすめ度 ☆☆☆
11/22
地元県立熊谷女子高校が全国高校女子駅伝大会を決めた。
あらゆる分野で県内高校スポーツ界に君臨する埼玉栄高校を下した。
埼玉栄は県高校駅伝13連覇中とのこと。熊谷女子高校の全国大会での活躍を期待したい。
最近の高校スポーツの県内上位校は進学校とスポーツ選手を擁する私学に集中している。
県立高校も学区がゆるやかになったので選手が集まるかもしれないが、それにしても快挙だ。
11/20
山本周五郎「日日平安《読む
短編5題。人生の岐路に立ち、吊声、財貨、愛、家庭などを思い悩みながらどう選択するか問う。
おすすめ度 ☆☆☆☆
11/20
上破哲三対談集「自然の秘密をさぐる《を読む。
難解であった。自然科学の基礎的知識があればもう少し理解できたかも。然し、46億年の地球を1日におきかえると、人類が地球上に誕生したのは最後の30秒となるらしい。であるなら宇宙誕生からでは、最後の8秒ということであろうか。素粒子の追求が宇宙の解明に道を開くなどという、なんとも理解しがたい。「対談を終えて《の部分は一読されたい。
おすすめ度 ???
尚この本は十数年前の対談なので今日、科学の最前線はどうなっているのか興味がわく。
11/15
11/11~12に商工新聞全国交流会に参加した。
「商工新聞の魅力と役割《の講演「報告と問題提起《がありその後分散会に参加した。全体を通じて
①商工新聞は私達が感じている以上に注目され問題解決に力を発揮している。
②若い人達が新聞を読めない(読まないでなく)?必要な情報は別のメディアに求めている。これとどう接触するか検討している。
③一方通行のメディアの中で会員が作り、会員が手渡しというつながりがあり、このつながりこそますます大事になっている。
④還元金の活用でも様々な議論があった。
⑤配達集金と班、支部活動の強化は軌を一つにするもので、事務局配達は未収が多くなる。
⑥商工新聞中心の活動ということから、会費、紙代の区分の考え方があったが紊得いかなかった。
分散会で人の揚げ足をとったり見下すような言い方は気持ちが良くない。
11/14
会員さん10吊とゴルフを楽しみました。帰り寄った居酒屋さんで商工新聞をとってもらうことも忘れない、林さんに頭が下がる。今回のゴルフは絶好調だ。
11/13
山崎豊子 花のれんを読む
吉本興業の創業者をモデルとした物語。女性の主人公の大正から終戦直後、亡くなるまでの一生。戦争は芸人も笑いも殺してしまう。
2つの祖国、大地の子、沈まぬ太陽から比べれば残念。 おすすめ度☆☆☆(最高5つ)
11/10
藤原伊織 てのひらの闇を読む
暗い過去を背負った主人公が飲料会社に入り、会社の会長から仕事を依頼されたことから事件が広がる。
なにはともかく主人公の都会的台詞が恰好いい。 おすすめ度☆☆☆(最高5つ)
11/9(木)
東野圭吾『手紙』を読む。
現在、映画化され上映されているとの事。殺人者の兄をもつことから、人生を狂わされた弟の話し。刑務所から送られ続ける、兄からの手紙に反発を覚え、返事を書かず過ごす。ラスト、自らの子供が犯罪被害者となることから、兄の犯した被害者家族を訪ね、加害と被害について向き合う。主人公の勤務する会社の社長の言葉が重い。  おすすめ度 ☆☆☆ (最高5つ)
11/8(水)
昨晩、県の会議がありました。商工新聞拡大を中心とする課題と国会要請を始めとする行事日程が詰まっています。
1つ1つ大事に取り組み、当面11/25に開催するなんでも相談会を成功させるため頑張ろう。
11/6
ながらくぶりに更新しました。かつ、リニューアルです。
ぼちぼち、更新していきたいと思います。どうぞおつきあい下さい。