白い砂浜。
眩い陽射しが容赦なく降り注ぎ、キラキラと反射する蒼い水面。
空を見上げれば、突き抜けるような蒼空はどこまでも遠く果てしない。
「最高ですか?」
思わず疑問系になってしまうほどの最高のロケーション。
俺達3年3組のメンバーは、夏休みも終わりに近づいてきた今日、かねてより計画していた海水浴に来ていた。
電車を乗り継ぎ1時間。島内でも指折りの海岸は、盆休みを過ぎたことで人も多くなく、まさに絶好の場所と言えるだろう。
ちなみに、3年3組と言っても当然のことながらクラス全員で来たわけではない。まあ要するに、いつものメンバーというやつだ。
「あぁ〜、月島たち早く出てこねーかなぁ。女子達の水着姿を想像しただけで・・・くはぁ〜たまんねーなぁ、おい」
妙なテンションで俺の肩を変態・・・もとい、渉がバシバシと叩いてくる。
「確かに、あれだけの美少女揃いだ。盗撮でもして売りさばけば、結構な金になるだろう」
「売るなよ・・・」
右隣では杉並が、冗談か本気か分からない様子でファインダーを覗いているのを横目に、俺はげんなりとため息をついた。
まったく、こいつらのせいで折角のリゾート気分も台無しだ。
まあ渉の気持ちも分からないでもない。今日一緒に来ている女子達は、はっきりいってかなりレベルが高いと思う。
渉曰く、「我がクラスが誇る萌キャラ三人娘」、雪村杏、月島小恋、花咲茜。
違うクラスではあるものの、小恋の親友ということで俺たちとも仲の良い学園のアイドル、白河ななか。
彼女らの水着を想像して興奮してしまうのは、健全な男子学生として当然のことなのかもしれない。
「はぁ、はぁ・・・なんだかオラ、わくわくしてきたぞ!」
・・・もっとも、隣の馬鹿はどう考えても「健全」ではないのだが。
流石にこのまま渉を女子達に会わせると危険な香りがするので、延髄にでも極めて沈黙させておこうか・・・などと考えていたその時。
「お待たせ〜〜」
ななかの元気な声と共に、4人の少女が姿を現した。
「おおぉっ!!」
その姿を視認し、突然奇声を発した渉は、視姦といっても差し支えのない怪しい目でマジマジと見つめている。
そしてその隣で、そんな渉の犯罪者に近い顔を激写している杉並。
・・・何やってんだか、こいつらは。
そんな彼らに呆れつつ、俺は一人一人その水着を見比べてみる。
「あはははは、板橋君。そんなに見てると見物料貰うよ?」
楽しそうに笑うななかは、白のビキニに下は黄色いパレオを巻いていて。
「杉並、その写真あとで頂戴。いざという時に使えるわ」
何やら怪しげな笑みを浮かべている杏のスクール水着姿はなんというか・・・渉に言わせれば、「萌え所を押さえている」のだろうか。
「もぉ〜、渉くんってば、目つきが怪しすぎだよぉ」
ぷりぷりと怒って恥ずかしそうに身体を隠す小恋は、意外なことにななかと同じくビキニ。しかし下はスカート状にフリルが付いている。
そして・・・。
「どお?義之くん。この夏のニューモデルは。・・・ふふふ、欲情しちゃった?」
溢れそうな豊満なバストをツンと張る茜は、布地の部分を首からぶら下げるような形の、胸元が大きく開いた水着だった。
「あ、ああ。いいんじゃないか?・・・でも」
「でも?」
「・・・いや、何でもない」
そんな水着を着ていたら、浜辺に居る男共の注目を集めるじゃないか。
などとは口に出して言えず、心の中でぼやく。
本当にまったく。何という水着を着てくるのだろうか。
――俺の彼女である、花咲茜は。
D.C.U〜ダ・カーポU〜 SS
「茜色の海岸」
Written by 雅輝
その告白は、本当に突然の出来事だった。
特別に何かがあった日ではない。普段どおりに登校して、普段どおりに授業を受ける、そんな一日。
おかしさを感じたのは、昼休みだっただろうか。
いつもは一緒に食べている雪月花の3人組が、「今日は大事な会議があるから」と言って、教室を出て行ってしまったのだ。
おかげで渉、杉並との何ともむさい昼食になってしまったのだが。
午後からの授業は、何とも言えない雰囲気だったのを憶えている。何となく、というとても気分的な問題なのだが。
