『かがみSide〜らきメモ編・第1話』






                                                    
                                                     投稿者 フォーゲル



  「こなちゃん、おめでと〜!」
 「つかさ、ありがとう」
 そんな光景を見ながら、私はとりあえずホッとしていた。
 今日は、こなたと祐一くんの受験結果の発表日。
 2人共、一度失敗してるからどうなるかを心配していたけど・・・
 (こなたは合格と・・・後は)
 「後は、祐一さんだけですね」
 みゆきが心配そうな声で言う。
 「もう戻ってきてもいい頃なんだけどね〜」
 つかさも不安そうな様子を見せる。
 2人が合格出来たら、そのまま遊びに行けるように私達は学園に来ていた。
 「大丈夫でしょう?私とみゆきが付きっきりで勉強教えたんだし」
 それに、祐一くんも必死に勉強していた。
 その努力は、私が一番よく知っている。
 「でも、かがみはスパルタだったよね〜最後の3日間とか本気で死ぬかと・・・」
 「仕方ないでしょ!アンタ達は、それぐらいやらないと、合格出来るかどうか怪しかったし」
 最後の3日間は、私は祐一くん、みゆきはこなたに徹底的に教えていた。
 (でも、私は嬉しかったかな・・・)
 いつも、祐一くんの周りには、こなたやつかさ、みゆき達がいるし・・・
 こういう機会でも無いと、祐一くんの近くには居れなかっただろうし。
 
 “ガラッ”

 不意に教室のドアが開く音がした。
 そして、祐一くんが入って来た。
 「祐一くん、お帰り〜!!」
 「結果は?だいじょぶだった!?」
 こなたとつかさの言葉に答えずに祐一くんは顔を下げたまま入って来た。
 (も、もしかして・・・ダメだったの?)
 祐一くんは私達4人の前まで来ると顔を上げて――――
 「みんな、ありがとう!!」
 そう言って親指を立てた。





  「全く・・・まぎわらしいことすんな!」
 「ゴ、ゴメン!!ちょっとビックリさせようと思っただけなんだよ」
 「この状況で、顔下げたまま入って来たら、誰だって落ちたと思うでしょうが!」
 「まあまあ、かがみさん、落ち着いて下さい」
 怒る私を宥めるみゆき。
 「お姉ちゃん、みんな合格出来たんだし、今日は怒るのはやめようよ」
 つかさの言葉にようやく落ち着く私。
 「でもさ、本当に良かったよ〜みんな進学先決まってさ」
 「そうね。誰か一人だけ浪人生なんてことにならなくて良かったわよ」
 こなたの言葉に同意する私。
 教室で帰る準備をしながらそんなことを話していると・・・
 「そうやな〜そんなことになってたら、ウチとしてもアフターケアーが大変になるところやったわ」
 「あ、黒井先生」
 教室の入り口のところに黒井先生が立っていた。
 「泉、永瀬。合格おめでとさん」
 『ありがとうございます!』
 2人揃って挨拶するこなたと祐一くん。
 「お前ら2人が最後やったからな〜進学先が決まってなかったのは、ようやくウチも肩の荷がおりたわ」
 「ご心配おかけしました」
 頭を下げる祐一くん。
 「そうや、これでやっと『あの話』が出来るんやな・・・」
 こなたを見ながら言う黒井先生。
 「黒井先生、どうしたんですか?」
 「お前ら、桜藤祭の劇のことなんやけど・・・もう1回やって見る気あらへんか?」
 「桜藤祭の劇って・・・『Fate』の劇のことですよね?どうしてですか?」
 祐一くんの問いに黒井先生がもう一度聞き返す。
 「いやな、ウチの学園も含めて、ここらへんの学校は卒業生達が交流するイベントがあるのは知ってるやろ?」
 黒井先生の言うとおり、陵桜学園周辺の卒業生達は、卒業式の直前に指定された学校に集まり、交流するというイベントがある。
 確か・・・フィオリナ女学院とかが対象だったかしら?
 「で、今年はウチの学園が指定されてるんやけど・・・」
 「確か、各校の卒業生達が何か出し物をするのが伝統なんですよね」
 「そうや、で今年は『演劇』がテーマになってしもてな」
 みゆきの問いに、頭を押さえながら言う黒井先生。
 「それで、私達の劇なんですか?」
 「桜藤祭の時に、見てた他校の先生方からも絶賛されてな、ぜひもう一回見てみたいという声も多いんや」
 「なるほど・・・」
 「主役の泉が、まだ進学先が決まっていなかったしやな。『とりあえず生徒達の意見を聞いてみます』ということで話を止めといたんや。泉どうやろか?」
 「う〜ん・・・でも他のみんなの意見も聞いてみないと」
 「あ、ここにいるメンバー以外はやってもいいって言ってたで」
 こなたの質問をフォローする形で答える黒井先生。
 「どうする?みんな?」
 「私は大丈夫ですよ。卒業式前の最後の思い出にもなりますから」
 「私も〜みんなで手作りでする作業も楽しいし」
 「俺もいいよ。思い出は一つでも多い方がいいし」
 「みゆきさん、つかさ、祐一くんはOKと。かがみは?」
 こなたに問われて私は考える。
 (う〜ん・・・また注目を浴びて舞台に立つのはちょっと恥ずかしいけど、楽しかったのも事実だし・・・)
 「いいわよ。みんながやるって言うのなら」
 「・・・とか言いつつ、自分が一番やりたがってるかがみ萌え」
 「なっ、ち、違うわよ。私はそんなこと思ってないわよ!!」
 こなたの言葉に慌てて反論する私。
 「よし、分かった。じゃあ他校の先生方にはそう伝えておくわ。お前ら、合格祝いでハメ外すんやないで〜」
 黒井先生はそう言って教室を出て行った。






