エルロン機にチャレンジ



SAL機のほとんどがエルロン仕様となった今日、きむらクラフト流のエルロン機
攻略法なるものを書いてみました。 エルロン機の操縦に役立ててください。


エルロン機とラダー機の旋回の違い

ラダー機の旋回では@でラダーを打つと機体が平面的に回転して横滑りに入り
上反角部分に風圧を受けててバンクに入ります。 AでエレベーターUPを打っ
て旋回に入ります。 旋回中のバンクの大きさや旋回半径はエレベーターの操
作だけでもある程度のコントロールが可能です。 それ以上のコントロールが要
求される場合はラダーの操作も追加されることになります。  場合によっては
Bで逆にラダーを打って当て舵とします。


ラダー機では、機体のバンクのコントロールをラダーとエレベーターによって行い
ます。 傾ける方は各舵の操作で、その角度を維持したり元に戻そうとする操作
はラダー機の特徴である大きめな上反角によって自動的に行われています。
良く「オートマチック車」に例えられるゆえんでもありますね。

左旋回の例
@ラダー 左
Aラダー戻しつつエレベーターUP
Bエレベーター戻しつつ場合によってはラダー右
となります。



かわってエルロン機では、@でエルロンとラダーを同時に打ち、機体をバンクさ
せると同時に旋回方向に機首を向けます。 AでエレベーターのUPを打って旋
回に入ります。 この部分はラダー機とかわりませんね。 ですが、このパートで
は、機速の違いによりエルロンとラダーの操作が追加されます。 

ダイブからの急速ターンやスロープなどで速度が付いた状態ではエレベーターの
UPだけでも旋回が出来ますが、サーマル旋回やサーマルを探して飛ぶようなゆ
っくりとした飛行では、大抵の機体はそのバンク角を自分で維持出来ません。 
ですので旋回中のバンクと機首が向く方向をパイロットがコントロールしてあげる
必要があります。


高速飛行だけを意識したエルロン機で無い限り、大抵のエルロン機にも上反角
が設定それていて、少ないながらもラダー機の様に自分で機体を水平に保とう
とする力が働きます。 ですが、その少ない上反角ゆえ、旋回中に横滑りが発生
して機体を更に傾けようとしています。 特に飛行速度が遅い時は顕著で、ラダ
ー機の様にエレベーターだけで旋回のコントロールをしようとすると、どんどんバン
ク角が深くなってきてしまいます。

ですので、低速飛行時のAの部分では、エレベーターUPに加えて、通常旋回す
る方向と逆の方向にエルロンを打ってバンク角のコントロールをしないとなりませ
ん。 また、エルロンからラダーにミキシングを掛けている機体ではエルロンを打っ
ている訳ですのでそのままでは機首が逆に向いてしまいますので旋回方向にラ
ダーを打ちます。 自動的に戻る力が弱いので、Bで当て舵を打ちます。

左旋回の例
高速時
@エルロン(あればラダーも)左... 戻して
AエレベーターUP
Bエルロン右

低速時
@エルロン、ラダー左.....戻して
AエレベーターUP 調整しつつエルロン右、ラダー左
Bエルロン右

となります。
上で書いた通りにエルロン機では旋回時に各舵を大きく動かします。 これらは空
気中で大きな抵抗となっていますので、舵を切り続けて無理に小さな旋回をするの
は不適切なコントロールと言えます。 また、実際私が何機か所有するエルロン機
のロールレートは通常巡航速度はラダー機のそれよりも劣ります。 エルロンの舵
角を大きく設定すれば幾らかは改善されますが、無理に大きな舵角で制御するの
はエネルギーの大変な無駄遣いです。 グライダーとしてはあるまじき行為ですね。


HLGとしてのエルロン機の利点の一つは主翼に応力が集中する場所が無く、サイ
ドアーム機としての主翼強度を確保しやすい構造である事。 それと最大の武器と
なる多彩なキャンバーコントロールにあります。 
大抵のエルロンSAL機は主翼付け根から翼端まで伸びるエルロンを装備していて
その可動ラインも翼型から割り出された理想の場所となっています。 そのエルロン
をフラップとして有効活用する事こそがエルロン機の強みだと考えます。


ランチ、風の弱い時、強い時、サーマルに入った時などの条件に合わせたフラップ
セッティングが出来るのがエルロン機なのです。


フラップの下げ角の設定は、翼型や機体重量や飛行速度によって決まりますので
「何ミリ」みたいに決まった数字はありません。 実際に飛行して、一番沈下が少
ないと思った角度を滞空用に決めるのが良いでしょう。 闇雲にフラップを下げても
機体重量が軽く飛行速度のの遅い機体では抵抗にしかなりません。

また、上の画像で判る様に、フラップの角度を変えると、見かけの主翼の取り付け
角が変わります。 これはエレベーターを軽く引いて飛ぶのと近い物がありますので
機体によってはフラップちエレベーターダウンにミキシングが必要な場合があります。

ただ、AG45の様な主翼の場合は、通常フラップダウンで飛ぶイメージになりますか
ら、フラップを適度に下げた状態での重心位置調整をした方が良い結果が出たりも
します。
センタリング時の操作
センタリング時の操作は旋回が連続したものです。

左回りでセンタリングする時の初動のイメージです。 左のエルロンが上がりバンク
に入り、ラダーも左に切れて機首を左に向けています。


旋回が始まると旋回半径やサーマルの強さに応じたバンク角を維持するために、
各舵を調整してあげます。 上反角が少なかったり、機速が遅かったりする状態で
何もしなければ勝手にバンク角は深くなりますので、エルロンは旋回方向と逆の右
が上がった状態になっています。 バンク角のコントロールはエルロンでもエレベー
ターでもできますが、大きな舵角は抵抗になるだけです。
また、エルロンとラダーにミキシングを掛けている場合は、上の図のようにエルロンを
操作すると、ラダーも旋回方向と逆に動いてしまいます。 その場合はラダーはラダ
ーで別に左へ操舵してあげる必要があります。


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