その時になって、そういえば・・・と思い出す。今日は後ろの席にいる茜と、一言も会話を交わしていないのではないだろうか。と。
いつもは良く喋る・・・むしろ騒がしいほどの茜のそんな行動に、少なからず疑問を憶えつつ迎えた放課後。
さて、帰ろうか。と、何気なく机の中を手探ってヒラリと出てきた一枚の手紙。
そこには女の子っぽい字で、ただ一言。「屋上で待っています」と書かれていて。
どうせ杉並か杏の悪戯だろうと思いつつも、万が一本当だったらという可能性を捨てきれず、一応屋上を訪れてみた。
そこに居たのは――。
「来て、くれたんだね?・・・義之くん」
背後に、その名前と同じ色の空を構えた、一人の少女だった。
「さーてっ、それではこれより、第3回スイカ割り大会を開催しますっ!」
「・・・いやいや、ちょっと待て。そもそも第1回と第2回を開催した記憶が無いのだが」
どこからかいきなり取り出したスイカを高々と掲げ、宣言するように声を上げた杉並に、俺は律儀にもツッコミを入れた。
ぼんやりとして反応が遅れてしまったが・・・どうやらあの日の事を思い出していたらしい。
まだ一月ほどしか経っていないのだから、当たり前といえば当たり前なのだが。
「はいはーーいっ!それじゃあ、私がいっちばーん」
杉並の提案に速攻で名乗りを上げたのは、記憶の張本人にして我が彼女。
元々お祭り好きな彼女だが、今日は何だかいつもより若干テンションが高いような気がする。
「よぉーし、行けい!花咲よ!」
杉並もいつもよりハイテンション・・・いや、こいつの場合はハイとローの波が激しいので、さほど気にはならないな。
「へへっ、それでは私めが身体を回転して差し上げましょう」
そしてそんな中。目隠しをし、木の棒を構えた茜に近づく、既に顔がにやけている不審な男が一人。
・・・どうやら渉には、一度バイオレンスな指導が必要のようだ。
「えぇーっ!絶対ヤダ。義之くんにしてもらうんだもんね〜」
「ごふぅっ!!」
――と思ったのだが、俺の拳より効きそうな茜の拒絶という名のボディブローが入ったので、追い討ちは掛けないでおく。
それにもう、先ほどの茜の言葉に気概を殺がれてしまったしな。
「義之くん、早く早く〜♪」
「あらあら、見せ付けてくれるわね」
「あはは、ご馳走様〜」
「ほぉらっ、義之。お呼びだよ〜」
茜が待ちきれない様子で身体をくねらせながら俺を呼び、それに対し杏、ななか、小恋がそれぞれ反応する。
「・・・へいへい」
俺も実を言うとかなり恥ずかしかったのだが、それを悟られるとからかわれるのは目に見えているので。
「しょうがないなぁ」と装いながら茜に近づき、その細く白い肩に両手を置いたのだった。
「来て、くれたんだね?・・・義之くん」
放課後の屋上。
フェンスにもたれるようにして待っていた様子の茜は、いつもとはまるで雰囲気が違っていて。
――もう俺は既にこのとき、何らかの予感は感じていたのかもしれない。
「茜?あの手紙は、茜が書いたのか」
そんな雰囲気を特に気にすることもなく、片手を軽く上げながら彼女の方へと歩み寄っていく。
「うん。そゆこと」
俯かせていた顔をゆっくりと上げ、茜が返事をするも。
その顔は真剣そのもので。口調はいつも通りなのだが、その声の響きはいつもに比べ覇気が無いというか・・・落ち着いているように感じる。
「しかし何だってんだ?わざわざ手紙で呼び出すなんて。・・・何か俺に相談か?」
悩みなんて無さそう・・・とまでは言わないが、基本的に明るくプラス思考な彼女は、なかなかそういったものに結びつかないのも確かで。
でも今の、茜空の下に立っている彼女には、それに関しては充分な説得力があった。
「相談っていうかね。ちょっと、義之くんに言いたいことがあったりするんだよ」
「言いたいこと?」
「うん。・・・えっとね」
珍しく歯切れが悪い茜。夕陽に照らされているせいかもしれないが、その頬は若干赤く染まっているように見える。
「・・・私って、まどっろしいのは苦手だから。もうハッキリと言っちゃうね?」
「ああ。そういうタイプなのは知ってるよ。でも、別に焦らなくていいんだぜ?」
「・・・ううん。先延ばしにしても、決心が揺らぐだけだから」
決心?一体何のことだろう?