  「はぁ〜・・・」
 ドサッと椅子に腰を下ろす祐一くん。
 「どうしたのよ〜疲れたの?」
 買って来たジュースの片方を祐一くんに渡す。
 「あ、ありがとう。かがみさん」
 ジュースのキャップを開けてそれに口を付ける。
 「こなたさん達は元気だね〜」
 学園を出た後、私達はゲームセンターに遊びに来ていた。
 祐一くんの視線の先には、ダンスゲームで遊んでいるこなたやそれを見ているつかさやみゆきの姿がいた。
 「俺、もう年なのかも・・・」
 「何、言ってるのよ、もうちょっとシャキッとしなさい!」
 笑いながら言う祐一くんに思わずツッコミを入れる私。
 「ああ、そうだ・・・」
 祐一くんは何かを思い出したようにカバンを探すと、ある物を私に差し出した。
 「かがみさん、これありがとう」
 そう言って祐一くんが差し出したのは、私があげたお守りだった。
 「これのおかげで合格出来たみたいなものだし・・・ありがとう」
 「べ、別に大学に合格出来たのはアンタの努力のせいでしょう、感謝されることなんて何もしてないわよ」
 「でも、かがみさんに貰ったこのお守りのお陰で受験も落ち着いて望めたし。本当にありがとう」
 そう言って笑う祐一くん。
 その顔を直視出来なくて、思わず視線を逸らす私。
 「あ〜だけど、良かったな〜」
 「何がよ?」
 「大学。かがみさんと一緒で」
 「なっ・・・」
 祐一くんの言葉に思わずドキドキする私。
 (そ、それって・・・)
 「だって、こなたさん達とは離ればなれだし、一人でも知り合いがいる方がいいなって」
 「あ・・・そ、そうよね」
 (そうよね・・・それ以上の深い意味なんて・・・あ、そうだ)
 私は今思いついたことを祐一くんに提案する。
 「じ、じゃあさ・・・今度、一緒に見に行く?その・・大学?」
 「え?」
 「入学する前に、大学の雰囲気を感じておくのもいいと思うんだけど・・・どう?」
 「いいね〜いつにする?」
 「今度の日曜なんかどう?」
 「日曜?」
 祐一くんは首を傾げると、残念そうに言った。
 「ゴメン。その日は先約があるんだ」
 「あ、そうなんだ。じゃあしょうがないか・・・」
 (残念・・・せっかく祐一くんと2人きりになれるかと思ったのに)
 私がそんなことを考えてると―――
 「2人共、話終わった〜〜〜?」
 こなたがニヤニヤしながら私達に話しかける。
 「な、何よ、こなた。そんな顔して」
 「いや〜2人がいい雰囲気だったんで話掛け辛くてね〜」
 「ち、違うわよ!別にそんなんじゃ・・・」
 「いや〜お熱くていいですな〜」
 「こ〜な〜た〜!!」
 からかうこなたを私は追いかけまわした。






  (う〜ん、なるほどあんな感じなのね)
 私は歩きながら、大学の感じを思い出していた。
 私と祐一くんが通う大学は都内にあるんだけど、今日見てきた感じでは騒々しくもなく落ち着いて勉強出来そうだった。
 (帰ったら、祐一くんにも教えてあげよう)
 私がそんなことを考えながら歩いていると・・・
 (!?)
 ある洋服屋さんの中に知り合いを見つけたからだ。
 (祐一くん!?)
 そこには、私との用事を断った祐一くんの姿があった。
 それだけなら、私もそんなに驚かない。私が驚いたのは―――
 その隣にみゆきがいたから。
 (ゴメン、その日は先約が―――)
 こないだの祐一くんの言葉が脳裏に蘇る。
 (なんだ・・・みゆきとデートならハッキリそう言えばいいじゃない・・・)
 2人が出口に向かって来るのが見えた。
 私は慌ててその場から離れる。
 2人が店を出るのを確認してから、私は逆方向に歩きだす。
 私は真っ直ぐに前を向いて歩いていた。
 ―――下を向くと涙が溢れて来るのが分かったから―――







                                   〜第2話に続く〜


                  こんばんわ〜フォーゲルです。かがみside・らきメモ編の第1話になります。

                        まずは間隔が大分開いてしまったことをお詫びします。

                        内容は、また演劇をやることになった流れの解説ですかね。

               そして、かがみのライバル(?)がみゆきさんという流れにも注目してもらえると嬉しいですね。

               桜藤祭関係のSSだとかがみのライバルはこなたかつかさという多いのでみゆきさんにしてみました。

                       次回以降は基本ベースはゲームのらきメモ編かがみルートですね。

                                  それでは、失礼します〜



管理人の感想

とうとう始まりました。かがみSide・らきメモ編。

意外な展開で再びやることとなったFateの演劇。二人も大学に合格し、高校生活最後の思い出づくりが始まった。

しかし、祐一への想いを自覚したかがみが見たものは・・・自分の誘いを断って、みゆきと楽しげに歩いている祐一の姿。

もちろん、彼女でもない自分がそれを咎められるはずもなく。かがみはただ涙を堪えて踵を返す。

さて、これからどうなっていくのか、非常に楽しみです。



2009.3.7