【柿沼弘子の勝手にシネマ】
ハード・デイズ・ナイト
監督:リチャード・レスター
出演:ザ・ビートルズ、ウィルフレッド・ブランビル
16th Nov. 2001
今日の劇場は早稲田松竹。初めて来たのだけれど、外観の割りに中は意外に綺麗だ。トイレとかも小奇麗にしているし、二番館のなかではかなり上等な部類だ。しかもこの日は2本だての上映で、もう1本はロブ・ライナー監督の『スタンド・バイ・ミー』。予定では『ハード・デイズ・ナイト』だけ見て帰るつもりだったけど、2本見ることにした。はっきり言って、これで1300円はお買い得だ。
作品は1964年に公開されたザ・ビートルズの初主演作『A HARD DAY’S NIGHT』。日本では『ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!』(アルバムも同タイトル)という間抜けな邦題で公開されていた。そして今年4月、デジタル・リマスタリングされ、音楽、映像ともにクリアになって原題『ハード・デイズ・ナイト』で復活。そして今回はさらにそれの二番館での上映。
いきなり「A Hard Day’s Night」の派手な音楽でオープニング。4人のメンバーがファンに追いかけられながら、町中を逃げ回るシーンから始まる。激ビートルズ・ファンの私は、このギターの“ジャーン!”のイントロで大興奮。初期のヒット・ナンバーを11曲収めたこの作品は、彼らの忙しい日常をドキュメンタリー・タッチで追った斬新なフィクション映画で、もちろん役柄も本人そのまま。群がる女性ファンから、ニヤニヤと楽しそうに逃げる4人は、アイドルとはいえ同年代の若者たちとまったく変わらない。当時は、そんな素顔のビートルズに熱狂して、スクリーンに突進するファンもいたとか…。残念ながら私はリアル・タイムでは知らないけれど、とにかく凄い人気だったらしい。そして、この作品を瑞々しい感性と斬新な映像感覚で作り上げたリチャード・レスター監督は当時弱冠32歳。テレビ・ディレクター出身のレスターは、これが初の長編監督作品。翌年、レスターはもう一つのビートルズ主演作『HELP! 四人はアイドル』を監督する。(残念ながらこちらは未見なんだよなぁ。リバイバルしてくれないかなぁ。)
とにかくファンにはたまらない映像が目白押し。テレビでの本番シーンは臨場感たっぷりで、演奏が終わった後、思わず拍手しそうになった。当時彼らが使っていたリッケンバッカーのギターもたまらなく懐かしい。去年埼玉スーパーアリーナにできた「ジョン・レノン博物館」に行った時に飾ってあったギターを思い出して、またまた興奮。今まで、こんなにも長い時間動いている彼らの映像をみたことがなかったので、ほんと嬉しい。ラストで、テレビの生出演が終わり、次のコンサート会場へとヘリコプターで移動する映像は、まさに歌詞のとおり、いかに彼らが多忙な日々を送っていたかが良く分かる。ちなみに「A Hard Day’s Night」という曲のタイトルは、リンゴ・スターが多忙な中で、ぼそっとつぶやいた言葉がそのまま使用されたそうだ。当時の「ビートルズ」という社会現象を映した記録映画としての役割を果たすこの映画は、いつまでも映画史に残るだろう。あー。またビートルズのコピー・バンドやりたくなった。ジョン・レノン募集。とにかくビートルズ・ファンにはたまらない1本だ。★★★★★