あ
青い山脈 石坂洋次郎 新潮文庫 ★★★★
素敵。軽いけれどこれもよし。映画版もヒットしたしな。
青い鳥 メーテルリンク 新潮文庫 ★★★★★
印象派。ひたすら美しい。僕の大切な本。
青い麦 コレット 新潮文庫 ★★★★☆
コレットはいいよー。エロティックで最高だよ。
青梅雨 永井龍男 新潮文庫 ★★★★
短編の天才。
赤毛のアン モンゴメリ 新潮文庫 ★★★★★
読んどけ。それ以外に何も言う必要ないね。
阿Q正伝 狂人日記 他十二篇 魯迅 岩波文庫 ★★★★★
中国文学のレベルの高さを思い知った。
悪の華 ボードレール 新潮文庫 ★★★★★
不朽の名作。詩集。
悪霊 ドストエフスキー 江川卓:訳 新潮文庫 ★★★★★
無神論による社会主義は、結局醜い内ゲバにつながることを、ドストエフスキーは予言したのではないか。
彼はソ連が出現する30年以上も前に、馬鹿馬鹿しい社会主義が失敗することを見抜いていたのだ。
そして、無神論の最大の弱点である早急さ(?)をも。
それにしても、この作品はツルゲーネフを「カラマジーノフ」という名前で登場させ、
彼の偽善ぶりと馬鹿らしさ加減を徹底的に茶化しているが、
晩年のツルゲーネフは本当にあんなに酷い人物だったのだろうか。
僕が一番共感できる人物はキリーロフである。
哲学的ニヒリストも、行き着くところまで行けば、あんな悲惨なキチガイになるのか。
彼の発狂ぶりは、自分にも似た経験があるので、空恐ろしくなった。
それから、自分の偽善ぶりに我慢ならなくなって、ついには発狂するにいたる、ステパン氏も可哀想な人物だ。
あこがれ 石川啄木詩集 石川啄木 角川文庫 ★★★★☆
あまり知られていないが、石川啄木は詩人としても一流だった。
若干20歳にして、ロマン主義的な詩集「あこがれ」を出版すると、人々の絶賛を浴びる。
しかし、あくまでも小説家を目指す啄木は、いくつかの小説を書くが、全く売れず、
彼自身の就職失敗もあって、窮地に陥る。その絶望の中で数々の短歌を残したことはよく人の知るところだ。
詩風も次第にシリアスなものに変化していき、大逆事件で社会主義思想に興味を持って以降、
彼の詩は完全に社会主義詩に変わる。この時期、第二詩集「呼子と口笛」を企画、
次々と詩を書いていくが、間もなく病により死亡。完成しなかった詩集は、「呼子と口笛ノート」として残る。これがまた傑作として名高い。
槿 古井由吉 講談社文芸文庫 ★★★★☆
「あさがお」と読む。
あしながおじさん J・ウェブスター ★★★★
この名作を書いたジーン・ウェブスターの母親は、あの文豪マーク・トウェインの姪なんですって。
アッシュベイビー 金原ひとみ 集英社 保留
どんな小説だったかサッパリ忘れてしまった。再読予定。
アドルフ コンスタン 新潮文庫 ★★★★
恋愛小説の古典。
あにいもうと・詩人の別れ 室生犀星 講談社文芸文庫 ★★★☆
この時期の室生犀星の作品は好きじゃない。本来は優しい作品を書く人なのに、無理してハードボイルドを書いているような気がする。
文章が良く練られておらず、難解で読みにくく、その割には読んだ後の感動が少なく、疲れだけが残る。
やはり濫作期の作品という印象はぬぐえない。
アポリネール詩集 アポリネール 新潮文庫 ★★★
小説、詩、演劇の分野で活躍した、前衛にして叙情詩人、アポリネールの代表作を収める。
堀口大學は詩集の抄訳ばかり試みるが、新品の日本語で読めるのはこれだけなので仕方ない。
文句があるなら原書か英語版を買おう。
アメリカ カフカ 中井正文・訳 角川文庫 ★★★★★
「城」「審判(訴訟)」と並ぶ、カフカの三大長編小説のひとつ。
カフカにしては珍しく作風が明るく(それでも他の作家に比べると暗い)、
ディケンズを目標とした少年小説風の冒険物語となっている。「失踪者」と訳される場合もある。
ちなみに、この作品も未完である。作品は、主人公がやっと希望を見出した、
不思議な宗教的色彩を帯びた、サーカス団でこれから頑張るぞ、というところで唐突に終わる。
カフカは自分の書いた小説の魅力に気付かず、
ついにディケンズに及ばなかったと感じて、この作品を気に入らなかったようだ。
