【柿沼弘子の勝手にシネマ



バットマン

監督:ティム・バートン
出演:ジャック・ニコルソン、マイケル・キートン、キム・ベイシンガー

22nd May 2001

 『シザーハンズ』に始まり、『エド・ウッド』、『バットマン』、『PLANET OF THE APES/猿の惑星』と、今年はたくさんのティム・バートン作品を見た。私はこの監督が創り出す世界が大好きだ。どの作品もファニーでファンタスティックでユーモアに溢れていて、私の好みにピッタリなのだ。この作品の舞台、架空都市「ゴッサムシティー」は中世のゴシック建築を思わせる街並みで、アカデミー美術賞を受賞している。作品の公開は1989年で、この年の全米興行成績トップにもなっている。作品の内容とは関係ないが、私は今回この作品をDVDを借りてきて見た。ハードの使い方が良く分からず、字幕で見たかったのに、何度操作しても日本語吹き替えになってしまう。30分ほど奮闘したのだが、結局あきらめて「日本語吹き替え+日本語字幕」という、非常にじゃまくさい状態で見ることとなった。おかげで字幕と吹き替えでは、翻訳にかなりの差があることがわかった。おまけにジョーカーの声がデーモン小暮で、役にピッタリはまっていて最高だった(多少、狙い過ぎの感はあるけれど…)。
 原作はボブ・ケインの漫画(いわゆるアメリカン・コミック)で、1960年代にはテレビシリーズにもなった。バットマンを演じるのは、『ビートル・ジュース』でティム・バートンと意気投合したマイケル・キートン。バットマンの敵となるジョーカーにはジャック・ニコルソン。そしてバットマンの本当の姿である富豪ブルース・ウェインに恋する女性カメラマン、ヴィッキーにキム・ベイシンガーが扮している。どうも私はマイケル・キートンの起用にはいささか疑問がある。風貌も身のこなしもあまりお金持ちっぽくないし、スーパーヒーローにしては頼りない感じがする。それにひきかえ、ジャック・ニコルソンの怪演は凄い。エキセントリックで愛敬たっぷりのキャラクターはこの人以外には考えられない。私は美術館でジョーカーが歌って踊りながら作品をぶち壊していくシーンが大好きだ。ジャック・ニコルソンもここまでやるとはたいしたもんだ。
 少年時代に両親を殺されたブルース・ウェインは、犯罪を憎む若き大富豪。執事のアルフレッドとともに、バットマンとして無法都市ゴッサムシティの悪と闘っていた。ある日、ヴィッキーと出会ったブルースは、ひと目で彼女に惹かれるが、自分の正体を明かすべきか悩む。そんな時、バットマンのせいで醜い怪人となり、彼を逆恨みしていたジョーカーがヴィッキーを誘拐。彼女をおとりにしてバットマンに罠を仕掛ける。
 しかし、いくらバットマンが鋼鉄の鎧を身につけていたとしても、中身は普通の人間なのだ。弾に当れば死んでしまうし、空も飛ばない。おまけに心には幼いころ受けた傷を抱えている。おそらく、それまでのスーパーヒーローとは違った等身大のキャラクターが、大衆の支持を得る要因となっているのであろう。余談だけど、バットマンの例のマークが、私にはどうしても「カバが口を開けたところ」にしか見えない。黒い部分より金色の部分が目立ってしまって、かなり意識しないとコウモリが見えてこないのだ。そんな人、他にもいるんじゃないかな?★★★★★