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監督 陳凱歌 チェン・カイコ−
主演 唐韻 タン・ユン
劉佩奇 リウ・ペイチー
陳紅 チェン・ホン
王志文 ワン・チーウェン
陳凱歌 チェン・カイコー
[2002年/中国/カラー/117分] 提供:シネカノン/バンダイビジュアル/衛星劇場/博報堂/中央映画貿易 配給:シネカノン
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評価 |
★★★★★ |
あらすじ |
豊かに水をたたえた美しい風景と、人々の素朴な温もりが残る中国の田舎町。
そこに息子を一流のバイオリニストにする事を夢見て全てをささげる貧しい父と、父を愛しながらも顔も知らない母の面影を追い求める少年が住んでいた。少年は母の形見のヴァイオリンを弾くのが得意だった。2人はコンクールに出場するために北京へ行き、そこで著名な先生の個人指導を受けることになり、北京で暮らし始める。急激な変化を遂げる競争社会の大都会は、地方出身の少年の心に影を落としたが、少年の奏でるヴァイオリンの旋律は、彼に関わる人々の心を癒していく。やがて少年は国際舞台に羽ばたく大きなチャンスをつかむが、それは愛する父との別れを意味していた。そしてその時、少年の出生の秘密が明かされる。果たして少年が選択した道とは・・・? |
レビュー |
この作品、予告編を見て前から気になってはいた作品でした。というわけで今回渋谷のBunkamuraル・シネマまで足を伸ばしました。ところが毎回満席でなかなか見ることが出来ず結局平日の朝から観賞。
まいりました・・・・今まで中国映画を映画館で見ることはほとんどなかったのですが打ちのめされました。
冒頭の少年が髪を切っているシーンから少年が路地裏を走り抜けるカットを見ただけですでに引き込まれてしまいました。
この映画カット一つとっても相当なレベルだと思います。パンフレットの表紙にもなってる何ともいえない色の空の下、少年が塀の上をヴァイオリンを持って歩いているカットだとか少年と父親が自転車で2人乗りをするシーンのカメラワークなどチェン・カイコーってすげ〜な〜と思わされます。『始皇帝暗殺』みたいな大掛かりな映画よりこういうほのぼの映画を撮るほうが向いているのでは!?
話はベタです。とにかくベタなんです。けどそれはそれ、内容がよければいいのです。とにかく出てくる人たちがみんな光っています。
子供思いの父親、チアン先生、少年の初恋相手?のリリ。どのキャラクターもしっかり描かれていて本当に感情移入がしやすかったです。印象的なシーンもテンポよく挟まれているので117分の上映時間が短く感じます。
例えばピアノなど習い事をしていた人ならチアン先生と少年の出会いから始まりやがてやって来る別れのシーンにはぐっと来るものがあるはずです。あと都会的な女性のリリも最初出てきたときはなんだ?この馬鹿女は・・あぁ〜なんかすげー浮いてるよ・・と不安を感じたのですが演出がいいんですね、最後にはすごく見るものを引き付けるキャラクタ−になっちゃうんです。リリが少年に父親のことを『男手一人で育ててくれたんだ。じゃあダサくてもしょうがないわね!』という台詞なんかすごく好きです。
主人公の少年役のタン・ユン君もたよりなさげで台詞は少ないけどすごく素人っぽくて本当にその辺にいる中国人の子供オーラが出ていてがんばれよ〜〜!っていう気にさせてくれます。
そしてこの映画の見所はなんといってもラストシーン。ここで流れてくるのがチャイコフスキ−の『ヴァイオリン協奏曲2長調』この迫力!この躍動感!まさにラストシーンにふさわしい曲です。感動も最高潮!映画館ではみんな泣いていました。心の琴線に触れるっていうんですかね。この曲があって更に感動2倍っていう感じでした。とにかく最高。クラシックファンなら更にオススメ!魂が揺さぶられますよ〜。久しぶりの満点映画です。こういう映画、大好きです。絶対DVD買おうと思いますね〜〜。恐るべし中国映画。日本人じゃこんな映画とれないんだよなぁ・・長くなりましたがとにかく必見!泣けますよ。 |
観賞データ |
2003年5月20日 渋谷Bunkamuraル・シネマにて |