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監督 篠原哲雄
主演 竹内結子
玉山鉄二
香理奈
新井浩文
香川照之
原田芳雄
[2004年/日本/カラー/111分]
配給:松竹 |
評価 |
★★☆☆☆ |
あらすじ |
リストラされたピアニストの健太(玉山鉄二)は、途方に暮れ酔いつぶれていたはずが、気がつくと“天国の本屋”にいた。臨時アルバイトとして店長のヤマキ(原田芳雄)にムリヤリ連れてこられてしまったのだ。状況が飲み込めず天国をブラブラしていた健太だが、子供時代の憧れのピアニスト翔子(竹内結子)と再会し、感激する。一方、地上では翔子の姪の香夏子(竹内結子・二役)が、商店街の花火大会復活にむけて奔走していた…。
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レビュー |
原作は絶版寸前で地方の本屋の主人がたまたま読んでみてこれはいい!と口コミで全国区になったという少々変わった本です。
3部作のうちから『天国の本屋』と『恋火』を映像化したものです。
話的にはおとぎ話と恋愛話をくっつけたかんじ。
けどどうもよくありません。
映画のしょっぱないきなり何の前触れもなく主人公は天国で目を覚ますわけですが玉山哲二扮する主人公のピアニストは周りの人間にここは天国だよといわれても全く動じません。
おいおいいくらなんでもそりゃないでしょう。
目が覚めたら回りはみんな知らない人間。全く見覚えのない場所。となれば普通の人間なら多少なりとも動揺するでしょう?
いくら玉山哲二の演技が薄っぺら過ぎると入ってもここでいきなり出鼻をくじかれました。こういう細かい部分の演出って実はものすごく大事だと思うんですよね。
この映画はそういう部分が余りに目立ちすぎて作品としてねじがゆるみすぎっていうかんじになっちゃいました。
例えば香理奈ていう天国の本屋で働いている女は実はまだ生きてるって設定で自分のせいで死んでしまった弟に謝りたくて自殺寸前に天国に連れてこられたことになっているんだけど、その女が遂に弟に再会するシーンがあるんですね。
まぁいうなれば中盤のもっともジーンと来るべきシーン。
再会!ってところでただ弟の名前を呼んで泣きながら抱きついてしまいます。・・・なんていうかな・・そうじゃあないでしょう。ずっこけましたよ。全く!
ためっていう演出が全くないんですよね。
僕なら弟を見て涙があふれてくるカットをしっかり入れて震える声で恐る恐る弟に名前を聞くシーンをしっかり見せます。
本当に死んだ弟ということがわかって更に涙があふれてきてゆっくりとそしてやさしく弟を抱きしめて・・とじっくり見せてその後で弟の名前を呼びながら号泣。ってかんじの演出は最低でもしたいシーンです。
ラストシーン。大空を彩る花火とピアノの演奏で盛り上げようと盛り上げようとしますが天国からグランドピアノごと戻ってきた健太が丘の上で死んだ翔子の作った曲をピアノで弾いています。そこに駆け寄ってきた香夏子が尋ねます・・
『あの〜〜〜??・・・・今の曲・・・・』
なんじゃそりゃ!!丘の上にグランドピアノだよ?!それだけでもおかしいでしょう!しかも男がそこで一人でピアノ弾いてるんだよ??
何してるんですか?から聞くでしょう?普通は!それからその曲って流れでしょう普通。こんなかんじで余りにも適当な作業が随所にみられます。
この辺だけでもきちんとこなしていれば作品自体の完成度だってずいぶん違ったはずです。そういった意味では本当に不幸な作品だったといえるでしょう。
結局天国から帰ってきた健太と翔子の彼氏との絡みは一切なし。
なし。
そう・・・ないんですよ。そこが一番面白そうなのに。
天国で翔子がセロリに味噌をつけて食べるシーン。
元彼が好きだった食べ方なんだと説明するんですが、これって現世に帰ったあと死んだ翔子と本当に会ってきた事を彼氏に証明するための複線として使えるのに劇中では全く活用されることはありませんでした。
同時期に公開されたセカチューと比べるとまったく陽の目を見ることが出来なかったのはこのあたりのぬるさが要因だったのかもしれませんね。
唯一見れたのは香川照之の演技です。 |
観賞データ |
2004年12月8日
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