一瞬そう考えたものの、それを今から言おうとしているのだから、ここは黙って待つべきだ。
茜は今までもたれ掛かっていたフェンスから身体を起こし、静かに俺の目の前に立った。
その立ち位置は、今までの俺達――友達同士の俺達には、若干近いとも言える距離。
俺より10cmほど低い位置から、上気した顔で見上げていた。
『うあ・・・』
間近でその愛らしい顔で見上げられては、俺としても反応に困ってしまう。
これまでは茜の事を友達としてしか見ていなかっただけに、こういうときはどんな反応をしていいのか分からない。
美人系な顔立ちも、ふっくらした艶のある唇も、学生にしては発育しすぎな感がある肢体も。
その全てが、俺の心臓を騒がす要素になるからだ。
「一回しか言わないから、良く聞いててね?」
その言葉の節々からも、彼女が緊張している様子が覗える。
――そして彼女は、ゆっくりとその口を開いた。
「・・・実は私・・・義之くんのこと、好きになっちゃったの」
「そーれっ」
ポーンと軽い音を立てて、真夏の青空にスイカ模様のビーチボールが舞う。
砂浜の定番といえば、焼きそば、スイカ割り、そしてビーチバレー。
というわけで、俺達は3人ずつに分かれてビーチバレーに興じていた。
ちなみに俺のチームは茜と小恋。相手は渉、ななか、杏の3人。杉並は何故か本格的に審判に徹している。
「日本高校バレー連盟の、元公式審判員だった俺がジャッジをしてやろう!」などと嘯いていたが、何故か奴が言うと説得力があるのが悔しい。
それはさておき、互いのチームの強さはなかなか伯仲していた。
運動神経の良い渉とななか、ずるがしこいプレーをしてくる杏に対して、こちらは俺と茜で高さを前面に出し、小恋の天運的なプレーで何とか凌いでいる。
むしろ、この中で一番動けていないのは渉だ。
その理由は・・・言うまでもないが、茜と小恋がこちらのチームだから、とだけ言っておこうか。
「――ぅおりゃっ!!」
茜の上げたトスに対する俺のスパイクが、相手のコートに突き刺さる。
今ので同点。そして互いにマッチポイント。デュースは無しにしているので、次のポイントを取ったチームが勝利となる。
「そ、それっ!」
小恋の妙に緊張したサーブが、ヒョロヒョロとしながらも何とか相手のコートまで届く。
それをネット際に居た杏がレシーブ、ななかが繋げ、最後に渉が飛ぶ。
「これで最後だぜっ!!」
「させないっ」
まともに打たれるのを防ぐため、茜が急いでブロックを敢行する。
――だが、それがいけなかった。
急激な動きに耐え切れなくなってしまった茜の水着が、結んでいる首の部分から反則的な胸まで肌蹴てしまったのだ。
「え?きゃあぁっ」
「ぶふっ!!」
幸いにして胸の中心までは至らなかったものの、それより上の部分は完全に見えてしまった渉は鼻血を噴出しながら思い切り打ち損ねる。
そのチャンスを逃す俺ではなかった。
「小恋、トス上げてくれ!!」
茜は一旦着地をしてから、まだ水着を直している。本当はすぐにでも手伝いたいのだが、茜のせいで勝負に負けたと思わせなくない。
素早く渉の力のないスパイクを小恋へとレシーブする。
「え、えっと・・・えいっ」
10回に1回くらいしか成功しない小恋のトスがここで決まる辺り、勝負の神様は俺達に微笑みかけたようだ。
絶妙に上がったボール目掛けて、思いっきり砂浜を蹴る。
右手を振り上げ、打ち抜く照準はコートの空いている部分ではなく・・・。
「渉!」
「・・・へ?」
「天誅!!!」
とりあえず、鼻血まみれの渉の顔面を打ち抜いておいた。
「・・・実は私・・・義之くんのこと、好きになっちゃったの」
「・・・・・・え?」
唐突なその言葉に、俺は間の抜けた呟きを返すことしかできなかった。
