【柿沼弘子の勝手にシネマ】
マーズ・アタック!
監督:ティム・バートン
出演:ジャック・ニコルソン、グレン・クローズ、アネット・ベニング
23rd Apr. 2000
今回は、前々回からのティム・バートンつながりで『マーズ・アタック』です。勘のいい方はお気付きかもしれませんが、前々々回、前々々々回は私の大好きなジョニー・デップつながりでした。この作品は確か1996年公開(日本ではもう少し後だったか…)と思いますが、今さらなぜ『マーズ・アタック』なのかと言うと、『スリーピー・ホロウ』を見て無性にティム・バートン・ワールドを見たくなったからです。それと、最近疲れているのであまり考えずに楽しめる作品を見たかったというのもあります。この作品は、まさにティム・バートン監督のやりたい放題の作品で、これほどまでに豪華キャストを使ったB級映画は今までには無かったでしょう。というよりも、彼だからこそ出来た作品でしょう。性格俳優のジャック・ニコルソンを頼りないアメリカの大統領役で使ったり(これがまた、はまり役!)、最近TVの仕事をメインに活動をしているマイケル・J・フォックスの情けないレポーター役とか、007のピアース・ブロスナンの起用など、俳優陣の使い方がまた、うまいというか贅沢というか、これはもう彼の趣味の世界ですね。
ストーリーは単純明解で、ある日突然UFOの大編隊が地球の周辺に現れます。タイトルバックに出てくるこのUFOの大編隊がチープでB級色を一層引き立てています。宇宙船の中には、これまた子供が絵に描いたような火星人が乗っています。この事実を知ったアメリカのデイル大統領(ジャック・ニコルソン)やその夫人マーシャ(グレン・クローズ)らホワイトハウス関係者は騒然。とりあえず宇宙学者ケスラー教授(ピアース・ブロスナン)の知的生物絶対友好説に従い、宇宙人たちを歓待することになります。ネバダ砂漠で歓迎のセレモニーを行なうのですが、地球に降り立った火星人はレーザー銃で次々と地球人を襲撃。火星人の操るオモチャのような銃から発射される安いビームで地球人は簡単に殺されてしまうのです。ケスラー教授の発明した宇宙語翻訳機(これもいかにもチープ)もむなしく、セレモニーに参加した地球人がいきなり皆殺しにされてしまうシーンは笑えました。そんな中、人気レポーターのナタリー(アネット・ベニング)が火星人に連れ去られてしまいます。あくまでも友好的に接しようとする地球人とは対照的に、ますます凶暴性を顕わにする火星人たち。イースター島のモアイ像が宇宙船の攻撃を受けて、あっというまに破壊されてしまうシーンは笑えました。
そんな奇想天外なティム・バートン・ワールドですが、これまでのシュールな映像と独特な雰囲気を持つ作品とは打って変わって、単純に楽しめる作品でした。たまにはこんな映画もいいよね。でも一度見れば充分だな。★★★