実際は、そのカフカの独特の宗教的感覚・審判的描写のおかげで、
ディケンズとはまた違う魅力をもった少年小説となっているのだが。
最終章に唐突に出現する主人公の恋人? や、断片的だがふらふらとしか現れない親友? の描き方も、
いかにもカフカらしい。ディケンズのようなドラマティックな物語を書くことに憧れ、
ついにそれを果たせなかったのがトラウマとなり、彼はブロートに原稿を焼いてくれと頼んだのではないだろうか。
彼が意図したものとは大きく違っても、いずれにしても彼の作品は独特のオリジナリティによって
優秀な文学と認められているのだ。もし、これがいとも容易く作品を完成させてしまうような無神経野郎だったら、
カフカに対する評価もまた変わってきたかもしれない。未完成だから魅力が出ている面もあるのだ。
あらくれ 徳田秋声 岩波文庫 ★★★★
重い。そして淡々としてる。買うなら絶対この岩波版を買うこと。講談社文芸文庫は論外。
あらくれ 徳田秋声 講談社文芸文庫 ★★
この小説がつまらないわけではない。
星一つ減点の理由は、末尾に掲載されている大杉重男の評論がバカすぎるからだ。
この人は夏目漱石批判のために徳田秋声のテクストを使う大馬鹿者である。
悪いことはいわないから岩波文庫から出てるやつを買おう。じゃないと評論がむかついてマトモに読んでられませんぞ。
嵐が丘 エミリー・ブロンテ 新潮文庫 ★★★★★
恋愛小説でありながら、ゴシック耽美小説でもある、予測不可能の素晴らしい作品。
或る女 有島武郎 新潮文庫 ★★★★☆
有島武郎といったらこれ。
アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス 早川書房 ★★★★★
涙以外に何をもってこの作品を語ろう?
杏っ子 室生犀星 新潮文庫 ★★★★☆
室生犀星の自伝的小説。彼の小説は美しさとともに、暗さもある。
その暗さは最近の作家のような作られた暗さではなく、中身がある暗さである。
暗夜行路 志賀直哉 新潮文庫 ★★★★☆
17年にもわたって連載されたため、統一感がないことが欠点にも魅力にもなっている、志賀直哉唯一の長編。
読んでいて、実に暗く、深い小説だと思った。中期以降の志賀直哉は、決して安易な修羅場を描こうとせず、
淡々と苦悩を述べるだけであったのに、何故こんなにも暗いかと思う。
それは紛れもなく志賀直哉の淡々と書く文章に真実が描かれているからだ。真実というものは暗いものなんだ。
い
生きている兵隊 石川達三 中公文庫 ★★★★
戦争中、出版を禁止され、作者に有罪判決が下った、日本の戦争の実態を詳しく描いた問題作。
伊豆の踊子 川端康成 新潮文庫 ★★★★☆
川端康成の初期の短編名作を収録。
イスラム教 イラスト版オリジナル 安倍治夫 小関俊一 武田三省 現代書館 ★
イラストを交えてイスラム教を解説しているので、わかりやすいのだが、
批判的な考察が一切ない無価値で盲目的なイスラム教賛美となっている。
解説本としても、イスラム入門書としても全くおすすめできない。
いちご同盟 三田誠広 集英社文庫 保留
一握の砂・悲しき玩具 石川啄木歌集 石川啄木 新潮文庫 ★★★★★
この人可哀想だな……こんなに天才なのに夭折してしまって……
一千一秒物語 稲垣足穂 新潮文庫 ★★★★★
ファンタジー小説・評論集ですよ。日本にもこんな作家がいたのかと思うのですよ。
夷狄を待ちながら クッツェー 集英社文庫 ★★★★☆
南アフリカを代表する作家の名作。ノーベル文学賞受賞。
田舎教師 田山花袋 新潮文庫 ★★★★
傑作。ここに激しい動きや劇的なストーリー展開はないが、
読んだ後、しみじみと感動し、悲しく、さみしくなるような、そんな小説だ。
この作品の全体にわたって淡々とした描写が続くが、特にラストの描写は一種の諦観を感じさせる。
福田はこの作品を退屈だと言って切り捨てる(ただ風景描写の達者なところだけは賞賛している)。
だが僕は退屈だとは思わない。むしろ下手に奇をてらった小説よりずっと面白い。
影が薄いと彼はこの小説を言うが、薄くて何が悪い。そういう小説だってあっていいし、
