ものすご〜〜く簡単に説明すると、生まれつき、内臓の形が(一部)変わっていて、そのせいで、そのままにしておくと将来、確実に癌になるので、癌化しないような形に、手術で治しておきましょう、という感じです。 樹の場合は、すでに「胆嚢」がダメージを受けて機能しなくなっていたので、胆嚢も手術で取りました。(詳細が知りたい方は以下↓、ネットで調べたものです。) |
【病名】 「膵胆管合流異常」を伴う「先天性胆道拡張症」(総胆管拡張症) 生まれつき、胆道(胆汁の通り道)が嚢胞状または紡錘状に拡張している病気。 (生まれつき胆道がちょっと太め(?)な人もいるそうですが、「合流異常」があると手術対象とのこと) |
【「合流異常」とは】 膵管と胆管が正常の位置(※注1)よりも外側で合流しているため、内圧の関係で互いの管へ、膵液、または胆汁が逆流するという、生まれつきのいわば形状の異常の事。 (※注1.乳頭部括約筋の内側が正常の合流地) 膵液などはたいへん強力な酸性の液(塩酸のように強力)なので膵管以外の他の場所に逆流してしまうとその酸によって、管内を傷つけてしまいます。 長いことそのような状態が続くと、化膿性胆肝炎、肝硬変、胆道穿孔や穿孔性胆汁性腹膜炎、肝内結石、急性膵炎、慢性膵炎等を起こし、さらに放置され長い年月がそのまま経過すると、高い確率で胆管癌、胆嚢癌を合併することがあるそうです。 |
【症状】 腹痛、発熱、黄疸、嘔吐、炭白色便、上腹部腫瘤(しこり)、また血液検査では、胆汁中の肝機能異常やアミラーゼが高値となります。 胆道が拡張しているために、胆汁の流れが悪くなり、便にも胆汁(黄色)が混ざらなくなるので、白っぽい便が出ます。それが一番分かりやすい症状でした。 大人になってから発見されることもありますが、子供の頃に診断されることが多く、男児よりも女児に3〜4倍多く、欧米より東洋人に多いなどの特徴があるそうです。(最近では胎児超音波検査で出生前に判ることもあるとのこと。) (軽い腹痛を繰り返してたり、吐き気や嘔吐を繰り返し、自家中毒と診断される子も多いそうです。) |
【検査】 血液検査、肝胆道シンチグラフィー、腹部超音波検査(エコー)、CT検査、MR検査、 膵管胆道合流異常の詳細を知るためには術中胆道造影や内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)が行われますが、樹の場合は、ERCPは行わず、術中胆道造影をしました。 (ERCP検査は、乳児の場合は現在主流でないとのことで受けていません。小さい子だとリスクが高い印象を持ちました(ネットで事故の例を見たので)が、担当医に聞いたら安全性の問題はないと仰ってました。主流でない理由は、検査入院と手術入院とで、入院が2回になる、もしくは入院期間が伸びることで、本人や家族に負担が大きくなるから、とのことでした。) |
【手術について】 慢性化し合併症を起こす前に「拡張した胆道を切除」し、腸管を利用した新しい胆汁の通り道を作成する「分流手術」(※注2)をします。 (※注2.分流=胆汁の流れる胆道と、膵液の流れる膵菅を完璧に分ける) この手術を「総胆管空腸吻合(Roux-en-Y法)術」といいます。(ル−Y法、肝外胆道切除+肝管腸(空腸または十二指腸)吻合術、とも言うようです) (樹の場合はNICUにいた頃に胆嚢に炎症を起こし、すでに機能を失っていたので、同時に胆嚢も摘出されました) |
【手術後】 術後の経過は一般に良好だそうです。 非常に少ない頻度で、術後5〜10年以上を経過した時に、肝臓や膵臓に石(肝内結石・膵石)が出来たり、腸と胆管とのつなぎ目が狭く(狭窄)なったりする事が起こるので、調子がよくても定期検診が必要とのこと。 |
【胆嚢】 胆嚢とは、肝臓の下にある袋状の臓器。肝臓で作られた胆汁を一時的に溜めておく場所で、必要な時に、胆嚢は収縮し、胆汁を押し出します。押し出された胆汁は、膵臓から出た膵液と合流して、十二指腸に入ります。 胆汁は特に油物の消化に欠かせない液で、胆嚢は単なるその貯蔵庫なので、胆嚢がなくなっても胆汁は肝臓で作られているので、胆汁の分泌には特に大きな問題はないそうです。 |
