ダークエルフ物語 R.A.サルバトーレ 安田均・監修 笠井道子・訳 ★★
 この小説ならぬ小説、つまりTRPGのリプレイ小説についても、ドラゴンランスと全く同じことが言える。
 我々が読みたいのは感動と冒険だ。TRPGのつまらんリプレイじゃない。
 もっとも、君たちがTRPGのリプレイ小説ごときに感動する程度の感受性の持ち主であるなら、何も構いはしないが。

 高村光太郎詩集 高村光太郎 新潮文庫 ★★★
 抜粋だが、入門には良いかも。

 宝島 スティーヴンソン 新潮文庫 ★★★★

 多情多恨 尾崎紅葉 岩波文庫 ★★★★★(絶版)
 何故こういういい作品を絶版にするのか、天下の岩波が。新品で出ているうちに買っておいてよかった。

 戦う操縦士 サン=テグジュペリ 山崎庸一郎 訳 みすず書房 ★★★
 なんだろう、この退屈な小説は。とてもテグジュペリが書いたものとは思えない。
 そこには、ただ道徳性、説教じみた悲観的な世界観があるだけで、
 物語に引き込むような才能は息を潜めてしまっている……

 立原道造詩集 立原道造 ハルキ文庫 ★★★★★
 何という美しい……まるで儚い夢のような……

 立原道造詩集 立原道造 杉浦明平 編 岩波文庫 ★★★★★
 薄いハルキ文庫に対し、こちらは400ページを越す厚さ。解説も非常に詳しく、
 全集を買う気がない人にとって、これはまさしく至宝の本。
 「そんなに長いやつはいらねーよ!」という人はハルキ文庫版を、決定版が欲しい人は岩波文庫版を買えばいいだろう。

 谷川俊太郎詩集 谷川俊太郎 思潮社 ★★★★★
 新鮮な感受性を示した不朽の名詩集『二十億光年の孤独』をはじめ、『六十二のソネット』から
 『21』にいたる六冊の詩集全編と、同時期の未完詩篇を収める。
 現代詩に豊かな風を吹き込んだ著者の青春期の全詩業を網羅。

 谷川俊太郎詩集 続 谷川俊太郎 思潮社 ★★★★★
 総合全詩集『谷川俊太郎詩集』正編以後の、『落首九十九』から、名篇『旅』、
 青春詩集『うつむく青年』『空に小鳥がいなくなった日』、真骨頂を示す『ことばあそびうた』正続ほか、
 拾遺、未刊詩篇を収めた丸ごと全詩集900頁の大冊。
 歳をとって、谷川も大分攻撃性が薄れ、柔らかな詩を発表するようになった。
 若い頃の詩集と比べると大変面白い。『ことばあそびうた』は文字通り遊びが過ぎて、あまり好きではないが、
 その前後の詩は、再び陰鬱さをおびつつあるのが興味深い。

 堕落論 坂口安吾 新潮文庫 ★★★★
 非常に人を選ぶ作品であることには間違いない。事実僕は最初はこの作品が大嫌いであった。
 平家物語や徒然草とかを散々罵っているからだ。けれども何回も読み直すうちにやっとこの評論集の良さがわかってきた。
 この作品は不健全なナショナリズムに対して最も有効な書物である。
 実際、安吾ほど天皇制を批判した作家は当時としては皆無だったであろう。
 しかも彼の批判は単なる批判ではなく、的をついている。
 天皇制はデタラメに作られ、陰謀者のいいように利用されたという事実を、この書物は突きつけてくる。
 そしてそれに伴う日本のナショナリズムを徹底的にやっつけている。
 実際、彼が小林秀雄をけなすのも、平家物語や古事記などの古典をけなすのも、
 全ては日本のナショナリズムに関係している(小林秀雄は戦争賛美を繰り返し、古典文学は右翼がよく聖典のように扱う)。
 かといって彼は左翼ではない。彼は左翼に対しても右翼と同じくらい痛烈な罵倒を浴びせかけている。
 日本は神の住む神聖な国だとか思っている奴も、共産党を絶対視する左翼も、
 この評論の前ではもはや意味をなさない。いろんな人に読んでもらいたいが、
 所詮、先入観に凝り固まった人間にそれを期待するのは無理だろう。わかる人だけわかればいいのだ。
 安吾が言っていることは図星だ。それは認めなければならない。