いや、何となくそんな雰囲気は察していた。いつもとは違う彼女の雰囲気。
でも、実際に・・・しかも、”あの”茜から告白されたとあれば驚くなという方が無理な話で。
かなり失礼かもしれないが、ここで杉並や杏たちが出てきて「ドッキリでした」という方がまだしっくりとくる。
だが、今までに見たことのないほど真剣な表情をした彼女に対して、そんな考えを漏らせるわけもなく。
そして同時に気付いてしまうのだ。この告白は、とても真剣なものだと。
「・・・いきなりで、ごめんね。どうしても今の内に、伝えておきたかったから」
「い、いや、それは別に構わないんだけど・・・ん?今の内にって・・・?」
軽いパニック状態に陥りながらも、俺はふと浮かんだ疑問をそのまま訊ねる。
「・・・実は今、私の両親が険悪でね。離婚話が出てるんだ」
「り、離婚っ!?」
「うん。それで、もしそうなっちゃったら、私は本島のお母さんの実家に行くことになると思うから・・・」
「だから・・・今の内に、か」
内容を噛み締めて、俺は確かめるように呟いた。
茜が、本島に行ってしまう。
・・・何だろう。やけに心臓の鼓動がうるさい。
「小恋ちゃんと杏ちゃんにはもう話したんだ。私の家庭がそういう状況にあることも・・・私の、義之くんへの気持ちも」
「それって・・・今日の昼休みか?」
「うん、そう。・・・特に義之くんのことは、私もけじめを着けたかったしね」
「けじめ?」
「・・・もしかして義之くんって、本当に分かってなかったの?」
「・・・いや、実は薄々は感付いていた」
けじめ、というのはおそらく小恋のことだろう。
自意識過剰かもしれないが、小恋は俺を好意的に見てくれていたのだと思う。もちろん、男女のソレで。
だからこそ、茜は小恋に告げたのだろう。自分の気持ちを。
その上で、こうして俺に気持ちを伝えてくれているのだ。
「えっと、一つ訊いていいか?」
「ん?」
「こんなことを訊くのは失礼かもしれないけど・・・その・・・いつからだったんだ?」
俺は告白される今の今まで、まったく茜の想いに気付いてやれなかった。
「いつから・・・かは分かんない。ただ、はっきりと自覚したのはつい最近かな」
「この島を離れるかもしれない。そう考えた時に、真っ先に頭に浮かんだのが義之くんの顔だったの」
「そのとき、もしかしてってね。後はもう、気持ちは膨らんでいくばかりで・・・参っちゃったよ」
いつものようにおどけて、でも緊張は隠せない様子の茜。
――そんな彼女が、堪らなく愛おしい。と思ってしまうのは、離れ離れになるかもしれないという寂しさからか。
それとも・・・。
『ああ・・・そうか』
俺は――いや、俺も。もしかしたら、いつの間にか茜のことが好きになっていたのかもしれない。
断言は出来ない。が、少なくとも好意は持っていたように思える。
いつも明るく、周囲を巻き込んででも笑顔を振りまく茜。
その笑顔に見惚れている自分が居た。そして今日みたいに、稀に見せる弱さにドキドキする自分が居た。
「ありがとう、茜。・・・俺は・・・」
だから、それを言葉にして茜に伝える。
彼女も余計な口は挟まず、息を呑んで俺の言葉を待っているようだった。
「いや、俺もどうやら茜のことが好きだったみたいだ」
「え・・・うそ・・・」
「はっきりとは言えない。でも、茜以上に気になる女の子が居ないのは確かだよ」
「だから・・・こんな中途半端な気持ちだけど・・・俺と、付き合ってくれないか?」
「――っ」
俺の胸に、軽い衝撃が伝わる。
飛び込むようにして俺の胸に顔をうずめた茜は、感極まったようにボロボロと泣き出してしまった。
その涙すら綺麗に思えてしまう。
