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2002年10月3日 (木) 更新

身体障害者補助犬法

 
 

与野党の超党派による「身体障害者補助犬を推進する議員の会」(会長・橋本龍太
郎元首相、102人)が立案し、01年12月に全党一致で衆議院厚生労働委員会
に提案していた「議員立法」の「身体障害者補助犬法」(案)が衆院厚労委におい
て全会一致で可決され、02年4月11日の衆院本会議を経て、5月上旬の参院本
会議で可決、成立、02年10月から施行される予定である。
同法の成立によって障害者の生活を助ける盲導犬や介助犬、聴導犬の同伴を、宿泊
施設や飲食店などが拒むことを禁じ、かつこれまでペット扱いされてきた介助犬、
聴導犬が法的に認定され、育成の助成制度も適用されることになる、
 同法案は、すでに道路交通法で規定のある盲導犬に加え、「@体が不自由な人の
ために物を運んだり、着替えを手伝ったりする介助犬A聴覚障害のある人のために
音を聞き分けてその情報を伝える聴導犬を、『補助犬』として定義して、B公共施
設や公共交通機関だけでなく、民間の宿泊施設や飲食店なども、障害者が利用する
際に補助犬を同伴させることを拒んではならない(不特定多数が利用する民間施設
にも受け入れが義務付けられ、民間の職場やマンションも、同伴を認めるよう努力
規定がある)」と規定する。
他方、補助犬を同伴させる障害者には、認定された犬であることがわかる表示を義
務づけている。その上で、介助犬、聴導犬の訓練事業を社会福祉事業とし、厚生労
働大臣が、補助犬を認定する公益法人、社会福祉法人を指定する。また、法律が成
立すれば厚労省は、1匹につき約150万円を出している盲導犬育成の助成制度を
、03年度から介助犬、聴導犬にも適用する方針。
なお現在、道交法で規定されている盲導犬は全国で875匹。介助犬は少なくとも
26匹、聴導犬は19匹いる(厚労省調べ)。衆院厚労委;(02年4月10日)
全会一致で可決され、今国会で成立する見通しが強まった。

身体障害者補助犬法の骨子<訓練事業者の義務>
 医療従事者、獣医と連携した良質な犬の育成。譲渡後、障害の状況が変化した際
の再訓練。

<使用の適格性>
 使用者は補助犬の行動管理ができる者でなければならない。

<同伴の受け入れ>
 (義務規定)国や自治体が管理する施設、事業所、住宅▽公共交通機関▽不特定
多数が利用する民間施設
 (努力規定)民間の事業所、住宅

<認定>
 認定業務は厚生労働大臣が指定した社会福祉法人が行う。犬が規定する能力を欠
くと認めた場合は認定を取り消さねばならない。

<施行と見直し>
 02年10月から施行。ただし、レストランやホテルなど不特定多数が利用する
民間施設の受け入れ義務化は周知期間を設け、03年10月から。施行3年後に受
け入れや育成の状況を検討し、必要に応じて見直す。

<国民の理解と協力>
 国、自治体は教育、広報を通じて補助犬の役割について国民の理解を深めるよう
努めなければならない。国民も補助犬を使用する障害者に対し、必要な協力をする
よう努めなければならない。

