■日本人の神観念と祭の意義
人間は、大自然を構成する自然の一部である。
「大自然に神の魂が宿る」と信じる民族の感性が、多くの祭を育み、守り伝えてきた。 祭は日本の悠久の歴史の中から育まれてきた、日本人の信念や美意識を凝縮し具現化したものである。 祭は人間が大自然の恵みから頂いたもの、食物や織物、木工品、金属工芸に至るまでのその恩恵を供え「ありがとう」という感謝の誠を捧げ、共生を誓う日本人の行事である。 故に祭は日本国中津々浦々の、あらゆる町や村の地域社会で、素朴な民族行事として守り伝えられる。 こうした「祭」を通じて、また「祭」にかかわる地域社会の人的ネットワークを通じて「なじみの良い地域社会作り」に貢献出来れば、と願っている。
「なじみの良い地域社会」とは、例えば、お年寄りが近所の子供に生活の知恵を授けられる地域社会であり、徘徊する認知症の老人を優しく見守れる地域社会であり、困っている人にお互い様と言って手を差しのばす地域社会であり、町内の子供達の顔と名前を知っている地域社会である。 「なじみの良い地域社会」を醸成する事は、犯罪の抑止力にも繋がり、地域住民に多くの安心を与える。 悲惨な事件が頻発する昨今の世の中を振り返る時、日々の忙しさにかまけて忘れてしまった何か、また経済至上主義に陥って見失ってしまった何かがあったのではないか、と反省する。 高齢者が長生きして良かったと思える町づくり、子供達の笑顔が絶えず、安心して外遊びができる町づくりを、江別神社或いは祭の存在意義と合わせて考え、実践していきたい。 |