リトル・ヴォイス
監督:マーク・ハーマン
出演:ジェイン・ホロックス、ユアン・マクレガー、ブレンダ・ブレシン
21st Dec. 1999
「ブラス!」でおなじみのマーク・ハーマン監督作品。実は私は「ブラス!」は見ていません。だって、炭坑閉鎖で死んだ街をブラスバンドで活気付けようなんて、いかにも暗そうな話なんだもん。予告編も冴えなかったので、興味持てませんでした。今回の作品は、父を亡くしたショックから周囲に心を閉ざしている少女LV(エル・ヴィ=リトル・ヴォイス)が、父の残したレコードを正確にものまねすることで一夜のスターになり、母親から自立するという物語。物語があまりにも陰気臭くて、最初見る気にはなれなかった。でも、私の周りに意外とこの作品に興味を持っている人が多く、話の種にと思って見たけれど、やっぱり失敗だった。少女が大スターへと変身していくサクセスストーリーを思い描いていた私は、見事に打ちのめされてしまった。スターなんていうから、ロイヤル・アルバートホールのような大きなところで歌うのかと思っていたら、ただの街のキャバレーの舞台。それもたった一度のステージで終わってしまう。自立したとは言うものの、ラストでLVの性格が積極的になったようにも思えないし、彼女をとりまく環境も少しも変わったようには思えなかった。思っていたよりスケールが小さく、こじんまりとした作品という印象しか残らなかった。ラストもなんとなく、しょぼい終わり方だった。ユアン・マクレガーはさえない鳩少年の役。たまたま電話の取付工事で入った家で、LVに出会い、惚れてしまうのだが、その理由がまたわからない。二人は一言も会話を交わしていないし、無口なLVは何の魅力もないのに…。 肝心なLV役のジェイン・ホロックスの歌のレベルは、厳しいようだが「ものまね紅白歌合戦」でモーニング娘が歌うマドンナ並。(そんなのあればの話だが…)たまたまLVの歌を聞いた三流芸能プロモーターのレイ・セイ(マイケル・ケイン)が、本物のジュディ・ガーランドが歌っていると勘違いするシーンがあるけれど、彼女の歌のレベル自体、人を感動させるレベルではないし、ものまねと言った所で、本人と間違えるほど似ているわけでもない。いろいろなところでがっかりさせられることの多い作品だった。似たような音楽モノの作品ならば「エイミー」を薦める。内容はともかく、主演の少女の歌声は一見(聴?)の価値あり!★