おじいちゃんの心霊写真

 いやあ、すっかり忘れていた。
このHPの中に心霊写真?が混じっていた事を。
先日、遊びにやって来た姪に『おじいちゃんの心霊写真どうなりました?』
と訊かれて思い出した。

 姪の言った「おじいちゃんの心霊写真」とは、平成15年7月21日に更新した
「いのちの正体」の文中に挿入した写真の一枚をさす。

この写真は同じ年の確か6月に撮影したもので、その時の情景はよく憶えている。
大好きな初夏のこの日、小生は退屈しのぎに境内の花壇で紫つつじを撮影した。

薄紫色の花びらを接写していると蜂が蜜を吸いにやって来た。
花びらの周りを蜂たちがブンブン飛び回る。

小生はシャッタースピードの調整が利かないデジタルカメラで撮影していた
ので、動き回る蜂に焦点を合わせるのに苦労し、随分時間を掛けて撮影した。

この時撮影した「紫つつじと蜂」の写真はけっこう気に入って、うちのHPの
トップページに貼り付けたほどだ。

この時点では、勿論「おじいちゃんの心霊写真」とは、なっていなかった。
「紫つつじと蜂」以外、何も写っていなかった。
父の顔は絶っ対に写っていなかった。

薄紫色の花びらの真ん中に蜂が写っている単純な構図だったのだ。
確信をもって言える。

 
そして、この年の10月23日に父が逝去した。


 「おじいちゃんの心霊写真」の第一発見者は女房である。
『あら、お父さんが写っている』HPを眺めていた女房が言った。

何だか不気味に感じて「いのちの正体」を覗くと唖然とした。
いつの間にか、チャッカリと、父が登場しているではないか。
閉じてはいるがその目つき、垂れ下がった眉毛は間違いなく父の顔である。
しかも逝去した後の所謂「死に顔」である。



 父の訃報を知り、すぐさま駆け付けて下さったY田氏。
静かに眠る父に接し
『こんなに穏やかな名誉宮司の顔、近年見たことないな』と言った。

葬送の儀の斎主をお務め頂いたY彦神社のN村宮司様もまた、同じ言葉を発した。

弔問に訪れて下さった誰もが、そう思ったに違いない。
父の「死に顔」はそれほどに優しく穏やかな表情であった。

 死んだ父は、多分、訪れる誰もが褒めてくれる事に気分を良くし、
更には「自分の死に顔」に自信を持ってしまったのだ。

元来、自己顕示欲が強く、茶目っ気タップリ、サービス精神旺盛な父は、
褒めちぎられた「自分の死に顔」を、みんなに見て欲しくてHPに登場して
しまったのだ。

実に父らしく、父のやりそうな事だ。



 『父の霊は決して悪霊ではありません。

 皆様に祟ったり、悪さしたりなんて、断じてあり得ません。

 どうか、父の姿に気がついてやって、おくんなせえ。

 そして、ビビらんで自慢の死に顔を拝んでやって、おくんなせえ』

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