【柿沼弘子の勝手にシネマ】

ガンモ

監督:ハーモニー・コリン
出演:ジャコブ・レイノルズ、ニック・サットン、クロエ・セヴィニー


7th Aug. 1999


 ラリー・クラーク監督「KIDS」の脚本で、一躍有名になったハーモニー・コリンの監督デビュー作。劇場で予告

編を何度も見るうちに、その映像の持つ異様な世界に不思議な興味を抱いていた。ミニシアターで上映される作

品には当たりが多いので、いつも注意してチェックしているが、この作品は見事に私の期待を裏切ってくれた。

 舞台は竜巻に襲われたオハイオ州の町。いきなり竜巻が町を襲うシーンから始まる。少年達は町をブラブラし

ながら空気銃で野良猫を殺しまくっている。そして、その肉を中華料理屋に売ることで小銭を稼ぎ、刹那的な快

楽に溺れている。町の人々もまた先の見えない貧しい暮らしの中で、無為に時間を過ごしている。そんな荒廃し

た町に住むティーンエイジャーたちの虚無な日常を、コラージュ風に描き出している。                

 この作品に出てくる子供たちはみんな無表情な顔つきで子供らしくない。特に、主人公ソロモン役のジャコブ・

レイノルズは本当に悪そうな顔で、気味が悪い。監督の意図にはピッタリの顔立ちなのだろうけどね。それから

冒頭に登場するバニーボーイ(うさぎの耳をつけた無表情な半裸の男の子)も気持ち悪かった。そのような何を

考えているのかわからないような子供たちがたくさん登場して、猫を殺したり、シンナーを吸ってラリッたり、精神

病院に女の子を買いに行ったりするものだから、ほんと嫌な気分になった。それから殺した猫を宙釣りにして棒

で叩くシーンや、口の中に爆薬を入れて殺した猫に虫が集っているシーンなど、思わず目を背けたくなるシーン

の連続だった。                                                         

 「KIDS」は2年くらい前だったと思うけど、新宿のシネマミラノで見た。 「KIDS」も「ガンモ」も似たような作品だ

けど、今回は「KIDS」を見た時のような新鮮さはあまり感じられなかった。「KIDS」も虚無なティーンエイジャーの

日常を描いた作品なんだけど、もう少し共感できるところがあった。クロエ・セヴィニーが主演だったからかなぁ。

「KIDS」の方が全然良かったよ。 それから子供同士のけんかのシーンで、小学校低学年くらいの男の子が相

手の男の子に向かって「くわえろ!」と言っていた。アメリカって恐ろしい国だね。ほんと、サイテーな作品だった。

私的には★だ。ところでガンモってどういう意味なんだろう?                               


【※】ちなみに★は5点満点だよ。