身体障害者補助犬法(案)
目次
 第1章 総則(第1条・第2条)
 第2章 身体障害者補助犬の訓練(第3条〜第5条)
 第3章 身体障害者補助犬の使用に係る適格性(第6条)
 第4章 施設等における身体障害者補助犬の同伴等(第7条〜第14条)
 第5章 身体障害者補助犬に関する認定等(第15条〜第20条)
 第6章 身体障害者補助犬の衛生の確保等(第21条〜第24条)
 第7章 罰則(第25条)
 附則 
  第1章 総則 
第1条(目的)
 この法律は、身体障害者補助犬を訓練する事業を行う者及び身体障害者補助犬を
使用する身体障害者の義務等を定めるとともに、身体障害者が国等が管理する施設
、公共交通機関等を利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することができ
るようにするための措置を講ずること等により、身体障害者補助犬の育成及びこれ
を使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図り、もって身体障害者の自立及
び社会参加の促進に寄与することを目的とする。 
第2条(定義)
@ この法律において「身体障害者補助犬」とは、盲導犬、介助犬及び聴導犬をい
う。
A この法律において「盲導犬」とは、道路交通法(昭和35年法律第105号)第1
4条第1項に規定する政令で定める盲導犬であって、第16条第1項の認定を受け
ているものをいう。
B この法律において「介助犬」とは、肢体不自由により日常生活に著しい支障が
ある身体障害者のために、物の拾い上げ及び運搬、着脱衣の補助、体位の変更、起
立及び歩行の際の支持、扉の開閉、スイッチの操作、緊急の場合における救助の要
請その他の肢体不自由を補う補助を行う犬であって、第16条第1項の認定を受け
ているものをいう。
C この法律において「聴導犬」とは、聴覚障害により日常生活に著しい支障があ
る身体障害者のために、ブザー音、電話の呼出音、その者を呼ぶ声、危険を意味す
る音等を聞き分け、その者に必要な情報を伝え、及び必要に応じ音源への誘導を行
う犬であって、第16条第1項の認定を受けているものをいう。 
  第2章 身体障害者補助犬の訓練 
第3条(訓練事業者の義務)
@ 盲導犬訓練施設(身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第33条に規定す
る盲導犬訓練施設をいう。)を経営する事業を行う者、介助犬訓練事業(同法第4
条の2第12項に規定する介助犬訓練事業をいう。)を行う者及び聴導犬訓練事業(
同項に規定する聴導犬訓練事業をいう。)を行う者(以下「訓練事業者」という。
)は、身体障害者補助犬としての適性を有する犬を選択するとともに、必要に応じ
医療を提供する者、獣医師等との連携を確保しつつ、これを使用しようとする各身
体障害者に必要とされる補助を適確に把握し、その身体障害者の状況に応じた訓練
を行うことにより、良質な身体障害者補助犬を育成しなければならない。
A 訓練事業者は、障害の程度の増進により必要とされる補助が変化することが予
想される身体障害者のために前項の訓練を行うに当たっては、医療を提供する者と
の連携を確保することによりその身体障害者について将来必要となる補助を適確に
把握しなければならない。
第4条
 訓練事業者は、前条第2項に規定する身体障害者のために身体障害者補助犬を育
成した場合には、その身体障害者補助犬の使用状況の調査を行い、必要に応じ再訓
練を行わなければならない。 
第5条(厚生労働省令への委任)
 前2条に規定する身体障害者補助犬の訓練に関し必要な事項は、厚生労働省令で
定める。   
第3章 身体障害者補助犬の使用に係る適格性
第6条
 身体障害者補助犬を使用する身体障害者は、自ら身体障害者補助犬の行動を適切
に管理することができる者でなければならない。
   第4章 施設等における身体障害者補助犬の同伴等 
第7条(国等が管理する施設における身体障害者補助犬の同伴等)
@ 国等(国及び地方公共団体並びに独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11
年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。)、特殊法人(法
律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立
された法人であって、総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第15号の規定
の適用を受けるものをいう。)その他の政令で定める公共法人をいう。以下同じ。
)は、その管理する施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬(
第12条第1項に規定する表示をしたものに限る。以下この項及び次項並びに次条か
ら第10条までにおいて同じ。)を同伴することを拒んではならない。ただし、身体
障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生し、又は当該施設を利用す
る者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合
は、この限りでない。
A 前項の規定は、国等の事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又
は事務所において身体障害者補助犬を使用する場合について準用する。
B 第1項の規定は、国等が管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅におい
て身体障害者補助犬を使用する場合について準用する。 
