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監督 秋山貴彦
主演 多部未華子
本郷奏多
中村雅俊
原田美枝子
牧瀬里穂
[2005年/日本/カラー/111分]
配給:松竹 |
評価 |
★★★★☆ |
あらすじ |
事故で母親を亡くして以来、自室から出ようとしないサトル(本郷奏多)に、科学者の父・岩本薫(中村雅俊)は、自ら開発したロボット〈H−603〉を与える。サトルは〈H−603〉を遠隔操作して小学校に通うことに。初めて登校した教室で、材料に檜が使われていることから、その場でHINOKIOというあだ名がつけられる。早速、ガキ大将のジュン(多部未華子)が丈一(村上雄太)と健太(加藤諒)を従えてHINOKIOに近づいてくるが…。 |
レビュー |
公開当初都内の駅に張られていたポスターをみてなんてセンスのあるデザインなんだろう、と感動して以来ようやく映画本編を見ることが出来ました。
お母さんが死んじゃって以来引きこもりになっちゃった少年がお父さんが作ってくれた遠隔操作の出来るロボットで学校に行くようになり、いろんなことを経験していくというのが簡単なあらすじ。
まぁ内容的にはお子様向け映画です。
日本映画のロボット物っていうと第一印象からしてちゃちい。
更に子供向けともなろうものなら大人が見るには値しない作品というのが定番です。
が、この映画はその辺は見事にクリアーしています。
とにかくロボットのデザインセンスが抜群。かなり凝っています。
素材の一部にヒノキを使っているという細かいディテールも面白いですしCGと実物大の模型を上手く使ってものすごく違和感なくそこに存在しています。というか日本映画では最高水準かもしれません。
冒頭のドラムを叩くシーンなんかとっても丁寧かつ上手く撮ってるな〜と感動!
ここがちゃちいと最後までずーと痛いわけですが見事にクリアー!!
VFXの部分では日本映画では初めて僕の中での合格点レベルの作品に出会えました!!
ただ難を言えばHINOKIOにランドセルを持たせるシーンとラストでサトルをおぶって走るシーンは少し偽者くささが出ちゃいましたが・・・そこがなければ完璧!(^−^)
更にこの映画の成功ポイントは子役2人が最高。
オーディションで選ばれたという多部未華子は映画初主演とは思えぬ演技力で日本の子役特有の棒読みへたくそ臭は皆無。実に自然で無難に主演という大役をこなしています。
そしてなんといっても最高なのがサトル役の本郷奏多クン。
この映画撮影時にはほとんど無名。
ですが台詞の少ない難しい役どころを天性の存在感と透明感で見事に演じています。
この映画で見せた少し陰のある雰囲気とみずみずしい演技は将来性をものすごく感じさせてくれます。
実際この作品をきっかけに東京国際映画祭でクロージングを飾った話題作『大停電の夜に』やTVドラマの『あいくるしい』更には来年公開の『テニスの王子様』の実写版では主人公越前リョーマ役を射止めるなど一気に大ブレイクの予感大。知らない人は要チェックの子役俳優です。
今人気の神木隆之助なんかは果たして大人になってもどこまで活躍できるか・・・どちらかといえばこの彼のほうが役者として大成するのかもしれません。
とにかくこの映画はこれまた最高の子役にも恵まれたわけであり非常に幸運な作品なわけです。
一方厳しいのが大人たち。特にお父さん役の中村雅俊・・・
悪くはないんだけど・・・・良くも無い。
もっともっと表現豊かな俳優さんを起用していればラストシーンは本当に映画史に残る最高のシーンになったでしょう。
本当に・・・
もったいない。
作品自体は現実世界とゲームのバーチャル世界がリンクしているという少しリアリティーに欠ける部分が気入りませんがそれでも前述したように他の部分がそれを補って余るレベルでした。
特にラストシーン。最高。
病室のシーンから始まってバーチャル世界で母親と再会する少年、そして煙突から涙を流しながら落ちていく少女。この一連のシーンは本当に美しく感動的です。
その秘密はずばり
音楽が良いからです。
だれも何気に気がつかないかもしれませんがこの映画妙に音楽が良いです。
映画のおけるBGM。本当に重要な役割を担っているわけで、良い映画には必ず良い作曲家が裏から作品をサポートしています。この映画の作曲家も相当なレベルとみました。
この作曲家がいなければここまで感動できる作品にはならなかったでしょう。
後から公式HPにいって調べてみました!映画『HINOKIO』作曲は・・・
千住 明!!
日本映画音楽の最高峰を迎えていたんですね。どうりで・・・・(^^;)
一見して子供向けの幼稚なロボット物。
ふたを開けてみれば最高のスタッフとキャストが作り上げた子供たちの友情、親と子の絆を描いた稀に見る傑作でした。お勧めです。しかも・・・泣けます!!
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観賞データ |
2005年11月26日
DVD |