辛口映画レビュー
  監督 グ・スーヨン
  主演 市原隼人
      中島美嘉
      池内博之
      矢沢 心
      榎本 佑 
      岡田義徳
      榎本明
  [2003年/日本/カラー/120分]
  配給:東映
評価 ★★★☆☆
あらすじ 17才のヒデノリ(市原隼人)は、幼い頃からいじめられっ子の韓国人。この日、万引きの現場を押さえられていた真っ最中、タローに出会い、仲良くなる。18歳の由美は、厭世的で強迫性障害持ち。ヒデノリとタローとは、ボウリング場で出会うが、印象は最悪。ある日、ヒデノリの姉・ナナコが手首を切って自殺した。「姉ちゃんに韓国を見せてやりたい」。早速ヒデノリは、偶然再会した由美と、運転手役のタローを巻き込み、ナナコの死体を連れて博多へと向かうことにするが…。
レビュー 監督のグ・スーヨンさんはCM界では相当有名な方だそうですが残念ながら知りませんでした。確かに画面全体の雰囲気や妙な間のおき方など見ているといかにもCM出身者ってかんじ。
で中身はというとこれが以外も以外。結構面白いんですよ。
登場人物はみな少しキレていて、やることなすことすべてが非常識。主人公の少年なんか一見して単なる馬鹿にしか見えないような濃い演出です。けどなぜか見ていて全然後味が悪くないんですよ、これが。
ただ単に切れた若者を題材にしてはじけた映画ってことで売りにしている日本映画は数あれど、この映画のように純粋に面白く見せてくれた映画はなかったと思います。
う〜んこの辺がこの監督さんの非凡なところなのかもしれません。
主演は『リリィシュシュのすべて』の市原隼人。演技の幅はないですが今作に限ってははまり役だったですね。すっごく映画にマッチした演技が出来たかんじ。
ヒロイン役は中島美嘉。TVドラマで鮮烈デビューして以来の役者としてのお仕事でした・この人って本当に雰囲気のある人です。歌手としてはもちろん成功をおさめてる訳だけどぜひ女優としてもっともっとキャリアを積んでいってほしいです。
総評としては今をときめく個性派若手俳優を気鋭の監督さんが絶妙な味付けで料理してくれた映画。
思っていたよりずっとましな出来でした。
カメオ出演で多数の俳優さんが登場もしてきますが全員が印象深い演技をしっかり見せてくれている点も注目です。
この映画って若い世代ならなにかしら共感できる部分があるのではないでしょうか?
個人的には車の中でお姉さんの死体に対して主人公が
『んもぉ〜お姉ちゃんはあかちゃんだなぁ〜』というシーンが大好きです。
この1シーン、由美のヒデノリに対する見方が徐々に変わっていきはじめるのを印象的に描いていると思います。
なんとなくジーンときました。
観賞データ 2004年9月13日
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