 タルチュフ モリエール 岩波文庫 ★★★★

  

 智恵子抄 高村光太郎 新潮文庫 ★★★★★
 これは一つの偉大な愛の記録である。

 小さき者へ・生れ出づる悩み 有島武郎 新潮文庫 ★★★★★

 地下室の手記 ドストエフスキー 江川卓:訳 新潮文庫 ★★★★★
 自意識過剰な人物の手記という形態を通して、人間の偽善性を暴き、
 理性による社会改造の可能性を否定した、ドストエフスキーの転機となった作品。
 物凄い作品だ……自分が持っている、偽善性や、偽者の希望を全部粉々に打ち砕かれた……
 特に最後の「安っぽい幸福と高められた苦悩と、どちらがいいか?」という問いには衝撃を受けた、
 まさしく俺が今一番悩んでる問題なんで。答えなんてだせないね、人間なんて愚かな生物は……

 恥辱 J・M・クッツェー 早川書房 ★★★★

 父と子 ツルゲーネフ 新潮文庫 ★★★★★

 長距離走者の孤独 アラン・シリトー 新潮文庫 ★★★★★
 表題作含む短編集。いかにも難解そうだが、前衛的なのは文体だけで、
 テーマは古典的で簡潔、情緒豊かで、読み易く、決して難解ではない。安心して楽しく読める作家。初めての読書にお勧め。

 チョコレート革命 俵万智 河出文庫 ★★
 少しでも良識のあるかたなら、コイツが「短歌」と称して作っている、反吐が出そうなほどのスカスカな歌が、
 なんら「短歌」ではないことを確信するだろう。
 現代短歌・俳句界は、袋小路になってしまっている。新しい表現を求めて、みんな斬新さをウリに出した短歌を発表するが、
 伝統行事的傾向が強い短歌・俳句は、斬新な表現とあまりつりあわず、
 一歩間違えればただのセンセーショナルな、低劣・下品極まる表現になってしまうのだ。
 もちろん、全員がそうだというのではない。中には、前衛性と類稀なる芸術性を両立している歌人もいる。
 だが、この俵万智とかいう、不細工顔の、これまた不細工なエッセイを書く醜い女性は、
 何ら芸術性をその歌の中に秘めることができず、
 斬新さと中身の無さを履き違えてしまっている。それは大変愚かなことだ。

  

  長塚節 新潮文庫(中公文庫) ★★★★
 不朽の名作。新潮文庫のは文字が小さくて読みにくいので、中公文庫のをオススメしたいが、
 残念ながら中公文庫版は現在絶版。

 土と兵隊・麦と兵隊 火野葦平 新潮文庫 ★★★
 戦争を記録した日記文学。やはり日記であるため、非常に退屈である。
 この作品には、面白みが欠けている。批判性にも欠ける。
 当時は日本軍が目を光らせていたので仕方ないけれど。

 椿姫 デュマ・フィス 新潮文庫 ★★★★★

 罪と罰 ドストエフスキー 訳:工藤精一郎 新潮文庫 ★★★★★

  

 テアイテトス プラトン 岩波文庫 ★★★★★
 哲学書は、答えは与えてくれないが、最大のヒントを、それも他では与えてくれないようなヒントを、
 与えてくれるということを、改めて思った。

