【柿沼弘子の勝手にシネマ】

恋は嵐のように

監督:ブロンウェン・ヒューズ
出演:サンドラ・ブロック、ベン・アフレック


29th Aug. 1999


 私の家が大宮に近いということで、会社の先輩が大宮の劇場の招待券をくれた。そこはまさに場

末の映画館という感じで、繁華街の路地裏にひっそりと建つ古臭いビルの中にあり、看板が出てい

なければそこが映画館であることさえ気付かずに通り過ぎてしまうようなところだった。予想通り客

はまばらで、20人もいなかったと思う。上映されていたのは『恋は嵐のように』という、まったく未チ

ェックの映画だった。どんな映画なのだろうと雑誌で調べてみると、どうやら私の嫌いな「ロマ・コメ」

らしい。しかもサンドラ・ブロックがセクシー美女役で出ているという。サンドラ・ブロック=セクシー

美女?ということで、興味はほとんどそれだけだった。                          

 ストーリーは、結婚を目前に控えたベン(ベン・アフレック)が、恋人との結婚式が行われる南部

サバナへ向かう途中、飛行機事故に遭遇する。そしてどういう訳か、たまたま飛行機で隣の席に座

っていた美女サラ(サンドラ・ブロック)と旅を続けることになる。その途中、様々な騒動に巻き込まれ

ることになるのだが、不思議な魅力を持ったサラと一緒に旅をするうちに彼女にだんだん惹かれてい

く。そして結婚式の直前で結婚に疑問を感じてしまったベンはついに婚約を破棄しようと決意する。

おそらく世の結婚を間近に控えた女性達は「ベン、ふざけんなよ!」という気持ちになったに違いな

い。この作品は試作の段階で2パターンのラストシーンを作っていたらしい。つまりベンが婚約者を

とるパターンとサラをとるパターンだ。そしてその両方を見せて、反応の良かったほうを採用したとい

うことだ。しかしその結果、かえってそれまでのストーリーとラストシーンがまったくつながりの無い作

品に仕上がってしまった。結末はあまりの駄作のため書いてしまうが、ベンは結局婚約者と結ばれ

ることになる。(監督の意図は逆だったと思うのだが…)最後の最後まで周囲から結婚の嫌な面ば

かり聞かされ、結婚に対してまったく否定的に話が展開していた。しかし、最後にバルコニーにた

たずむ婚約者の姿を見たとたん、それまでの決心が覆ってしまうのだが、その理由が描写不足で

なぜベンがもとのさやに納まろうと思ったのかわからない。そもそも婚約者との間に何の問題もな

く、順調に結婚を迎える予定の男が、たまたま知り合った女と簡単に駆け落ちしてしまう理由がな

いのだ。ほんと、まったく説得力の無いラストシーンにはうんざりしてしまった。最後にこの作品での

興味のブロック嬢はアイメイクが真っ黒で、首から上はなかなかのセクシー美女だったけど、キャ

ミソールから伸びるビルト・アップした腕と筋肉の発達した大胸筋は『スピード』での暴走バスを運

転していた時のたくましいものだった。気分を害したので★だ。                    

                                                            

 
【※】ちなみに★は5点満点だよ。