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原作 貴志祐介
監督 蜷川幸雄
主演 二宮和也
松浦亜弥
鈴木 杏
山本寛斎
秋吉久美子
[2002年/日本/カラー/116分]
配給:東宝 |
評価 |
★★★★☆ |
あらすじ |
高校生の櫛森秀一(二宮和也)は、母と妹の3人暮らし。ある日、10年前に母が再婚しすぐに離婚した男、曾根(山本寛斎)が突然現れ、そのまま家に居ついてしまう。勝手に振る舞い、時には母や妹に暴力を振るう曾根を追い出すため、秀一は弁護士に相談するが、法律では解決できない。精神的に限界を感じていた秀一は、家族と自分を守るため、自らの手で曾根を殺害する「完全犯罪」を計画する。何もかもが順調に見えた時、秀一の計画に大きなほころびが出始める… |
レビュー |
自分の家族を守るために完全犯罪を計画する17歳の少年の葛藤を描いた傑作です。
監督はあの演劇界の巨匠、蜷川幸雄であります。一方原作は『黒い家』の貴志雄介。原作は読んだことが無いのであくまで映画としての完成度をレビューします。
この映画、全編を通し『青』を基調にして十代の少年達のあやうさを様々な表現の仕方で見事に形にしているなぁと思います。
水槽、クラゲ、ロードレーサー、ガレージのシャッター、様々な小道具1つ1つが少年の心の光と闇を暗示してるかのように心に残るカットでうまく表現されています。例えば秀一と紀子が水槽越しに見つめあうシーンや秀一が海岸線をロードレーサーで疾走するシーンなんかすごくいいです。
そしてなんといっても素晴らしいのは二宮一也君です。ご存知嵐のメンバーなわけで、まぁアイドル映画と思われがちなんでしょうが鬼の蜷川にかかればここまでの演技が出来るのかと驚かされました。
もともと彼には資質があったんだと思います。この作品ではそれが見事に開花してるってかんじですね!今、日本映画界全体で同年代の男優の中では正にトップレベルの演技をしているのではないでしょうか。
彼にはこれからも色々な役に挑戦してキャリアを積んでいってほしいものです。
内容的には重いものがありますがその繊細な演出、役者陣の好演、久しぶりに余韻の残る日本映画を観させてもらいました。傑作です。
音楽は東儀秀樹。
いやぁ・・・この人いい曲提供してます。テーマ曲の切ない旋律が少年の硝子のようにもろい心の危うさと悲しさを見事に表現しています。 |
観賞データ |
2003年12月10日 レンタルDVDにて |