 デイジー・ミラー ヘンリー・ジェイムズ 新潮文庫 ★★★★
 シンプル・イズ・ベスト。渋い。

 田園交響楽 ジッド 新潮文庫 ★★★★

 田園の憂鬱 佐藤春夫 新潮文庫 ★★★★

 伝奇集 ボルヘス 岩波文庫 ★★★★★
 本当に異様な作家。吸い込まれる。

 田紳有楽・空気頭 藤枝静男 講談社文芸文庫 ★★★★★
 私小説を窮めてしまい、シュールレアリスムSF的な世界観に没入してしまった異様な作家、藤枝静男。
 「田紳有楽」がお気に入り。茶碗と金魚の交尾シーンが痛烈な印象を残す。
 「空気頭」も良作だ。

 天の夕顔 中河与一 新潮文庫 ★★★★

 転落・追放と王国 カミュ 大久保敏彦、窪田啓作/訳 新潮文庫 ★★★★
 パリでの弁護士生活を捨て、暗い運河の町・アムステルダムに堕ちてきた男、クラマンス。
 彼の告白を通して、現代における「裁き」の是非を問う、『異邦人』『ペスト』に続くカミュ第三の小説『転落』。
 不条理な現実、孤独と連帯といったテーマを扱った六篇の物語からなる、最初で最後の短編集『追放と王国』。
 なおも鋭利な現代性を孕む、カミュ晩年の二作を併録。
 ……これを読んで、僕はカミュに同情を禁じえなかった。この作品には、希望がない。
 あのヒューマニズム溢れる、厳しいながらもどこか温かい優しさを感じさせるカミュはどこへ消えたのだ?
 ここの作品にあるのは、怒り、悲しみ、憎しみ、絶望、この上もなく陰湿な風刺、諧謔、皮肉だ。
 カミュが晩年、悲惨な人生にあったのはわかってはいた。ナショナリズムも、左翼の暴力による革命も否定し、
 第三の道を模索する彼に浴びせられた、右翼・左翼両陣営からの凄まじい批判。
 良くも悪くも、ただの優れた一作家であるカミュを、サルトルと並ぶ実存主義哲学第一人者と勘違いした連中は、
 カミュの哲学に対する無知、現実に対する無反応などを、ことごとく罵った。
 ノーベル文学賞を受賞したのは事態を更に悪化させ、あらゆる者から裏切り者扱い。
 ついには生涯の友であるサルトルにまで、有名な「革命か反抗か」の論争を通じて、
 その根本にある楽天的で、素朴な緊迫感のない人生観を厳しく批判され、一方的に絶縁された。
 この相次ぐ混乱のさなか、発表された、この絶望しきった作品の後、カミュは大した作品を発表せず、
 次作の構想を練るも、1960年交通事故で即死。
 ……僕は、カミュは、前期の『異邦人』『シーシュポスの神話』『ペスト』を書いていた頃の方が実を言うと好きだ。
 だけれども、第三の道を模索する彼が、あらゆる陣営からよってたかってボコボコにされ、
 ついにはこういう絶望的・虚無的な作風に落ち着いてしまったということを、我々は深く受け止めなければならない。

  

 ドゥイノの悲歌 リルケ アトリエHB ★★★
 リルケの代表作。よくぞ復刊してくれました。偉いぞアトリエHB。でも高くないか?

 藤十郎の恋・恩讐の彼方に 菊池寛 新潮文庫 ★★★★

 藤村詩集 島崎藤村 新潮文庫 ★★★★★
 近代詩の始まりを飾った古典。

 ドグラ・マグラ 夢野久作 角川文庫 ★★★★★

 賭博者 ドストエフスキー 原卓也:訳 新潮文庫 ★★★★★
 ルーレットに没頭してしまうと、もうやめることができない。
 そんな賭け事の恐怖と、それに魅了される主人公を描いて、
 偏執的で、しつこく、一度魅了されたものには、もう夢中になって、後先省みない、
 ロシア人の典型的な性格を描き出した傑作である。
 何よりドストエフスキー自身が賭け事で身を滅ぼしかねた経験があり、
 それに裏打ちされた本作での、賭け事の描写では、
 息を呑むような緊迫感が溢れている。
 結局主人公は賭け事で身を滅ぼすという、やや悲劇的な話だが、
 作中では、時々、むしろ喜劇的雰囲気を醸し出すときがある。
 主人公の性格からして喜劇的ではある。
 悲劇と喜劇を両立できるドストエフスキーならではの仕事だ。

