【柿沼弘子の勝手にシネマ】
セレブリティ
監督:ウディ・アレン
出演:ケネス・ブラナー、ジュディ・デイヴィス、レオナルド・ディカプリオ
19th Nov. 1999
なぜ私がこの作品を見ようと思ったのかというと、単純にウディ・アレンの作品だからだ。この作品は「マンハ
ッタン」を思わせるような白黒映画で、ストーリーの雰囲気もなんとなく似ている。この作品ではアレン自身は出
演していないが、主人公の男はまさにアレンの分身だ。私はどちらかというと、マンハッタンタイプのアレンの作
品はダレてしまうのであまり好きではないが、ついアレンということで何かを期待して見てしまった。
この作品には日本より格段とスケールが大きいアメリカのセレブリティ(有名人)が大勢登場する。女王様女優
役で悩殺演技を披露するメラニー・グリフィスや、リーをほんろうするスーパーモデル役のシャーリーズ・セロン、
人気絶頂のわがままなアイドルスターのレオナルド・ディカプリオなど。しかし、常にNYのセレブリティとして生き
てきたアレンの皮肉な目を通すと、その私生活は華やかだか、愚かでこっけいだ。主人公はうだつのあがらない
芸能記者リー(ケネス・ブラナー)。映画の脚本を当てて人生を変えようと決意するが、勝手気ままなセレブリティ
達に振り回されてうまくいかない。仕事で中途半端なリーは私生活もいいかげん。妻ロビン(ジュディ・デイヴィス)
と突然離婚し、美人編集者(ファムケ・ヤンセン)と付き合うが、女優志望のウェイトレス(ウィノナ・ライダー)にも
目移りしたりする。なんといってもこの作品の最大の見所はディカプリオをはじめ、本物の不動産王やNBA選手
まで自身の役で登場する豪華キャスト達のセルフ・パロディとも思える演技だ。
私がディカプリオの作品を見るのは実は今回が2度めで、最初に彼の作品を見たのは5、6年前、池袋で偶然見
た「ギルバートグレイプ」だ。当時、彼はまだ中学生か小学生くらいだったにもかかわらず、見事な演技を見せて
くれた。そのころは痩せた華奢なガキで、まさかこんなにいい男(?)になるとは夢にも思わなかった。(=その作
品で兄貴役で出演していたジョニー・ディップにも同じ事が言える。)それにしても、これだけの豪華キャストをうま
く使い、モノクロの画像で見事に洗練された作品に仕上げたアレンの才能をあらためて見せ付けられた作品だ
った。★★★★
【※】ちなみに★は5点満点だよ。