影が薄い小説は濃い小説よりも特殊な感覚を持っているし、違う感動も与えてくれるのだ。
ヨーロッパ文学は、日本文学より優れているとか、そういう比較は意味を成さない。
両方とも一長一短があって、両方とも素晴らしい。
異邦人 カミュ 窪田啓作・訳 新潮文庫 ★★★★★
この作品の主人公は、勝手な言い分を許してもらえれば、可哀想で不幸だ。
不感症といってもいいくらい物事に興味がなく、絶対に嘘をつかない。
自分の体の欲求にも忠実で、母の死もなんとも思わず、翌日女と寝たあげく喜劇映画をみて笑い転げ、
「太陽がまぶしかった」本人によれば、ただそれだけの理由で、イラッときて、冷静に銃弾を5発も浴びせて、
うるさくつきまとう不良アラビア人を殺害してしまう。
法廷でも、彼は変わらない。自分に不利になるような発言でも、真実であれば簡単に言ってしまう。
むしろ自分を勝手に祭りあげる弁護人を腹立たしく思う(自分を勝手に罵りまくる検察と共に)。
しかしそれゆえ、彼は法廷で圧倒的不快感を多人数に与え、結果死刑を言い渡される。
彼は何故自分が死刑にならなければならないのか理解できない。
……異様な小説だ。読書をしていて、久しぶりに感動を覚えた。
そして、読み終わった後、腐った「常識」に囚われなければ生きて生けない世の中に、無性に腹がたった。
一体誰がこの作品の主人公を罰する権利を持っているというのか?
いやいやながら医者にされ モリエール 岩波文庫 ★★★★
モリエールにしては軽い作品も悪くない。面白かった。
それにしてもモリエールは本当に医者が大嫌いのようだ。
こういう重要な作品を絶版にしたりする岩波文庫には猛省を要求する。
ヰタ・セクスアリス 森鴎外 新潮文庫 ★★★★
性の目覚めを渋く描いた作品だ。
イルカの日 ロベール・メルル 三輪秀彦 訳 ハヤカワ文庫 ★★(絶版)
なんという酷い訳文だろう。この三輪秀彦という人の本ほど酷い訳を私は見たことがない。
それとも原文が元々下手なのだろうか?
とにかく読み続けるのが苦痛で、途中で投げ出してしまった。
う
ヴェルレーヌ詩集 ヴェルレーヌ 新潮文庫 ★★★
ランボーと同性愛関係にあり、ランボーの手を銃で撃ち負傷させ、逮捕されたことで有名な天才詩人。
詩の才能はランボーに負けず劣らず。しかしこれもまた抄訳。
浮雲 二葉亭四迷 新潮文庫 ★★★★
日本最初の口語体小説である。
浮雲 林芙美子 新潮文庫 ★★★★☆
重い。救いようがない。だが、それがいい。
歌行灯・高野聖 泉鏡花 新潮文庫 ★★★★★
この作家ほど文章が難解な人もいないであろう。落語・講談調で繰り広げられる独特のハイテンションな文章には、
ついていくのさえやっとだ。読んでいるうちにそれも慣れる。慣れてしまえばこっちのもの。
この作家の独特な世界へ引き込まれればそれでいい。日本が誇る最大のファンタジー作家なのだから。
わけがわからなくても、最後まで読み通そう。きっと何かが胸に残るはず。
打ちのめされるような すごい小説 富岡幸一郎 飛鳥新社 ★★★★
本書は、日本文学の中から特にすぐれた作品を、昭和以降、特に戦後を重視して、
長編小説に限り、五十作品を厳選して、紹介・批評した、紹介本である。
ただし、紹介といっても、「あらすじで読む〜」シリーズのような無味乾燥な代物と違い、
この本は、著者がその作品の中で「これは」と感じた部分を原文のまま抜き出し、
物語のあらすじを示したあと、その作品がどのように凄いのか、適切に紹介し、
更にその作品の凄さを、衝撃力、構想力、文章力、浸透力、の四つに分け、
星マークでそれぞれの部門を五段階評価する、
見るだけでなく、実際読んでいても楽しい、優秀なブックガイドにもなりえる本である。
何故こういう形式にしたのか、著者いわく、
「(日本文学が)つまみ食い的に紹介されることは誤解を生じこそすれ、文学のもつ
真の味わいを感受できないのではないか」という危機感を持っていたからだ。
一般的に知られている名作だけでなく、知名度が低い作品でも、
凄いものはちゃんと選ばれている。
「日本語の豊饒な世界を味わってもらう」という目的と共に
「こういう小説が在庫切れになり、簡単に入手できない状態を何とかしなければならない」と
