【柿沼弘子の勝手にシネマ



WHO AM I?

監督:ジャッキー・チェン 
出演:ジャッキー・チェン、ミシェル・フェレ、山本未来、ロン・スメルチャク

22nd Apr. 2001

 今回はビデオ鑑賞。日本公開は1999年10月。香港映画。私はあまりアクションものは好きではないのだけれど、ジャッキー・チェンだけは例外だ。彼の映画は、内容的には特にどうということはないのだけれど、スタントをほとんど使わない本格的なアクションは、それだけで十分見る価値はあると思う。今回も、だいぶ派手にやっていて、ヘリコプターからの宙釣りや、カー・チェイス、手錠を掛けたままのアクション、さらに圧巻は高層ビルの斜面をスタント無しですべり降りるシーンなど、盛りだくさんで、とても40過ぎには見えない。今回の作品には、日本人の山本未来がドライビングの腕を買われ、ジャッキーの手助けをするレーサーというわりと重要な役で出ている。それから、ケイン・コスギも「ファイト〜、一発!」のCMを思い起こさせるような肉体派な場面でちらりと登場する。
 アフリカでの極秘任務中に事故に遭い、ヘリコプターから脱出する際、墜落のショックで記憶を失ったCIAの特殊工作員(ジャッキー・チェン)は、原住民の一部族に助けられ偶然にも一命を取りとめる。タイトルの『WHO AM I?』は、助けられたジャッキーが部族の首領から名前を聞かれた時、「俺は一体誰なんだ?」と発したことから付けられた名前だ。ジャッキー(主人公に名前が付いていないので、あえてこう呼ばせていただく)は科学者誘拐事件の証拠隠滅のため、謎の組織から命を狙われていた。そして砂漠で偶然出会った日本人のラリー車に同乗しマスコミの取材に会ったことで、偶然ジャッキーの生存を知った組織が、刺客を差し向ける。記憶の断片をたどり、ロッテルダムにたどり着いたジャッキーは、すべての謎を明かすべく、死闘を繰りひろげる。舞台は前半のアフリカから後半のロッテルダムまでワールドワイドに展開。前半、少々話がややこしいところがあるけれど、それはアクションでカバー。こういう作品にとってストーリーなんてものはどうでもいいのだ。いつも同じだと飽きるから今回は少し話を複雑にしようとして、自分の首を絞めてたみたいだけど、「ジャッキー・チェン」は「水戸黄門」でいいのだ。
 『ファイナル・プロジェクト』の時も似たような設定だったけど、ジャキーはほんとCIA好きだね。国際特殊警察とか謎の最終兵器みたいなのも好きで、よく出てくる。それからジャッキーの作る映画の面白いところは、エンド・クレジットがNG集となっているところ。これをみるとジャッキーが、スタント無しで本気で体張ってやっているのがわかる。もちろんNGとなったシーンだから笑っちゃうようなところも多いんだけど、中には冷やりとするような場面もあったり、一歩間違えれば大怪我になるような場面もあって、楽しめるというより、むしろ感心する。見終えて思ったのだが、彼の作品はやはり劇場の大画面で見るべきだった。家の小さなテレビで見た分、星が一つ減ってしまった。★★★★