 トム・ソーヤーの冒険 マーク・トウェイン 新潮文庫 ★★★★

 ドラゴンランス マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 安田均・訳 ★★
 この小説のゲーム臭さには我慢がならない。まあ、それも当たり前だ。
 何故なら、ゲーム(TRPG)のリプレイ小説、ノヴェライズだからだ。
 そんなものに僕は関心を抱きはしない。世界観はゲーム感覚に縛られ、登場人物の動きは全部ゲームが元だ。
 そこから文学的キャラクターの欠片すら僕らは見つけることはできない。
 ハリー・ポッターや、宮部みゆきのブレイブ・ストーリーよりも、100倍も1000倍もゲーム臭いのだ。
 ゲームに影響されて小説を書くことはいいことだ。だが、ゲームを小説にしてはいけないだろう。
 ましてや、それを「ファンタジー」として売り込むことなど。そんなものは詐欺だ。偽者だ。
 「ロードス島戦記」とかいう駄作が好きな人にはいいかもね? 作風が似ているよ。

 ドラゴンランス セカンドジェネレーション マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 安田均・訳 
 それでもまだ、「ドラゴンランス」の頃は多少なりとも面白さがあった。
 だが、この続編である「セカンドジェネレーション」以降、その面白さも全く失われた。
 よってこの作品はただの紙屑と化すのだ。

 ドラゴンランス 夏の炎の竜 マーガレット・ワイス&トレイシーヒックマン 安田均・訳 
 君はこの本に、これ以上ないくらいのゲーム臭さ、説教臭さ、そして退屈なストーリーを見出すだろう。
 そして、この本を買った己自身を、この本のために支払った金額を呪い、嘆き悲しむだろう。

 ドリアン・グレイの肖像 オスカー・ワイルド 福田恒存・訳 ★★★★★
 美貌の青年モデル、ドリアンは快楽主義者ヘンリー卿の感化で背徳の生活を享楽するが、
 彼の重なる罪悪はすべてその肖像に現われ、いつしか醜い姿に変り果て、
 懺愧と焦燥に耐えかねた彼は自分の肖像にナイフを突き刺す、すると肖像のほうは元に戻るが、
 ドリアンはその肖像に描かれたような醜い人物に変化して死に絶える……。
 ワイルドが残した唯一の長編小説は、イギリス文学史に残る傑作となった。
 ストーリーは比較的、作家なら誰でも考え付きそうなものだが、この作品を傑作たらしめているのは、
 全てワイルドの詩情を漂わせた豊穣な文章による、装飾過多な作風と、
 ワイルドお得意の、逆説的な警句による。
 人は皆ワイルドの描き出した、一房の赤い果実を見つけ出す。
 触れただけでその果実は真紅の血を噴出す。だがその血はこの世のどんな飲み物より甘く、
 その血を飲んだ者は皆その果実の虜となって我を忘れるのだ。
 リアリティに欠ける、という評に対してはワイルド自身がこの作品の中で描いている文章から抜き出して突きつけてやろう。
 「悲しいことながら、われわれはものに美しき名を与える能力を失ってしまった。名こそすべてなのだ。
  ぼくは行為にけちをつけることはしない。ぼくが問題にするのは、言葉だけです。
  ぼくが文学における俗悪なリアリズムを嫌悪するのはそのためなのだ。
  鋤のことを平気で鋤と呼ぶような男には、鋤でも使わせておくにかぎる。
  そういう人間にふさわしいのは鋤ぐらいなものだ」

 泥棒日記 ジャン・ジュネ 新潮文庫 ★★★★
 言語の力を使って現実世界の価値をことごとく転倒させ、幻想と夢魔のイメージで壮麗な倒錯の世界を描いた、
 稀有な泥棒作家。

 ドン・ジュアン モリエール 岩波文庫 ★★★★



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