警鐘も鳴らしている。
なぜ長編のみに絞ったかについても、説明がなされている。
「日本文学には短編に優れたものが多いといわれているが、
長編や大長編でしか味わえない文体・日本語がやはり存在する。
本書はそこに注目した」
そうした確個たる信念に基づいて選ばれた五十の作品は、そのどれもが
他にはない特徴・個性を持っており、作品の出来のよさも素晴らしい。
日本文学の知られざる森に足を踏み入れたいなら、是非とも持っておきたい本だ。
コラムも充実しており、その時代ごとの文芸の潮流、印象的な文壇の出来事、
および五十選から漏れてしまった、他に注目すべき作品などが、そこに書かれている。
本書の危惧していたとおり、この本は2003年出版と比較的新しい本であるにも関わらず、
早々と絶版になってしまった。
この本に挙げられた名作だけでなく、それらを紹介したガイド本までも、
売り上げ不振を理由に情け容赦なく絶版に追い込む日本の出版社。
くだらない無内容の宣伝だけ無駄にされた新本と引き換えに。
私は、日本国および日本国民の正気を疑う。
優れた文学は、その国の、やがて古典・文化となっていくであろう、芸術という名の財産である。
日本文学は、紛れもなく日本語の宝物なのだ。なのに日本の出版社は、
別に諸外国の侵略を受けるわけでもなく、作品が法に触れたわけでもなく、
自らその宝物に一般人が触れる機会をなくし、日本語を豊かにする道を閉ざしてしまう。
その文化を自ら退化させる国は、そのうち酷い目にあう。
日本の出版社の情けなさは以前からヨーロッパやアメリカ、
特にドイツ語圏・フランス語圏・英語圏の出版社と比べられ、
その酷さ、体たらくぶりを指摘されてきた。
だがこのままではやがて、成長著しい韓国、中国・台湾、フィリピン、マレー・インドネシア、
ベトナム、タイといった国々に、出版面のみならず芸術・経済面でも大きく差をつけられるだろう。
日本は、自ら喜んで後進国家へと転落しているのだ。
こんな馬鹿国家が他にあるだろうか?
話がそれてしまった。幸いにもこの本は、大量の中古が売れ残り、
2012年9月現在、インターネットショップで非常な格安で手に入る。
何かのついでに買ってしまおう!
海に生くる人々 葉山嘉樹 岩波文庫 ★★★★☆
プロレタリア文学の代表作。文章は下手だが、読ませるパワーがある。
え
永遠の夫 ドストエフスキー 千種堅:訳 新潮文庫 ★★★★
生涯ただただ「夫」であるにすぎない男、妻はつぎつぎに愛人を替えていくのに、
その妻にしがみついているしか能のない「永遠の夫」の物語。
ある深夜、ヴェリチャーニノフは、帽子に喪章をつけたトルソーツキーの訪問を受け、
かつて関係のあった彼の妻の死を告げられる。
……この作品は、心理描写が難しい。決して難解なのではなく、ただただ「難しい」のだ。
そこに出てくる屈折した描写の、真の意味を理解するには、一体何度恋愛を経験すればいいのやら。
だが、その抑制された、見事な緊迫感を備えた筆致は、さすがドストエフスキーというべきか。
しかもこの作品を、彼は緊急の金稼ぎのために、わずか2ヶ月で書き上げたというのだから恐れ入る。
駅前旅館 井伏鱒二 新潮文庫 ★★★★
日本映画史上有名な「駅前シリーズ」の原作。さすが、良く出来てる。
江戸川乱歩傑作選 江戸川乱歩 新潮文庫 ★★★★★
怖い。泣きそう。そのくせして完成度高いので憎くもある。
絵のない絵本 アンデルセン 新潮文庫 ★★★★
みんなも一度くらい読んだほうがいいと思うけどね?
お
王子と乞食 マーク・トウェーン 岩波文庫 ★★★★
有名な話だが、最近の人は知らないかもしれない……
小川未明童話集 小川未明 新潮文庫 ★★★★★
宮沢賢治に匹敵すると思う……
荻窪風土記 井伏鱒二 新潮文庫 ★★★★
井伏鱒二の自伝的な小説。味わいがある。
おはん 宇野千代 新潮文庫 ★★★★
宇野千代が書く男女間の恋愛は美しい。
婦系図 泉鏡花 新潮文庫 ★★★★
鏡花にしては珍しいお化けのでてこないシリアスな人間ドラマ。最後に大どんでん返しが待っている。
女坂 円地文子 新潮文庫 ★★★★
なかなか。エロティシズムも少しあるが、決して崩れず、古風。