【柿沼弘子の勝手にシネマ】
金融腐蝕列島 呪縛
監督:原田眞人
出演:役所広司、仲代達矢、椎名桔平、若村麻由美、矢島健一、中村育二
20th Sep. 1999
監督は、コギャル達の生態を描いた傑作青春映画「バウンスkoGALS」の原田眞人。原作は高杉
良。近ごろ話題の金融疑惑をテーマとしているだけあって、さすがに客層が普段と違っていました。
はっきり言って、リーマン率が高いです。なぜかスーツ姿の人が4時半の回から続々と出てくるの
には驚きました。(仕事さぼって来てるのかしら?)
映画を見に来る人が原作を読んでいることを前提としているのか、はっきり言って登場人物の説
明がかなり不足していて、予備知識の無い私は人物の相関関係がチンプンカンプンでした。話が半
分位進んだところで、ようやく分かったような感じでした。
舞台は総会屋への不正融資疑惑で検察の強制捜査の入った朝日中央銀行。その再建のため、役
所広司演じる北野企画本部副部長以下、4人の中堅社員が構造改革に乗り出します。平社員がいき
なり役員に直訴したり、社長秘書を命じられたり、普通では考えられないような場面の連続でした。
しかし、そんな現実離れした設定が余計にサラリーマンをスクリーンに釘付けにしたのでしょう。い
つの間にか私も北野と一緒に闘っているような気分になっていました。
はっきり言って、この作品は物語としては完結していません。呪縛は決して解けたわけではなく、事
件の真相は未解決のまま終わってしまいます。朝日中央銀行も決して再生したわけではありません。
尻切れとんぼで終わってしまうのです。最後の墓参りの場面では明らかに次回作を狙ったような一言
を残して終わります。そんなわけで、なんだかすっきりしない気分で劇場を出ることになりました。
それから、この作品の最大のクライマックスである株主総会の場面が、いまひとつ盛り上がりに欠
けていて期待外れでした。私の勝手な推測ですが、2作目は必ず作られるでしょう。そして次回作では
検察の調査は大蔵省に及び、MOF担(いわゆる大蔵省を相手とする担当)だった椎名桔平に危機が
訪れるでしょう。今回、回数の割にはその登場に意味が見えない外資系通信社のアンカーウーマン役
の若村麻由美が、かなり重要な鍵となるでしょう。そして、黒幕の佐々木相談役は遂に捕まってしまう
のか…。なんて、勝手なことばかり言ってますが、次に期待して、★です。
【※】ちなみに★は5点満点だよ。