「えへへ・・・夢みたいだよ」
茜は涙を拭おうともせず、顔を上げて俺の好きな最高の笑みを見せてくれた。
「で、結局今はもうベタ惚れ状態だもんなぁ」
「何が?」
「おおぅっ!?」
一人で夕暮れの海岸を散歩中、いきなり声を掛けられた俺は飛び上がるようにして驚きを見せてしまう。
それが、まさに今思い返していた人物なら尚更だ。
「はい、ジュース」
「おっ、サンキュー」
茜が軽く投げ渡してきたスポーツ飲料水を、片手でキャッチしてプルトップを開ける。
これは先ほどのビーチバレーの戦利品だ。一人一本ずつという安い賭けだが、それでも賭けるものがあるだけで白熱は出来るものだ。
「お疲れさま、義之くん」
「茜こそ、だな。水着はちゃんと直したか?」
「うふふ〜。もうバッチリだね。何なら触って確認する?」
「・・・我慢できなくなるからやめとくよ」
「えぇ〜?我慢しなくてもいいのにぃ」
テンポの良い言葉の掛け合い。やっぱり茜の隣は、居心地が良かった。
「しかし今回の旅行、きちんと茜の両親にお礼言っておかなきゃなぁ」
「ん〜、そうだね。これを機にちゃんと将来の伴侶として挨拶してくれるのかな?」
「いきなりプレッシャーが増しましたね!」
「ふふふ♪」
・・・察しの良い人は気付いたかもしれないが、茜の両親の離婚話は結局白紙に戻った。
茜曰く、「義之くんの話をしたら、二人とも意気投合しちゃってねぇ」らしい。
つまり、俺という存在が二人の仲を復元させた・・・と言えば聞こえはいいが、俺はもう茜の婿になること確定らしい。
元々想像力が豊かな茜の両親は、俺と茜の将来を考える内に仲直りしていった・・・と、何とも肩透かしな話だったりする。
なので、当然茜が本島に行く理由もなくなった。例年通り皆での夏休みを過ごしているというわけだ。
ちなみに、今回の旅行は茜の両親が計画したものであり、曰く「迷惑を掛けたお詫びと、私達の関係修復に対する感謝の気持ち」らしい。
尤も、後者に関しては特別に俺が何かしたというわけでもないのだが。
「まあ・・・良かったよ」
「え?」
「いや、茜が本島に行かなくて良かったなって」
「あ〜・・・ホントごめんね。ウチの両親がお騒がせしちゃって」
「気にしてないさ。それに・・・」
隣を歩く茜の手を、ぎゅっと優しく握り締める。
「俺達がこんな関係になれたのも、そのお陰だからな」
「義之くん・・・」
触れ合う部分が、手から腕へ。そして腕から全身へと変わっていく。
抱きしめあう。ただ茜のことだけを想って。
「いつの間に、そんな口説き文句を言うようになったのかな?」
「さあな。茜と付き合い始めてからじゃないか?」
「もう・・・」
頬を染めた茜が、そっとその瞳を閉じる。
陽が沈みきる前の、夕暮れの海岸で。
その空と同じ名前を持っているその少女の唇に、俺は触れるだけのキスを落とした。
後書き
皆様、こんにちは!180000HITリクエスト作品「茜色の海岸」、楽しんでいただけたでしょうか。
今回のリクエストは「義之×茜」ということで、サブキャラとのカップリングだったのでなかなか難しかったですが・・・何とかまとまったかなぁと思っております。
でも、茜のキャラを掴みきれなかったのは反省点にしたいですね。
どうだろ?実際のゲームとは恋人同士ということで多少性格も異なると思いますが、それでも茜っぽさがあまり出せなかったなぁ。
その辺りは、是非読者の皆様の意見を聞いて参考にしたいです^^
それでは、リクエストしてくださったS・Tさん。そしてここまで読んでくださった全ての皆様に。
ありがとうございました!今後とも「Memories
Base」を宜しくお願い致します^^
茜 「感想は、どんどんこちらに書いちゃおう♪」