【柿沼弘子の勝手にシネマ】
風と共に去りぬ
監督:ヴィクター・フレミング
出演:クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー、レスリー・ハワード
1st Nov. 1999
あの伝説の名作が今回リニューアルされて劇場公開されるというので、わざわざ会社を休んで見に行ったのに、
私の考えが甘かった。有楽町のスバル座で上映していたのだが、平日だというのに札止めで中に入ることさえでき
なかった。次の回もあったけれど、それまでには4時間くらいあり、おまけに次の回を狙ってチケット売り場の前に
座りこんだ行列ができていたので(ほとんどが30歳前後の暇そうな主婦)、ばからしくなって帰ることにした。
世の中には暇な人が随分いるもんだと感心しつつ、それでは代わりに何か他の映画を見て帰ろうかと思ったけれ
ど、あまりにも天気が良かったので日比谷公園のベンチでお弁当を食べて帰ることにした。
という訳で、悔しかったので家に帰ってビデオで見た。ストーリーは皆さんご存知のとおり、アメリカ南部の大富豪
の令嬢スカーレット・オハラが南北戦争によるトゥラウマを乗り越え、力強く生きていく物語だ。恵まれた家庭に生ま
れ、何人もの黒人の召し使いを随え、何不自由なく育てられたお嬢様のスカーレット・オハラを、私は始め好きにな
れなかった。大富豪というだけでなく、その美しさを武器に男達に媚びを売りまくる八方美人のその姿は、私の最も
嫌いなタイプの女の一人だからだ。いつも男達からちやほやされ、それほど興味無い男や他人の恋人にまで色目
を使い、その美しさに男たちはメロメロになっている。しかし、スカーレットが唯一本気で愛したアシュレーはスカー
レットの友人のメラニーを愛している。一見華やかで幸せそうに見えるスカーレットも、本当に好きな人からは愛
されない悲しい女なのだ。そんな中でついに運命の男レット・バトラーに出会うのである。
実は一見美しいこのラブ・ストーリーも裏を返せばお金に固執した金持ちの物語だ。(と、私は勝手に解釈して
いる。)貧しい暮らしをするのが嫌だという強い執念で、激動の中を力強く乗り越えたスカーレットは結局のところ
生まれ育ったタラの土地がすべてであることに気づく。土地さえあれば何でもできるという考えにたどり着くのだ。
(まるでバブル時代の不動産屋みたいだ。)私の知り合いにもいるが、金持ちというのはなぜかお金に対しても
のすごい執着心を持った人が多くて、貧乏になることに対して異常な恐怖心を持っている。なにしろスカーレット
の強烈な意志と情熱はこの辺のところにあるのだと思う。
最後に、この作品で南部の黒人奴隷制度がかなり美化されて描かれているというところが少し気になった。そ
れにしても4時間にも及ぶ超大作にもかかわらず、見るものを飽きさせることのないストーリーはすばらしく、まさ
しく不朽の名作だ。タラの大地を本物のテクニカラーで見たかったのに、残念だった。★★★★★
【※】ちなみに★は5点満点だよ。