原作 宮部みゆき
監督 森田芳光
主演 中居正広
    藤井隆
    津田寛治
    木村佳乃
    山崎 努 
[2002年/日本/カラー/124分]
配給:東宝
評価 ★★☆☆☆
あらすじ 一人の女性が姿を消した。消息がわからないまま10ヶ月がすぎた頃、公園のごみ箱から女性の右腕とショルダーバッグが発見される。次いで生放送中のテレビのワイドショーに犯人と名乗る男から一本の電話が入り、殺人ライヴを予告する。騒然とする中、犯人はTVやインターネットなどのメディアを通じて、次々と嘲笑うかのような挑発的な犯行声明を繰り返していく。日本中が翻弄される中、突然、容疑者と目されていた人物の事故死が判明し、事件は収束に向かうかに思われた。だが・・・。
レビュー 宮部みゆきの同名ベストセラー小説の映画化。
この作品とにかく評判が良くない映画として有名です。
ところ観てみるとまぁ何とか最後までは我慢できる映画になっていました。
監督は『失楽園』、『39 刑法第39条』、『黒い家』など最近は原作物ばかり撮っている森田芳光監督。いや撮れなくなってしまっているの間違いかなぁ?(笑)
この監督、本来はそれほど力量がある監督ではないような気がします。最近の作品はどれも原作物でそのどれもが原作ほどの出来にはいってないようです。
しかしながらキャスティングとその演出に関してはなかなかのものを感じます。
今回も非常に奇抜なキャスティング。犯人役にご存知国民的アイドルグループSMAPの中居正広。この時点で大失敗を予感させましたがさすがは森田監督。
ピースと名乗る冷酷な知能犯役が以外に様になっちゃってます。
もともと彼にはこういうねっとりとした冷酷さっていう資質があったのかもしれません。もしそれを見抜いていたとすれば監督の見る目はすげーと思わされますね。それ以外のキャスティングもそう。藤井隆なんかも監督によってしっかりとその持ち味を引き出されてるように感じました。
中でも秀逸だったのが津田寛治です。4カ国語を操る犯罪者という難しい役柄を実に存在感のある演技でこなしていたと思います。
そんなかんじで俳優陣は良い仕事をしていました。
ですが原作は上下2巻にわたる長編大作。所詮2時間程度にまとめようとすればそのほとんどを削らなくてはならないのは当然で、そうなると人物描写は中途半端になって、話の展開にも無理が出てきます。
だから映画として中途半端になるのは仕方のないこと。『黒い家』や『失楽園』ほど話は単純ではないため完全に原作に負けている模様。
それが証拠に原作ファンから大ブーイングが巻き起こっておりまする〜♪
原作か映画か?と聞かれれば間違いなく原作をオススメします!

最後のCGのシーンはあえて突っ込みません。日本映画だもん。仕方ない。
観賞データ 2003年9月4日  レンタルビデオにて
辛口映画レビュー