第8条(公共交通機関における身体障害者補助犬の同伴)
 公共交通事業者等(高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑
化の促進に関する法律(平成12年法律第68号)第2条第3項に規定する公共交通事
業者等及び道路運送法(昭和26年法律第183号)第3条第1号ハに規定する一般乗
用旅客自動車運送事業を経営する者をいう。以下同じ。)は、その管理する旅客施
設(高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する
法律第2条第4項に規定する旅客施設をいう。以下同じ。)及び旅客の運送を行う
ためその事業の用に供する車両等(車両、自動車、船舶及び航空機をいう。)を身
体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではなら
ない。ただし、身体障害者補助犬の同伴により当該旅客施設若しくは当該車両等に
著しい損害が発生し、又はこれらを利用する者が著しい損害を受けるおそれがある
場合その他のやむを得ない理由がある場合は、この限りでない。 
第9条(不特定かつ多数の者が利用する施設における身体障害者補助犬の同伴)
 前2条に定めるもののほか、不特定かつ多数の者が利用する施設を管理する者は
、当該施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴すること
を拒んではならない。ただし、身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損
害が発生し、又は当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合そ
の他のやむを得ない理由がある場合は、この限りでない。 
第10条(事業所又は事務所における身体障害者補助犬の使用)
 事業主(国等を除く。)は、その事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該
事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めな
ければならない。 
第11条(住宅における身体障害者補助犬の使用)
 住宅を管理する者(国等を除く。)は、その管理する住宅に居住する身体障害者
が当該住宅において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければ
ならない。 
第12条(身体障害者補助犬の表示等)
@ この章に規定する施設等(住宅を除く。)の利用等を行う場合において身体障
害者補助犬を同伴し、又は使用する身体障害者は、厚生労働省令で定めるところに
より、その身体障害者補助犬に、その者のために訓練された身体障害者補助犬であ
る旨を明らかにするための表示をしなければならない。
A この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴
し、又は使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬が公衆衛生上の危害を生じ
させるおそれがない旨を明らかにするため必要な厚生労働省令で定める書類を所持
し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。 
第13条(身体障害者補助犬の行動の管理)
この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し、
又は使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬が他人に迷惑を及ぼすことがな
いようその行動を十分管理しなければならない。 
第14条(表示の制限)
 何人も、この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬
以外の犬を同伴し、又は使用するときは、その犬に第12条第1項の表示又はこれ
と紛らわしい表示をしてはならない。ただし、身体障害者補助犬となるため訓練中
である犬又は第16条第1項の認定を受けるため試験中である犬であって、その旨
が明示されているものについては、この限りでない。   
第5章 身体障害者補助犬に関する認定等 
第15条(法人の指定)
@ 厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、身体障害者補助犬の種
類ごとに、身体障害者補助犬の訓練又は研究を目的とする民法(明治29年法律第89
号)第34条の規定により設立された法人又は社会福祉法(昭和26年法律第45号)
第31条第1項の規定により設立された社会福祉法人であって、次条に規定する認
定の業務を適切かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により
、当該業務を行う者として指定することができる。
A 厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた者(
以下「指定法人」という。)の名称及び主たる事務所の所在地を公示しなければな
らない。
B 指定法人は、その名称又は主たる事務所の所在地を変更しようとするときは、
あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
C 厚生労働大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項
を公示しなければならない。 
第16条(同伴に係る身体障害者補助犬に必要な能力の認定)
@ 指定法人は、身体障害者補助犬とするために育成された犬(当該指定法人が訓
