【柿沼弘子の勝手にシネマ


ジョン・ジョン・イン・ザ・スカイ

監督:ジェファソン・デイビス
出演:ランディー・トラヴィス、マット・レッシャー、ラスティ・シュイマー

st Nov. 2000


 テレビ東京の映画情報番組「シネマ通信」でお馴染みのレポーター、ジェファソン・デイビスの劇場用監督デビュー作品(多分)。私はこの番組が大好きで、映画を見るうえでのバイブルとしている。HPタイトルの「勝手にシネマ」はこの番組の1コーナー「石川三千花の勝手にシネマ」のタイトルのパクリだ。私の曖昧な記憶によれば、ジェファソンはもともと俳優をやっていたらしい。しかし出世作に恵まれず、現在はテレビのレポーターなどで活躍している。アメリカでいくつか短編を作ったことがあるらしいが、監督としてはほとんど素人ということらしい。ジェファソンの他にも、「シネ通」でお馴染みのラスティ・シュイマーとロミー・ローズモンドが重要な役で出演している。それにしても最近「シネ通」の放送時間が、金曜深夜から日曜の朝に変わってしまったのは残念。毎週、一週間の疲れを癒すべく、風呂上がりにゆっくりとくつろぎながら見るのを楽しみにしていたのに…。低血圧の私が日曜の朝(といっても9時)に、とうてい起きられるはずもないので、最近は録画して見ることにした。でも最近見てないなぁ〜(ぼやき…)。
 舞台はミシシッピーの片田舎。テキサスの飛行場で修理工として働くジョン・クレイボーン(子供時代の愛称:ジョン・ジョン)のもとにある日電話がかかってくる。用件は父の死を伝えるものだった。早速、ジョンは息子を連れ、30年ぶりに故郷を訪れる。ジョンの少年時代であり、ジェファソンの少年時代でもある1960年代を回想する形で話しは展開している。具体的な説明はないが、ジョン・ジョンの母親がヒッピーに憧れたり、ジャニス・ジョップリンやボブ・ディランなどのレコードを集めたりしているところから、60年代と推測できる。ベトナム戦争に対する反戦運動が高まり、自由と平和を求めたヒッピーと呼ばれる若者がそれまでの既成概念を打ち破ろうとしたカウンター・カルチャーの時代だ。関係ないが私はこの時代の音楽が大好きだ。この時代にこの国に生きていたら、ウッドストックなんて絶対に行っていただろうと思う。 
 子供の頃のジョン・ジョンは毎日のように丘に上っては、農薬散布の飛行機を憧れの眼差しで眺めていた。自分も飛行機のように翼をもって自由に空へ飛び立つことを夢見ていた。そしてそれは厳格な父親からの解放を意味していた。そしてそんな夢を実現させようと手助けする知的障害の友人ゼオラとの心温まる交流もこの物語の魅力の1つだ。厳格な父親と風変わりな車(ビートル)に乗って町へジャンキーの歌うレコード(ジャニスやジミヘンのこと)を買いに行く母親という人物設定も面白い。結局この作品は、大人になったジョンが父の死の知らせをきっかけとして、過去の暗い思い出と決別することにより、未来を切り開くきっかけを見つけ出す様を描こうとしているのだけれど、最後のまとめ方がちょっと雑で消化不良。まあ、ジェファソンには悪いけど、素人の作品を見に行く感覚だったので、期待していなかった分楽しめたといった感じかな。エンディングのクレジットの出し方は面白かったけど、これってジェファソンのアイデアなのかしら。★★★