■ 神社の役割とまつり
神社とは祭りを司るところである。 では、祭とは何か。 祭とは日本そのものであり、日本人そのものである。 最近の横文字を使って表現すると「祭とは日本の、日本人のアイデンテテー」という事か。 近年、地球環境の悪化、自然破壊などから「自然との共生」という言葉がもてはやされているが、神道思想の根元は元々「自然との共生」なのである。 そして、それが祭の精神であり、祭の本質である。 当ホームページの「日本人の神観念」で述べている通り、人間は大自然を 構成する自然の一部であり、自然界の万物に神の魂を見出している。 と言う事は、自然の一部たる人間にも神の魂が宿っている、のである。 そう、我々の身体には神の魂が宿っているのである。 故に祭が近づくと血が騒ぐ。 人間が自然の一部であると言う事は、草木等のいわゆる自然と 人間との共生であり、人間と人間との共生でもある。 そして人間たる自然と草木たる自然に宿る神々との共生である。 祭は日本の悠久の歴史の中で育まれてきた。 祭は日本人の信念や思想、感性や美意識といったものを具現化した ものだ。 人間が大自然の恵みから頂いたもの、食物や織物、木工品、陶器、金属 工芸品に至るまでその恩恵の全てを供え、感謝の誠を捧げ、共生を誓うので ある。 神社の祭りは日本国中津々浦々、あらゆる町や村で執り行われている、 我が民族の行事である。 この観点からすると祭は一宗教行事を超えて、日本の、日本人の伝統と 文化に支えられた民族行事と言える。 日本国中で繰り広げられる、この安定した精神文化の粋たる祭を、守り伝える中心的存在が神社である。 神社の役割は今も昔も、これからも変わらない。 |