練事業者として自ら育成した犬を含む。)であって当該指定法人に申請があったも
のについて、身体障害者がこれを同伴して不特定かつ多数の者が利用する施設等を
利用する場合において他人に迷惑を及ぼさないことその他適切な行動をとる能力を
有すると認める場合には、その旨の認定を行わなければならない。
A 指定法人は、前項の規定による認定をした身体障害者補助犬について、同項に
規定する能力を欠くこととなったと認める場合には、当該認定を取り消さなければ
ならない。 
第17条(改善命令)
 厚生労働大臣は、指定法人の前条に規定する認定の業務の適正な運営を確保する
ため必要があると認めるときは、当該指定法人に対し、その改善のために必要な措
置をとるべきことを命ずることができる。 
第18条(指定の取消し等)
@ 厚生労働大臣は、指定法人が前条の規定による命令に違反したときは、その指
定を取り消すことができる。
A 厚生労働大臣は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示し
なければならない。 
第19条(報告の徴収等)
@ 厚生労働大臣は、指定法人の第十六条に規定する認定の業務の適正な運営を確
保するため必要があると認めるときは、当該指定法人に対し、その業務の状況に関
し必要な報告を求め、又はその職員に、当該指定法人の事業所又は事務所に立ち入
り、その業務の状況に関し必要な調査若しくは質問をさせることができる。
A 前項の規定により立入調査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携
帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
B 第1項の規定による立入調査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められた
ものと解釈してはならない。 
第20条(厚生労働省令への委任)
 この章に定めるもののほか、指定法人及び身体障害者補助犬に関する認定に関し
必要な事項は、厚生労働省令で定める。
   第6章 身体障害者補助犬の衛生の確保等
第21条(身体障害者補助犬の取扱い)
 訓練事業者及び身体障害者補助犬を使用する身体障害者は、犬の保健衛生に関し
獣医師の行う指導を受けるとともに、犬を苦しめることなく愛情をもって接するこ
と等により、これを適正に取り扱わなければならない。 
第22条(身体障害者補助犬の衛生の確保)
 身体障害者補助犬を使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬について、体
を清潔に保つとともに、予防接種及び検診を受けさせることにより、公衆衛生上の
危害を生じさせないよう努めなければならない。 
第23条(国民の理解を深めるための措置)
 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、身体障害者の自立及び
社会参加の促進のために身体障害者補助犬が果たす役割の重要性について国民の理
解を深めるよう努めなければならない。 
第24条(国民の協力)
国民は、身体障害者補助犬を使用する身体障害者に対し、必要な協力をするよう努
めなければならない。 
   第7章 罰則
第25条
 第19条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の
規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して答弁を
せず、若しくは虚偽の答弁をした場合には、その違反行為をした指定法人の役員又
は職員は、20万円以下の罰金に処する。  
附 則 
第1条(施行期日)
 この法律は、平成14年10月1日から施行する。ただし、第2章の規定(介助
犬又は聴導犬の訓練に係る部分に限る。)は平成15年4月1日から、第9条の規
定は同年10月1日から施行する。 
第2条(経過措置)
 道路交通法第14条第1項の盲導犬に関しては、当分の間、第5章の規定は、適
用しない。この場合において、第2条第2項中「政令で定める盲導犬であって、第
16条第1項の認定を受けているもの」とあるのは、「政令で定める盲導犬」とす
る。
第3条 
肢体不自由又は聴覚障害により日常生活に著しい支障がある身体障害者は、第四章
に規定する施設等の利用等を行う場合において、その者の補助を行う犬であって第
16条第1項の認定を受けていないものを同伴し、又は使用するときは、平成16
年9月30日までの間に限り、第14条の規定にかかわらず、厚生労働省令で定め
るところにより、その犬に「介助犬」又は「聴導犬」と表示をすることができる。
第4条
 前2条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定
める。 
第5条(新たに身体障害者補助犬が行う補助以外の補助を行う犬が使用されること
となった場合の措置)
 日常生活に著しい支障がある身体障害者の補助を行うため、新たに身体障害者補
助犬が行う補助以外の補助を行う犬が使用されることとなった場合には、その使用
の状況等を勘案し、身体障害者補助犬の制度の対象を拡大するために必要な法制上
の措置が講ぜられるものとする。 
第6条(検討)
 この法律の施行後3年を経過した場合においては、身体障害者補助犬の育成の状
況、第4章に規定する施設等における身体障害者補助犬の同伴又は使用の状況その
他この法律の施行の状況について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置
が講ぜられるものとする。

(2002-10-03)

 
 

 

 
 
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