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1.命に関わるような手術か? | (もちろん絶対とは言わないが、と念を押しつつ)基本的にはそんなことはあり得ない。 | 無事に手術を終えました。 |
2.手術部位と手術跡について(どこをどのくらい切るのか?) | 正中(縦)、または肋骨に添って横に、およそ15cm。 | 肋骨の下、肋骨に添って約13cmと、それとは別にドレーンの跡が丸く2cmくらい。 |
3.絶食期間は? | 経過にもよるが、おおよそ10日前後。 |
術後4日目〜水分(ミルク、その他も)OK 術後7日目〜食事OK(おもゆからかと思ったが、術前の食事と同じもの(樹の場合は離乳食後期メニュー)だった。 |
4.術後すぐの状態について |
口:酸素マスク(呼吸が安定するまで) 鼻:チューブ(胃の圧抜きのためで、1〜2日間程度) 腹部:ドレーン(3〜4日間) 導尿(おしっこのチューブ) そして3つの点滴。 その他、首の血管にカテーテルの可能性あり。 |
(それぞれ取れた日) 口:酸素マスクは手術翌日までには完全に取れた。 鼻:術後3日目 腹部:ドレーン術後7日目 導尿:術後3日目 点滴:足:手術翌日 左手:術後4日目 右手:術後8日目 首:なし。 (抜糸:術後8日目) |
5.術後の運動(ハイハイ等)について | 術後2〜3週間でまったく元通りの運動は可能になる。 | ドレーンの取れた術後7日目にはお座りで食事。遊び部屋使用の許可も出た。点滴が全て取れ9日目にはハイハイして遊ぶ。 |
6.胆嚢を取ることで何か不都合になる点はあるのか? | 油っこいものを大量に摂取するとお腹が緩くなることがあるくらいで、大きな問題はない。食事にしても、幼いうちの手術だと適応していくかもしれないので、あまり心配ない。 | まだ不明 |
7.手術時間 | 術中造影検査も含めて約4〜6時間を予定。(最高12時間かかった例もあるとのこと) | 入室してから出てくるまで約6時間半。 |
その他に聞いた事 *輸血が必要になる場合があるとのこと。(事前に輸血の同意書にサイン) *手術実績:当院では平年約2例程度。今年度(2004)は多く、樹で3例目。(樹の後にも今年4例目となる子の予約があるそうだ。) |
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1.胆泥はまだ残ってたのか? | 砂粒のような胆泥がごく少量残っていた。だが何かに影響するような量ではない。 |
2.拡張はどの程度だったのか | 胆管は、外径10mm内径6mm。拡張している状態だった。 |
3.合流異常と、狭窄はあったのか? |
合流異常は明らかにあり、胆管の途中に膵菅が繋がっていた。(術中造影Xフィルムにて確認) 胆管肝臓側に狭窄はなかったとのこと。 |
4.だっこはいつ頃出来るのか | ドレーンが抜けてから。お腹にドレーンがついている間はしないほうが良い。どうしてもというなら出来るが、お勧めしない。 |
術後は胆道から腸へ直結の状態になったため、便秘をすると(腸から)逆流しやすくなっています。逆流すると、菌により胆菅炎、膵炎などの重篤な症状を引き起こす危険性があるので、便秘しないよう便通をコントロールしなくてはなりません。 樹の場合は生来が便秘症のため、毎日3回、便を柔らかくするお薬(酸化マグネシウム)を服用、さらに朝夕2回の浣腸をして便通をコントロールしています。 (通常、経過が良ければ、薬も飲まなくて良い(ウルソもなし)そうです) -------------------------------------------- 2006.2.7、手術から約2年弱、ウルソをやめてみることになりました! |