監督 黒木和雄 主演 榎本 祐 原田芳雄 香川照之 [2002年/日本/カラー/118分] 配給:パンドラ 2003年度キネマ旬報ベストテン 日本映画第1位 |
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評価 | ★★☆☆☆ |
あらすじ | 舞台は1945年、終戦直前の夏の霧島。中学三年の日高康夫は、厳格な祖父と祖母の元で暮らしている。彼は目の前で爆死した親友を見殺しにして逃げたという罪悪感に苦しめられ、自分の居場所を見つけられないでいた。康夫に親近感を抱く奉公人のなつ。その母で満州から引き上げてきた豊島一等兵と密会を重ねるイネ、周囲のすすめで義足の帰還兵のもとに嫁ぐ奉公人のはるなど、思春期の多感な少年と彼を取り巻く人々の日常が、美しい風景の中で描き出されていく。やがて訪れた終戦―その時、康夫がとった行動とは…。
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レビュー | 監督は『明日』で原爆投下前夜の家族たちを描いた黒木和雄監督。 あれから10年以上たってまた同じようなタイプの映画です。 戦争映画とは言っても戦場のシーンや残酷なシーンはほとんどなく今回も戦時中の庶民にスポットをあてて淡々とじっくり描いていきます。 まぁ昨今の戦争を描いた他の日本映画と比べてなんと本当の戦時中のようであるか! 出て来る人間、セット、言葉使い、更には映画全体の匂いまでもがリアリティーがあり当時の雰囲気をしっかり再現していると思います。 高い制作費を投入して売れっ子の若手俳優を起用して結局出来上がったものは戦争ごっこ映画というパターンにへきへきしていた僕にとっては久しぶりにそれらしい映画を見れたなぁ〜とちょっと感動♪ 霧島の美しすぎる大自然と思春期の多感な少年の葛藤を昔ながらの日本映画色で描いたまぁまぁの映画でした。 だけど話の内容、規模、工夫は並以下です。 女にぼける香川照之なんてエピソードなんてはっきり言って面白くもなんともない、ていうかむしろうざいしきもい。作品の質を落としちゃってる。ほんとどうでもいいはなしなんですよね〜。 更に友人の死を引きずり続けながらその妹に罪の償いのため竹やりを持って米兵に戦いを挑もうとする少年の話なんかもぜんぜんおもしろくもなーんともない。 あっちの家族、こっちの人たち、みたいにあっちこっちに話をフリすぎてしまって作品としての統一感がなくなってしまった上に、ひとつひとつの話がつまらんとなりゃこりゃ救いはないですね。 少年と厳格な祖父。この二人にしっかりと話の芯を持ってきてあくまでも少年の家族をメインでじっくりと撮っていればもっともっと映画としてよい作品になったのではないでしょうか?? こちらが監督の言葉です。 『半世紀たって、忘却の闇にともすれば埋もれてしまう私自身の記憶を、渾身こめてよみがえらせ、この映画をとおしてあの時代の哀歓と悲傷をなんとか伝えたいと思いました。』 薄れ行く記憶の断片を映像化しただけじゃつたわんないよ。 肝心なのはストーリー。ハリウッドの良作に学びましょう。 |
観賞データ | 2005年4月23日 レンタルDVD |