【柿沼弘子の勝手にシネマ】
バンパイアハンターD
監督・脚本:川尻善昭
原作:菊池秀行
19th Apr. 2001
試写会場は渋谷公会堂。古い施設なので仕方ないとは思うけど、座席が小さくて座りづらかった。この前の東京プリンスでの試写の椅子もひどかったけど、久し振りに尻が痛くなってしまった。今日の試写会はトークショーと主題歌を歌っている「Do As Infinity」というグループのミニライブ付だ。さらに、なんと!試写会に来た人の中から抽選で10万円が当るという、なんとも不思議なおまけも付いていた。(見事ハズレてしまったけれど。)今回の作品はアニメということもあって、なんとなく普段と会場の雰囲気が違っていた。普段は9割超、若い女性で占められるのだが、この日は4割くらいが男性で、会場内は不思議な熱気に包まれていた。会場外ではグッズや今回の作品関連のプレステのゲームソフトまで販売されていた。私の隣に座った20代後半の男性は、事ある毎に盛大な拍手を送っていた。そんなわけで、吹き荒れるマニアの嵐の中、私は訳も分からず、ひとりぽつねんとして座っていた。(マニアに対する偏見に満ちた文章だなぁ。)
作品は、日本を代表する人気SF作家、菊池秀行のベストセラー小説「吸血鬼ハンター」シリーズの映画化。同シリーズのカバー・イラストレーションを手掛ける天野喜孝のキャラクター・イラストレーションをもとに作られている。また、全米版アニメ「スポーン」の製作を手掛けたマッドハウスがアニメーション製作を担当している。
遥か遠い未来、最終戦争後、人類の頭上に君臨してきた貴族「バンパイア」は原因不明の種的衰退を迎えていたが、なおも辺境の一角にとどまり人間たちを脅かす存在であった。その脅威はバンパイアに対して戦いを挑むプロフェッショナルの「ハンター」たちの誕生を促した。なかでもバンパイアと人間の混血児「ダンピール」は、両方の長所を兼ね備えた理想の「ハンター」とされた。しかし彼らは同時に、人間とバンパイアの両方から疎んじられる孤独な存在でもあった。その中でひときわ美しいバンパイアハンター「D」の噂が人々の間で語られるようになった。ある日、バンパイアに誘拐された美しき令嬢を取り戻してほしいという依頼をDは受ける。そしてDとバンパイアとの戦いが始まる。
邦画と洋画を単純に比較したときに、シナリオに関して言えばそれほど優劣はないと思う。要は映像の表現能力の差なのだと思う。いかにしてそのシーンの絵を作りあげていくか。私は日本のアニメのカット割りとか描写能力はかなり優れていると思う。アニメでこれだけの絵コンテを描ける人がいるのに実写になると日本の映画が弱いのは、やはりお金をかけていない(かけられない)からなのだろう。でもアニメならどれだけ大掛かりな物語でも小品でもかかる金額に大差はない。ハリウッドだったらきっと莫大な金と時間をかけて簡単に実写で作ってしまうんだろうな、と思うとやはりアメリカン・メジャーはすごい。まあ金のかかった大作ばかりが良いかと言われたら、それはまた別問題だけど。それからこの作品は日本公開版なのにあえて英語吹き替え版で字幕読ませる意味は一体なんだったのだろう。別に日本人の声優使って、日本語吹き替え版作ればいいじゃないか、と思ったのは私だけだろうか。完成度は高いのだろうけど、私の趣味じゃないので点数辛いです。★